2019年09月06日
Part.7
【朝食】
翌朝の朝食はチェックイン時に発行される食券方式で前夜の夕食とは趣を異にしている。
朝食券
券面に記載がある通り朝食の開始時間は7:00、7:30、8:00の選択肢があり指定した時間がマークされている。
また会場も夕食とは異なり食堂とされている。
食堂
食堂はPart.2で紹介したフロントロビーに接する供食施設でログハウスやコテージの宿泊客に日帰り客も利用可能な空間である。
小上り
食堂内は中央に配置されたテーブル席の三方を壁面に設えた畳敷きの小上りが囲んでおり
品書
厨房側の壁面に貼り出された品書札はカレーや丼物に中華と和のそばを加えた手軽なものが並んでおり日帰り客の昼食を意識した品揃えに見える。
厨房隔壁
食堂と厨房を仕切る壁面には画面の手前から下膳口と給膳口の開口が並びその奥に置かれた小振りなカウンター内部の扉で厨房と連絡している。
カウンター
カウンター上には左手の厨房側から給湯器、お茶のポット、コーヒーサーバー、炊飯器のご飯、牛乳とフルーツジュースが用意されているが給湯器とお茶以外は朝食専用の装備と思われる。
給膳口から厨房側へ声を掛けて食券を提示すると間もなく運ばれた
朝食膳
朝食膳は10品程の料理が並びご飯と味噌汁を加えて完成する。味噌汁椀は厨房から運ばれるがご飯はカウンターの炊飯器から各自が取り分ける方式となっている。
サラダと焼鯖
お膳の左奥はポテトサラダの鉢と焼鯖と卵焼きを載せた角皿が占めている。
朝食の定番
その右は納豆と焼海苔に温泉卵の朝食では定番の品で
お浸し
ほうれん草のお浸しに大根漬けと梅干を載せた漬物皿
も並んでいる。
きんぴらごぼう
左側のポテトサラダ鉢の手前には佃煮昆布の小鉢ときんぴらごぼうが控える。
ほうれん草のお浸しやポテトサラダ、きんぴらは一般的な旅館の朝食に比較して量が多く田舎風のもてなしと感じる。大概の朝食膳では梅干も一粒のみで二粒の提供は珍しい。
ご飯と味噌汁
これら量感のある料理に支えられて温泉宿の朝食では恒例でご飯をお代わりした。
嘗て温泉宿の朝食は食が進んで3杯飯を常としていたが最近は2杯で十分な満腹を感じるのは加齢に伴う摂理であろうか。因みに自宅での日常普段の朝食は以前から1膳のご飯で不足はない。
【チェックアウト】
朝食後10:00のチェックアウト迄は時間に余裕があるのでいつもの通り浴場に向かい温泉に名残を惜しんだ。
9:00頃の浴場は清掃時間帯で係員が洗い場の整備やガラス扉などの清掃作業を行っていたが確認すると入浴は可能とのことで露天風呂の深い浴槽に体を預けて一時を過ごした。
10:00前には身支度を済ませてフロントでの清算に赴いた。先に紹介したGW50歳以上限定特典満喫プランは2名で¥25,920(税サービス料込)に入湯税@150×2名=¥300と夕食時の冷酒(あさ開300ml)\525が加算され合計¥26,745であった。
格安温泉宿の紹介を旨とする本サイトではやや高めとなったがGWの真只中であることを加味すれば妥協できる価格の範囲かと思う。
因みに\525の冷酒(300ml)は格安で平均的には\900前後の設定が多いが宿(と冷酒の銘柄)に依っては\1300を超えることもある。
【庭園】
チェックアウト後は客室から池やログハウスなどが見えていた低い位置の庭園を散策した。
宿泊棟
既にPart.3 で紹介した宿泊棟の外観風景はこの時に撮影したものである。
池の鯉
庭園の池には悠々と泳ぐ大型の鯉が見えていたが画面中央の黒鯉が認められるだろうか。水面に反射する宿泊棟や松の木の揺らいだ逆姿が鮮明に写ってしまい主役の鯉の存在が希薄になってしまった。
【終章】
寿広園は客室が僅か10室の小規模な温泉宿に見えるがその実態は広い敷地内に宿泊可能な2棟のログハウスやモービルコテージと称するトレーラーハウス6棟の宿泊施設を擁する施設である。
温泉はコテージの宿泊客(無料)や日帰り温泉客(¥500)も受け容れているので入浴客は10室規模の予想を超える混雑度で温泉施設の人気が窺える。朝食時にはコテージに泊まっていたらしい家族連れが温泉を利用する場面も目撃した。多彩な宿泊施設を備える温泉宿である。
完
【朝食】
翌朝の朝食はチェックイン時に発行される食券方式で前夜の夕食とは趣を異にしている。
朝食券
券面に記載がある通り朝食の開始時間は7:00、7:30、8:00の選択肢があり指定した時間がマークされている。
また会場も夕食とは異なり食堂とされている。
食堂
食堂はPart.2で紹介したフロントロビーに接する供食施設でログハウスやコテージの宿泊客に日帰り客も利用可能な空間である。
小上り
食堂内は中央に配置されたテーブル席の三方を壁面に設えた畳敷きの小上りが囲んでおり
品書
厨房側の壁面に貼り出された品書札はカレーや丼物に中華と和のそばを加えた手軽なものが並んでおり日帰り客の昼食を意識した品揃えに見える。
厨房隔壁
食堂と厨房を仕切る壁面には画面の手前から下膳口と給膳口の開口が並びその奥に置かれた小振りなカウンター内部の扉で厨房と連絡している。
カウンター
カウンター上には左手の厨房側から給湯器、お茶のポット、コーヒーサーバー、炊飯器のご飯、牛乳とフルーツジュースが用意されているが給湯器とお茶以外は朝食専用の装備と思われる。
給膳口から厨房側へ声を掛けて食券を提示すると間もなく運ばれた
朝食膳
朝食膳は10品程の料理が並びご飯と味噌汁を加えて完成する。味噌汁椀は厨房から運ばれるがご飯はカウンターの炊飯器から各自が取り分ける方式となっている。
サラダと焼鯖
お膳の左奥はポテトサラダの鉢と焼鯖と卵焼きを載せた角皿が占めている。
朝食の定番
その右は納豆と焼海苔に温泉卵の朝食では定番の品で
お浸し
ほうれん草のお浸しに大根漬けと梅干を載せた漬物皿
も並んでいる。
きんぴらごぼう
左側のポテトサラダ鉢の手前には佃煮昆布の小鉢ときんぴらごぼうが控える。
ほうれん草のお浸しやポテトサラダ、きんぴらは一般的な旅館の朝食に比較して量が多く田舎風のもてなしと感じる。大概の朝食膳では梅干も一粒のみで二粒の提供は珍しい。
ご飯と味噌汁
これら量感のある料理に支えられて温泉宿の朝食では恒例でご飯をお代わりした。
嘗て温泉宿の朝食は食が進んで3杯飯を常としていたが最近は2杯で十分な満腹を感じるのは加齢に伴う摂理であろうか。因みに自宅での日常普段の朝食は以前から1膳のご飯で不足はない。
【チェックアウト】
朝食後10:00のチェックアウト迄は時間に余裕があるのでいつもの通り浴場に向かい温泉に名残を惜しんだ。
9:00頃の浴場は清掃時間帯で係員が洗い場の整備やガラス扉などの清掃作業を行っていたが確認すると入浴は可能とのことで露天風呂の深い浴槽に体を預けて一時を過ごした。
10:00前には身支度を済ませてフロントでの清算に赴いた。先に紹介したGW50歳以上限定特典満喫プランは2名で¥25,920(税サービス料込)に入湯税@150×2名=¥300と夕食時の冷酒(あさ開300ml)\525が加算され合計¥26,745であった。
格安温泉宿の紹介を旨とする本サイトではやや高めとなったがGWの真只中であることを加味すれば妥協できる価格の範囲かと思う。
因みに\525の冷酒(300ml)は格安で平均的には\900前後の設定が多いが宿(と冷酒の銘柄)に依っては\1300を超えることもある。
【庭園】
チェックアウト後は客室から池やログハウスなどが見えていた低い位置の庭園を散策した。
宿泊棟
既にPart.3 で紹介した宿泊棟の外観風景はこの時に撮影したものである。
池の鯉
庭園の池には悠々と泳ぐ大型の鯉が見えていたが画面中央の黒鯉が認められるだろうか。水面に反射する宿泊棟や松の木の揺らいだ逆姿が鮮明に写ってしまい主役の鯉の存在が希薄になってしまった。
【終章】
寿広園は客室が僅か10室の小規模な温泉宿に見えるがその実態は広い敷地内に宿泊可能な2棟のログハウスやモービルコテージと称するトレーラーハウス6棟の宿泊施設を擁する施設である。
温泉はコテージの宿泊客(無料)や日帰り温泉客(¥500)も受け容れているので入浴客は10室規模の予想を超える混雑度で温泉施設の人気が窺える。朝食時にはコテージに泊まっていたらしい家族連れが温泉を利用する場面も目撃した。多彩な宿泊施設を備える温泉宿である。
完
(00:00)
2019年08月30日
Part.6
【寿広園の夕食】
夕食の開始時間は18:00~19:00の時間帯に設定されておりチェックイン時に18:30を選択した。
定刻になると部屋の入口に訪れた係に案内された夕食会場は隣の部屋であった。
夕食会場
隣合う部屋ではあるがその内部は客室とは全く異なって周囲に畳を敷いた中央部に掘り炬燵式の木製大型テーブルが配置された小規模な宴会場の設えとなっている。木製テーブルの中心に方形の切込みを認めるが目隠しの蓋で塞がれている。内部には囲炉裏かコンロの空間が潜んでいるのであろうか。
夕食膳
既にテーブル上のお膳には大方の料理が並べられていた。
しゃぶ鍋
左奥は豚しゃぶ用の鍋で火源の鍋コンロに接する配置の葡萄とパイナップルのデザート小鉢が気になり熱の影響を受けないお膳の外へ避難させた。
豚しゃぶ材料
鍋の手前の皿に薄切り肉と野菜類の食材が用意されている。豚肉の下からは白菜とエノキ、シメジが覗いており添え物の飾り人参は一般的だが行者ニンニクの葉は珍しい。
天ぷら
お膳の右奥は海老、春菊、茄子の天ぷらを盛り付けた籠に抹茶塩の小皿が添えられている。
お造り鉢
天ぷらの手前は鮪の赤身に帆立貝柱と海老の刺身3種のお造り鉢。
前菜
お膳の手前中央に配置された扇皿は前菜か台の物か判断が迷う料理で海老と舞茸の焼物に葛饅頭の小鉢と生野菜を添えた鴨のローストが載る。皿の姿形からは台の物の位置付けにも見えるが葛饅頭の存在は前菜の要素を強く感じる。
前菜と小鉢料理
扇型の皿の周囲は小鉢料理が取り囲んでいる。
左側はこごみのお浸しで
小鉢料理
時計回りに右隣りは
ロールキャベツ
青菜と飾り人参を添えた半切りのロールキャベツの角鉢と
酢の物
ベビー帆立とイクラを添えるワカメと胡瓜の酢の物に
小鉢料理
小海老(シロエビ)の和え物、筍煮の5種が並んでいる。
漬物皿
右手前には漬物の小皿と茶碗蒸しの配置があり
食前酒
左端には食前酒の小杯も用意されている。
飲料メニュー
着席後に提示された飲料メニューから
冷酒
あさ開の冷酒を夕餉の伴に選択した。
豚しゃぶ鍋
冷酒を嗜みながら刺身や小鉢の料理に箸を進めていると鍋の出汁が沸いたので野菜類を投入した後に
豚しゃぶ
鍋に泳がせた豚肉は食べ応えがある大きさであった。
汁もの
暫く料理を味わっているとお櫃入りのご飯と汁椀が運ばれた。
汁椀の蓋を取るとその中には山菜仕立てのかけそばが収められていた。通常の会席料理では途中に凌ぎの位置付けでそばが供されることはあるが終盤のご飯のお伴に同じ穀類の組み合わせで和食料理として如何なものだろう。
しかし個人的にはいつも通り白米ご飯をパスしたのでこのそば椀と
茶碗蒸し
茶碗蒸しを
茶碗蒸し
食して夕食を締め括った。
Part.7は朝食からチェックアウト迄
【寿広園の夕食】
夕食の開始時間は18:00~19:00の時間帯に設定されておりチェックイン時に18:30を選択した。
定刻になると部屋の入口に訪れた係に案内された夕食会場は隣の部屋であった。
夕食会場
隣合う部屋ではあるがその内部は客室とは全く異なって周囲に畳を敷いた中央部に掘り炬燵式の木製大型テーブルが配置された小規模な宴会場の設えとなっている。木製テーブルの中心に方形の切込みを認めるが目隠しの蓋で塞がれている。内部には囲炉裏かコンロの空間が潜んでいるのであろうか。
夕食膳
既にテーブル上のお膳には大方の料理が並べられていた。
しゃぶ鍋
左奥は豚しゃぶ用の鍋で火源の鍋コンロに接する配置の葡萄とパイナップルのデザート小鉢が気になり熱の影響を受けないお膳の外へ避難させた。
豚しゃぶ材料
鍋の手前の皿に薄切り肉と野菜類の食材が用意されている。豚肉の下からは白菜とエノキ、シメジが覗いており添え物の飾り人参は一般的だが行者ニンニクの葉は珍しい。
天ぷら
お膳の右奥は海老、春菊、茄子の天ぷらを盛り付けた籠に抹茶塩の小皿が添えられている。
お造り鉢
天ぷらの手前は鮪の赤身に帆立貝柱と海老の刺身3種のお造り鉢。
前菜
お膳の手前中央に配置された扇皿は前菜か台の物か判断が迷う料理で海老と舞茸の焼物に葛饅頭の小鉢と生野菜を添えた鴨のローストが載る。皿の姿形からは台の物の位置付けにも見えるが葛饅頭の存在は前菜の要素を強く感じる。
前菜と小鉢料理
扇型の皿の周囲は小鉢料理が取り囲んでいる。
左側はこごみのお浸しで
小鉢料理
時計回りに右隣りは
ロールキャベツ
青菜と飾り人参を添えた半切りのロールキャベツの角鉢と
酢の物
ベビー帆立とイクラを添えるワカメと胡瓜の酢の物に
小鉢料理
小海老(シロエビ)の和え物、筍煮の5種が並んでいる。
漬物皿
右手前には漬物の小皿と茶碗蒸しの配置があり
食前酒
左端には食前酒の小杯も用意されている。
飲料メニュー
着席後に提示された飲料メニューから
冷酒
あさ開の冷酒を夕餉の伴に選択した。
豚しゃぶ鍋
冷酒を嗜みながら刺身や小鉢の料理に箸を進めていると鍋の出汁が沸いたので野菜類を投入した後に
豚しゃぶ
鍋に泳がせた豚肉は食べ応えがある大きさであった。
汁もの
暫く料理を味わっているとお櫃入りのご飯と汁椀が運ばれた。
汁椀の蓋を取るとその中には山菜仕立てのかけそばが収められていた。通常の会席料理では途中に凌ぎの位置付けでそばが供されることはあるが終盤のご飯のお伴に同じ穀類の組み合わせで和食料理として如何なものだろう。
しかし個人的にはいつも通り白米ご飯をパスしたのでこのそば椀と
茶碗蒸し
茶碗蒸しを
茶碗蒸し
食して夕食を締め括った。
Part.7は朝食からチェックアウト迄
(00:00)
2019年08月23日
Part.5
【石の湯】
寿広園の宿泊客には石の湯を1回無料で利用できる入浴券が提供される。
入浴券
券面の表示の通り24:00迄と翌朝6:00~の利用時間は内湯浴場と同じ設定となっている。またログハウスやモービルコテージの宿泊客と外来者は入浴料(大人)\1800が必要である。
石の湯はこの宿独自の呼称でその詳細は次に述べるが一言に纏めれば低温サウナの蒸気浴施設である。
寿広園のパンフレットの説明を要約すると地熱で温められた水が岩盤を通過する際にミネラル分などを含んで温泉水になるのなら岩盤から出るミネラル分を直接体に浸透させれば効率が良いので天然ラジウム鉱石やトルマリン鉱石など73種類の石を5層構造に敷き詰めて温泉熱を通し蒸気浴場としているのだとか。
石の湯効能
食堂の壁面にも石の湯の効能書きが掲示されているがその内容は明らかな誤りがあり心許無い。石名と効能の最初に記載されたB(ホウ酸)はホウ素の原素記号でありホウ酸はこの酸化物となるのでH3BO3の化学式で表す必要がある。
更に末尾に記載されているSh(ストロンチウム)に至っては明らかな誤記である。ストロンチウムの原素記号はSrでありShなる元素の存在は今のところ確認されていない。単純な誤記かとも思われるが正確性に欠けてる表記は何よりも肝心な効能に疑念が湧いてしまう。
【石の湯の入浴方法】
入浴方法
客室内に備えられた館内案内の中にある石の湯の入浴方法に沿って体験談を披露する。
石の湯の利用は浴場の入浴とは異なり先ずフロントに赴く必要がある。
ここで石の湯の入浴券を提示すると引き換えに入浴用の浴衣、ゴザ、バスタオルに500mlPETボトルのミネラル水が提供される。
浴衣はサイズ指定ができて保冷されているミネラル水も奥入瀬源流水や岩泉龍泉洞の水など産地が異なる4種程から選択できる方式となっている。この手続き中に担当者から口頭で以下に列挙する入浴方法が説明される。
�@先ず内湯浴場の脱衣室で下着を脱ぎ浴衣のみを纏ってゴザ、タオル、ミネラル水を携行して石の湯の浴室に入室する。
�A浴室内では床面にゴザを敷いて10分程体を横たえるがこの入浴中にもPETボトルを持ち込んで水分補給を行う。
�B10分経ったら外気に面した涼みコーナーに移動して5分程休憩する。
�C10分入浴5分休憩を3回繰り返して入浴を終了する。
�D汗で濡れた浴衣は内湯脱衣室内の回収バッグに投入しゴザはフロントへ持参して返却する。
石の湯入口
館内紹介で既に掲載したが石の湯の入口は本館と宿泊棟連絡通路の本館側末端部にありサッシ引き戸に黄緑色の暖簾が懸け下げられている。
暖簾の奥
引き戸の奥は仮設の雰囲気が色濃い木造の通路が伸びている。右側の壁面は外壁建材が張り巡らされているが左壁面の木造構造は如何にもな俄作りで後付けの構築物に見える。
浴室入口
通路を突き当たった右手に石の湯の浴室へ入室する扉があり
男子更衣室
更にその右隣りはフロントの説明には無かった更衣室が配置されているがこれは男子専用で女性は内湯で着替える様に案内されている。
涼みコーナー
浴室扉の左手は涼みコーナーと表示された扉を介した休憩所となっている。
石の湯へ
石の湯の入浴は二重扉を通って入室する。
石の湯室内
室内は男女兼用で小石を敷き詰めた床面中央に板床の通路がありその両側に持参のゴザを広げて寝転がると忽ち全身から汗が噴き出てくる。面の皮(顔面)より表皮が厚い筈の両手指の先端からの発汗は初めて経験した。
室内は超が付く高湿度で持ち込んだカメラのレンズは凝結現象で忽ち曇ってしう。明度やコントラスト等を調整してみたこの画面でも中央の板床通路や壁面側にある枕の位置の認識は困難だが雰囲気を感じて戴ければと思い敢えて不鮮明な写真を掲載する。
石の湯の特徴
石の湯は一般のサウナが90~120℃の高温低湿度に対して45℃の低温が特徴で手指の先端からも発汗を促すのは66~70%の高湿度に依るらしい。
10分間の入浴で汗塗れとなって避難する
休憩所
涼みコーナー(休憩所)は外気を採り込む木造構造に丸椅子と扇風機に給水機が配置されている。
ここに座ると外気に触れて一旦汗が引き人心地を取り戻すことができる。しかし僅か5分程の休憩後に再び湿度地獄に戻らなければならないのは憂鬱である。
女性浴室入口
扇風機の奥には女性専用とされる別室への入口が見えているが注意書きの通り男性は入場禁止である。
館内図
先にも掲載した館内図で石の湯の部分を見ると寸法的に矛盾はあるが男女兼用の浴室と女性専用浴室の存在が確認できる。
休憩所の空間は単純に細い通路として描かれるのみで男子更衣室も遠慮がちに小さな描画に留められている。
45分後間に3回の入室と休憩を繰り返すと水分補給も500mlでは足らず休憩所の冷水器からの補給が必要となった。発汗の為かくたくたに疲労した体で大浴場に戻り汗を洗い流し暫くすると体が軽くなったような爽快感が湧いてきた。これが石の湯の大きな効能なのであろう。
Part.6は寿広園の食事
【石の湯】
寿広園の宿泊客には石の湯を1回無料で利用できる入浴券が提供される。
入浴券
券面の表示の通り24:00迄と翌朝6:00~の利用時間は内湯浴場と同じ設定となっている。またログハウスやモービルコテージの宿泊客と外来者は入浴料(大人)\1800が必要である。
石の湯はこの宿独自の呼称でその詳細は次に述べるが一言に纏めれば低温サウナの蒸気浴施設である。
寿広園のパンフレットの説明を要約すると地熱で温められた水が岩盤を通過する際にミネラル分などを含んで温泉水になるのなら岩盤から出るミネラル分を直接体に浸透させれば効率が良いので天然ラジウム鉱石やトルマリン鉱石など73種類の石を5層構造に敷き詰めて温泉熱を通し蒸気浴場としているのだとか。
石の湯効能
食堂の壁面にも石の湯の効能書きが掲示されているがその内容は明らかな誤りがあり心許無い。石名と効能の最初に記載されたB(ホウ酸)はホウ素の原素記号でありホウ酸はこの酸化物となるのでH3BO3の化学式で表す必要がある。
更に末尾に記載されているSh(ストロンチウム)に至っては明らかな誤記である。ストロンチウムの原素記号はSrでありShなる元素の存在は今のところ確認されていない。単純な誤記かとも思われるが正確性に欠けてる表記は何よりも肝心な効能に疑念が湧いてしまう。
【石の湯の入浴方法】
入浴方法
客室内に備えられた館内案内の中にある石の湯の入浴方法に沿って体験談を披露する。
石の湯の利用は浴場の入浴とは異なり先ずフロントに赴く必要がある。
ここで石の湯の入浴券を提示すると引き換えに入浴用の浴衣、ゴザ、バスタオルに500mlPETボトルのミネラル水が提供される。
浴衣はサイズ指定ができて保冷されているミネラル水も奥入瀬源流水や岩泉龍泉洞の水など産地が異なる4種程から選択できる方式となっている。この手続き中に担当者から口頭で以下に列挙する入浴方法が説明される。
�@先ず内湯浴場の脱衣室で下着を脱ぎ浴衣のみを纏ってゴザ、タオル、ミネラル水を携行して石の湯の浴室に入室する。
�A浴室内では床面にゴザを敷いて10分程体を横たえるがこの入浴中にもPETボトルを持ち込んで水分補給を行う。
�B10分経ったら外気に面した涼みコーナーに移動して5分程休憩する。
�C10分入浴5分休憩を3回繰り返して入浴を終了する。
�D汗で濡れた浴衣は内湯脱衣室内の回収バッグに投入しゴザはフロントへ持参して返却する。
石の湯入口
館内紹介で既に掲載したが石の湯の入口は本館と宿泊棟連絡通路の本館側末端部にありサッシ引き戸に黄緑色の暖簾が懸け下げられている。
暖簾の奥
引き戸の奥は仮設の雰囲気が色濃い木造の通路が伸びている。右側の壁面は外壁建材が張り巡らされているが左壁面の木造構造は如何にもな俄作りで後付けの構築物に見える。
浴室入口
通路を突き当たった右手に石の湯の浴室へ入室する扉があり
男子更衣室
更にその右隣りはフロントの説明には無かった更衣室が配置されているがこれは男子専用で女性は内湯で着替える様に案内されている。
涼みコーナー
浴室扉の左手は涼みコーナーと表示された扉を介した休憩所となっている。
石の湯へ
石の湯の入浴は二重扉を通って入室する。
石の湯室内
室内は男女兼用で小石を敷き詰めた床面中央に板床の通路がありその両側に持参のゴザを広げて寝転がると忽ち全身から汗が噴き出てくる。面の皮(顔面)より表皮が厚い筈の両手指の先端からの発汗は初めて経験した。
室内は超が付く高湿度で持ち込んだカメラのレンズは凝結現象で忽ち曇ってしう。明度やコントラスト等を調整してみたこの画面でも中央の板床通路や壁面側にある枕の位置の認識は困難だが雰囲気を感じて戴ければと思い敢えて不鮮明な写真を掲載する。
石の湯の特徴
石の湯は一般のサウナが90~120℃の高温低湿度に対して45℃の低温が特徴で手指の先端からも発汗を促すのは66~70%の高湿度に依るらしい。
10分間の入浴で汗塗れとなって避難する
休憩所
涼みコーナー(休憩所)は外気を採り込む木造構造に丸椅子と扇風機に給水機が配置されている。
ここに座ると外気に触れて一旦汗が引き人心地を取り戻すことができる。しかし僅か5分程の休憩後に再び湿度地獄に戻らなければならないのは憂鬱である。
女性浴室入口
扇風機の奥には女性専用とされる別室への入口が見えているが注意書きの通り男性は入場禁止である。
館内図
先にも掲載した館内図で石の湯の部分を見ると寸法的に矛盾はあるが男女兼用の浴室と女性専用浴室の存在が確認できる。
休憩所の空間は単純に細い通路として描かれるのみで男子更衣室も遠慮がちに小さな描画に留められている。
45分後間に3回の入室と休憩を繰り返すと水分補給も500mlでは足らず休憩所の冷水器からの補給が必要となった。発汗の為かくたくたに疲労した体で大浴場に戻り汗を洗い流し暫くすると体が軽くなったような爽快感が湧いてきた。これが石の湯の大きな効能なのであろう。
Part.6は寿広園の食事
(00:00)
2019年08月16日
Part.4
【寿広園の温泉】
寿広園の温泉施設は先にも記した通り本館部分に内湯の浴槽を配した男女別の浴室があり各々の外部に露天風呂が配置されている。
浴場は24:00で終了し翌朝は6:00から再開する設定となっており深夜の利用は叶わないのが温泉好きには残念な措置である。
この浴場とは別に石の湯と称する蒸気風呂の用意もあるが先ず男湯の浴場から紹介する。
【男湯脱衣室】
男湯入口
男湯の青い暖簾を潜った奥は靴を脱いで上がる脱衣室である。
靴箱
寿広園の宿泊者は館内履きのスリッパで入るが日帰り客やコテージの利用者は外靴の儘入場するので靴箱には外靴が並んでいる。
脱衣棚
脱衣室の空間は左奥に配置された鍵付きスチールロッカーが脱衣棚の機能を果たしており右隣りのガラス戸から浴室へ出入する構造となっている。
トイレ
靴箱から浴室出入口に繋がる右側の壁面にはトイレの設備がある。
浴室入口に近い位置には温泉成分の分析表が掲示されている。
洗面台
入口方向に振り返ると脱衣ロッカーと対向する壁面に3基の洗面台がある。
【浴室内部】
浴室入口
浴室入口のガラス戸を引き開けると
浴室
右手の壁面はシャワー栓が並ぶ洗い場で左側に内湯の浴槽が置かれている。
外光
浴槽奥の外壁に開口する大窓から外光が採り込まれており洗い場通路奥のガラス引き戸の先は露天風呂の空間である。
湯口
タイル貼りの浴槽は長方形となる外壁窓側の角を斜めに断ち切った変則的五角形で脱衣室側の隅に置かれた湯口から音を立てて多量の湯が注入されている。
越流部
浴槽の底面が見えている透明湯は外壁の窓に面する斜めの辺から越流して排湯溝に吸い込まれるているが湯口の対角位置の底面に見える四角形のステンレス枠は循環濾過装置の存在が疑われる。
後に言及するが実際に泉質表示には循環ろ過と塩素系滅菌剤の使用が明示されていた。
浴槽部の天井
浴槽の上部は高い天井の頂部に換気口が設けられて
天井換気
上昇する暖気の対流作用で自然換気する構造となっている。
【露天風呂】
露天風呂入口
露天風呂は内湯浴場の奥に置かれているので浴場内右手の洗い場と左側の浴槽に挟まれた通路の最奥に設けられたガラス戸が出入口となっている。
露天浴槽
ガラス戸の先は内湯より一段低い位置にある浴槽は屋外側に四角の張出しを設けた変則的な形状に加えて
浴槽底部
石張りの槽内は入口の高さから4段を刻む階段構造が珍しく最も深い中央部分は1m程もある立湯の設えとなっている。
露天ではあるが屋外側に張り巡らされている仮設の透明シートは冬季防寒対策の名残と思われる。気温の上昇に伴って撤去されるのであろう。
この浴槽は内湯とは異なり循環ろ過装置の存在が窺えず源泉掛け流しに見える。
湯口
石組の扁平な湯口から注がれる湯は左端の流量が多く右側は少量だが掌に受けると左端は温く右側の湯温には熱さを感じた。同一の湯口から注がれてはいるが流量や湯温の違いは素性が異なる湯を混合している様に感じた。
越流部
露天浴槽の湯は内湯浴場の出入口側にある越流部から排出されている。
【温泉の泉質表示】
泉質表示
脱衣室に掲出されている温泉の泉質表示に依ると
源泉組成
鶯宿温泉(あさひの湯)の源泉はアルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)とされ源泉温度52.3℃、使用位置は50.0℃の湯温でpH8.7は確かに弱アルカリ性に分類される。
成分の分析を見ると温泉1kg中にナトリウムイオン(Na+)142mg、カルシウムイオン(Ca++)34�rに硫酸イオン(SO4--)309mg、塩素イオン(Cl-)47mgが主要な含有物で赤茶を呈する鉄分や硫黄臭を伴う硫化水素等の特異な成分を含まない文字通り穏やかな単純温泉である。
循環の表示
同じ泉質表示で成分に影響を与える項目の部分は不明瞭な画像となってしまったが
源泉掛流しです
衛生管理のため循環ろ過装置を使用しています
衛生管理のため塩素系薬剤を使用しています
の三項が明記されている。
温泉浴槽で源泉掛流しと塩素剤滅菌を伴う循環ろ過は相容れない給湯方式であり論理上の矛盾を感じる。
既に紹介した通り内湯浴槽は底面構造から循環装置の存在が明らかで源泉掛流しとは思えないが露天の浴槽には見当たらなかったのでこちらは掛け流しと捉えて良いのだろうか。しかし個人的には先に言及した露天浴槽の湯口左右で認められる給湯量と湯温のばらつき状況から未だに循環湯の混入の疑念が拭えない。
Part.5は石の湯の入浴体験
【寿広園の温泉】
寿広園の温泉施設は先にも記した通り本館部分に内湯の浴槽を配した男女別の浴室があり各々の外部に露天風呂が配置されている。
浴場は24:00で終了し翌朝は6:00から再開する設定となっており深夜の利用は叶わないのが温泉好きには残念な措置である。
この浴場とは別に石の湯と称する蒸気風呂の用意もあるが先ず男湯の浴場から紹介する。
【男湯脱衣室】
男湯入口
男湯の青い暖簾を潜った奥は靴を脱いで上がる脱衣室である。
靴箱
寿広園の宿泊者は館内履きのスリッパで入るが日帰り客やコテージの利用者は外靴の儘入場するので靴箱には外靴が並んでいる。
脱衣棚
脱衣室の空間は左奥に配置された鍵付きスチールロッカーが脱衣棚の機能を果たしており右隣りのガラス戸から浴室へ出入する構造となっている。
トイレ
靴箱から浴室出入口に繋がる右側の壁面にはトイレの設備がある。
浴室入口に近い位置には温泉成分の分析表が掲示されている。
洗面台
入口方向に振り返ると脱衣ロッカーと対向する壁面に3基の洗面台がある。
【浴室内部】
浴室入口
浴室入口のガラス戸を引き開けると
浴室
右手の壁面はシャワー栓が並ぶ洗い場で左側に内湯の浴槽が置かれている。
外光
浴槽奥の外壁に開口する大窓から外光が採り込まれており洗い場通路奥のガラス引き戸の先は露天風呂の空間である。
湯口
タイル貼りの浴槽は長方形となる外壁窓側の角を斜めに断ち切った変則的五角形で脱衣室側の隅に置かれた湯口から音を立てて多量の湯が注入されている。
越流部
浴槽の底面が見えている透明湯は外壁の窓に面する斜めの辺から越流して排湯溝に吸い込まれるているが湯口の対角位置の底面に見える四角形のステンレス枠は循環濾過装置の存在が疑われる。
後に言及するが実際に泉質表示には循環ろ過と塩素系滅菌剤の使用が明示されていた。
浴槽部の天井
浴槽の上部は高い天井の頂部に換気口が設けられて
天井換気
上昇する暖気の対流作用で自然換気する構造となっている。
【露天風呂】
露天風呂入口
露天風呂は内湯浴場の奥に置かれているので浴場内右手の洗い場と左側の浴槽に挟まれた通路の最奥に設けられたガラス戸が出入口となっている。
露天浴槽
ガラス戸の先は内湯より一段低い位置にある浴槽は屋外側に四角の張出しを設けた変則的な形状に加えて
浴槽底部
石張りの槽内は入口の高さから4段を刻む階段構造が珍しく最も深い中央部分は1m程もある立湯の設えとなっている。
露天ではあるが屋外側に張り巡らされている仮設の透明シートは冬季防寒対策の名残と思われる。気温の上昇に伴って撤去されるのであろう。
この浴槽は内湯とは異なり循環ろ過装置の存在が窺えず源泉掛け流しに見える。
湯口
石組の扁平な湯口から注がれる湯は左端の流量が多く右側は少量だが掌に受けると左端は温く右側の湯温には熱さを感じた。同一の湯口から注がれてはいるが流量や湯温の違いは素性が異なる湯を混合している様に感じた。
越流部
露天浴槽の湯は内湯浴場の出入口側にある越流部から排出されている。
【温泉の泉質表示】
泉質表示
脱衣室に掲出されている温泉の泉質表示に依ると
源泉組成
鶯宿温泉(あさひの湯)の源泉はアルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)とされ源泉温度52.3℃、使用位置は50.0℃の湯温でpH8.7は確かに弱アルカリ性に分類される。
成分の分析を見ると温泉1kg中にナトリウムイオン(Na+)142mg、カルシウムイオン(Ca++)34�rに硫酸イオン(SO4--)309mg、塩素イオン(Cl-)47mgが主要な含有物で赤茶を呈する鉄分や硫黄臭を伴う硫化水素等の特異な成分を含まない文字通り穏やかな単純温泉である。
循環の表示
同じ泉質表示で成分に影響を与える項目の部分は不明瞭な画像となってしまったが
源泉掛流しです
衛生管理のため循環ろ過装置を使用しています
衛生管理のため塩素系薬剤を使用しています
の三項が明記されている。
温泉浴槽で源泉掛流しと塩素剤滅菌を伴う循環ろ過は相容れない給湯方式であり論理上の矛盾を感じる。
既に紹介した通り内湯浴槽は底面構造から循環装置の存在が明らかで源泉掛流しとは思えないが露天の浴槽には見当たらなかったのでこちらは掛け流しと捉えて良いのだろうか。しかし個人的には先に言及した露天浴槽の湯口左右で認められる給湯量と湯温のばらつき状況から未だに循環湯の混入の疑念が拭えない。
Part.5は石の湯の入浴体験
(00:00)
2019年08月09日
Part.3
【宿泊棟の客室】
通された21号室は
宿泊棟の直線廊下部に並ぶ客室の最も手前で温泉浴場を擁する本館と至近に位置している。
客室入口
幅広の格子戸を引き開けると小さな踏込みがあり左に置かれた靴箱に下足を入れて部屋に上がる。
客室
客室手前の板貼り床の左手には
トイレ
洗浄機能を備えたトイレがある。
室内
8畳間の室内は窓側に広縁を備え
クローゼット
左手の壁面は吊り構造のクローゼットから窓側へ続く板床にテレビや金庫とFF型の灯油暖房機が並び
館内電話
金庫の上には館内電話が配置されている。
木炭の桶
金庫の脇にある木桶入の木炭は活性炭と同様の脱臭機能を果たしていると思われる。
乱れ箱
クローゼット内に置かれた乱れ箱には浴衣とバスタオルに定番のフェイスタオルと歯ブラシセットが用意されている。
広縁
窓側の広縁には椅子とテーブルのセットが配置されおり
洗面台
左端の壁面には独立した湯栓と水栓を備えた洗面台がある。
冷蔵庫
広縁の右側には小型の冷蔵庫が置かれている。この冷蔵庫内は空が原則だが50歳以上限定プランの特典で予め2本の缶ビールが収容されている。
冷酒
しかしチェックイン時にビールは飲まないので日本酒に換えられないかと申し出たところ岩手の銘酒あさ開(あさびらき)の冷酒に変更して貰うことができた。
女性の特典
因みに女性用に用意された特典はアメニティセットで男の私には何やら理解が及ばないが女性にはあれば嬉しい小物のセットなのだそう。
座卓上
部屋の中央に置かれた座卓には茶櫃と温水ポットに茶菓子は定番の備えだが冷水ポットとグラスも用意されている。手前に見える巾着袋は女性用特典のアメニティセットである。
【窓外の庭園風景】
窓外
広縁の窓から望む外景は傾斜地の下段に拡がる庭園の風景で
庭園
赤松の大木の下に中島を浮べた池を泳ぐ大型の鯉が遠望できる。
画面の左端には階段廊下が突き当る先端部分の建物が見えている。
ログハウス
池の右端へ視線を移すと2棟並んだログハウスが視認できる。
BBQハウス
中島の松の木の奥に見える東屋風の建物はバーベキューハウスである。
ライトアップ
夜間には短時間ではあるが庭園がライトアップされて昼間とは趣を異にする幻想的な風景が出現する。
Part.4は寿広園の温泉
【宿泊棟の客室】
通された21号室は
宿泊棟の直線廊下部に並ぶ客室の最も手前で温泉浴場を擁する本館と至近に位置している。
客室入口
幅広の格子戸を引き開けると小さな踏込みがあり左に置かれた靴箱に下足を入れて部屋に上がる。
客室
客室手前の板貼り床の左手には
トイレ
洗浄機能を備えたトイレがある。
室内
8畳間の室内は窓側に広縁を備え
クローゼット
左手の壁面は吊り構造のクローゼットから窓側へ続く板床にテレビや金庫とFF型の灯油暖房機が並び
館内電話
金庫の上には館内電話が配置されている。
木炭の桶
金庫の脇にある木桶入の木炭は活性炭と同様の脱臭機能を果たしていると思われる。
乱れ箱
クローゼット内に置かれた乱れ箱には浴衣とバスタオルに定番のフェイスタオルと歯ブラシセットが用意されている。
広縁
窓側の広縁には椅子とテーブルのセットが配置されおり
洗面台
左端の壁面には独立した湯栓と水栓を備えた洗面台がある。
冷蔵庫
広縁の右側には小型の冷蔵庫が置かれている。この冷蔵庫内は空が原則だが50歳以上限定プランの特典で予め2本の缶ビールが収容されている。
冷酒
しかしチェックイン時にビールは飲まないので日本酒に換えられないかと申し出たところ岩手の銘酒あさ開(あさびらき)の冷酒に変更して貰うことができた。
女性の特典
因みに女性用に用意された特典はアメニティセットで男の私には何やら理解が及ばないが女性にはあれば嬉しい小物のセットなのだそう。
座卓上
部屋の中央に置かれた座卓には茶櫃と温水ポットに茶菓子は定番の備えだが冷水ポットとグラスも用意されている。手前に見える巾着袋は女性用特典のアメニティセットである。
【窓外の庭園風景】
窓外
広縁の窓から望む外景は傾斜地の下段に拡がる庭園の風景で
庭園
赤松の大木の下に中島を浮べた池を泳ぐ大型の鯉が遠望できる。
画面の左端には階段廊下が突き当る先端部分の建物が見えている。
ログハウス
池の右端へ視線を移すと2棟並んだログハウスが視認できる。
BBQハウス
中島の松の木の奥に見える東屋風の建物はバーベキューハウスである。
ライトアップ
夜間には短時間ではあるが庭園がライトアップされて昼間とは趣を異にする幻想的な風景が出現する。
Part.4は寿広園の温泉
(00:00)
2019年08月02日
Part.2
【寿広園の本館】
フロントロビー
玄関の自動ドアを開けると小振りのロビー空間で
フロント
右手は売店機能を兼ねるフロントと事務室がある。ここにはログハウスやモービルコテージの管理機能も集約されている様である。
ロビーの左手には食堂が配置されている。
食堂
ここは日帰り入浴客やコテージの利用客への供食と宿泊客の朝食会場を兼ねる空間で
食堂メニュー
壁面に掲出された麺類とカレー主体の品書札は観光地で遭遇する食堂の雰囲気を醸している。
本館平面図
フロントでチェックインを済ませると左側の食堂奥の廊下から宿泊棟の客室に誘導されるが
女湯入口
本館廊下途中の右手に女湯の暖簾を懸けた温泉浴場の入口があり
男湯入口
フロント側に振り返ると対称の位置に男湯の入口がある。
石の湯
男女別浴場の入口を過ぎると石の湯の入口がありその手前から進路は角度を変えて緩やかな下り傾斜に変わる。石の湯に関しては後に温泉施設の項で紹介するが先に示した館内平面図に依るとここまでが本館の部分とされている。
連絡通路
進路の角度が変わる傾斜路は本館と別棟の宿泊棟の廊下を屋根続きで結ぶ連絡通路である。
【宿泊棟】
宿泊棟平面図
宿泊棟の廊下に入ると右手に並ぶ客室の最も手前の21号室に案内された。平面図で見る宿泊棟は基本的に90度直角に折れ曲がった建物の両翼に各5室の客室が配置されているが詳細に観察すると複数の棟が合体された複雑な構造となっている。
高窓
本館から連絡通路を介して踏み込んだ最初の部分は宿泊棟の中で最大の建物で奥の屈曲部に向かう直線廊下には天井を排した梁越しの小屋組みの高い位置に採光窓が設置されている。
宿泊棟廊下
この直線部分の廊下は右側に並ぶ客室に加えて左側にも小宴会場と思われる部屋やトイレとリネン室等が配置された中廊下の構造だが高窓から自然光が射す明るい雰囲気を醸している。
宿泊棟の階段部
直線廊下を奥に進んだ突当りで宿泊棟の廊下は右手に折れ曲がり
客室入口
下り階段が断続する廊下の右側と突当りに5室の客室が配置されている。
傾斜部の外観
この様な構造の宿泊棟は敷地内の傾斜地下段に設えられた庭園側からその全容を望むことできる。階段廊下部分の建物は庭園側に下る傾斜面に沿って床面を切り下げた造りとなっている。
直線部の外観
同じ位置から見える直線廊下部分の宿泊棟はこの景観で左端に見える桜の奥は本館部分の温泉施設が控えている。
直線部の客室
直線廊下部の客室外観は階段に屈曲する廊下部分に設けられた外壁窓から望むこともできる。
Part.3は宿泊棟の客室
【寿広園の本館】
フロントロビー
玄関の自動ドアを開けると小振りのロビー空間で
フロント
右手は売店機能を兼ねるフロントと事務室がある。ここにはログハウスやモービルコテージの管理機能も集約されている様である。
ロビーの左手には食堂が配置されている。
食堂
ここは日帰り入浴客やコテージの利用客への供食と宿泊客の朝食会場を兼ねる空間で
食堂メニュー
壁面に掲出された麺類とカレー主体の品書札は観光地で遭遇する食堂の雰囲気を醸している。
本館平面図
フロントでチェックインを済ませると左側の食堂奥の廊下から宿泊棟の客室に誘導されるが
女湯入口
本館廊下途中の右手に女湯の暖簾を懸けた温泉浴場の入口があり
男湯入口
フロント側に振り返ると対称の位置に男湯の入口がある。
石の湯
男女別浴場の入口を過ぎると石の湯の入口がありその手前から進路は角度を変えて緩やかな下り傾斜に変わる。石の湯に関しては後に温泉施設の項で紹介するが先に示した館内平面図に依るとここまでが本館の部分とされている。
連絡通路
進路の角度が変わる傾斜路は本館と別棟の宿泊棟の廊下を屋根続きで結ぶ連絡通路である。
【宿泊棟】
宿泊棟平面図
宿泊棟の廊下に入ると右手に並ぶ客室の最も手前の21号室に案内された。平面図で見る宿泊棟は基本的に90度直角に折れ曲がった建物の両翼に各5室の客室が配置されているが詳細に観察すると複数の棟が合体された複雑な構造となっている。
高窓
本館から連絡通路を介して踏み込んだ最初の部分は宿泊棟の中で最大の建物で奥の屈曲部に向かう直線廊下には天井を排した梁越しの小屋組みの高い位置に採光窓が設置されている。
宿泊棟廊下
この直線部分の廊下は右側に並ぶ客室に加えて左側にも小宴会場と思われる部屋やトイレとリネン室等が配置された中廊下の構造だが高窓から自然光が射す明るい雰囲気を醸している。
宿泊棟の階段部
直線廊下を奥に進んだ突当りで宿泊棟の廊下は右手に折れ曲がり
客室入口
下り階段が断続する廊下の右側と突当りに5室の客室が配置されている。
傾斜部の外観
この様な構造の宿泊棟は敷地内の傾斜地下段に設えられた庭園側からその全容を望むことできる。階段廊下部分の建物は庭園側に下る傾斜面に沿って床面を切り下げた造りとなっている。
直線部の外観
同じ位置から見える直線廊下部分の宿泊棟はこの景観で左端に見える桜の奥は本館部分の温泉施設が控えている。
直線部の客室
直線廊下部の客室外観は階段に屈曲する廊下部分に設けられた外壁窓から望むこともできる。
Part.3は宿泊棟の客室
(00:00)
2019年07月26日
Part.1
<図や写真をクリックすると拡大表示します>
【序章】
2019年のゴールデンウイークは元号が改まり10連休となったのはご存知の通りである。
例年この期間の宿泊施設は繁忙期となり料金も割高の設定となる。従って安価な旅を指向するには最も宿泊を避けたい時季ではあるのだが諸般の事情が重なり連休後半に温泉宿に出向くことになった。
大手の予約サイトから今回は岩手県雫石町の鶯宿(おうしゅく)温泉にある寿広園(じゅこうえん)を選んだ。
源泉掛流し温泉を備えた客室数10室の小規模施設で更に50歳以上の特典プランが適用されることが主要な選定理由となった。
【鶯宿温泉】
鶯宿温泉の概要は以前に掲載した「川長山荘」で紹介しており「雫石プリンスホテル」や「網張温泉」には鶯宿温泉が所在する雫石町の地理にも言及しているので本稿では省略する。必要があれば各記事を参照戴きたい。
因みに既報の「川長山荘」は今回の訪問時に「元湯源泉かけ流しの宿 川長」と改称されていたが外見上の施設に大きな変化は認められなかった。
【鶯宿温泉へ】
宮城県側から鶯宿温泉へ向かう主な道筋は以下の二通りが考えられるが何れも多少の難点がある。
�@県庁所在地の盛岡市からR46を秋田県仙北市方向に西進して雫石町に入る
�A盛岡市より南に位置する北上市からJR北上線の鉄路に沿うR107を西走して西和賀町に至り錦秋湖尻の湯田で北に分岐する主要地方道r1盛岡横手線で山伏峠をトンネルで越えて雫石町南端の南畑に達する
�@はカーナビでも第一候補となる王道のルートで盛岡IC迄東北道を北上するのなら短時間で手っ取り早い経路となる。但し通行料金を節約して下道のR4を進むと盛岡市街地で国道は大きく東側に迂回すると共に街中に設置された多数の信号機の通過に時間を要するので西に向かうR46は遠い存在となってしまう。
妥協案でR4の盛岡市南端から整備が進んでいるR46の盛岡西バイパスに折れて盛岡ICへ達する方法もあるが工事中の雰囲気が強い暫定開業区間的な進路の選択に怖じ気づくかも知れない。
一方�AのルートはR107の他に東北道から分岐する秋田道を湯田IC迄利用しても良いが湯田から北上するr1は西和賀町内に延々と続く長い道のりを沢内地区を経由して走行することになり相応の時間が必要となる。
【新規開拓の道筋】
今回はR4を北上する�@の基本ルートの途中から分岐する地方道を経由する迂回路に挑んだ。
その経路は国道R4が花巻市から紫波町へ入った日詰(ひずめ)地区の紫波IC入口交差点から分岐するr46を西へ向かう。この分岐点はその名の通り東北道紫波ICへの連絡路でIC案内の緑看板もあり分かり易い。左折して暫く西へ進むr46は紫波ICを通過すると道なりで直進する道路の路線名がr162の紫波雫石線に変わる。
更に進むと道端に灯篭が並ぶ志和古稲荷神社の直前で緩やかに右にカーブして北に進路を変える。
国土地理院の地図を見るとr162の県道はここから西の山間地に分け入り町境を超えて雫石町南部地区の矢櫃ダムから西安庭に下りる路線が設定されているがこの区間は未開通で通行不能らしい。
しかし道なりで北に向かう県道指定のない道は山岳地の東山裾を縫って丘陵地のアップダウンを繰り返し乍ら北上を続け矢巾町を経由して盛岡市の西部でr16と交差する。ここまでの区間は県道の指定が確認できず紫波町、矢巾町と盛岡市に跨る市町道と思われるが道なりに快適な通行が可能な経路である。
盛岡西部の平坦地に至った田園地帯の市道をナビの案内で左折して少し進んだ交差点で右から合流する盛岡環状道路のr16となるが僅かな先でr16は北に折れて滝沢市方向へ向かい道なりの直進はここが起点のr172盛岡鶯宿温泉線となる。r172は御所湖へ登る坂道を克服して湖の南岸道となり湖畔の傾斜地に密集する繋温泉街を通過する。御所湖の湖尻に至るとR46方向から南下してきた主要地方道r1との重複区間となるがr1は南畑から西和賀町へ更に秋田県鏡を越えた新庄市を目指して南下していくので直進路はr172の単独区間となって鶯宿の温泉地に達する。
これら一連の経路は紫波町の県道r46、r162から町道、市道を活用してr172へ乗り継ぐ道筋が特徴である。
これらの道路群は北上川に沿う平坦部に敷かれた国道R4より西側の山裾で県内の南北交通を補完する役割を担っている様に見受けられる。
因みに東北地方の南北交通を支える幹線道のR4を主として補完する役割は国道より西の山側で東北道と絡み合う様に敷かれた主要地方道r13盛岡和賀線が終点の北上市和賀町から起点の盛岡市迄を結んでいる。
このR13は今回の経路でも紫波ICから西に進んだ地点でr162と交差しているが平坦地の町並みを通過する道形で多数の信号機や街中の速度制限もあり快走は難しい。
一方奥羽山脈東裾の丘陵地に拓かれた町道の道筋は緩やかなアップダウンを繰り返すが峠越えの険しさは無く通過する集落に適度に設置されている信号機が歩行者の飛び出しを抑止する安心感がある。更に平地に敷かれた国道やr13に較べると車の通行量は圧倒的に少なく紫波町から盛岡市西部地域までの快走が可能となる。乗用車よりトラック等物流系の車両比率が高く交通事情に通じたプロドライバーが利用する道の印象が強い。
【寿広園へ】
r172を鶯宿温泉街に向かうと最初に現れる「赤い風車」の施設に続いて「寿広園」への入口が控えているが県道を快走していると通り過ぎてしまい慌てて引き返すことになった。
なおこの先の丘の上には鶯宿温泉の最大規模と思われる「ホテル森の風鶯宿」が構えており県道沿線には「ホテル偕楽苑」、「ニュー鶯山荘」と「川長」の施設が並んでいる。
「川長」を過ぎた直後に県道は終点となりその先にある鶯宿川の谷筋に沿う温泉街中心部へ向かう道は幅員が極度に削られた下り基調の町道に変わる。
【寿広園の概要】
県道から寿広園の敷地に左折して進んだ先に寿広園の玄関がありその周囲の平坦地は駐車場に充てられている。
寿広園玄関
玄関が配置された平屋造の和風建築の手前には建物から屋根続きに庇を延ばした車寄せが訪問客を迎えている。
この建物がフロント機能と温泉浴場や食堂を擁する本館で連絡通路で繋がる宿泊棟に全10室の客室が配置されている。
園内の施設
寿広園はこの他にも広い敷地内にログハウス2棟とモービルコテージ6棟がありバーベキューハウスや釣り堀の施設も併設されている。モービルコテージは車輪付の鋼製キャビンで牽引して移動できる所謂トレーラーハウスである。
因みにログハウスは定員8名の1泊が\16000、モービルコテージのSは定員3名(大人2名子供2名も可能)が\10000で1棟限定のL(定員7名)は\14000の料金が設定されており更に施設利用料として大人1名毎に\1000、子供は\500が加算される。また1棟の料金は休前日が+\1000、GWとお盆、正月には+\2000となる複雑な体系となっているがこの料金で本館の温泉浴場が利用できる。
【宿泊プラン】
序章でも触れたが「GW50歳以上限定特典満喫プラン」を予約しており連休期間中の1泊2食付税サービス料込の単価\12,960+入湯税\150に加えて予約代表者が50歳以上であれば男性に缶ビール2本、女性には特別なアメニティセットが追加される特典付きの宿泊プランである。
Part.2は寿広園の館内
<図や写真をクリックすると拡大表示します>
【序章】
2019年のゴールデンウイークは元号が改まり10連休となったのはご存知の通りである。
例年この期間の宿泊施設は繁忙期となり料金も割高の設定となる。従って安価な旅を指向するには最も宿泊を避けたい時季ではあるのだが諸般の事情が重なり連休後半に温泉宿に出向くことになった。
大手の予約サイトから今回は岩手県雫石町の鶯宿(おうしゅく)温泉にある寿広園(じゅこうえん)を選んだ。
源泉掛流し温泉を備えた客室数10室の小規模施設で更に50歳以上の特典プランが適用されることが主要な選定理由となった。
【鶯宿温泉】
鶯宿温泉の概要は以前に掲載した「川長山荘」で紹介しており「雫石プリンスホテル」や「網張温泉」には鶯宿温泉が所在する雫石町の地理にも言及しているので本稿では省略する。必要があれば各記事を参照戴きたい。
因みに既報の「川長山荘」は今回の訪問時に「元湯源泉かけ流しの宿 川長」と改称されていたが外見上の施設に大きな変化は認められなかった。
【鶯宿温泉へ】
宮城県側から鶯宿温泉へ向かう主な道筋は以下の二通りが考えられるが何れも多少の難点がある。
�@県庁所在地の盛岡市からR46を秋田県仙北市方向に西進して雫石町に入る
�A盛岡市より南に位置する北上市からJR北上線の鉄路に沿うR107を西走して西和賀町に至り錦秋湖尻の湯田で北に分岐する主要地方道r1盛岡横手線で山伏峠をトンネルで越えて雫石町南端の南畑に達する
�@はカーナビでも第一候補となる王道のルートで盛岡IC迄東北道を北上するのなら短時間で手っ取り早い経路となる。但し通行料金を節約して下道のR4を進むと盛岡市街地で国道は大きく東側に迂回すると共に街中に設置された多数の信号機の通過に時間を要するので西に向かうR46は遠い存在となってしまう。
妥協案でR4の盛岡市南端から整備が進んでいるR46の盛岡西バイパスに折れて盛岡ICへ達する方法もあるが工事中の雰囲気が強い暫定開業区間的な進路の選択に怖じ気づくかも知れない。
一方�AのルートはR107の他に東北道から分岐する秋田道を湯田IC迄利用しても良いが湯田から北上するr1は西和賀町内に延々と続く長い道のりを沢内地区を経由して走行することになり相応の時間が必要となる。
【新規開拓の道筋】
今回はR4を北上する�@の基本ルートの途中から分岐する地方道を経由する迂回路に挑んだ。
その経路は国道R4が花巻市から紫波町へ入った日詰(ひずめ)地区の紫波IC入口交差点から分岐するr46を西へ向かう。この分岐点はその名の通り東北道紫波ICへの連絡路でIC案内の緑看板もあり分かり易い。左折して暫く西へ進むr46は紫波ICを通過すると道なりで直進する道路の路線名がr162の紫波雫石線に変わる。
更に進むと道端に灯篭が並ぶ志和古稲荷神社の直前で緩やかに右にカーブして北に進路を変える。
国土地理院の地図を見るとr162の県道はここから西の山間地に分け入り町境を超えて雫石町南部地区の矢櫃ダムから西安庭に下りる路線が設定されているがこの区間は未開通で通行不能らしい。
しかし道なりで北に向かう県道指定のない道は山岳地の東山裾を縫って丘陵地のアップダウンを繰り返し乍ら北上を続け矢巾町を経由して盛岡市の西部でr16と交差する。ここまでの区間は県道の指定が確認できず紫波町、矢巾町と盛岡市に跨る市町道と思われるが道なりに快適な通行が可能な経路である。
盛岡西部の平坦地に至った田園地帯の市道をナビの案内で左折して少し進んだ交差点で右から合流する盛岡環状道路のr16となるが僅かな先でr16は北に折れて滝沢市方向へ向かい道なりの直進はここが起点のr172盛岡鶯宿温泉線となる。r172は御所湖へ登る坂道を克服して湖の南岸道となり湖畔の傾斜地に密集する繋温泉街を通過する。御所湖の湖尻に至るとR46方向から南下してきた主要地方道r1との重複区間となるがr1は南畑から西和賀町へ更に秋田県鏡を越えた新庄市を目指して南下していくので直進路はr172の単独区間となって鶯宿の温泉地に達する。
これら一連の経路は紫波町の県道r46、r162から町道、市道を活用してr172へ乗り継ぐ道筋が特徴である。
これらの道路群は北上川に沿う平坦部に敷かれた国道R4より西側の山裾で県内の南北交通を補完する役割を担っている様に見受けられる。
因みに東北地方の南北交通を支える幹線道のR4を主として補完する役割は国道より西の山側で東北道と絡み合う様に敷かれた主要地方道r13盛岡和賀線が終点の北上市和賀町から起点の盛岡市迄を結んでいる。
このR13は今回の経路でも紫波ICから西に進んだ地点でr162と交差しているが平坦地の町並みを通過する道形で多数の信号機や街中の速度制限もあり快走は難しい。
一方奥羽山脈東裾の丘陵地に拓かれた町道の道筋は緩やかなアップダウンを繰り返すが峠越えの険しさは無く通過する集落に適度に設置されている信号機が歩行者の飛び出しを抑止する安心感がある。更に平地に敷かれた国道やr13に較べると車の通行量は圧倒的に少なく紫波町から盛岡市西部地域までの快走が可能となる。乗用車よりトラック等物流系の車両比率が高く交通事情に通じたプロドライバーが利用する道の印象が強い。
【寿広園へ】
r172を鶯宿温泉街に向かうと最初に現れる「赤い風車」の施設に続いて「寿広園」への入口が控えているが県道を快走していると通り過ぎてしまい慌てて引き返すことになった。
なおこの先の丘の上には鶯宿温泉の最大規模と思われる「ホテル森の風鶯宿」が構えており県道沿線には「ホテル偕楽苑」、「ニュー鶯山荘」と「川長」の施設が並んでいる。
「川長」を過ぎた直後に県道は終点となりその先にある鶯宿川の谷筋に沿う温泉街中心部へ向かう道は幅員が極度に削られた下り基調の町道に変わる。
【寿広園の概要】
県道から寿広園の敷地に左折して進んだ先に寿広園の玄関がありその周囲の平坦地は駐車場に充てられている。
寿広園玄関
玄関が配置された平屋造の和風建築の手前には建物から屋根続きに庇を延ばした車寄せが訪問客を迎えている。
この建物がフロント機能と温泉浴場や食堂を擁する本館で連絡通路で繋がる宿泊棟に全10室の客室が配置されている。
園内の施設
寿広園はこの他にも広い敷地内にログハウス2棟とモービルコテージ6棟がありバーベキューハウスや釣り堀の施設も併設されている。モービルコテージは車輪付の鋼製キャビンで牽引して移動できる所謂トレーラーハウスである。
因みにログハウスは定員8名の1泊が\16000、モービルコテージのSは定員3名(大人2名子供2名も可能)が\10000で1棟限定のL(定員7名)は\14000の料金が設定されており更に施設利用料として大人1名毎に\1000、子供は\500が加算される。また1棟の料金は休前日が+\1000、GWとお盆、正月には+\2000となる複雑な体系となっているがこの料金で本館の温泉浴場が利用できる。
【宿泊プラン】
序章でも触れたが「GW50歳以上限定特典満喫プラン」を予約しており連休期間中の1泊2食付税サービス料込の単価\12,960+入湯税\150に加えて予約代表者が50歳以上であれば男性に缶ビール2本、女性には特別なアメニティセットが追加される特典付きの宿泊プランである。
Part.2は寿広園の館内
(00:00)
2019年07月19日
Part.6
【朝食】
朝食も前夜と同じ部屋に案内された。
朝食膳
朝食膳には7品が並ぶ。
ヨーグルト
左奥はデザートのヨーグルトに
温玉
温泉卵が配置されている。白味が半熟となる温泉卵は高温の源泉だけに許された特典である。
笹かま
右奥の皿に載る個別包装を纏った儘の笹かまぼこは旅館の料理としては如何なものだろうか。
笹かま
包装を取り去ればそれなりだが生野菜とかサラダの類を添えるなどもう一手間があれば更に引立つのではないだろうか。
納豆
納豆もパックで供されるが受け皿の用意は有難い。更に刻み葱等の薬味があればと思う。
茄子料理
お膳の中央に置かれた大き目の鉢は水茄子であろうか輪切りにした太い茄子を外皮と切り離してトマトソースの風味で炒め焼いたイタリアンな仕立てだが果肉部に切れ目が無くナイフが無い朝食の箸だけで切り分けて食することが難しい品である。
ご飯とお浸し
青菜のお浸しには春先が旬の香ばしい桜エビが添えられてご飯の絶好なお伴で
漬物
小皿の漬物や
味噌汁
味噌汁と共に2杯のご飯を戴きヨーグルトで朝食を締め括った。
【チェックアウト】
朝食の後には温泉に浸かって名残を惜しみチェックアウトの時間を迎えるのを常としているが久田旅館では先にも触れた様に8:00以降チェックアウトの10:00迄が浴槽の清掃時間となっているので7:30の朝食後の入浴は時間的に極めて困難である。やむを得ず7:00過ぎの朝食前に浴場に赴いて名残の入浴を済ませた。
先にも述べたが朝食からチェックアウト迄の時間帯に重なる浴場清掃の設定は温泉好きには受け容れ難い。清掃開始を30分程遅らせれば朝食後の入浴が可能となるので是非見直しをお願いしたい。
チェックアウト時には税、サービス料込のプラン料金\8050に入湯税\150と夕食時の冷酒¥1177(税込)を加えた\9377を清算して宿を後にした。
【終章】
源泉掛流しの温泉は良質で新しい設備も心地良く湯上りの休憩空間を備えて日帰り入浴も可能な温泉施設は出色である。
木造本館の宿泊室は古い造りだがエアコン等の設備が整っており不足は感じない。
食事に関しては夕朝食共に配慮不足の手抜き感が拭えず残念であった。
完
【朝食】
朝食も前夜と同じ部屋に案内された。
朝食膳
朝食膳には7品が並ぶ。
ヨーグルト
左奥はデザートのヨーグルトに
温玉
温泉卵が配置されている。白味が半熟となる温泉卵は高温の源泉だけに許された特典である。
笹かま
右奥の皿に載る個別包装を纏った儘の笹かまぼこは旅館の料理としては如何なものだろうか。
笹かま
包装を取り去ればそれなりだが生野菜とかサラダの類を添えるなどもう一手間があれば更に引立つのではないだろうか。
納豆
納豆もパックで供されるが受け皿の用意は有難い。更に刻み葱等の薬味があればと思う。
茄子料理
お膳の中央に置かれた大き目の鉢は水茄子であろうか輪切りにした太い茄子を外皮と切り離してトマトソースの風味で炒め焼いたイタリアンな仕立てだが果肉部に切れ目が無くナイフが無い朝食の箸だけで切り分けて食することが難しい品である。
ご飯とお浸し
青菜のお浸しには春先が旬の香ばしい桜エビが添えられてご飯の絶好なお伴で
漬物
小皿の漬物や
味噌汁
味噌汁と共に2杯のご飯を戴きヨーグルトで朝食を締め括った。
【チェックアウト】
朝食の後には温泉に浸かって名残を惜しみチェックアウトの時間を迎えるのを常としているが久田旅館では先にも触れた様に8:00以降チェックアウトの10:00迄が浴槽の清掃時間となっているので7:30の朝食後の入浴は時間的に極めて困難である。やむを得ず7:00過ぎの朝食前に浴場に赴いて名残の入浴を済ませた。
先にも述べたが朝食からチェックアウト迄の時間帯に重なる浴場清掃の設定は温泉好きには受け容れ難い。清掃開始を30分程遅らせれば朝食後の入浴が可能となるので是非見直しをお願いしたい。
チェックアウト時には税、サービス料込のプラン料金\8050に入湯税\150と夕食時の冷酒¥1177(税込)を加えた\9377を清算して宿を後にした。
【終章】
源泉掛流しの温泉は良質で新しい設備も心地良く湯上りの休憩空間を備えて日帰り入浴も可能な温泉施設は出色である。
木造本館の宿泊室は古い造りだがエアコン等の設備が整っており不足は感じない。
食事に関しては夕朝食共に配慮不足の手抜き感が拭えず残念であった。
完
(00:00)
2019年07月12日
Part.5
【久田旅館の食事】
先に内部構造の項で紹介した通り本館の山側には畳の上に椅子を置く食事会場に見える和室の設えがあるので食事はここで供されるだろうと思っていたが実際は夕食、朝食共に宿泊室とフロント側に隣り合う101室に案内された。
室内設備
101室は基本的に102室と同じ造りで金庫やテレビ、冷蔵庫、エアコン等設備や機材の配置も宿泊室としての機能を備えている。
食事会場
座卓の上に並べられた料理は部屋食の雰囲気を感じるが寝具や持ち込んだ荷物など雑多なものが無いのでシンプルな空間である。
【夕食】
「料理少なめほのぼのプラン」の料理は
夕食膳
確かに品数が少なめの7品が並ぶ。
釜飯
左奥のコンロに載った釜飯は既に炊き上げられていると案内された。直ちにご飯を食したい向きには嬉しい配慮だろうが温泉宿の夕食では冷酒の嗜みを常としているので有難迷惑なサービスと感じる。炊き上がりのタイミングを事前に選択できる心遣いが欲しい。
吸い物
釜飯の炊き上がりに連動する様に吸い物椀が問答無用で配膳される。こちらは釜飯と異なり蓋が無いので冷酒を味わいながら料理に箸をつけている間にお椀のつゆは冷め放題となりそうな予感。
冷酒
冷酒の所望で薦められたのは無濾過生原酒の東鳴子。一般市場では販売されていない温泉街独自のブランドとか。芳醇な味わいの上質な酒であった。
鉄板焼き
右奥のコンロは豚肉と野菜の鉄板焼きで着席すると燃料に点火される。
焼き上がり
火が通った頃合を見て
ポン酢
取り皿のポン酢味で戴く。
角皿
鉄板コンロの手前の角皿は台物の位置付であろう。焼魚、しそ巻きと山菜天ぷらに果物が添えられたオールインワンの仕立て。
酢の物
角皿左のお膳中央に置かれたガラス鉢は海藻に野菜を添えた酢の物で
茶碗蒸しと漬物
手前は茶碗蒸しと漬物小皿が供される。
冷酒と料理を一通り味わった後に手を伸ばした釜飯は厚い釜蓋のお陰か保温されていたが蓋の無い吸い物椀の汁は案の定冷たくなっていた。温かい汁物を供する心配りが欲しい。
多くの宿では「ご飯をお召し上りの時はお吸い物をお持ちしますのでお声掛下さい。」と云う趣旨の案内が為されるのだが。
Part.6は朝食からチェックアウト迄
【久田旅館の食事】
先に内部構造の項で紹介した通り本館の山側には畳の上に椅子を置く食事会場に見える和室の設えがあるので食事はここで供されるだろうと思っていたが実際は夕食、朝食共に宿泊室とフロント側に隣り合う101室に案内された。
室内設備
101室は基本的に102室と同じ造りで金庫やテレビ、冷蔵庫、エアコン等設備や機材の配置も宿泊室としての機能を備えている。
食事会場
座卓の上に並べられた料理は部屋食の雰囲気を感じるが寝具や持ち込んだ荷物など雑多なものが無いのでシンプルな空間である。
【夕食】
「料理少なめほのぼのプラン」の料理は
夕食膳
確かに品数が少なめの7品が並ぶ。
釜飯
左奥のコンロに載った釜飯は既に炊き上げられていると案内された。直ちにご飯を食したい向きには嬉しい配慮だろうが温泉宿の夕食では冷酒の嗜みを常としているので有難迷惑なサービスと感じる。炊き上がりのタイミングを事前に選択できる心遣いが欲しい。
吸い物
釜飯の炊き上がりに連動する様に吸い物椀が問答無用で配膳される。こちらは釜飯と異なり蓋が無いので冷酒を味わいながら料理に箸をつけている間にお椀のつゆは冷め放題となりそうな予感。
冷酒
冷酒の所望で薦められたのは無濾過生原酒の東鳴子。一般市場では販売されていない温泉街独自のブランドとか。芳醇な味わいの上質な酒であった。
鉄板焼き
右奥のコンロは豚肉と野菜の鉄板焼きで着席すると燃料に点火される。
焼き上がり
火が通った頃合を見て
ポン酢
取り皿のポン酢味で戴く。
角皿
鉄板コンロの手前の角皿は台物の位置付であろう。焼魚、しそ巻きと山菜天ぷらに果物が添えられたオールインワンの仕立て。
酢の物
角皿左のお膳中央に置かれたガラス鉢は海藻に野菜を添えた酢の物で
茶碗蒸しと漬物
手前は茶碗蒸しと漬物小皿が供される。
冷酒と料理を一通り味わった後に手を伸ばした釜飯は厚い釜蓋のお陰か保温されていたが蓋の無い吸い物椀の汁は案の定冷たくなっていた。温かい汁物を供する心配りが欲しい。
多くの宿では「ご飯をお召し上りの時はお吸い物をお持ちしますのでお声掛下さい。」と云う趣旨の案内が為されるのだが。
Part.6は朝食からチェックアウト迄
(00:00)
2019年07月05日
Part.4
【内湯】
ガラス引き戸を開けて入った浴室内は
シャワー栓
右の壁面に4基のシャワー栓を備えた洗い場で
浴槽
左側は2面の外壁ガラス窓に囲まれて内湯の浴槽が配置されている。
内湯と露天風呂
内湯浴槽の更に左奥は透明ガラスで仕切られた屋外に露天風呂が控えている。
湯口
浴槽の湯は源泉掛流しで外壁の隅に置かれた湯口から注がれて
越流口
露天風呂の出入口脇にある浴槽の切り欠きから越流し直近の排水口に流れ込む構造となっている。
浴槽底面
内湯浴槽に満たされた湯はタイル貼りの底面が見える程度の透明感があるが底面のタイルは奥の湯口側に向かって次第に黄褐色の色合いが濃くなっている。先に紹介した通り毎朝浴槽の換水清掃を行っているとのことだが湯口に近い程温泉成分の沈着量が多いのだろうか。
温泉の泉質は後に露天風呂の湯と纏めて紹介する。
換気窓
浴室内も脱衣室と同様の造りで高い天井の頂点に採光窓と換気ガラリが設置されている他に
外壁換気
露天風呂に面する外壁の低い位置にも換気ガラリがあり高低差の自然対流で換気が行われる構造となっている。
【露天風呂】
内湯の浴室からガラス窓越しに見えていた露天風呂は
露天風呂
ガラス扉を押し開けた温泉棟の庇の下に置かれているが浴槽部分には木造の小屋掛けが施されている。露天風呂空間の外面側は高い板塀の目隠しが設置されている。
露天湯の外部
その理由は先に紹介した旅館施設の全容を俯瞰できる裏山の道路と陸羽東線の鉄路の存在にある。
板塀の上部に並行する白いガードレールに沿って道路があり右側下段の白い鉄柵が鉄道の軌道路面となっている。道路を通行する車両は僅かだが鉄道は2両編成のディーゼル列車が頻繁にに通過するので目隠しが必須である。
因みに入浴中に列車が通過すると激しい振動を伴った騒音に見舞われだけでなく客室内に居ても通過列車の音と振動を感じる。
露天浴槽
内湯より小振りな浴槽は石張りで
湯口
奥の湯口から源泉が注がれて湯口から落ちる湯は透明に見えるが浴槽内は底面が見える程度の透明度を伴う黒みを帯びた茶色を呈し白色の湯の華が浮遊している。
越流口
湯口の対角位置となる手前の切欠き部分から越流する掛け流し方式の浴槽は通常表層部の湯が熱めで底部には温い湯が滞留する温度差を感じるがこの浴槽では表面湯は温めに感じその積りで体を沈めるとより熱さが伝わる常識を覆す感覚に襲われた。湯口以外の浴槽内壁に注湯装置が隠れているのではと仔細に観察したが狭い浴槽内にその様な仕掛けは見当たらなかった。
この現象は湯口の形状と屋外の仕切り板塀の相乗効果の依るものと推察できる。
まず湯口に関しては高さは僅かだが浴槽に垂直に落ちる構造となっているので表面に拡散するよりも浴槽の深さ方向に潜り込む湯量が多いと考えられる。
屋外板塀
加えてもう一つ屋外の板塀は先にも述べた通り鉄道や山道の外部から視線を遮る目隠し目的と思われるがこの板塀は庇に近い上部と浴槽表面部分と同じ高さの下部が開放されている。この構造は露天浴槽の湯温で生じる上昇気流で下部の空隙から冷たい外気を吸い込み上部庇との開放部分から温気を放出する自然換気装置が成立している。
故にこの二点が相俟って浴槽表層部には外気の冷却効果が働いていると判断できる。
【源泉の泉質】
既に述べた通り久田旅館は独自に久田1号泉と久田2号泉と称する2本の源泉を保有しており浴場の入口付近と脱衣室内の二箇所各々に2枚の温泉成分の分析表が掲出されている。
久田2号泉
男女別内湯双方の浴槽に注がれるのは久田2号源泉でその泉質はナトリウム-炭酸水素塩線 低張性中性高温泉と括弧内の旧泉質名には純重曹泉と記されている。
泉質と泉温
57.5℃の源泉温は使用位置で48.4℃となり
加水の表記
浴槽の利用形態の項に「源泉が高温のため加水しています」と注記があるが加温、循環、消毒処理、入浴剤は無しと記載されている。
久田1号泉
露天風呂は男女共に久田1号泉が満たされており先にも述べた通り白色の湯の華の浮遊が印象に残る浴槽である。
泉質と泉温
久田1号泉の泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物·炭酸水素塩線 低張性中性高温泉で旧泉質名は含食塩重曹-硫黄泉である。源泉温度68.6℃、使用位置は46.4℃で2号泉より高めの泉温故に
加水表記
2号泉と同様加水が為されているが加温、循環、消毒処理、入浴剤は該当しない。
1号泉は内湯の2号泉には認められない硫黄と塩化物の含有が特徴となっているがいずれもナトリウムと炭酸水素を主要成分とする中性温泉である。
Part.5は久田旅館の夕食
【内湯】
ガラス引き戸を開けて入った浴室内は
シャワー栓
右の壁面に4基のシャワー栓を備えた洗い場で
浴槽
左側は2面の外壁ガラス窓に囲まれて内湯の浴槽が配置されている。
内湯と露天風呂
内湯浴槽の更に左奥は透明ガラスで仕切られた屋外に露天風呂が控えている。
湯口
浴槽の湯は源泉掛流しで外壁の隅に置かれた湯口から注がれて
越流口
露天風呂の出入口脇にある浴槽の切り欠きから越流し直近の排水口に流れ込む構造となっている。
浴槽底面
内湯浴槽に満たされた湯はタイル貼りの底面が見える程度の透明感があるが底面のタイルは奥の湯口側に向かって次第に黄褐色の色合いが濃くなっている。先に紹介した通り毎朝浴槽の換水清掃を行っているとのことだが湯口に近い程温泉成分の沈着量が多いのだろうか。
温泉の泉質は後に露天風呂の湯と纏めて紹介する。
換気窓
浴室内も脱衣室と同様の造りで高い天井の頂点に採光窓と換気ガラリが設置されている他に
外壁換気
露天風呂に面する外壁の低い位置にも換気ガラリがあり高低差の自然対流で換気が行われる構造となっている。
【露天風呂】
内湯の浴室からガラス窓越しに見えていた露天風呂は
露天風呂
ガラス扉を押し開けた温泉棟の庇の下に置かれているが浴槽部分には木造の小屋掛けが施されている。露天風呂空間の外面側は高い板塀の目隠しが設置されている。
露天湯の外部
その理由は先に紹介した旅館施設の全容を俯瞰できる裏山の道路と陸羽東線の鉄路の存在にある。
板塀の上部に並行する白いガードレールに沿って道路があり右側下段の白い鉄柵が鉄道の軌道路面となっている。道路を通行する車両は僅かだが鉄道は2両編成のディーゼル列車が頻繁にに通過するので目隠しが必須である。
因みに入浴中に列車が通過すると激しい振動を伴った騒音に見舞われだけでなく客室内に居ても通過列車の音と振動を感じる。
露天浴槽
内湯より小振りな浴槽は石張りで
湯口
奥の湯口から源泉が注がれて湯口から落ちる湯は透明に見えるが浴槽内は底面が見える程度の透明度を伴う黒みを帯びた茶色を呈し白色の湯の華が浮遊している。
越流口
湯口の対角位置となる手前の切欠き部分から越流する掛け流し方式の浴槽は通常表層部の湯が熱めで底部には温い湯が滞留する温度差を感じるがこの浴槽では表面湯は温めに感じその積りで体を沈めるとより熱さが伝わる常識を覆す感覚に襲われた。湯口以外の浴槽内壁に注湯装置が隠れているのではと仔細に観察したが狭い浴槽内にその様な仕掛けは見当たらなかった。
この現象は湯口の形状と屋外の仕切り板塀の相乗効果の依るものと推察できる。
まず湯口に関しては高さは僅かだが浴槽に垂直に落ちる構造となっているので表面に拡散するよりも浴槽の深さ方向に潜り込む湯量が多いと考えられる。
屋外板塀
加えてもう一つ屋外の板塀は先にも述べた通り鉄道や山道の外部から視線を遮る目隠し目的と思われるがこの板塀は庇に近い上部と浴槽表面部分と同じ高さの下部が開放されている。この構造は露天浴槽の湯温で生じる上昇気流で下部の空隙から冷たい外気を吸い込み上部庇との開放部分から温気を放出する自然換気装置が成立している。
故にこの二点が相俟って浴槽表層部には外気の冷却効果が働いていると判断できる。
【源泉の泉質】
既に述べた通り久田旅館は独自に久田1号泉と久田2号泉と称する2本の源泉を保有しており浴場の入口付近と脱衣室内の二箇所各々に2枚の温泉成分の分析表が掲出されている。
久田2号泉
男女別内湯双方の浴槽に注がれるのは久田2号源泉でその泉質はナトリウム-炭酸水素塩線 低張性中性高温泉と括弧内の旧泉質名には純重曹泉と記されている。
泉質と泉温
57.5℃の源泉温は使用位置で48.4℃となり
加水の表記
浴槽の利用形態の項に「源泉が高温のため加水しています」と注記があるが加温、循環、消毒処理、入浴剤は無しと記載されている。
久田1号泉
露天風呂は男女共に久田1号泉が満たされており先にも述べた通り白色の湯の華の浮遊が印象に残る浴槽である。
泉質と泉温
久田1号泉の泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物·炭酸水素塩線 低張性中性高温泉で旧泉質名は含食塩重曹-硫黄泉である。源泉温度68.6℃、使用位置は46.4℃で2号泉より高めの泉温故に
加水表記
2号泉と同様加水が為されているが加温、循環、消毒処理、入浴剤は該当しない。
1号泉は内湯の2号泉には認められない硫黄と塩化物の含有が特徴となっているがいずれもナトリウムと炭酸水素を主要成分とする中性温泉である。
Part.5は久田旅館の夕食
(00:00)
2019年06月28日
Part.3
【久田旅館の温泉】
久田旅館は2本の独自源泉を保有して男女別の内湯と露天風呂の浴槽に異なる源泉を掛け流している。温泉設備は先に館内図で見た通り全てが温泉棟に集約されている。
【温泉棟の設備】
温泉棟は本館から新館に向かう連絡通路の直前で右手の山側へ分岐する通路の奥に位置している。
連絡通路と洗面所
分岐点には浴場と共用のトイレへ誘導する右向きの矢印がありその左手は共用洗面台が配置されている。
浴場案内
洗面所を過ぎて突き当たった衝立前で左折を促す案内の先が温泉棟の空間となる。
なお衝立に向かって右手は旧温泉棟の部分と思われるがプライベート空間で立ち入ることができず内部の様子は窺い知れない。
トイレ
温泉棟通路の左手はバリアフリー構造の扉を備えたトイレが男女別に並んで設置されている。
トイレ内
男子トイレの内部は清潔感のある新しい設備で室内照明は人感センサーの自動点灯方式となっている。
手洗い
室内は小便器と手洗い水栓が配置され
個室
左側は個室に仕切られているが洗浄機能を欠いた暖房便座のみの設定が最新設備に水を差す残念な存在である。
【浴場入口】
浴場入口
温泉棟内通路の右手は浴場の入口で青色の殿方湯と朱色の婦人湯の暖簾が隣合っている。
休憩ロビー
通路の突き当りは大きなガラス窓から外景を取り込む空間で湯上り休憩所の設えとなっている。
ロッカー
休憩所の窓側から浴場の入口方向に振り返ると使用後に100年玉が返還される方式の貴重品ロッカーが見える。大規模な浴場では通常男女別の脱衣室内に貴重品ロッカーが置かれているが室外の設置は男女浴室兼用で日帰り入浴客の利便を図ったものと思われる。
しかし宿泊客は客室内に金庫があり部屋の施錠もできるのでそもそも貴重品を浴場へ持ち出す必要は感じない。念の為に入浴中に部屋のキーのみを保管する想定でもロッカーの容積が大き過ぎて不自然である。
【脱衣場】
脱衣室
男湯の青暖簾を潜ると奥に長い脱衣室の
脱衣棚
左壁面は脱衣棚が設置され
洗面台
相対する右側には3基の洗面台が配置されている。脱衣室内の照明もトイレと同じくセンサーに依る自動点灯となっている。
因みに浴室内の照明は脱衣室入口の壁面に設置された複数のスイッチを手動で操作する。
浴室入口
洗面台の手前に置かれたガラス引戸が浴室の入口で浴槽の清掃時間が掲示されている。
曰く、毎朝換水清掃の為8:00~10:00は入浴不可と。温泉宿では10:00のチェックアウト前の9:00過ぎ頃に名残の入浴を常としているのでこの清掃時間は受け容れ難い設定である。
採光窓
脱衣室の出入口側の高い位置に開口する採光窓から室内に自然光が射す明るい造りでこの窓は非常時には手動で開口する換気機能も備えている。
Part.4は内湯と露天風呂
【久田旅館の温泉】
久田旅館は2本の独自源泉を保有して男女別の内湯と露天風呂の浴槽に異なる源泉を掛け流している。温泉設備は先に館内図で見た通り全てが温泉棟に集約されている。
【温泉棟の設備】
温泉棟は本館から新館に向かう連絡通路の直前で右手の山側へ分岐する通路の奥に位置している。
連絡通路と洗面所
分岐点には浴場と共用のトイレへ誘導する右向きの矢印がありその左手は共用洗面台が配置されている。
浴場案内
洗面所を過ぎて突き当たった衝立前で左折を促す案内の先が温泉棟の空間となる。
なお衝立に向かって右手は旧温泉棟の部分と思われるがプライベート空間で立ち入ることができず内部の様子は窺い知れない。
トイレ
温泉棟通路の左手はバリアフリー構造の扉を備えたトイレが男女別に並んで設置されている。
トイレ内
男子トイレの内部は清潔感のある新しい設備で室内照明は人感センサーの自動点灯方式となっている。
手洗い
室内は小便器と手洗い水栓が配置され
個室
左側は個室に仕切られているが洗浄機能を欠いた暖房便座のみの設定が最新設備に水を差す残念な存在である。
【浴場入口】
浴場入口
温泉棟内通路の右手は浴場の入口で青色の殿方湯と朱色の婦人湯の暖簾が隣合っている。
休憩ロビー
通路の突き当りは大きなガラス窓から外景を取り込む空間で湯上り休憩所の設えとなっている。
ロッカー
休憩所の窓側から浴場の入口方向に振り返ると使用後に100年玉が返還される方式の貴重品ロッカーが見える。大規模な浴場では通常男女別の脱衣室内に貴重品ロッカーが置かれているが室外の設置は男女浴室兼用で日帰り入浴客の利便を図ったものと思われる。
しかし宿泊客は客室内に金庫があり部屋の施錠もできるのでそもそも貴重品を浴場へ持ち出す必要は感じない。念の為に入浴中に部屋のキーのみを保管する想定でもロッカーの容積が大き過ぎて不自然である。
【脱衣場】
脱衣室
男湯の青暖簾を潜ると奥に長い脱衣室の
脱衣棚
左壁面は脱衣棚が設置され
洗面台
相対する右側には3基の洗面台が配置されている。脱衣室内の照明もトイレと同じくセンサーに依る自動点灯となっている。
因みに浴室内の照明は脱衣室入口の壁面に設置された複数のスイッチを手動で操作する。
浴室入口
洗面台の手前に置かれたガラス引戸が浴室の入口で浴槽の清掃時間が掲示されている。
曰く、毎朝換水清掃の為8:00~10:00は入浴不可と。温泉宿では10:00のチェックアウト前の9:00過ぎ頃に名残の入浴を常としているのでこの清掃時間は受け容れ難い設定である。
採光窓
脱衣室の出入口側の高い位置に開口する採光窓から室内に自然光が射す明るい造りでこの窓は非常時には手動で開口する換気機能も備えている。
Part.4は内湯と露天風呂
(00:00)
2019年06月21日
Part.2
【宿泊プラン】
予め大手の予約サイトで手配した「料理少なめほのぼのプラン」はバス、トイレ無し8畳和室の2食付き宿泊料が1名¥8050(税、サービス料込、別途入湯税\150)とされている。
但しこの料金は4月中旬頃迄の閑散期の設定で4月末から5月に迎えるGW以降は別料金のプランに変わる様である。
なお久田旅館は14:30からチェックインが可能となっているので早めに入って後に述べる良質な温泉をのんびり時間をかけて堪能するのも良い選択かと思う。
【本館の客室】
チェックインを済ませて案内された部屋は本館1Fの102の客室でフロントや温泉浴場に加えて浴場に近接して配置されているトイレや洗面台も垂直移動を要しない至近の距離にあった。
客室入口
本館通路に面した引き戸を開けると三尺四方より幅が縮小した踏込みの奥に畳敷の室内が見える。
室内
既に室内には寝具が用意されて座卓は壁際に寄せられた就寝体制となっていた。
窓際の装備
窓の左側隅は半畳の畳が切り取られた板床でこの部分にテレビや冷蔵庫にエアコン等が集約されている。
テレビと冷蔵庫
テレビ台を兼ねた金庫の上に液晶テレビが置かれその奥に配置された空の冷蔵庫は
館内電話
館内電話やグラス収納ケースを載せている。
エアコンと扇風機
冷蔵庫から視線を上に向けると外壁側の壁面にエアコンの室内機が懸かるだけでなく壁掛け式の扇風機も設置されている。この扇風機は3枚羽根の回転扇に首振りオンオフと風量切り替えの独立したプルスイッチを備えており相当な年代物に見え冷暖機能を備えたヒートポンプエアコンとは対照的な存在である。
窓側の障子
年代物と言えば掃出し窓に嵌る4枚障子も最近では珍しい手が込んだ雪見障子の仕立てで
雪見障子
上部の欄間障子にも木組みが施されているがその一部が欠損しているのは経年に依るものであろう。
入口側
窓側から振り返って入口側を見ると踏込みの左右に
入口側壁面
腰高の位置にクローゼットと寝具を収める押入れが設置されている。
暖房機
右手の押入れ下段にはこれも年代物の暖房機が鎮座しているがガス燃焼か蒸気が熱源と思われる機体は送風機の電源供給が絶たれ現役を退いた存在となっている。
クローゼット
左側のクローゼットには乱れ箱と丹前の用意があり
乱れ箱
乱れ箱には浴衣と帯にタオル類と歯ブラシセットが整えられている。
座卓上
室内を一通り観察して壁際に寄せられた座卓に落ち着く。卓上は冷水ポットと湯沸し器に茶櫃にお絞りと茶菓子が添えられて
リモコン類
テレビとエアコンのリモコンも配置されている。
部屋の設えや年代を異にする装備品から本館の建物は少なくとも昭和の時代から引き継がれ時々の要請で改装が施された施設と感じる。
【館内のWi-Fi環境】
館内は全室にWi-Fiの無線LAN環境があり
Wi-Fi案内
アクセスポイントと接続IDが案内されている。
持参したPCやタブレットでこのアクセスポイント迄は問題なく接続できるがその先でインターネットに出るWAN環境への接続はできなかった。端末機材上では複数のアクセスポイントの存在が見えおりそれらへの接続は成立するのだがいずれもWANに繋がることはなかった。
複数のWi-Fiアクセスポイントの存在が見えていることからそれらの通信機材を束ねるLAN環境からWANへ橋渡しを司るMODEMがある筈でフロントにこれらの通信機材のリセットを依頼したがこちらの真意が通じたかは不明でチェックアウトに至る迄インターネットに接続することはできなかった。
因みに館内に併設されているSoftBankスマートフォンのfree Wi-Fiではインターネット接続も可能であった。
Part.3は温泉棟の設備と浴場
【宿泊プラン】
予め大手の予約サイトで手配した「料理少なめほのぼのプラン」はバス、トイレ無し8畳和室の2食付き宿泊料が1名¥8050(税、サービス料込、別途入湯税\150)とされている。
但しこの料金は4月中旬頃迄の閑散期の設定で4月末から5月に迎えるGW以降は別料金のプランに変わる様である。
なお久田旅館は14:30からチェックインが可能となっているので早めに入って後に述べる良質な温泉をのんびり時間をかけて堪能するのも良い選択かと思う。
【本館の客室】
チェックインを済ませて案内された部屋は本館1Fの102の客室でフロントや温泉浴場に加えて浴場に近接して配置されているトイレや洗面台も垂直移動を要しない至近の距離にあった。
客室入口
本館通路に面した引き戸を開けると三尺四方より幅が縮小した踏込みの奥に畳敷の室内が見える。
室内
既に室内には寝具が用意されて座卓は壁際に寄せられた就寝体制となっていた。
窓際の装備
窓の左側隅は半畳の畳が切り取られた板床でこの部分にテレビや冷蔵庫にエアコン等が集約されている。
テレビと冷蔵庫
テレビ台を兼ねた金庫の上に液晶テレビが置かれその奥に配置された空の冷蔵庫は
館内電話
館内電話やグラス収納ケースを載せている。
エアコンと扇風機
冷蔵庫から視線を上に向けると外壁側の壁面にエアコンの室内機が懸かるだけでなく壁掛け式の扇風機も設置されている。この扇風機は3枚羽根の回転扇に首振りオンオフと風量切り替えの独立したプルスイッチを備えており相当な年代物に見え冷暖機能を備えたヒートポンプエアコンとは対照的な存在である。
窓側の障子
年代物と言えば掃出し窓に嵌る4枚障子も最近では珍しい手が込んだ雪見障子の仕立てで
雪見障子
上部の欄間障子にも木組みが施されているがその一部が欠損しているのは経年に依るものであろう。
入口側
窓側から振り返って入口側を見ると踏込みの左右に
入口側壁面
腰高の位置にクローゼットと寝具を収める押入れが設置されている。
暖房機
右手の押入れ下段にはこれも年代物の暖房機が鎮座しているがガス燃焼か蒸気が熱源と思われる機体は送風機の電源供給が絶たれ現役を退いた存在となっている。
クローゼット
左側のクローゼットには乱れ箱と丹前の用意があり
乱れ箱
乱れ箱には浴衣と帯にタオル類と歯ブラシセットが整えられている。
座卓上
室内を一通り観察して壁際に寄せられた座卓に落ち着く。卓上は冷水ポットと湯沸し器に茶櫃にお絞りと茶菓子が添えられて
リモコン類
テレビとエアコンのリモコンも配置されている。
部屋の設えや年代を異にする装備品から本館の建物は少なくとも昭和の時代から引き継がれ時々の要請で改装が施された施設と感じる。
【館内のWi-Fi環境】
館内は全室にWi-Fiの無線LAN環境があり
Wi-Fi案内
アクセスポイントと接続IDが案内されている。
持参したPCやタブレットでこのアクセスポイント迄は問題なく接続できるがその先でインターネットに出るWAN環境への接続はできなかった。端末機材上では複数のアクセスポイントの存在が見えおりそれらへの接続は成立するのだがいずれもWANに繋がることはなかった。
複数のWi-Fiアクセスポイントの存在が見えていることからそれらの通信機材を束ねるLAN環境からWANへ橋渡しを司るMODEMがある筈でフロントにこれらの通信機材のリセットを依頼したがこちらの真意が通じたかは不明でチェックアウトに至る迄インターネットに接続することはできなかった。
因みに館内に併設されているSoftBankスマートフォンのfree Wi-Fiではインターネット接続も可能であった。
Part.3は温泉棟の設備と浴場
(00:00)
2019年06月14日
Part.1
<図や写真をクリックすると拡大表示します>
【序章】
四月を過ぎると東北地方にも桜の開花前線が北上して春の装いを色濃く感じる華やかな時季となる。平成元号の最終月となる2019年4月の仙台は第3週に桜の満開を迎え旅の誘惑に駆られ以前から温めていた宮城県大崎市鳴子温泉の「久田(きゅうでん)旅館」を訪問することとした。
東鳴子温泉にあるこの宿は小規模な施設だが2種の独自源泉を各々掛け流す浴槽を擁する見逃せない施設である。久田をきゅうでんと読む珍しい呼称は立地する大崎市鳴子温泉字久田の地名に由来する屋号である。
【久田旅館の位置】
鳴子温泉地区の温泉宿は以前から登良屋旅館、紅せん、旅館大沼を紹介しておりその他にも東河原湯や姥の湯の訪問経験もある。
江合川に沿う国道R47の山側に見える東河原湯は宿泊当時の老朽化施設が取り壊されていたが最近は小振りな2階建ての建築物が出現して東河原湯のサインポールも立つ気になる存在である。
閑話休題。
久田旅館は旅館大沼や紅せんと同じ東鳴子温泉の宿だが多くの施設が建ち並ぶ中心部から江合川を隔てた対岸にあり同じ左岸に建つ紅せんとは至近の距離にある。
従って仙台側から向かう基本来な道筋はR4かR457を北上して交差するR47を山形県境方向の北西に進む。岩出山の道の駅を過ぎ川渡温泉への左分岐を通過すると並行する江合川が右側に移った先で陸羽東線の鉄橋を潜る。
その先で右手の江合川対岸に紅せんの大きな看板が見える信号交差点を右折して上川原橋を渡り対岸の交差点を右折する。紅せんの入口を過ぎ再び鉄道橋の下を潜った直後の左手に久田旅館の案内看板がある。
【久田旅館の外観】
案内に従って緩やかな分岐道を上ると開けた台地の左奥に久田旅館の建物が現れる。
鉄筋の建物
手前に建つ鉄筋造りの建物には玄関が見当たらず
切妻の建物
奥に続く切妻屋根の建物迄車を進めると駐車場を囲む様に並ぶ2棟の木造建築の張り出し部分に玄関の構えが見える。
連結部
陸屋根鉄筋建築と鉄板葺き切妻屋根の木造建物は屋根続きの通路で繋がっている。
従って南に向いた正面の景観からは鉄筋1棟と木造2棟から成る分かり易い施設に見えるが内部は外見の想像に余る複雑な構造となっている。
旅館の背面
久田旅館の入り組んだ構造は後に紹介する客室掲示の館内図からも窺えるが背後の山側に通じている道路から施設の全容が把握できる。
因みに画面手前の鉄路は非電化単線の陸羽東線で左側は小牛田、古川方向で右手は江合川の鉄橋を渡った直後に置かれた鳴子御殿湯駅から鳴子温泉駅に向かう。
背後から見る旅館の施設は概略五つの建物の集合体である。
�@フロント棟 画面の左端に見える切妻屋根の2階建ては玄関とフロントを備えた棟で背後(写真では手前側)に平屋の厨房を継ぎ足した構造となっているが説明の都合上一括してフロント棟と仮称する。
�A本館(客室棟)…フロント棟の右に続く切妻2階の木造建築は客室に充てられているので本館(客室棟)とする。
�B新館(客室棟)…木造本館の右奥に見える陸屋根は2層の鉄筋構造で敷地内に車を乗り入れて最初に目にする建物で新館(客室棟)と表記する。
�C旧温泉棟…本館客室棟から鉄路側に突き出た平屋の鉄筋構造物は屋上に小さな小屋掛けを載せた不思議な造りだが立入禁止となっているので内部を窺うことはできない。館内平面図ではこの部分に脱衣室と浴室の記載があるので以前に活躍し現在は現役を退いた古い浴場施設と思われる。従って旧温泉棟と称する。
なお屋上の小屋掛けは2階の客室から利用できる現役のトイレ施設となっており屋上と地上を結ぶ屋外の避難階段が見えている。
�D温泉棟…旧温泉棟の右奥で片流れの大きな傾斜屋根を載せた鉄筋建築が男女別に内湯と露天風呂を備えた現役の温泉浴場となっているので温泉棟とする。
【久田旅館の内部構造】
1F平面図
客室内には避難経路を示す掲示で1F部分の平面構造が把握できる。
1F平面図
この平面図と先に示した施設の全景を突き合わせると5棟の建物相互の位置関係が明らかとなるが1F限定の図面で2Fの構造は不明である。
【フロント棟】
玄関ロビー
玄関で靴を脱いで上がった先は左の壁面にソファーを設えた小振りな空間で
フロント
右手は色々な土産物を並べた売店を兼務するフロントが置かれている。突当りは2Fへ上がる階段室がありソファーの奥の左手は本館や新館の客室へ向かう廊下が伸びている。
フロントと階段の間に掛る暖簾の右奥は先に見た平屋造りの厨房が控えている。なお館内の平面図ではフロント部分を売店と記しているがこの窓口で宿帳に記入してチェックインし翌朝はここで清算してチェックアウトするフロント機能も担っている。
【本館客室棟】
フロントホールの奥の通路を左に折れると木造本館1F部分の領域で平面図の通り駐車場に面して客室3室が配置されている。通路を挟んだ山側にも畳敷きの部屋が並んでいるがこちらは仕切り壁が取り外しできる方式で宴会場や食事会場を指向した造り。実際に通路から見える室内は椅子とテーブルが置かれて最近食事会場で主流の和室でテーブル席の設えとなっている。
本館2F
フロントホール奥の階段を2Fに上ると本館通路に並ぶ2F客室に達する。通路の奥は新館に連絡している。
【新館客室棟】
本館2Fの通路を先へ進むと新館に斜行して繋がる連絡部分から新館の通路に入る。
新館2F
新館内も駐車場側に客室4室が並んでいる。滞在中に館内図の2F部分を目にする機会に恵まれず室内の設備配置は不明だが周囲の環境を考慮すると客室内のトイレ設備は有りそうである。
新館階段
新館内にも山側に独自の階段室を備えている。
新館1F
この階段を下りた1Fは宴会場1~3の表示があり平面図にはステージを伴う広間が描かれている。この位置から背後にある1Fの連絡通路で本館やフロント棟の玄関ロビー方向へ戻ることができる。
Part.2は本館客室の様子
<図や写真をクリックすると拡大表示します>
【序章】
四月を過ぎると東北地方にも桜の開花前線が北上して春の装いを色濃く感じる華やかな時季となる。平成元号の最終月となる2019年4月の仙台は第3週に桜の満開を迎え旅の誘惑に駆られ以前から温めていた宮城県大崎市鳴子温泉の「久田(きゅうでん)旅館」を訪問することとした。
東鳴子温泉にあるこの宿は小規模な施設だが2種の独自源泉を各々掛け流す浴槽を擁する見逃せない施設である。久田をきゅうでんと読む珍しい呼称は立地する大崎市鳴子温泉字久田の地名に由来する屋号である。
【久田旅館の位置】
鳴子温泉地区の温泉宿は以前から登良屋旅館、紅せん、旅館大沼を紹介しておりその他にも東河原湯や姥の湯の訪問経験もある。
江合川に沿う国道R47の山側に見える東河原湯は宿泊当時の老朽化施設が取り壊されていたが最近は小振りな2階建ての建築物が出現して東河原湯のサインポールも立つ気になる存在である。
閑話休題。
久田旅館は旅館大沼や紅せんと同じ東鳴子温泉の宿だが多くの施設が建ち並ぶ中心部から江合川を隔てた対岸にあり同じ左岸に建つ紅せんとは至近の距離にある。
従って仙台側から向かう基本来な道筋はR4かR457を北上して交差するR47を山形県境方向の北西に進む。岩出山の道の駅を過ぎ川渡温泉への左分岐を通過すると並行する江合川が右側に移った先で陸羽東線の鉄橋を潜る。
その先で右手の江合川対岸に紅せんの大きな看板が見える信号交差点を右折して上川原橋を渡り対岸の交差点を右折する。紅せんの入口を過ぎ再び鉄道橋の下を潜った直後の左手に久田旅館の案内看板がある。
【久田旅館の外観】
案内に従って緩やかな分岐道を上ると開けた台地の左奥に久田旅館の建物が現れる。
鉄筋の建物
手前に建つ鉄筋造りの建物には玄関が見当たらず
切妻の建物
奥に続く切妻屋根の建物迄車を進めると駐車場を囲む様に並ぶ2棟の木造建築の張り出し部分に玄関の構えが見える。
連結部
陸屋根鉄筋建築と鉄板葺き切妻屋根の木造建物は屋根続きの通路で繋がっている。
従って南に向いた正面の景観からは鉄筋1棟と木造2棟から成る分かり易い施設に見えるが内部は外見の想像に余る複雑な構造となっている。
旅館の背面
久田旅館の入り組んだ構造は後に紹介する客室掲示の館内図からも窺えるが背後の山側に通じている道路から施設の全容が把握できる。
因みに画面手前の鉄路は非電化単線の陸羽東線で左側は小牛田、古川方向で右手は江合川の鉄橋を渡った直後に置かれた鳴子御殿湯駅から鳴子温泉駅に向かう。
背後から見る旅館の施設は概略五つの建物の集合体である。
�@フロント棟 画面の左端に見える切妻屋根の2階建ては玄関とフロントを備えた棟で背後(写真では手前側)に平屋の厨房を継ぎ足した構造となっているが説明の都合上一括してフロント棟と仮称する。
�A本館(客室棟)…フロント棟の右に続く切妻2階の木造建築は客室に充てられているので本館(客室棟)とする。
�B新館(客室棟)…木造本館の右奥に見える陸屋根は2層の鉄筋構造で敷地内に車を乗り入れて最初に目にする建物で新館(客室棟)と表記する。
�C旧温泉棟…本館客室棟から鉄路側に突き出た平屋の鉄筋構造物は屋上に小さな小屋掛けを載せた不思議な造りだが立入禁止となっているので内部を窺うことはできない。館内平面図ではこの部分に脱衣室と浴室の記載があるので以前に活躍し現在は現役を退いた古い浴場施設と思われる。従って旧温泉棟と称する。
なお屋上の小屋掛けは2階の客室から利用できる現役のトイレ施設となっており屋上と地上を結ぶ屋外の避難階段が見えている。
�D温泉棟…旧温泉棟の右奥で片流れの大きな傾斜屋根を載せた鉄筋建築が男女別に内湯と露天風呂を備えた現役の温泉浴場となっているので温泉棟とする。
【久田旅館の内部構造】
1F平面図
客室内には避難経路を示す掲示で1F部分の平面構造が把握できる。
1F平面図
この平面図と先に示した施設の全景を突き合わせると5棟の建物相互の位置関係が明らかとなるが1F限定の図面で2Fの構造は不明である。
【フロント棟】
玄関ロビー
玄関で靴を脱いで上がった先は左の壁面にソファーを設えた小振りな空間で
フロント
右手は色々な土産物を並べた売店を兼務するフロントが置かれている。突当りは2Fへ上がる階段室がありソファーの奥の左手は本館や新館の客室へ向かう廊下が伸びている。
フロントと階段の間に掛る暖簾の右奥は先に見た平屋造りの厨房が控えている。なお館内の平面図ではフロント部分を売店と記しているがこの窓口で宿帳に記入してチェックインし翌朝はここで清算してチェックアウトするフロント機能も担っている。
【本館客室棟】
フロントホールの奥の通路を左に折れると木造本館1F部分の領域で平面図の通り駐車場に面して客室3室が配置されている。通路を挟んだ山側にも畳敷きの部屋が並んでいるがこちらは仕切り壁が取り外しできる方式で宴会場や食事会場を指向した造り。実際に通路から見える室内は椅子とテーブルが置かれて最近食事会場で主流の和室でテーブル席の設えとなっている。
本館2F
フロントホール奥の階段を2Fに上ると本館通路に並ぶ2F客室に達する。通路の奥は新館に連絡している。
【新館客室棟】
本館2Fの通路を先へ進むと新館に斜行して繋がる連絡部分から新館の通路に入る。
新館2F
新館内も駐車場側に客室4室が並んでいる。滞在中に館内図の2F部分を目にする機会に恵まれず室内の設備配置は不明だが周囲の環境を考慮すると客室内のトイレ設備は有りそうである。
新館階段
新館内にも山側に独自の階段室を備えている。
新館1F
この階段を下りた1Fは宴会場1~3の表示があり平面図にはステージを伴う広間が描かれている。この位置から背後にある1Fの連絡通路で本館やフロント棟の玄関ロビー方向へ戻ることができる。
Part.2は本館客室の様子
(00:00)
2019年06月07日
Part.8
【チェックアウト】
大手のネット予約サイトで確保した観洋のタコしゃぶ付き宿泊プランは1室2名の総額が\27000の設定であった。1名当たりでは\13500となり当サイトが標榜している格安温泉宿の趣旨には反しているが被災地復興を願って選んだ蛸しゃぶ付きのちょっと贅沢なプランは黙認して戴きたい。蛸しゃぶがつかないスタンダードプランはもう少し割安に設定されている。
朝のフロント
先にも述べたがチェックアウト時はフロントの混雑が容易に想像されたので朝食を済ませた早めの時間帯にフロントで精算を依頼した。タコしゃぶプラン2名分の宿泊料は入湯税¥80を含めた¥27080に夕食時の冷酒\1404が加算され¥28484であった。これで予想されたチェックアウト時のフロント混雑を回避できたので9:30頃迄大浴場の温泉にゆったりと浸かり10:00直前にロビーに降りて部屋の鍵を返却してチェックアウトの手続きを完了した。
【志津川湾観光船】
観光船の案内
観洋の客室には館内の各種案内に加志津川湾観光船のパンフレットが添付されている。この案内によるとホテルと観光船が発着する志津川漁港岸壁の間はバス送迎があり館内で予約ができるとの事なので前日に手続きを済ませていた。従って宿泊料の精算と同時には観光船の大人2名分の料金¥2200も支払いを済ませていた。
朝10:00のチェックアウト時間に合わせて送迎バスは10:15にホテルを出発し10:30に漁港岸壁を離岸する観光船に乗船するスケジュールが組まれている。志津川湾内を1時間程巡って帰岸し再び送迎バスで観洋へ昼前に戻って終了である。
観光船
ホテルを出発した送迎バスが漁港岸壁に係留されている観光船の前に着くとそのまま乗船経路に誘導される。
過去の訪問時にも志津川湾の遊覧船に乗船しているが記憶に残る船の姿は明らかに異なっている。以前の船は東北大震災で失われ現在の観光船はその後に新造されたものと思われる。
船の構造
乗船位置は甲板室頂部平面図に描かれている上部甲板で船員の指示で階段を後部甲板へ下る。この後部甲板は隔壁を設けない開放空間となっているが乗船案内で漁港内の航行中はもう一段低い位置にある前部船室での待機を指示され一旦船室内の椅子席に収まる。堤防に囲まれた漁港内は事故防止故か低速で航行するが乗船する観光客にライフジャケットの着用は無いので船室内の待機は開放甲板から万が一の転落を防止する措置と思われる。
志津川湾の景色
志津川湾観光船には二つの見所がある。
その一は観光船を目指して飛来する海鳥の生態を船上から観察することでもう一つは志津川湾内に設置されている各種の養殖施設を海面上から見学できることである。
【カモメとウミネコ】
漁港の堤防から外海に出ると後部開放甲板への出入りが可能となる。
鳥の群
志津川湾を進んでいと船の後ろから鳥の群れが追いかけてくる。
海辺に生息する鳥類はウミネコやカモメが良く知られた存在だがその筋には疎く海鳥の種を峻別する知識は持ち合わせていないのが残念。
ウミネコとカモメは類似した外見で見分けが難しいらしい。ウミネコは国内沿岸部に常時生息し猫の様な鳴き声を発する一方カモメは冬季日本列島に飛来する渡り鳥でキューキューと鳴くのだとか。従って夏季に漁港の岸壁に群れてミャーミャーと鳴いている鳥はウミネコと断じて良さそうである。外見の姿形では嘴が黄一色のカモメに対してウミネコは先端部にある赤と黒色の模様が識別の手掛かりだとか。
【餌付け】
海鳥が観光船に群れ集まる理由は船上での餌付けにある。餌は袋菓子のかっぱえびせんで一袋¥150の船内販売もあるが外部から持ち込むことも可能となっている。
志津川湾の海鳥
ホテル観洋の巨大な施設と海面上に整然と配置された養殖施設の浮きを背景に飛び交う海鳥の迫力は一度の体験をお薦めしたい。
餌やり
船を追い駆ける海鳥に細長い形状のえびせんを親指と人差し指で縦に挟んで海に突き出すと船尾の空中で待機していた群れが一斉に飛来する。
餌やり
真っ先にえびせんの先端部を嘴に咥えることができた一羽のみが餌の恩恵に浴する厳しい生存競争の世界である。翼を広げて飛来する姿は1m程に見え大型鳥の来襲の危機感で反射的に餌を持つ手を縮めてしまうと目標に定めて飛行してきたきたものが瞬時に失われてしまうので最後まで恐怖心に耐えて腕を固定する勇気が必要となる。
成功
餌を咥えることに成功した鳥は直ちに舷側から離脱する。海上を移動する船は海水をかき混ぜるだけでなく海上の気流も乱すのでこの様な移動体に近付く海鳥は高度な飛翔技術を要するそうである。
ウミネコ
えびせんの捕獲に成功した鳥は嘴の先端に赤と黒を装ったウミネコに見える。
【志津川湾の養殖】
ホテル客室の展望
ホテル客室窓の展望にもあった志津川湾内の海面には多数の浮標が並び各種の養殖筏が配置されている。
因みに湾内ではワカメ、ホヤ、ホタテ、カキとギンザケが養殖されていると聞く。詳しくはこちらを参照されたい。
海面の浮標
観光船は餌を求めて後部に群れる海鳥を従えて多数の浮標の間の航路を沖に向かって進む。
ギンザケ養殖筏
船が進んだ沖合にはギンザケを養殖する円形の生簀があり魚が飛び跳ねる様子も見ることができる。
観光船はここで折り返して帰港の途に就き入港直前には再び船室内の待機が指示される。
着岸した眼前に横付けされている送迎バスに乗り換えてホテルに戻り観光船の旅を終えた。
【終章】
志津川湾に面した「南三陸ホテル観洋」は海産物に恵まれた立地条件から多彩な海の幸が供される嬉しい宿である。但し従業員の熟練度に大きなばらつきを感じるのは大規模施設故であろうか。
更に言えば館内は正面玄関に段差があるばかりでなくフロントロビーの6F床にも南館、連結部分、東館それぞれの結節部分に段差がありバリアフリーは到底望めない構造で歩行障害を抱える者や車椅子の利用者には適さない宿である。
温泉浴場は清潔感のある大規模な浴室に露天風呂も整っているが塩素臭を伴う循環湯は源泉掛け流しの温泉とは趣が異なり広く明るい健康ランド的な雰囲気が漂う施設と感じる。
館内には東北大震災の被災状況を伝える展示室があり朝には語り部ツアーも組まれている。海沿いの町では宿命的な津波被害の保存と伝承に力を注いでいる宿でもある。
南三陸町に限らず沿岸部の被災地復興の為に多くの方が足を向けて宿泊し商店街での買い物や食事を楽しんで戴きたいと想う旅であった。
完
【チェックアウト】
大手のネット予約サイトで確保した観洋のタコしゃぶ付き宿泊プランは1室2名の総額が\27000の設定であった。1名当たりでは\13500となり当サイトが標榜している格安温泉宿の趣旨には反しているが被災地復興を願って選んだ蛸しゃぶ付きのちょっと贅沢なプランは黙認して戴きたい。蛸しゃぶがつかないスタンダードプランはもう少し割安に設定されている。
朝のフロント
先にも述べたがチェックアウト時はフロントの混雑が容易に想像されたので朝食を済ませた早めの時間帯にフロントで精算を依頼した。タコしゃぶプラン2名分の宿泊料は入湯税¥80を含めた¥27080に夕食時の冷酒\1404が加算され¥28484であった。これで予想されたチェックアウト時のフロント混雑を回避できたので9:30頃迄大浴場の温泉にゆったりと浸かり10:00直前にロビーに降りて部屋の鍵を返却してチェックアウトの手続きを完了した。
【志津川湾観光船】
観光船の案内
観洋の客室には館内の各種案内に加志津川湾観光船のパンフレットが添付されている。この案内によるとホテルと観光船が発着する志津川漁港岸壁の間はバス送迎があり館内で予約ができるとの事なので前日に手続きを済ませていた。従って宿泊料の精算と同時には観光船の大人2名分の料金¥2200も支払いを済ませていた。
朝10:00のチェックアウト時間に合わせて送迎バスは10:15にホテルを出発し10:30に漁港岸壁を離岸する観光船に乗船するスケジュールが組まれている。志津川湾内を1時間程巡って帰岸し再び送迎バスで観洋へ昼前に戻って終了である。
観光船
ホテルを出発した送迎バスが漁港岸壁に係留されている観光船の前に着くとそのまま乗船経路に誘導される。
過去の訪問時にも志津川湾の遊覧船に乗船しているが記憶に残る船の姿は明らかに異なっている。以前の船は東北大震災で失われ現在の観光船はその後に新造されたものと思われる。
船の構造
乗船位置は甲板室頂部平面図に描かれている上部甲板で船員の指示で階段を後部甲板へ下る。この後部甲板は隔壁を設けない開放空間となっているが乗船案内で漁港内の航行中はもう一段低い位置にある前部船室での待機を指示され一旦船室内の椅子席に収まる。堤防に囲まれた漁港内は事故防止故か低速で航行するが乗船する観光客にライフジャケットの着用は無いので船室内の待機は開放甲板から万が一の転落を防止する措置と思われる。
志津川湾の景色
志津川湾観光船には二つの見所がある。
その一は観光船を目指して飛来する海鳥の生態を船上から観察することでもう一つは志津川湾内に設置されている各種の養殖施設を海面上から見学できることである。
【カモメとウミネコ】
漁港の堤防から外海に出ると後部開放甲板への出入りが可能となる。
鳥の群
志津川湾を進んでいと船の後ろから鳥の群れが追いかけてくる。
海辺に生息する鳥類はウミネコやカモメが良く知られた存在だがその筋には疎く海鳥の種を峻別する知識は持ち合わせていないのが残念。
ウミネコとカモメは類似した外見で見分けが難しいらしい。ウミネコは国内沿岸部に常時生息し猫の様な鳴き声を発する一方カモメは冬季日本列島に飛来する渡り鳥でキューキューと鳴くのだとか。従って夏季に漁港の岸壁に群れてミャーミャーと鳴いている鳥はウミネコと断じて良さそうである。外見の姿形では嘴が黄一色のカモメに対してウミネコは先端部にある赤と黒色の模様が識別の手掛かりだとか。
【餌付け】
海鳥が観光船に群れ集まる理由は船上での餌付けにある。餌は袋菓子のかっぱえびせんで一袋¥150の船内販売もあるが外部から持ち込むことも可能となっている。
志津川湾の海鳥
ホテル観洋の巨大な施設と海面上に整然と配置された養殖施設の浮きを背景に飛び交う海鳥の迫力は一度の体験をお薦めしたい。
餌やり
船を追い駆ける海鳥に細長い形状のえびせんを親指と人差し指で縦に挟んで海に突き出すと船尾の空中で待機していた群れが一斉に飛来する。
餌やり
真っ先にえびせんの先端部を嘴に咥えることができた一羽のみが餌の恩恵に浴する厳しい生存競争の世界である。翼を広げて飛来する姿は1m程に見え大型鳥の来襲の危機感で反射的に餌を持つ手を縮めてしまうと目標に定めて飛行してきたきたものが瞬時に失われてしまうので最後まで恐怖心に耐えて腕を固定する勇気が必要となる。
成功
餌を咥えることに成功した鳥は直ちに舷側から離脱する。海上を移動する船は海水をかき混ぜるだけでなく海上の気流も乱すのでこの様な移動体に近付く海鳥は高度な飛翔技術を要するそうである。
ウミネコ
えびせんの捕獲に成功した鳥は嘴の先端に赤と黒を装ったウミネコに見える。
【志津川湾の養殖】
ホテル客室の展望
ホテル客室窓の展望にもあった志津川湾内の海面には多数の浮標が並び各種の養殖筏が配置されている。
因みに湾内ではワカメ、ホヤ、ホタテ、カキとギンザケが養殖されていると聞く。詳しくはこちらを参照されたい。
海面の浮標
観光船は餌を求めて後部に群れる海鳥を従えて多数の浮標の間の航路を沖に向かって進む。
ギンザケ養殖筏
船が進んだ沖合にはギンザケを養殖する円形の生簀があり魚が飛び跳ねる様子も見ることができる。
観光船はここで折り返して帰港の途に就き入港直前には再び船室内の待機が指示される。
着岸した眼前に横付けされている送迎バスに乗り換えてホテルに戻り観光船の旅を終えた。
【終章】
志津川湾に面した「南三陸ホテル観洋」は海産物に恵まれた立地条件から多彩な海の幸が供される嬉しい宿である。但し従業員の熟練度に大きなばらつきを感じるのは大規模施設故であろうか。
更に言えば館内は正面玄関に段差があるばかりでなくフロントロビーの6F床にも南館、連結部分、東館それぞれの結節部分に段差がありバリアフリーは到底望めない構造で歩行障害を抱える者や車椅子の利用者には適さない宿である。
温泉浴場は清潔感のある大規模な浴室に露天風呂も整っているが塩素臭を伴う循環湯は源泉掛け流しの温泉とは趣が異なり広く明るい健康ランド的な雰囲気が漂う施設と感じる。
館内には東北大震災の被災状況を伝える展示室があり朝には語り部ツアーも組まれている。海沿いの町では宿命的な津波被害の保存と伝承に力を注いでいる宿でもある。
南三陸町に限らず沿岸部の被災地復興の為に多くの方が足を向けて宿泊し商店街での買い物や食事を楽しんで戴きたいと想う旅であった。
完
(00:00)
2019年05月31日
Part.7
【朝食】
朝食はバイキング方式で昨夜の夕食会場の弁天の間と同じ6Fに隣り合う東館側のコンベンションホールで7:00~8:30に入場する様に案内されていた。
朝食会場
こちらの会場は緞帳を提げる舞台の両袖へ高い位置から下る階段を備える大掛かりな劇場風の構造で高い天井にはシャンデリアの設えもある。
海側
ただこのホールは海側に隔壁の設置が無く外壁のガラス窓越しに志津川湾の景色がある開放的で明るい空間となっている。
料理テーブル
ホールの床面を二分する中央の位置に二列の料理テーブルが配置され双方に全く同じ料理が同じ順序で並べられているのは料理を取り分ける客の集中緩和策であろう。
食事席
料理テーブルの両側にある椅子を備えたテーブルが朝食の客席である。
和食1
バイキング方式故に品書の類は無いが料理が並ぶテーブルに料理名を記したプレートの添付が親切で分かり易い。
会場入り口の取っ付きには和食の料理が並ぶ。手前から小松菜のおひたし、かつおのみぞれ煮、秋刀魚の生姜煮に続いて
和食2
小なすのしその葉漬け、かぶらのゆず風味、割干大根漬けに
和食3
梅干、白菜漬けがあり
和食4
いかの塩辛、たらこ
和食5
焼鮭、大根と竹輪の煮物に
和食6
イカ大根煮、帆立と里芋の煮物が並ぶ。
和食7
その先は鯖の塩焼きがあり和の朝食では定番の味付け海苔と納豆も用意されている。
焼売と卵料理
納豆の先は蒸籠蒸しの焼売と洋風のスクランブルエッグに
ウインナ
ウインナソーセージが保温されて調味用のケチャップも控えている。
サラダ
更に進むとサラダコーナーでパンプキンサラダ、ツナサラダや
生野菜
スライス胡瓜にマッシュポテトが並んだ奥はミックス生野菜とミニトマトのコーナーで
ドレッシング
ごま、おろししょうゆ、和風たまねぎのドレッシング3種が用意されている。
中央の料理テーブルはここが末端で
山側
次は山側の壁沿いに設置されたテーブルに移る。
刺身小鉢
右端は刺身コーナーで多数並んだ小鉢には少量の刺身が収められている。少量ではあるが朝食に刺身の提供は珍しく豊富な海産物に恵まれた立地の特性を感じる
わかめ
刺身コーナーの左はわかめしゃぶしゃぶを供するコーナーで
しゃぶしゃぶ
茶色っぽい生わかめを湯に潜らせると見た目が鮮やかな緑に変わる。写真は生わかめを笊に取り分けて鍋に投入する一連の作業を写したもの。湯通ししたわかめは小鉢で提供されドレッシングでいただく。
ご飯
その隣で宮城のブランド米ひとめぼれのご飯と
味噌汁
味噌汁を受け取り食事の用意が整う。
おかゆ
少し離れた丸テーブルにはおかゆと味付けの食材があり
デザート
その隣にはフルーツやヨーグルトのデザートが控えている。
パンコーナー
デザートテーブルの山側となる奥まった位置はパン類を提供するコーナーでクロワッサン、ロールパン、フレンチトーストにジャムとバターのミニパックが添付され加熱用に2台のトースターが設置されている。
お茶のサービス
パンコーナーの左側は冷水とお茶が用意されている。
飲料サーバー
お茶の提供位置とは逆側となる右端には牛乳やジュースのサーバーが設置されて
ジュースを
朝食の飲料を提供している。
朝食
多種の料理から取り分けた朝食がこれ。
大皿は野菜のサラダとミニトマトにウインナソーセージ、スクランブルエッグ、焼き鮭、たらこを取り揃えた。トレーの左にはみ出した小鉢はご飯のお伴の定番しそ巻きでカップ納豆や味付け海苔も加えている。右側奥で黄色に見える小鉢には温泉卵が収まり右隣は帆立と里芋の煮物で手前は刺身の小鉢。大皿の左手前はしゃぶしゃぶわかめの小鉢である。
追加
いつもの通り温泉宿の朝食は食が進みひとめぼれのご飯をお代わりしたついでに秋刀魚の煮物や焼売に烏賊の塩辛を追加し牛乳を飲んで食事を終えた。
Part.8はチェックアウトと志津川湾観光
【朝食】
朝食はバイキング方式で昨夜の夕食会場の弁天の間と同じ6Fに隣り合う東館側のコンベンションホールで7:00~8:30に入場する様に案内されていた。
朝食会場
こちらの会場は緞帳を提げる舞台の両袖へ高い位置から下る階段を備える大掛かりな劇場風の構造で高い天井にはシャンデリアの設えもある。
海側
ただこのホールは海側に隔壁の設置が無く外壁のガラス窓越しに志津川湾の景色がある開放的で明るい空間となっている。
料理テーブル
ホールの床面を二分する中央の位置に二列の料理テーブルが配置され双方に全く同じ料理が同じ順序で並べられているのは料理を取り分ける客の集中緩和策であろう。
食事席
料理テーブルの両側にある椅子を備えたテーブルが朝食の客席である。
和食1
バイキング方式故に品書の類は無いが料理が並ぶテーブルに料理名を記したプレートの添付が親切で分かり易い。
会場入り口の取っ付きには和食の料理が並ぶ。手前から小松菜のおひたし、かつおのみぞれ煮、秋刀魚の生姜煮に続いて
和食2
小なすのしその葉漬け、かぶらのゆず風味、割干大根漬けに
和食3
梅干、白菜漬けがあり
和食4
いかの塩辛、たらこ
和食5
焼鮭、大根と竹輪の煮物に
和食6
イカ大根煮、帆立と里芋の煮物が並ぶ。
和食7
その先は鯖の塩焼きがあり和の朝食では定番の味付け海苔と納豆も用意されている。
焼売と卵料理
納豆の先は蒸籠蒸しの焼売と洋風のスクランブルエッグに
ウインナ
ウインナソーセージが保温されて調味用のケチャップも控えている。
サラダ
更に進むとサラダコーナーでパンプキンサラダ、ツナサラダや
生野菜
スライス胡瓜にマッシュポテトが並んだ奥はミックス生野菜とミニトマトのコーナーで
ドレッシング
ごま、おろししょうゆ、和風たまねぎのドレッシング3種が用意されている。
中央の料理テーブルはここが末端で
山側
次は山側の壁沿いに設置されたテーブルに移る。
刺身小鉢
右端は刺身コーナーで多数並んだ小鉢には少量の刺身が収められている。少量ではあるが朝食に刺身の提供は珍しく豊富な海産物に恵まれた立地の特性を感じる
わかめ
刺身コーナーの左はわかめしゃぶしゃぶを供するコーナーで
しゃぶしゃぶ
茶色っぽい生わかめを湯に潜らせると見た目が鮮やかな緑に変わる。写真は生わかめを笊に取り分けて鍋に投入する一連の作業を写したもの。湯通ししたわかめは小鉢で提供されドレッシングでいただく。
ご飯
その隣で宮城のブランド米ひとめぼれのご飯と
味噌汁
味噌汁を受け取り食事の用意が整う。
おかゆ
少し離れた丸テーブルにはおかゆと味付けの食材があり
デザート
その隣にはフルーツやヨーグルトのデザートが控えている。
パンコーナー
デザートテーブルの山側となる奥まった位置はパン類を提供するコーナーでクロワッサン、ロールパン、フレンチトーストにジャムとバターのミニパックが添付され加熱用に2台のトースターが設置されている。
お茶のサービス
パンコーナーの左側は冷水とお茶が用意されている。
飲料サーバー
お茶の提供位置とは逆側となる右端には牛乳やジュースのサーバーが設置されて
ジュースを
朝食の飲料を提供している。
朝食
多種の料理から取り分けた朝食がこれ。
大皿は野菜のサラダとミニトマトにウインナソーセージ、スクランブルエッグ、焼き鮭、たらこを取り揃えた。トレーの左にはみ出した小鉢はご飯のお伴の定番しそ巻きでカップ納豆や味付け海苔も加えている。右側奥で黄色に見える小鉢には温泉卵が収まり右隣は帆立と里芋の煮物で手前は刺身の小鉢。大皿の左手前はしゃぶしゃぶわかめの小鉢である。
追加
いつもの通り温泉宿の朝食は食が進みひとめぼれのご飯をお代わりしたついでに秋刀魚の煮物や焼売に烏賊の塩辛を追加し牛乳を飲んで食事を終えた。
Part.8はチェックアウトと志津川湾観光
(00:00)
2019年05月24日
Part.6
【夕食】
夕食会場
チェックイン時に18:00、18:30、19:00の夕食開始時間が提示されており6:30を選択していた。予め食事会場に指定されていた弁天の間は東館と南館の連結部分の6Fに置かれた畳敷きの宴会場であった。
選択した時間帯に向かうと写真の奥に会場入口が設定されており館内履きを脱いで会場に入る。
既に館内構造で言及している通り宴会場の大広間の右奥側は東館のコンベンションホールと背中合わせで接しており海側(写真の手前側)の通路から簡単に往来できる。
弁天の間
大広間の中は畳の上に部屋毎のテーブル席が配置された最近では主流の方式が採られているが奥に見える大きな舞台の設えは典型的な宴会場の雰囲気を醸している。
料理
接客係に案内されたテーブル席には既に多くの料理が並べられている。
奥には固形燃料で加熱する3基のコンロが配置されている。左端は木蓋を載せた羽釜の釜めしで中央の陶製長皿は観洋定番鮑の踊り焼、右端で黄色の蓋を被るのはささやかな贅沢で選択した蛸しゃぶの鍋である。
品書
テーブル上には料理を説明する品書の添付が有り難い。
宿によっては口頭で料理の説明が為されるが食事の場でメモを取る訳はなくかといって全てを記憶できる能力も持ち合わせていないので珍しい食材や調理法が多いと「これ何だったっけ?」という事態に陥ってしまう。また説明が無い宿で己の知識も欠けている場合は「何じゃこれは?」となるので書面で添えられた料理説明は大変嬉しく好ましいサービスである。
以降はこの品書の順に料理内容を紹介する。
先付
品書のトップを飾る先付は秋刀魚のエスカベッシュ。カタカナ料理に疎い私にエスカベッシュは聞き慣れないが地中海料理の一種で魚のマリネ(酢漬け)の呼称らしい。確かに小鉢の中は酢味の秋刀魚であった。
前菜3品
三日月形の皿盛り前菜は真烏賊の海胆(うに)和え、海老彩り真丈(しんじょ)、茄子の鰯巻きの3品で写真では中央が海胆和えで左に真丈、右に鰯巻きが配置されている。
酢の物
品書三番目の酢の物は万棒(まんぼう)の酢味噌掛けと炙り秋刀魚サーモン絹田巻と紹介されている。手前に配置された白い外皮の巻物が絹田巻で飾り蓮根の右奥に酢味噌を伴った白身がまんぼうに和布や胡瓜の遇がある。まんぼうは初めて食したが見た目通りの白身魚は淡泊な風味と感じた。
お造り
白色に淡い彩色を施した蓋つき皿は鮪、女梶木(めかじき)、真鯛、みやぎサーモン、赤海老の刺身五種盛りが収められていた。赤身鮪の手前に見える白身がめかじきで飾り菊の下の真鯛は白身に透明感がある。
焼物
鮑の踊り焼きは肝心の焼き上がりを撮り忘れ食後の殻だけの写真となってしまった。その経緯は後に述べる。
鍋物
鍋物と記された蛸のしゃぶしゃぶはスタンダードプランに加える追加料理の位置付けで予約段階のプラン名は「タコしゃぶ」と表記されていたが品書では「蛸しゃぶ」の文字が採用されているのでこの項目では漢字の蛸と記述する。
蛸しゃぶ材料
鍋料理では定番の野菜に加えてしゃぶしゃぶ仕様の薄切り蛸が出番を待っている。
しゃぶしゃぶ
蛸しゃぶは初めて経験したが少々長めのしゃぶしゃぶで蛸の柔らかさが発揮できる様に感じた。
台の物
品書にある台の物の用語を確認すると会席膳の献立で足付の大台に載せた主役の料理とされている。この主役はずわい蟹ホールレックと記されており3本の蟹足が供される。
蟹食中
殻に包丁を入れた蟹足の身は食し易く
食後
短時間で殻の山に変貌した。
蒸し物
蒸し物は海鮮茶碗蒸しと記されており後から配膳される。
茶碗蒸し
外見は普通の茶碗蒸しだが内部には帆立や海老を始め多彩な海鮮物が仕込まれている。
食事
食事に記載された釜めしはテーブル上に配置された固形燃料のコンロに載る羽釜で炊かれる。
釜めし
15分程で炊きあがる釜めしの具材は蛸が主役を務めている。
汁椀
ご飯に合わせて汁椀が供される。お椀の中は金目鯛と湯葉を浮かせた上品な吸い物仕立てで
蛸釜めし
これと香の物をお供に蛸の釜めしをいただく。
デザート2点
食事の後は苺とプチケーキの甘味で締め括った。
【夕食サービスの難点】
先に紹介した通りテーブル上には蛸しゃぶ鍋を含めて3基のコンロが所狭しと並んでおり席に着くと接客係がその全てを一斉に点火する素振りを見せたがこちらは日本酒を嗜みながら多彩な料理をゆっくり賞味したかったので釜めしの点火は後回しにして貰った。
日本酒
地域性を優先するなら海沿い塩竃産の浦霞を発注すべきかと思ったが個人的な嗜好から山間部の酒蔵大崎市松山の一ノ蔵を選択した。一ノ蔵を左手に前菜や酢の物、お造り等に手を伸ばしていると程なくしゃぶ鍋が沸き鮑焼も同時に食べ頃になり大慌てで刺身や前菜を食する羽目に陥ってしまいゆっくり楽しむ積りの食事が強い急き立てられ感に襲われてしまった。
この様な状況の中で蛸しゃぶの過程は数カットを写真を確保したが慌てて食した鮑の踊り焼の撮影は完全に失念しており先に紹介した食後の殻を紹介する事態となってしまった。
更に慌てて食した料理が一段落し後回しにした釜めしの点火を頼むと炊き上がる迄15分掛ると初めて告げられた。今それを言われてもねぇ、最初に案内されていればこちらも時を見計らって依頼するのだが。
こうした経緯から前半は多くの料理を慌てて口に運び後半になると釜めしの炊き上がり待ちの間延びした時間を過ごすこととなり多彩な海産物を駆使した好ましい料理にも関わらず何か不満が残る夕食であった。
接客担当には食べ頃の時間差を考慮してコンロの点火タイミングに配慮して貰いたいが仔細に観察すると接客係の個人能力に大きなばらつきがあり外国籍と思しき従業員の姿も認められた。
最近のニュースで頻繁に取り上げられている労働力不足の問題はここにも及んでいるのであろうか。
Part.7は朝食バイキング
【夕食】
夕食会場
チェックイン時に18:00、18:30、19:00の夕食開始時間が提示されており6:30を選択していた。予め食事会場に指定されていた弁天の間は東館と南館の連結部分の6Fに置かれた畳敷きの宴会場であった。
選択した時間帯に向かうと写真の奥に会場入口が設定されており館内履きを脱いで会場に入る。
既に館内構造で言及している通り宴会場の大広間の右奥側は東館のコンベンションホールと背中合わせで接しており海側(写真の手前側)の通路から簡単に往来できる。
弁天の間
大広間の中は畳の上に部屋毎のテーブル席が配置された最近では主流の方式が採られているが奥に見える大きな舞台の設えは典型的な宴会場の雰囲気を醸している。
料理
接客係に案内されたテーブル席には既に多くの料理が並べられている。
奥には固形燃料で加熱する3基のコンロが配置されている。左端は木蓋を載せた羽釜の釜めしで中央の陶製長皿は観洋定番鮑の踊り焼、右端で黄色の蓋を被るのはささやかな贅沢で選択した蛸しゃぶの鍋である。
品書
テーブル上には料理を説明する品書の添付が有り難い。
宿によっては口頭で料理の説明が為されるが食事の場でメモを取る訳はなくかといって全てを記憶できる能力も持ち合わせていないので珍しい食材や調理法が多いと「これ何だったっけ?」という事態に陥ってしまう。また説明が無い宿で己の知識も欠けている場合は「何じゃこれは?」となるので書面で添えられた料理説明は大変嬉しく好ましいサービスである。
以降はこの品書の順に料理内容を紹介する。
先付
品書のトップを飾る先付は秋刀魚のエスカベッシュ。カタカナ料理に疎い私にエスカベッシュは聞き慣れないが地中海料理の一種で魚のマリネ(酢漬け)の呼称らしい。確かに小鉢の中は酢味の秋刀魚であった。
前菜3品
三日月形の皿盛り前菜は真烏賊の海胆(うに)和え、海老彩り真丈(しんじょ)、茄子の鰯巻きの3品で写真では中央が海胆和えで左に真丈、右に鰯巻きが配置されている。
酢の物
品書三番目の酢の物は万棒(まんぼう)の酢味噌掛けと炙り秋刀魚サーモン絹田巻と紹介されている。手前に配置された白い外皮の巻物が絹田巻で飾り蓮根の右奥に酢味噌を伴った白身がまんぼうに和布や胡瓜の遇がある。まんぼうは初めて食したが見た目通りの白身魚は淡泊な風味と感じた。
お造り
白色に淡い彩色を施した蓋つき皿は鮪、女梶木(めかじき)、真鯛、みやぎサーモン、赤海老の刺身五種盛りが収められていた。赤身鮪の手前に見える白身がめかじきで飾り菊の下の真鯛は白身に透明感がある。
焼物
鮑の踊り焼きは肝心の焼き上がりを撮り忘れ食後の殻だけの写真となってしまった。その経緯は後に述べる。
鍋物
鍋物と記された蛸のしゃぶしゃぶはスタンダードプランに加える追加料理の位置付けで予約段階のプラン名は「タコしゃぶ」と表記されていたが品書では「蛸しゃぶ」の文字が採用されているのでこの項目では漢字の蛸と記述する。
蛸しゃぶ材料
鍋料理では定番の野菜に加えてしゃぶしゃぶ仕様の薄切り蛸が出番を待っている。
しゃぶしゃぶ
蛸しゃぶは初めて経験したが少々長めのしゃぶしゃぶで蛸の柔らかさが発揮できる様に感じた。
台の物
品書にある台の物の用語を確認すると会席膳の献立で足付の大台に載せた主役の料理とされている。この主役はずわい蟹ホールレックと記されており3本の蟹足が供される。
蟹食中
殻に包丁を入れた蟹足の身は食し易く
食後
短時間で殻の山に変貌した。
蒸し物
蒸し物は海鮮茶碗蒸しと記されており後から配膳される。
茶碗蒸し
外見は普通の茶碗蒸しだが内部には帆立や海老を始め多彩な海鮮物が仕込まれている。
食事
食事に記載された釜めしはテーブル上に配置された固形燃料のコンロに載る羽釜で炊かれる。
釜めし
15分程で炊きあがる釜めしの具材は蛸が主役を務めている。
汁椀
ご飯に合わせて汁椀が供される。お椀の中は金目鯛と湯葉を浮かせた上品な吸い物仕立てで
蛸釜めし
これと香の物をお供に蛸の釜めしをいただく。
デザート2点
食事の後は苺とプチケーキの甘味で締め括った。
【夕食サービスの難点】
先に紹介した通りテーブル上には蛸しゃぶ鍋を含めて3基のコンロが所狭しと並んでおり席に着くと接客係がその全てを一斉に点火する素振りを見せたがこちらは日本酒を嗜みながら多彩な料理をゆっくり賞味したかったので釜めしの点火は後回しにして貰った。
日本酒
地域性を優先するなら海沿い塩竃産の浦霞を発注すべきかと思ったが個人的な嗜好から山間部の酒蔵大崎市松山の一ノ蔵を選択した。一ノ蔵を左手に前菜や酢の物、お造り等に手を伸ばしていると程なくしゃぶ鍋が沸き鮑焼も同時に食べ頃になり大慌てで刺身や前菜を食する羽目に陥ってしまいゆっくり楽しむ積りの食事が強い急き立てられ感に襲われてしまった。
この様な状況の中で蛸しゃぶの過程は数カットを写真を確保したが慌てて食した鮑の踊り焼の撮影は完全に失念しており先に紹介した食後の殻を紹介する事態となってしまった。
更に慌てて食した料理が一段落し後回しにした釜めしの点火を頼むと炊き上がる迄15分掛ると初めて告げられた。今それを言われてもねぇ、最初に案内されていればこちらも時を見計らって依頼するのだが。
こうした経緯から前半は多くの料理を慌てて口に運び後半になると釜めしの炊き上がり待ちの間延びした時間を過ごすこととなり多彩な海産物を駆使した好ましい料理にも関わらず何か不満が残る夕食であった。
接客担当には食べ頃の時間差を考慮してコンロの点火タイミングに配慮して貰いたいが仔細に観察すると接客係の個人能力に大きなばらつきがあり外国籍と思しき従業員の姿も認められた。
最近のニュースで頻繁に取り上げられている労働力不足の問題はここにも及んでいるのであろうか。
Part.7は朝食バイキング
(00:00)
2019年05月17日
Part.5
【4Fの浴場】
南館の客室から向かう2Fの大浴場は前回紹介した通り二箇所のエレベーターを乗り継ぐ必要がありエレベーター間の水平移動も相当な距離を歩くことになる。しかし4Fの浴場は南館のエレベータを降りた目の前に位置しているので僅かな距離の移動で済む。
東館の客室では4F迄の垂直移動と4F内の徒歩移動で到達できるので6Fや5Fの連結部分を経由しない限りエレベーターを乗り継ぐ必要はない。
また女湯に限って2Fと4Fの浴場を繋ぐ通路があると館内図に記されているが男性が立ち入れない領域であるのでその様子は不明である。但し4Fと2Fでは2層分の垂直移動が必須の構造乍ら徒歩移動らしく階段を昇り降りする労力が伴うと思われる。
男湯は2Fと4Fが完全に独立した造りとなっているので各々個別のアプローチが必要である。
4F浴場
南館4Fのエレベーターを降りると目の前には数段を下る床面に男女別のに暖簾を提げる浴場が見えている。
男湯は鶯色の暖簾に「巨釜(おおがま)の湯」、柿色暖簾の女湯は「神割(かみわり)の湯」の文字が染め抜かれている。これは石巻市と南三陸町の境界にある神割崎と気仙沼市内の三陸海岸巨釜半造の名勝地に因んだ呼称である。
浴場案内
4Fの浴場は25:00(午前1時)で終了し翌朝は4:00~8:00の利用可能となっている。10:00迄利用できる2F浴場とは設定が異なるので注意を要する。8:00以降は清掃時間とされておりこの時間帯には暖簾が下ろされて従業員の出入りが認められた。
浴場入口
鶯色の暖簾の奥にアルミサッシ引き戸の入口がある。ここで館内履きのスリッパを脱ぐ指示に従って裸足になり中に入ると
浴室入口
正面は浴室に繋がる二重の扉がありその左右に二つの空間が分かれいある。
脱衣場の空間
左側の空間は脱衣場の設えとなっているがタイルシート貼りの床面に保温や吸水為の敷物の類は皆無で裸足の足裏に冷気を感じ居心地は良くない。壁面に整然と並ぶ多数の脱衣籠はステンレス製三段の枠組みに脱衣籠を嵌めた構造で容易に移動できる構造となっている。手前に見える観葉植物を配した装飾台も簡単に移動できる置物で仮設的な雰囲気を色濃く感じる造りによそよそしさを感じてしまう。
洗面台の空間
脱衣場とは逆側の右手は洗面台と鏡のみを備えた化粧台が用意されているが広い空間を持て余している様に見える。こちらの床面も脱衣場と変わらず裸足には冷たいタイル模様のシート貼りで保温や吸水マット等は無く居心地の悪さも変わらない。
洗面台
5基の洗面台は壁面に沿って整然と並んでおり
化粧台
反対側には湯水栓を省略した化粧台が設置されているが設備の規模に似合わない空間の無駄な広さの印象が強い。
一枚の足拭きマットの用意も無く居心地の悪ささえ感じる脱衣場や洗面台空間の仮設感は今後の改装を視野に入れた準備段階故の臨時措置なのだろうかと思う。
浴室
脱衣場から二重扉を通って浴室に入ると下り階段が設置されておりこれを下がった床面がタイル張りの浴場となっている。
階段の正面は連結部分外壁の曲面に開口するガラス窓に沿って設置された扇形の浴槽が特徴的な構造で浴槽右手の壁面に穿たれた湯口から循環濾過された湯が注がれている。
洗い場
階段を下りた左側と
洗い場
右の広い床面に合計11基のシャワー栓を備えた洗い場が控えているが2Fの大浴場とは異なり各々に隔壁を設けない開放的な造りとなっている。露天風呂やサウナを備える2Fの大浴場に較べればやや小さめに見えるが狭さを感じない広い浴場である。
夜間に撮影した写真の窓外は漆黒の世界だが
朝の浴室
翌朝には海側東面の曲面窓に降り注ぐ陽光の下で浴槽から志津川湾の景観を望んだ入浴を楽しむことができる。
【温泉の泉質】
温泉成分の表示は2F浴場「磯の湯」の脱衣場ロッカー脇に掲げられていたが4F「巨釜の湯」の掲示は見当たらなかった。
先に述べた温泉掘削の経緯から源泉は1本のみであろうと思われるので以下は「磯の湯」の掲示情報に従う。
温泉分析表
源泉名は南三陸温泉2号泉となっている。この理由は不明だが1本目の井戸掘削では湧出がなく2本目で掘り当てたということなのだろうか。
泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物泉 低張性中性冷鉱泉と表示され泉温19.1℃、使用位置42.0℃は確かに湧出温が20℃に満たない冷水を加温した湯にして浴槽に満たしている構図が見える。
掲載写真では含有成分の項目が不鮮明だが分析の数値を見るとナトリウムとカルシウムの陽イオンと塩化物の陰イオンが主要な成分で泉質名の通り1kgの水に約1.1gの食塩(塩化ナトリウム;NaCl)と0.2g程の塩化カルシウム(CaCl2)が溶存する温泉である。
温泉分析表細目
更に成分分析欄の隣の目立たない位置に浴槽の利用状態は次の通りですとの表記があり以下の項目が列挙されている。
加水 有 資源保護のため、随時加水しています。
加温 有 源泉が低温のため、常時加温しています。
循環 有 資源保護、浴槽衛生管理のため、循環しています。
消毒処理 有 浴槽衛生管理のため、塩素系薬剤を使用しています。
入浴剤 無
これらを総合すると観洋の温泉は1000m超の深井戸から汲み上げた後に42℃迄加熱されて塩素薬剤を加えて滅菌処理と温度調整が行われた循環温水と共に浴槽に注入していると解される。冷泉を加熱する方式にも関わらずそこにわざわざ加水する必要性は理解に苦しむが記載されている随時加水の頻度や水量に関する説明がないので詳細は不明であるが循環湯の加熱温度や塩素薬剤の添加濃度を調整する機能を担っている可能性は考えられる。
Part.6は観洋の夕食
【4Fの浴場】
南館の客室から向かう2Fの大浴場は前回紹介した通り二箇所のエレベーターを乗り継ぐ必要がありエレベーター間の水平移動も相当な距離を歩くことになる。しかし4Fの浴場は南館のエレベータを降りた目の前に位置しているので僅かな距離の移動で済む。
東館の客室では4F迄の垂直移動と4F内の徒歩移動で到達できるので6Fや5Fの連結部分を経由しない限りエレベーターを乗り継ぐ必要はない。
また女湯に限って2Fと4Fの浴場を繋ぐ通路があると館内図に記されているが男性が立ち入れない領域であるのでその様子は不明である。但し4Fと2Fでは2層分の垂直移動が必須の構造乍ら徒歩移動らしく階段を昇り降りする労力が伴うと思われる。
男湯は2Fと4Fが完全に独立した造りとなっているので各々個別のアプローチが必要である。
4F浴場
南館4Fのエレベーターを降りると目の前には数段を下る床面に男女別のに暖簾を提げる浴場が見えている。
男湯は鶯色の暖簾に「巨釜(おおがま)の湯」、柿色暖簾の女湯は「神割(かみわり)の湯」の文字が染め抜かれている。これは石巻市と南三陸町の境界にある神割崎と気仙沼市内の三陸海岸巨釜半造の名勝地に因んだ呼称である。
浴場案内
4Fの浴場は25:00(午前1時)で終了し翌朝は4:00~8:00の利用可能となっている。10:00迄利用できる2F浴場とは設定が異なるので注意を要する。8:00以降は清掃時間とされておりこの時間帯には暖簾が下ろされて従業員の出入りが認められた。
浴場入口
鶯色の暖簾の奥にアルミサッシ引き戸の入口がある。ここで館内履きのスリッパを脱ぐ指示に従って裸足になり中に入ると
浴室入口
正面は浴室に繋がる二重の扉がありその左右に二つの空間が分かれいある。
脱衣場の空間
左側の空間は脱衣場の設えとなっているがタイルシート貼りの床面に保温や吸水為の敷物の類は皆無で裸足の足裏に冷気を感じ居心地は良くない。壁面に整然と並ぶ多数の脱衣籠はステンレス製三段の枠組みに脱衣籠を嵌めた構造で容易に移動できる構造となっている。手前に見える観葉植物を配した装飾台も簡単に移動できる置物で仮設的な雰囲気を色濃く感じる造りによそよそしさを感じてしまう。
洗面台の空間
脱衣場とは逆側の右手は洗面台と鏡のみを備えた化粧台が用意されているが広い空間を持て余している様に見える。こちらの床面も脱衣場と変わらず裸足には冷たいタイル模様のシート貼りで保温や吸水マット等は無く居心地の悪さも変わらない。
洗面台
5基の洗面台は壁面に沿って整然と並んでおり
化粧台
反対側には湯水栓を省略した化粧台が設置されているが設備の規模に似合わない空間の無駄な広さの印象が強い。
一枚の足拭きマットの用意も無く居心地の悪ささえ感じる脱衣場や洗面台空間の仮設感は今後の改装を視野に入れた準備段階故の臨時措置なのだろうかと思う。
浴室
脱衣場から二重扉を通って浴室に入ると下り階段が設置されておりこれを下がった床面がタイル張りの浴場となっている。
階段の正面は連結部分外壁の曲面に開口するガラス窓に沿って設置された扇形の浴槽が特徴的な構造で浴槽右手の壁面に穿たれた湯口から循環濾過された湯が注がれている。
洗い場
階段を下りた左側と
洗い場
右の広い床面に合計11基のシャワー栓を備えた洗い場が控えているが2Fの大浴場とは異なり各々に隔壁を設けない開放的な造りとなっている。露天風呂やサウナを備える2Fの大浴場に較べればやや小さめに見えるが狭さを感じない広い浴場である。
夜間に撮影した写真の窓外は漆黒の世界だが
朝の浴室
翌朝には海側東面の曲面窓に降り注ぐ陽光の下で浴槽から志津川湾の景観を望んだ入浴を楽しむことができる。
【温泉の泉質】
温泉成分の表示は2F浴場「磯の湯」の脱衣場ロッカー脇に掲げられていたが4F「巨釜の湯」の掲示は見当たらなかった。
先に述べた温泉掘削の経緯から源泉は1本のみであろうと思われるので以下は「磯の湯」の掲示情報に従う。
温泉分析表
源泉名は南三陸温泉2号泉となっている。この理由は不明だが1本目の井戸掘削では湧出がなく2本目で掘り当てたということなのだろうか。
泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物泉 低張性中性冷鉱泉と表示され泉温19.1℃、使用位置42.0℃は確かに湧出温が20℃に満たない冷水を加温した湯にして浴槽に満たしている構図が見える。
掲載写真では含有成分の項目が不鮮明だが分析の数値を見るとナトリウムとカルシウムの陽イオンと塩化物の陰イオンが主要な成分で泉質名の通り1kgの水に約1.1gの食塩(塩化ナトリウム;NaCl)と0.2g程の塩化カルシウム(CaCl2)が溶存する温泉である。
温泉分析表細目
更に成分分析欄の隣の目立たない位置に浴槽の利用状態は次の通りですとの表記があり以下の項目が列挙されている。
加水 有 資源保護のため、随時加水しています。
加温 有 源泉が低温のため、常時加温しています。
循環 有 資源保護、浴槽衛生管理のため、循環しています。
消毒処理 有 浴槽衛生管理のため、塩素系薬剤を使用しています。
入浴剤 無
これらを総合すると観洋の温泉は1000m超の深井戸から汲み上げた後に42℃迄加熱されて塩素薬剤を加えて滅菌処理と温度調整が行われた循環温水と共に浴槽に注入していると解される。冷泉を加熱する方式にも関わらずそこにわざわざ加水する必要性は理解に苦しむが記載されている随時加水の頻度や水量に関する説明がないので詳細は不明であるが循環湯の加熱温度や塩素薬剤の添加濃度を調整する機能を担っている可能性は考えられる。
Part.6は観洋の夕食
(00:00)
2019年05月10日
Part.4
【浴場の概要】
浴場は東館内の2Fと連結部分4Fの二箇所に配置されている。創業当時の観洋に温泉は無かったが後に近年の掘削技術によって1000m超の高深度から海沿いに湧く源泉を得て南三陸温泉の看板を掲げる温泉施設となっている。
【余談: 高深度の温泉掘削】
1000mを超える井戸の掘削は一本が一億円とか言われる高額な投資を要するらしいがこの技術に依って温泉を掘り当てることは珍しくない。個人的な知識の範囲では同じ県内にある日本三景松島のホテル群や福島県相馬市松川浦の「ホテル飛天」が該当する。また2015年には3箇月をかけた掘削で東京都心大手町の地下1500mから湧いた大手町温泉は36.5℃の湯が毎分240リッターが湧出したと当時の全国ニュースで大々的に報道されていた。その他近年になって開業された新規の温泉施設の多くはこの例に漏れないと思われる。
【二箇所の浴場】
二箇所の浴場うち東館2Fの浴場は嘗て唯一の浴場施設であったと思われ広い面積の内湯浴槽や洗い場に加えて志津川湾に面する露天風呂が併設されている。
一方4Fの浴場は先に示した館内図で円弧曲線の外壁が特徴的な連結部分に置かれているので南館や連結部分の建設時に後補されたものと思われる。
【東館2Fの大浴場】
1F~3Fは東館のみに存在するフロアである。
館内図2F
2Fは館内の平面図に描かれている面積の大部分が浴場の空間に充てられている。
南館8Fの客室から向かうには一旦南館のエレベーターで4F迄降りて連結部分にある4F浴場の前を通り過ぎて東館に入り右手に並ぶ客室と左側の宴会場の間を進む。突き当りの海を臨む外壁に沿って左に折れた位置に東館のエレベーターホールが現れる。
東館エレベーター
このエレベーターか近接する階段で2Fの大浴場に下る。館内の構造から5Fのフロントロビー床や6Fの宴会場とコンベンションホール経由で東館のエレベーターに乗り継ぐことも可能だが6Fは乗り継ぎ通路が直線的で段差が少なく案内表示も充実しているので比較的分かり易い経路である。
浴場前
東館のエレベーターを降りた左手は2F客室に繋がる通路で右に進むと180°向きを変えるスロープの奥に浴場入口が見える。
ラウンジのカウンター
スロープの左脇は湯上りラウンジの空間で自販機に加えて簡易的なカウンターに冷水器が設置され夕食前の時間帯にはビール販売も行われている。
男湯入口
鶯色の暖簾を掛けている左が男湯の入口で
女湯入口
右隣に柿色暖簾の女湯が並んでいる。
大浴場は男湯が「磯の湯」女湯は「浜の湯」と称され併設する露天風呂は男女共通で「かもめ遊」と記されている。これは「かもめゆ」と読むのであろうか。
この大浴場は25:00時(午前1時)迄と時間制限があり翌朝は4:00~10:00が入浴が可能時間と設定されている。温泉好きには深夜の利用制限が残念である。
暖簾の奥
暖簾を潜った先は館内履きのスリッパや靴を脱ぐ空間で大型の下足箱が設置されている。少なからぬ外履き靴から日帰り入浴客の人気が感じられる。
畳敷き
スリッパを脱いで上がった板床の奥は畳敷きとなり屈曲した通路の途中に
ロッカー
貴重品を預けるロッカーが置かれて左に並ぶ額は温泉成分の分析表を掲示している。
トイレ
ロッカーの向いにはトイレが設置されておりここからは脱衣室に続く板張りの床に変わる。
脱衣場
ロッカーの先の板床は広い脱衣場でその三面に多数の脱衣棚が配置されている。
脱衣場からロッカーが設置された隔壁の背面に進むとタイル貼りの床面に11基の洗面台を置く空間となっている。
開放型の洗面台
三面鏡を備えた洗面台の片方は開放的な造りだが
仕切がある洗面台
逆側は各々に磨りガラスの仕切りを設けたプライバシー優先の構造で両者を併せて11基の洗面台が設置されている。
浴場出入口
洗面台の空間から二重のガラス戸を通った浴室は壁面に仕切りを設けた洗い場に
洗い場
合計20基のシャワー栓が並んでいる。
内湯浴槽
海を臨む浴室の窓側の全面は大浴場の名に恥じない大きな浴槽が配置されており
湯口
石造りの湯口から温泉が注がれているがこの浴槽に浸かると水泳プールに似た強めの塩素臭を感じる。
浴槽底部
浴槽の湯は窓側の縁から越流する構造となっているが源泉掛け流しではなく透明な湯の底部に設置されている大規模な循環装置が透けて見えると共に先の写真の湯口とは別に洗い場側の浴槽壁面の数か所に熱めの湯を注入する小径の給湯口の存在を認めた。
従ってこの浴槽は明らかに循環濾過に再加熱の温度管理を含む管理方式を採用していると思われる。塩素臭を伴う温泉は興醒めで残念だが大規模浴場の衛生管理にはやむを得ない措置なのだろうか。
浴室の奥には志津川湾を望む窓を備えたサウナ室が用意されている。
露天風呂へ
志津川湾を望む内湯浴槽の右端には併設されている露天風呂「かもめ遊」へ下るアプローチがある。
露天風呂入口
内湯との仕切りとなる二重ドアから数段の段差を下ると海側に開けた岩組の露天浴槽に迎えられる。浴槽の外は全て海の景色である。
露天浴槽
露天の浴槽の中心部に屹立する岩が入口側からの視線を遮断して隠れ家的な構造を演出している。
露天の湯口
岩組の間の湯口から注がれる湯は内湯よりやや高めと感じたがこちらも内湯と変わらず循環濾過システムの衛生管理下にある。
Part.5は4Fの浴場
【浴場の概要】
浴場は東館内の2Fと連結部分4Fの二箇所に配置されている。創業当時の観洋に温泉は無かったが後に近年の掘削技術によって1000m超の高深度から海沿いに湧く源泉を得て南三陸温泉の看板を掲げる温泉施設となっている。
【余談: 高深度の温泉掘削】
1000mを超える井戸の掘削は一本が一億円とか言われる高額な投資を要するらしいがこの技術に依って温泉を掘り当てることは珍しくない。個人的な知識の範囲では同じ県内にある日本三景松島のホテル群や福島県相馬市松川浦の「ホテル飛天」が該当する。また2015年には3箇月をかけた掘削で東京都心大手町の地下1500mから湧いた大手町温泉は36.5℃の湯が毎分240リッターが湧出したと当時の全国ニュースで大々的に報道されていた。その他近年になって開業された新規の温泉施設の多くはこの例に漏れないと思われる。
【二箇所の浴場】
二箇所の浴場うち東館2Fの浴場は嘗て唯一の浴場施設であったと思われ広い面積の内湯浴槽や洗い場に加えて志津川湾に面する露天風呂が併設されている。
一方4Fの浴場は先に示した館内図で円弧曲線の外壁が特徴的な連結部分に置かれているので南館や連結部分の建設時に後補されたものと思われる。
【東館2Fの大浴場】
1F~3Fは東館のみに存在するフロアである。
館内図2F
2Fは館内の平面図に描かれている面積の大部分が浴場の空間に充てられている。
南館8Fの客室から向かうには一旦南館のエレベーターで4F迄降りて連結部分にある4F浴場の前を通り過ぎて東館に入り右手に並ぶ客室と左側の宴会場の間を進む。突き当りの海を臨む外壁に沿って左に折れた位置に東館のエレベーターホールが現れる。
東館エレベーター
このエレベーターか近接する階段で2Fの大浴場に下る。館内の構造から5Fのフロントロビー床や6Fの宴会場とコンベンションホール経由で東館のエレベーターに乗り継ぐことも可能だが6Fは乗り継ぎ通路が直線的で段差が少なく案内表示も充実しているので比較的分かり易い経路である。
浴場前
東館のエレベーターを降りた左手は2F客室に繋がる通路で右に進むと180°向きを変えるスロープの奥に浴場入口が見える。
ラウンジのカウンター
スロープの左脇は湯上りラウンジの空間で自販機に加えて簡易的なカウンターに冷水器が設置され夕食前の時間帯にはビール販売も行われている。
男湯入口
鶯色の暖簾を掛けている左が男湯の入口で
女湯入口
右隣に柿色暖簾の女湯が並んでいる。
大浴場は男湯が「磯の湯」女湯は「浜の湯」と称され併設する露天風呂は男女共通で「かもめ遊」と記されている。これは「かもめゆ」と読むのであろうか。
この大浴場は25:00時(午前1時)迄と時間制限があり翌朝は4:00~10:00が入浴が可能時間と設定されている。温泉好きには深夜の利用制限が残念である。
暖簾の奥
暖簾を潜った先は館内履きのスリッパや靴を脱ぐ空間で大型の下足箱が設置されている。少なからぬ外履き靴から日帰り入浴客の人気が感じられる。
畳敷き
スリッパを脱いで上がった板床の奥は畳敷きとなり屈曲した通路の途中に
ロッカー
貴重品を預けるロッカーが置かれて左に並ぶ額は温泉成分の分析表を掲示している。
トイレ
ロッカーの向いにはトイレが設置されておりここからは脱衣室に続く板張りの床に変わる。
脱衣場
ロッカーの先の板床は広い脱衣場でその三面に多数の脱衣棚が配置されている。
脱衣場からロッカーが設置された隔壁の背面に進むとタイル貼りの床面に11基の洗面台を置く空間となっている。
開放型の洗面台
三面鏡を備えた洗面台の片方は開放的な造りだが
仕切がある洗面台
逆側は各々に磨りガラスの仕切りを設けたプライバシー優先の構造で両者を併せて11基の洗面台が設置されている。
浴場出入口
洗面台の空間から二重のガラス戸を通った浴室は壁面に仕切りを設けた洗い場に
洗い場
合計20基のシャワー栓が並んでいる。
内湯浴槽
海を臨む浴室の窓側の全面は大浴場の名に恥じない大きな浴槽が配置されており
湯口
石造りの湯口から温泉が注がれているがこの浴槽に浸かると水泳プールに似た強めの塩素臭を感じる。
浴槽底部
浴槽の湯は窓側の縁から越流する構造となっているが源泉掛け流しではなく透明な湯の底部に設置されている大規模な循環装置が透けて見えると共に先の写真の湯口とは別に洗い場側の浴槽壁面の数か所に熱めの湯を注入する小径の給湯口の存在を認めた。
従ってこの浴槽は明らかに循環濾過に再加熱の温度管理を含む管理方式を採用していると思われる。塩素臭を伴う温泉は興醒めで残念だが大規模浴場の衛生管理にはやむを得ない措置なのだろうか。
浴室の奥には志津川湾を望む窓を備えたサウナ室が用意されている。
露天風呂へ
志津川湾を望む内湯浴槽の右端には併設されている露天風呂「かもめ遊」へ下るアプローチがある。
露天風呂入口
内湯との仕切りとなる二重ドアから数段の段差を下ると海側に開けた岩組の露天浴槽に迎えられる。浴槽の外は全て海の景色である。
露天浴槽
露天の浴槽の中心部に屹立する岩が入口側からの視線を遮断して隠れ家的な構造を演出している。
露天の湯口
岩組の間の湯口から注がれる湯は内湯よりやや高めと感じたがこちらも内湯と変わらず循環濾過システムの衛生管理下にある。
Part.5は4Fの浴場
(00:00)
2019年05月03日
Part.3
【南館の客室】
今回は客室が南館限定で夕食にタコしゃぶが付くちょっとだけ贅沢な宿泊プランを選択した。タコしゃぶ無しのスタンダードプランの選択肢もある。また南館の部屋は東館に比べると少々割安な料金が設定されている。
因みに観洋の客室は東館3F一部の山側にある少数の例外を除いて志津川湾側に広い窓を開口する景観に恵まれており南館では4F~10Fの全ての部屋に海の眺望がある。
チェックインでは南館8Fの1804室が指定された。ドアを開けると踏込みの左右に木製の引き戸とアルミ金属のドアがあり正面の襖がその奥の和室の仕切となっている。
最新トイレ
右側引き戸の奥は洗浄便座を備えた最新のトイレが設置されている。
5 ユニットバス
一方左のドアを開くと嘗てはビジネスホテル等で主流の施設であったバスタブに洗面台とトイレ機能を集約したユニットバスの空間であった。従ってこの部屋には新旧二つのトイレが併設される珍しい造りとなっていたが最新機能の快適性から暖房便座の備えもないユニットバス側トイレの出番はなかった。
10畳和室
客室は志津川湾を望む窓側に広縁を備えた10畳の和室で
広縁の洗面台
広縁の右側壁面には洗面台が設置されてこれもユニットバスの洗面台と機能は重複しているが新しい設備は空間に余裕があり使い勝手が優っている。
冷蔵庫等
広縁の左壁面は金庫や保温ポットを収納するる棚と冷蔵庫が配置されている。この冷蔵庫は扉にガラスが嵌め込まれて庫内が見える構造に加えて上部にはグラス類を収める棚が一体化された珍しい造りとなっている。旅館等の客室で飲料主体のサービス提供に特化した意匠の冷蔵庫なのだろう。
床の間
冷蔵庫の並びとなる和室の左壁面は床の間の設えがありその片隅置かれたテレビ台の下に館内電話や
情報機器
ネットワークに接続できるLAN端末器が設置されている。この情報機器は有線ケーブル接続に対応する仕様となっているが
Wi-Fi案内
館内にはWi-Fiで接続する無線環境も用意されている。
嘗て出先で利用可能なネットワークは有線で接続するワイヤードLANに限定されていたので私のPCバッグには未だに2m程のLANケーブルが入っているが無線接続が主流となった現状では過去の遺産となりつつある。
床の間に続く壁面の入口側は下段に座椅子と座布団の収納空間を残したクローゼットとなっている。
クローゼット内
観音開き戸のクローゼットの中には丹前と浴衣を収めた乱れ箱に歯ブラシセットやタオル類に小さなビニール製の手提げ袋が用意されている。ビニール袋は濡れたフェイスタオルを持ち運ぶ利便を図ったものと思われるが浴場へ向かう際は青色バスタオルも持参することになるので大型のタオルが収納可能な手提げを所望したいところである。
座卓
室内中央の座卓には茶菓子とテレビリモコンに館内案内ファイルが簡潔に配置されている。
一服
室内の確認を一通り済ませてから座椅子に落ち着きお茶を淹れて一段落した。
Part.4は観洋の温泉浴場の様子
【南館の客室】
今回は客室が南館限定で夕食にタコしゃぶが付くちょっとだけ贅沢な宿泊プランを選択した。タコしゃぶ無しのスタンダードプランの選択肢もある。また南館の部屋は東館に比べると少々割安な料金が設定されている。
因みに観洋の客室は東館3F一部の山側にある少数の例外を除いて志津川湾側に広い窓を開口する景観に恵まれており南館では4F~10Fの全ての部屋に海の眺望がある。
チェックインでは南館8Fの1804室が指定された。ドアを開けると踏込みの左右に木製の引き戸とアルミ金属のドアがあり正面の襖がその奥の和室の仕切となっている。
最新トイレ
右側引き戸の奥は洗浄便座を備えた最新のトイレが設置されている。
5 ユニットバス
一方左のドアを開くと嘗てはビジネスホテル等で主流の施設であったバスタブに洗面台とトイレ機能を集約したユニットバスの空間であった。従ってこの部屋には新旧二つのトイレが併設される珍しい造りとなっていたが最新機能の快適性から暖房便座の備えもないユニットバス側トイレの出番はなかった。
10畳和室
客室は志津川湾を望む窓側に広縁を備えた10畳の和室で
広縁の洗面台
広縁の右側壁面には洗面台が設置されてこれもユニットバスの洗面台と機能は重複しているが新しい設備は空間に余裕があり使い勝手が優っている。
冷蔵庫等
広縁の左壁面は金庫や保温ポットを収納するる棚と冷蔵庫が配置されている。この冷蔵庫は扉にガラスが嵌め込まれて庫内が見える構造に加えて上部にはグラス類を収める棚が一体化された珍しい造りとなっている。旅館等の客室で飲料主体のサービス提供に特化した意匠の冷蔵庫なのだろう。
床の間
冷蔵庫の並びとなる和室の左壁面は床の間の設えがありその片隅置かれたテレビ台の下に館内電話や
情報機器
ネットワークに接続できるLAN端末器が設置されている。この情報機器は有線ケーブル接続に対応する仕様となっているが
Wi-Fi案内
館内にはWi-Fiで接続する無線環境も用意されている。
嘗て出先で利用可能なネットワークは有線で接続するワイヤードLANに限定されていたので私のPCバッグには未だに2m程のLANケーブルが入っているが無線接続が主流となった現状では過去の遺産となりつつある。
床の間に続く壁面の入口側は下段に座椅子と座布団の収納空間を残したクローゼットとなっている。
クローゼット内
観音開き戸のクローゼットの中には丹前と浴衣を収めた乱れ箱に歯ブラシセットやタオル類に小さなビニール製の手提げ袋が用意されている。ビニール袋は濡れたフェイスタオルを持ち運ぶ利便を図ったものと思われるが浴場へ向かう際は青色バスタオルも持参することになるので大型のタオルが収納可能な手提げを所望したいところである。
座卓
室内中央の座卓には茶菓子とテレビリモコンに館内案内ファイルが簡潔に配置されている。
一服
室内の確認を一通り済ませてから座椅子に落ち着きお茶を淹れて一段落した。
Part.4は観洋の温泉浴場の様子
(00:00)
2019年04月26日
Part.2
【観洋の建物外観】
志津川の中心部から南の戸倉、津山方面に向かうR45は湾岸に沿いながら高台への上り基調となりこの道筋を5分程進むと左手に観洋の建物が現れる。
観洋外観(国道側)
国道より海側にある建物は6層に見え道を挟んだ山側の傾斜地には第三駐車場の看板を掲げる立体駐車場が設置されている。上の写真は立体駐車場の入口から見た海側の風景である。
駐車場
国道をあと僅か進むと海側の建物前に設置された第一駐車場に入ることができる。
玄関
観洋の正面玄関はこの第一駐車場の前に配置されている。
【観洋の館内】
ロビーの大窓
正面玄関から建物内に入ると先ず突き当たりの海側に弧を描いて張り出した壁面全面を占めるガラス窓越しに志津川湾の景観が広がるロビー空間となっている。
ロビー内部
ロビー内部から窓側を向くアングルは大窓から採り込まれる強い外光に依って完全な逆光となり黒く潰れてしまうので上の写真は窓を背にして撮影したもので中央奥には正面玄関のガラス戸も見えている。
夜間のロビー
外光がない夜間の光景は左側に外壁の大窓が見え中央奥に南館の通路が続いている。
フロント
玄関脇のロビー山側にはにフロントカウンターが置かれ宿泊者はここでチェックインの手続きを行うが対応するフロント要員は常時5~6名程で多くの客が集中する時間帯には宿泊客がフロント前で列を成す光景が出現する。この様な現象は大規模な施設故の宿命だろうか。翌朝のチェックアウト時間帯にも同様の大行列が発生する。写真はチェックアウトで混み合う10:00頃の様子である。
駐車場から地続きのフロントロビーは数段の段差を介して入館できるがこのフロアは5Fに設定されているので先に紹介した国道側から見える建物は5F~10Fの6層に相当する上層部分で1F~4Fは海側の傾斜地に築かれた下部構造となっているのがこの宿の大きな特徴である。
この特徴的な構造の為山側から建物外観の全容を視認することは不可能で志津川湾の海上が絶好の視点となる。
【志津川湾から望む観洋の建物】
観洋外観(海側)
写真は建物の全容を志津川湾の船上から捉えた光景で波打ち際の岩肌をコンクリートで固めた基礎上に屹立する構造は確かに10層と確認できる。中層部にガラス窓が広く開口して他の階とは異なる外観に見える層が前項で紹介した5F部分でフロントロビー等のパブリック空間に充てられている。
【館内の構造】
大規模な施設ではあるが基本的には「東館」と「南館」のそれぞれが独立した10層構造の2棟で構成され両者は4F~6Fの3層に限定された連結部分に依って相互に往来できる構造となっている。
館内図4F5F
東館は南館に比較すると遙かに大きな面積を占め客室に加えて4Fの宴会場広間、5Fは多目的ホールやロビー機能の一部となる売店や海の景観を望む広いティーラウンジにレストラン等が配置されている。
館内図6F7F
更に6Fには食事会場としても使われるコンベンションホールが置かれていて東館の大きな部分にパブリック機能が集約されている。従って東館は「本館」と称しても良さそうに思えるのだが敢えて本館としなかったのは東館と南館の連結部分の建物が関わってそうである。
【連結部分考】
先に述べた通り観洋の館内では多くのパブリック機能が東館の4F~6Fに集約されているだけでなく2Fには志津川湾の景観を望む温泉大浴場と露天風呂の主要な施設も配置されているのだが既に紹介した様に施設の顔となる正面玄関とフロントにロビー等主要部が東館ではなく南館との連結部分に置かれているのでこれを意識して本館の呼称を避けたのではないだろうか。
因みに7Fの平面図で空白となっている部分が左側の東館と右手の南館を繋ぐ連結部分の建物で円弧状に海側に張り出した構造が特徴となっている。
5Fの案内
館内図や5Fの案内図を見ると東館の中央部に東館側玄関、レストラン入口と表示された出入口があり正面玄関の造りに劣らぬ大きなガラス扉が設置されているが正面玄関の動線から外れた位置に裏口の趣でひっそりと佇んでいる。
ここまで連結部分としてきた東館と南館の中間部分はこの案内図では「4F,5F,6Fは東館・南館の連絡通路になっています」と説明があり連絡通路とする素っ気ない扱いとなっている。
この様な状況から施設の変遷が浮かびあがる。即ち南三陸ホテル観洋の創業期は東館1棟のみの本館建物で現在では東館側と注釈が付く玄関は当時唯一正統なエントランス機能を果たしていたと想像できる。現在ゲームセンターやカラオケボックス、クラブやスナックの領域となっている東館側玄関周辺の空間は嘗てフロントロビーや売店等宿の中枢部が配置されていたのではないだろうか。
後に拡張計画が生じて増築されたであろう南館は別館の位置付けで本館(東館)と機能面の連続性を計る為に連結部分の建物を同時に整備したのであろう。
南館は4F~10F各々の階層に9室の客室と移動手段の階段、エレベーターのみを備える客室専用の設計で東館側の食事会場や大浴場等の施設への連絡は必須である。
連結部分の建物は3層の低層構造で4Fには東館2Fの大浴場を補完する第二の浴場が置かれ5Fは既に紹介した正面玄関のエントランスとフロント機能にロビー、売店、ティーラウンジの一部となっている。6F部分は畳敷きの大宴会場に充てられており隣り合う東館のコンベンションホールと共にパブリック空間を拡張する構造となっている。
【東館と南館のエレベーター】
東館エレベーター
東館の1F~10Fを連絡するエレベーターは東館側玄関とは至近の位置に3基が稼働してるが現在の正面玄関からは段差を経由して窓側に続く細長いティーラウンジに沿う経路を辿った先の角を曲がった不自然な動線上にある。この理由は先に考察した施設の拡張履歴に依るものであろう。
南館エレベーター
一方別館の位置付けに見える南館のエレベーターは4F~10Fの移動を2基で賄い4F~6F部分で連結部分経由で東館に連絡している。このエレベーターは連結部分の直近にありフロントロビーなどの連結部分と一体的に整備されたことが頷ける位置にある。
Part.3は南館客室を紹介
【観洋の建物外観】
志津川の中心部から南の戸倉、津山方面に向かうR45は湾岸に沿いながら高台への上り基調となりこの道筋を5分程進むと左手に観洋の建物が現れる。
観洋外観(国道側)
国道より海側にある建物は6層に見え道を挟んだ山側の傾斜地には第三駐車場の看板を掲げる立体駐車場が設置されている。上の写真は立体駐車場の入口から見た海側の風景である。
駐車場
国道をあと僅か進むと海側の建物前に設置された第一駐車場に入ることができる。
玄関
観洋の正面玄関はこの第一駐車場の前に配置されている。
【観洋の館内】
ロビーの大窓
正面玄関から建物内に入ると先ず突き当たりの海側に弧を描いて張り出した壁面全面を占めるガラス窓越しに志津川湾の景観が広がるロビー空間となっている。
ロビー内部
ロビー内部から窓側を向くアングルは大窓から採り込まれる強い外光に依って完全な逆光となり黒く潰れてしまうので上の写真は窓を背にして撮影したもので中央奥には正面玄関のガラス戸も見えている。
夜間のロビー
外光がない夜間の光景は左側に外壁の大窓が見え中央奥に南館の通路が続いている。
フロント
玄関脇のロビー山側にはにフロントカウンターが置かれ宿泊者はここでチェックインの手続きを行うが対応するフロント要員は常時5~6名程で多くの客が集中する時間帯には宿泊客がフロント前で列を成す光景が出現する。この様な現象は大規模な施設故の宿命だろうか。翌朝のチェックアウト時間帯にも同様の大行列が発生する。写真はチェックアウトで混み合う10:00頃の様子である。
駐車場から地続きのフロントロビーは数段の段差を介して入館できるがこのフロアは5Fに設定されているので先に紹介した国道側から見える建物は5F~10Fの6層に相当する上層部分で1F~4Fは海側の傾斜地に築かれた下部構造となっているのがこの宿の大きな特徴である。
この特徴的な構造の為山側から建物外観の全容を視認することは不可能で志津川湾の海上が絶好の視点となる。
【志津川湾から望む観洋の建物】
観洋外観(海側)
写真は建物の全容を志津川湾の船上から捉えた光景で波打ち際の岩肌をコンクリートで固めた基礎上に屹立する構造は確かに10層と確認できる。中層部にガラス窓が広く開口して他の階とは異なる外観に見える層が前項で紹介した5F部分でフロントロビー等のパブリック空間に充てられている。
【館内の構造】
大規模な施設ではあるが基本的には「東館」と「南館」のそれぞれが独立した10層構造の2棟で構成され両者は4F~6Fの3層に限定された連結部分に依って相互に往来できる構造となっている。
館内図4F5F
東館は南館に比較すると遙かに大きな面積を占め客室に加えて4Fの宴会場広間、5Fは多目的ホールやロビー機能の一部となる売店や海の景観を望む広いティーラウンジにレストラン等が配置されている。
館内図6F7F
更に6Fには食事会場としても使われるコンベンションホールが置かれていて東館の大きな部分にパブリック機能が集約されている。従って東館は「本館」と称しても良さそうに思えるのだが敢えて本館としなかったのは東館と南館の連結部分の建物が関わってそうである。
【連結部分考】
先に述べた通り観洋の館内では多くのパブリック機能が東館の4F~6Fに集約されているだけでなく2Fには志津川湾の景観を望む温泉大浴場と露天風呂の主要な施設も配置されているのだが既に紹介した様に施設の顔となる正面玄関とフロントにロビー等主要部が東館ではなく南館との連結部分に置かれているのでこれを意識して本館の呼称を避けたのではないだろうか。
因みに7Fの平面図で空白となっている部分が左側の東館と右手の南館を繋ぐ連結部分の建物で円弧状に海側に張り出した構造が特徴となっている。
5Fの案内
館内図や5Fの案内図を見ると東館の中央部に東館側玄関、レストラン入口と表示された出入口があり正面玄関の造りに劣らぬ大きなガラス扉が設置されているが正面玄関の動線から外れた位置に裏口の趣でひっそりと佇んでいる。
ここまで連結部分としてきた東館と南館の中間部分はこの案内図では「4F,5F,6Fは東館・南館の連絡通路になっています」と説明があり連絡通路とする素っ気ない扱いとなっている。
この様な状況から施設の変遷が浮かびあがる。即ち南三陸ホテル観洋の創業期は東館1棟のみの本館建物で現在では東館側と注釈が付く玄関は当時唯一正統なエントランス機能を果たしていたと想像できる。現在ゲームセンターやカラオケボックス、クラブやスナックの領域となっている東館側玄関周辺の空間は嘗てフロントロビーや売店等宿の中枢部が配置されていたのではないだろうか。
後に拡張計画が生じて増築されたであろう南館は別館の位置付けで本館(東館)と機能面の連続性を計る為に連結部分の建物を同時に整備したのであろう。
南館は4F~10F各々の階層に9室の客室と移動手段の階段、エレベーターのみを備える客室専用の設計で東館側の食事会場や大浴場等の施設への連絡は必須である。
連結部分の建物は3層の低層構造で4Fには東館2Fの大浴場を補完する第二の浴場が置かれ5Fは既に紹介した正面玄関のエントランスとフロント機能にロビー、売店、ティーラウンジの一部となっている。6F部分は畳敷きの大宴会場に充てられており隣り合う東館のコンベンションホールと共にパブリック空間を拡張する構造となっている。
【東館と南館のエレベーター】
東館エレベーター
東館の1F~10Fを連絡するエレベーターは東館側玄関とは至近の位置に3基が稼働してるが現在の正面玄関からは段差を経由して窓側に続く細長いティーラウンジに沿う経路を辿った先の角を曲がった不自然な動線上にある。この理由は先に考察した施設の拡張履歴に依るものであろう。
南館エレベーター
一方別館の位置付けに見える南館のエレベーターは4F~10Fの移動を2基で賄い4F~6F部分で連結部分経由で東館に連絡している。このエレベーターは連結部分の直近にありフロントロビーなどの連結部分と一体的に整備されたことが頷ける位置にある。
Part.3は南館客室を紹介
(00:00)
2019年04月19日
Part.1<図や写真をクリックすると拡大表示します>
【序章】
東北地方の1~2月は厳冬の期間で山間部のスキー場へ向かうことが多かったが2019年のこの時季は何度か宮城県沿岸部の女川町や南三陸町を訪問することになりその道中に南三陸町に大規模な施設を構える「南三陸ホテル観洋」の宿泊を組み込むこととなった。
「南三陸ホテル観洋」は過去にも宿泊経験があり今回が三度目となるが本サイトには初出稿である。
【宮城県沿岸部】
宮城県の太平洋沿岸部は
南部の亘理(わたり)町、岩沼市、名取市から北へ辿り仙台湾を囲む仙台市若林区、宮城野区を経て七ヶ浜町、塩竃(しおがま)市となりその先は僅かな海岸線が利府(りふ)町に属し松島町、東松島市から旧北上川の河口部に位置する石巻(いしのまき)市へ繋がっている。
仙台湾の北端を仕切る牡鹿(おしか)半島とその先端に浮かぶ金華山(きんかざん)は女川町の領域となる。更に海岸線を北に進むと一旦旧雄勝町(おがつちょう)の石巻市となり北上川の河口部に達する。
北上川を渡り海岸沿いを東に進むと追波(おっぱ)湾の十三浜(じゅうさんはま)を経て神割崎(かみわりざき)の岬を回って南三陸町へ入り志津川湾に沿って戸倉地区から北に進み志津川中心部に至る。更に北上を続けると伊里前(いさとまえ)湾に開けた歌津(うたつ)地区を通過して宮城県北端部の気仙沼市に入り小泉海岸、大谷(おおや)海岸を経て気仙沼湾を囲む市中心部に到達する。
気仙沼市の北隣は県境を越えた岩手県陸前高田市の領域となる。
【東日本大震災】
前項に列挙した太平洋沿岸部の全ての市町は2011年3月11日の14:46に発生した東日本大震災の大規模海底地震に伴う大津波に襲われて大きな被害を受けた地域でもある。夫々の地は地形に依る違いはあるものの津波の高さは10mから最大では40m程にも達したとされその被害は甚大で8年余りを経過した本稿の執筆時点(2019年3月)に於いても未だに復旧、復興の途上にある。
岩沼市と名取市に跨る仙台空港が津波に洗われて機能停止に陥ったことや気仙沼湾に流出した重油に引火して市内湾岸部に大火災が生じたこと、津波に押し流された大小多数の船舶が陸上や建物の上に取り残されたこと、多くの家屋や自動車が津波の激流に翻弄された様子等々8年前の被災の光景を記憶に残している方も多く居られるのではないかと思う。
上に列挙した被災の状況は基本的に宮城県内の事象に限定したが大震災の被害は千葉県から青森県に至る太平洋岸の広い地域に及んでいる。
特に福島県の東京電力福島第一原子力発電所が津波に依る浸水で自給電源を喪失して発生した炉心溶融は未だに廃炉の見通しも不透明な状態で電力供給を原発に頼ることの危うさを目の当たりにすることになった。
また岩手県では過去の津波災害の経験から高さが10mで総延長2kmにも及ぶ堅固な防潮堤に守られた田老(たろう)町の街並みも堤高を越える大津波からは逃れられないことも知った。
【南三陸町の位置】
宮城県沿岸部の北部に位置する本吉郡南三陸町は先に紹介した通り南は石巻市の旧北上町地区で北側は気仙沼市旧本吉町地区に接する位置にある。
南三陸町は宮城県内に70以上を数えた市町が半減した平成の大合併で本吉郡志津川町と同郡歌津町(うたつちよう)が2005年(平成17年)10月に合併してに誕生し町役場等の主要な行政施設は志津川地区に置かれた。
【志津川の復興】
旧志津川町の志津川地区は西の明石(兵庫県明石市)と並び称されれる蛸の産地として知られる水産業の街でその漁港に近接する低地には町役場や消防署、病院、金融機関、催事会館、娯楽施設、コンビニエンスストアや多種の商店、飲食店の営みがあったが8年前に一般住宅も含む町並みの全てが津波に襲われて瓦礫の山に変貌してしまった。
志津川地区にあった南三陸町防災庁舎では地震の直後から防災無線で高台への避難を呼びかけていたが1時間程後には鉄骨3F構造の屋上を越える津波に呑み込まれて43名の犠牲者を出す悲劇の象徴となった。
仮設商店街(2012年)
絶望的な状況の中でいち早く町の経済機能を取り戻すべく瓦礫の中から仮設の「南三陸さんさん商店街」が開設され地元民に加えてボランティア等の外来者にも利便を提供してきた。
案内図(2012年)
上の写真は2012年3月に何度か訪れた際に撮影した仮設商店街の姿である。
ミヤネ屋ロケ(2012年)
被災1年後の3月11日にはTV情報番組ミヤネ屋の現地ロケーションに遭遇したこともある。
新設商店街(2019年)
2017年3月には嵩上げ工事を終えた造成地に構築された商店街の永久施設に
案内図(2019年)
28店舗が移転して
商店街(2019年)
年間125万人を集客しているそうで新たな商業施設となっている。
イートイン
商店街の中心部の建物はテーブル席を備えたイートイン空間で商店街で調達した飲食物をゆったりとした雰囲気で賞味することができる。
オクトパス
建物の内部には志津川を象徴する蛸のモチーフで合格祈願に因んだオクトパス(置くと試験をパスする)の大型モデルが鎮座している。
【南三陸ホテル観洋の概要】
「南三陸ホテル観洋」は「南三陸さんさん商店街」がある志津川の中心部から車で数分の距離を南に下った国道R45沿いに位置している。
志津川湾に面する黒崎の高台斜面に鉄筋コンクリート造10層の建物を構え客室数244室に1300名を収容する大規模宿泊施設である。志津川では珍しい高層建築の観洋は志津川湾を取り囲む道路上や海上からもその威容に目を引かれる存在である。
因みに気仙沼市内にある「サンマリン気仙沼ホテル観洋」、「気仙沼プラザホテル」に海産物の販売と供食施設の「気仙沼お魚いちば」は何れも「南三陸ホテル観洋」と運営主体が同一の系列施設である。
大震災時には高台に建つ観洋の建物も海面に近い低層部の2F迄浸水したそうだが3F以上の上層部分は被災を免れ多くの客室が被災直後から暫くの間避難所に充てられていた。
Part.2は観洋の外観と館内の様子
【序章】
東北地方の1~2月は厳冬の期間で山間部のスキー場へ向かうことが多かったが2019年のこの時季は何度か宮城県沿岸部の女川町や南三陸町を訪問することになりその道中に南三陸町に大規模な施設を構える「南三陸ホテル観洋」の宿泊を組み込むこととなった。
「南三陸ホテル観洋」は過去にも宿泊経験があり今回が三度目となるが本サイトには初出稿である。
【宮城県沿岸部】
宮城県の太平洋沿岸部は
南部の亘理(わたり)町、岩沼市、名取市から北へ辿り仙台湾を囲む仙台市若林区、宮城野区を経て七ヶ浜町、塩竃(しおがま)市となりその先は僅かな海岸線が利府(りふ)町に属し松島町、東松島市から旧北上川の河口部に位置する石巻(いしのまき)市へ繋がっている。
仙台湾の北端を仕切る牡鹿(おしか)半島とその先端に浮かぶ金華山(きんかざん)は女川町の領域となる。更に海岸線を北に進むと一旦旧雄勝町(おがつちょう)の石巻市となり北上川の河口部に達する。
北上川を渡り海岸沿いを東に進むと追波(おっぱ)湾の十三浜(じゅうさんはま)を経て神割崎(かみわりざき)の岬を回って南三陸町へ入り志津川湾に沿って戸倉地区から北に進み志津川中心部に至る。更に北上を続けると伊里前(いさとまえ)湾に開けた歌津(うたつ)地区を通過して宮城県北端部の気仙沼市に入り小泉海岸、大谷(おおや)海岸を経て気仙沼湾を囲む市中心部に到達する。
気仙沼市の北隣は県境を越えた岩手県陸前高田市の領域となる。
【東日本大震災】
前項に列挙した太平洋沿岸部の全ての市町は2011年3月11日の14:46に発生した東日本大震災の大規模海底地震に伴う大津波に襲われて大きな被害を受けた地域でもある。夫々の地は地形に依る違いはあるものの津波の高さは10mから最大では40m程にも達したとされその被害は甚大で8年余りを経過した本稿の執筆時点(2019年3月)に於いても未だに復旧、復興の途上にある。
岩沼市と名取市に跨る仙台空港が津波に洗われて機能停止に陥ったことや気仙沼湾に流出した重油に引火して市内湾岸部に大火災が生じたこと、津波に押し流された大小多数の船舶が陸上や建物の上に取り残されたこと、多くの家屋や自動車が津波の激流に翻弄された様子等々8年前の被災の光景を記憶に残している方も多く居られるのではないかと思う。
上に列挙した被災の状況は基本的に宮城県内の事象に限定したが大震災の被害は千葉県から青森県に至る太平洋岸の広い地域に及んでいる。
特に福島県の東京電力福島第一原子力発電所が津波に依る浸水で自給電源を喪失して発生した炉心溶融は未だに廃炉の見通しも不透明な状態で電力供給を原発に頼ることの危うさを目の当たりにすることになった。
また岩手県では過去の津波災害の経験から高さが10mで総延長2kmにも及ぶ堅固な防潮堤に守られた田老(たろう)町の街並みも堤高を越える大津波からは逃れられないことも知った。
【南三陸町の位置】
宮城県沿岸部の北部に位置する本吉郡南三陸町は先に紹介した通り南は石巻市の旧北上町地区で北側は気仙沼市旧本吉町地区に接する位置にある。
南三陸町は宮城県内に70以上を数えた市町が半減した平成の大合併で本吉郡志津川町と同郡歌津町(うたつちよう)が2005年(平成17年)10月に合併してに誕生し町役場等の主要な行政施設は志津川地区に置かれた。
【志津川の復興】
旧志津川町の志津川地区は西の明石(兵庫県明石市)と並び称されれる蛸の産地として知られる水産業の街でその漁港に近接する低地には町役場や消防署、病院、金融機関、催事会館、娯楽施設、コンビニエンスストアや多種の商店、飲食店の営みがあったが8年前に一般住宅も含む町並みの全てが津波に襲われて瓦礫の山に変貌してしまった。
志津川地区にあった南三陸町防災庁舎では地震の直後から防災無線で高台への避難を呼びかけていたが1時間程後には鉄骨3F構造の屋上を越える津波に呑み込まれて43名の犠牲者を出す悲劇の象徴となった。
仮設商店街(2012年)
絶望的な状況の中でいち早く町の経済機能を取り戻すべく瓦礫の中から仮設の「南三陸さんさん商店街」が開設され地元民に加えてボランティア等の外来者にも利便を提供してきた。
案内図(2012年)
上の写真は2012年3月に何度か訪れた際に撮影した仮設商店街の姿である。
ミヤネ屋ロケ(2012年)
被災1年後の3月11日にはTV情報番組ミヤネ屋の現地ロケーションに遭遇したこともある。
新設商店街(2019年)
2017年3月には嵩上げ工事を終えた造成地に構築された商店街の永久施設に
案内図(2019年)
28店舗が移転して
商店街(2019年)
年間125万人を集客しているそうで新たな商業施設となっている。
イートイン
商店街の中心部の建物はテーブル席を備えたイートイン空間で商店街で調達した飲食物をゆったりとした雰囲気で賞味することができる。
オクトパス
建物の内部には志津川を象徴する蛸のモチーフで合格祈願に因んだオクトパス(置くと試験をパスする)の大型モデルが鎮座している。
【南三陸ホテル観洋の概要】
「南三陸ホテル観洋」は「南三陸さんさん商店街」がある志津川の中心部から車で数分の距離を南に下った国道R45沿いに位置している。
志津川湾に面する黒崎の高台斜面に鉄筋コンクリート造10層の建物を構え客室数244室に1300名を収容する大規模宿泊施設である。志津川では珍しい高層建築の観洋は志津川湾を取り囲む道路上や海上からもその威容に目を引かれる存在である。
因みに気仙沼市内にある「サンマリン気仙沼ホテル観洋」、「気仙沼プラザホテル」に海産物の販売と供食施設の「気仙沼お魚いちば」は何れも「南三陸ホテル観洋」と運営主体が同一の系列施設である。
大震災時には高台に建つ観洋の建物も海面に近い低層部の2F迄浸水したそうだが3F以上の上層部分は被災を免れ多くの客室が被災直後から暫くの間避難所に充てられていた。
Part.2は観洋の外観と館内の様子
(00:00)
2019年04月12日
<図や写真をクリックすると拡大表示します>
【序章】
2019年2月の寒い時季であったが宮城県沿岸部の南三陸町へ向かう機会があり昼食時に町内の志津川地区で「そば処すがわら」に立ち寄った。
【南三陸町】
本吉郡南三陸町は宮城県北部の太平洋沿岸部に位置し町域の南部は石巻(いしのまき)市、西側は登米(とめ)市、北部は気仙沼(けせんぬま)市に隣接する位置にある。
平成の大合併によって2005年(平成17年)に南三陸町が誕生する以前の町域は志津川(しづがわ)湾に開けた志津川町と伊里前(いさとまえ)湾に面する歌津(うたつ)町の2町に分かれていた。
2011年(平成23年)3月11日に発生した東北大震災の地震と津波が太平洋沿岸地域の市町村に甚大な被害を与えたことはご存じの通りで町内の志津川や歌津でも10mを越えて繰り返し襲来する津波によって海沿いの街並みは壊滅してしまった。
志津川地区にあった鉄骨3層構造の町防災庁舎は屋上に達する津波に洗われて多くの職員が殉職した悲劇として広く報道されたのでご存じの方も多いかと思う。防災庁舎より海側にあった堅固な4階建ての高野会館では屋上十数センチ迄浸水したが非難した在館者の足を濡らすを濡らす程の被害で済んだのが何よりの幸いであった。
現在町役場は高台に移り住宅地も高台に整備が進んでいるがこの地域の基盤産業となっている漁業の復興は湾岸部から切り離すことができず魚市場や商業用地の整備に嵩上げ工事が行われている。
【そば処すがわらの位置】
志津川地区では仮設店舗で営業を開始した複合商業施設の「南三陸さんさん商店街」が震災後の土地整備を終えた新天地に移転し商店街の復興を象徴する存在となっている。
店舗外観
「そば処すがわら」はこの商店街から漁港側寄りの区画整理地に新しい造りの店を構えている。
周囲の造成地に民家らしいものは見当たらず建物の数も疎らで災害復興の途上にあると理解できる。
玄関
玄関に吊り下げられた白地の暖簾は平仮名ですがわらの店名を添えた中央に大きな梅鉢の家紋が配置されている。
【余談: 梅鉢の家紋】
店名の「すがわら」は経営者の名字に由来するものと容易に想像できる。
東北地方に広く分布する菅原姓の起源は大宰府に流され後に大宰府天満宮に祀られ学問の神様、天神様として後世に伝えられた菅原道真(すがわらのみちざね)にあるとされる。道真が詠んだ「東風(こち)吹かば匂いおこせよ梅の花 主(あるじ)なしとて春な忘れそ(春を忘るな)」の詩に因んで菅原姓の家系では梅の花を象った家紋が採用されているのだとか。
しかし一口に梅鉢の家紋と言ってもその形状姿形は多様に展開されている。基本は五つの花弁の中心部にめしべとおしべを配したものだが中心部の細かい図柄に多くの変形があり花弁の周囲を丸や四角で囲んだり白黒反転が施されたものもあって変化に富んでいる。梅鉢と家紋のキーで検索できるので興味があればお試し戴きたい。
【そば処すがわらの店内】
フロア席
暖簾を潜って入った店内は右側のフロアが3脚12席程のテーブル席となっており
南面の窓
南向きのガラス窓から外光が射し込む明るい空間。左手は奥に向かってフロアの延長となる長い通路が伸びている。
座敷
この通路を進むと左側は外壁の窓に面して座卓を置く広い座敷で個室風に仕切る襖の備えも見えている。通路の右側奥は厨房の空間となっておりその手前には数席のカウンターも用意されている。
割箸とお茶
案内されたテーブル席には予め割箸とお手拭きが配置されており間を置かずお茶が運ばれる。箸袋に暖簾と同じ平仮名の店名と梅鉢の家紋が紫地に白抜きされているのはこの店の商標であろうか。
卓上装備
卓上の小さなトレイには醤油差しと爪楊枝に珍しい縦長の竹製容器が収められている。この容器の上部に見える楔状の木蓋を抜いて内部を確認すると予想に違わず七味を詰めた薬味入れで使用時には下部の細い栓を抜いて振り出す方式となっている。
今まで100軒を下らないそば店を訪問してきたが記憶の範囲でこの様な薬味入れには初めて遭遇した。
【品書】
テーブル毎に配置される品書は複数頁のバインダーが基本で更に両面にお勧めの品を紹介するカードケースが添付されている。
お勧め品
カードケースに記された今月のおすすめの品揃えは天丼や海鮮丼とそば類が主体となる構成でそばの専門店と言うより丼系のご飯ものとそばを提供する和食店の位置付けが適当ではないだろうか。トップを独占するたら天丼\920(ミニそばとセットで\1200)はこの時期が旬の鱈を活用した品で南三陸カキ天丼や限定の添書きがある南三陸カキそばは各々\990。眼前の志津川湾で養殖されている牡蠣は正に地場の純正海産物である。
他に単品ミニ丼もあり天丼とかつ丼は\580、ミニ海鮮丼は\780と設定されている。
プリンやコーヒー(共に\250)は和食店の範疇を超えて家族客の来店を意識したファミレス志向の品揃えに見える。
お勧め裏面
同じカードケースを裏返すとおすすめの天ざる\1200と絶品!と記された鴨ざる\1800に一番人気とされるかつ丼ミニそばセット\1200の3品が
紹介されている。
冷そばと温そば
バインダー型の品書を開くいた始めは見開きで冷たいそばと温かいそばの品がそれぞれ写真と共に紹介されている。
冷そばの天ざると鴨つけざるはカードケースの紹介にもあったがざるそば\680と大盛り+\200が案内されている。写真にある通りこの店のざるそばは刻み海苔を載せない方式で笊盛り(正確には簀の子盛り)を意味する呼称となっている。
温そばは天婦羅そば\860、鴨なんばん\1800に写真が省略されたかけそば\680などで大盛り+\200は冷そばと変わらぬ設定。
丼ものなど
頁を捲るとご飯類と単品料理の紹介で天丼\920とかつ丼\980の2品主体で夫々にミニそばのセットとミニ丼にざるそばのセットが展開されてそばはかけそばへの変更も可とされている。
左頁の下段にはカードケースに記載があった単品ミニ丼の天丼、かつ丼、海鮮丼に加えてミニ穴子丼\580の計4品が並び丼ものの品揃えも充実している。
【そばの注文】
今回はカードケースのお勧めに従って天ざるを発注し同行者は無難にざるそばを選択した。
【天ざるの容器】
天ざる
程なく運ばれた天ざるはお膳風の角盆がそばや天ぷらの盛り付位置につゆと薬味を収める部分に分割され夫々が定位置に整然と配置されているが天ぷら用の塩皿の行き場がなく仕切り壁の上で宙に浮いた不自然な存在に違和感を感じる。更につゆ猪口は収納部に開口する穴に埋め込まれているので左手に猪口を持ってそばを啜り上げるには毎回穴から猪口を垂直に取り出す左腕の不自然な動作を強制されるのでそば食の自然な動きを阻害している。ざるそばと天ぷらを纏めて盛り付ける為に採用された方式であろうが食する側からすると天ぷら用の塩皿やつゆ猪口は人間工学的に極めて不自然な配置で食事中は常にひっくり返したりぶつけてこぼしたりしない様に細心の注意が要求されてストレスを高める以外の何ものでもない。
ざるそば
一方同行者発注のざるそばは簀の子敷きの皿盛りにつゆ猪口と薬味、漬物小皿が角盆に載せて供される。この形式は多くのそば店で普通に採用されている平面の配置で左手でつゆ猪口を斜め内側に持ち上げてしそばを漬ける動作に違和感はない。
天ざるでもそば皿と天ぷら皿を載せられる一回り大きな角盆に猪口や小皿を平面に並べればそば食の動作の支障を解消できるのと思う。今まで体験した大概のそば屋はこの形式で供されており今回の様な箸運びに違和感を覚えたことは無かった。天ざるをお勧めと謳う店ならば提供方式にも拘りを持って食する側への配慮を期待したい。
【天ぷら】
天ぷら
天ぷら種は海老、キスの海産物にピーマン、薩摩芋、シメジの5種。
天ぷら
食すると衣のさっくりした感触が程良い上質な仕上がりと感じる。
【そばとつゆ】
そばの色
簀の子盛りのそばは透明感に乏しい薄い褐色を呈する麺の表面に鏤められた多数の細かいホシが見える。会計時に確認したところ二八そばとのこと。
そば切り寸法
割箸で掬い上げたそばが標準的な3mm程で均一に切り揃えられているのは機械製麺に依るものであろうか。品書や店内掲示にも手打ちの文字を見掛けることはなかった。
そばそのものは取り立てた特徴を感じない仕上がりで専門店の水準にやや不足を感じるのが残念だが猪口で供されるつゆは出色ものである。節の香りが立ち辛みが優るつゆは江戸そば風の仕上げで特徴が薄いそばの趣きを引き立てる存在で好ましい。
山葵と
薬味の下し山葵を載せて食するそばにも相性が良くつゆの力強さが伝わってくる。海産物が豊富で多様な出汁の材料に恵まれる立地故のものかと思われる。
【そば湯】
そば湯桶
朱塗り円形の湯桶は多くのそば屋で普通に見掛けるものであるがそばの提供とほぼ同時に運ばれる方式に疑問を感じた。
保温性に乏しい湯桶のそば湯はそばを食する時間経過と伴に放熱が進み温い湯に変貌する宿命にあるので多くの専門店ではそば食を終える頃合にそば湯が給仕されるのが常態である。
この方式ではそばを出した時間的な履歴を掌握している厨房か客のそば食動向が見極められる接客担当のいずれかが管理して食する側の利便を計っている。
一方そばと同時にそば湯も出してしまえばその後の配慮を一切省略でき給仕の手抜きが可能な省エネサービスが実現できるがそばの専門店ならもう少し客側に寄り添う心配りが欲しいと思う。
そば湯
湯桶の蓋を取ると底が見通せる程の透明湯が収められている。
桶は内面の塗りに割れが認められ開口部回りの朱塗りにも下地が露出する剥離があることから使用歴を重ねたものらしい。店構えは新しいがそばの商いはより年季を積んでいる様に感じる。
そば湯スープ
いつもと変わらずつゆの残りをそば湯で割って刻み葱の風味を加えたスープに仕立てる恒例行事でそば食を締め括った。
【終章】
東日本大震災から8年近く経過した時点で未だに災害復興の途上にある南三陸町志津川沿岸部の嵩上げ造成地に新築の独立店舗を構える「そば処すがわら」は専らそばと丼物を提供するそば店である。
機械打ちと思われる二八そばの出来は平凡だが冷そばのつゆは優れており天ぷらの仕上げも上質で一度の経験をお勧めしたい。
志津川方面に出向く機会があれば沿岸部の震災復興の心を込めて「そば処すがわら」と近隣の「南三陸さんさん商店街」へ足を向けて戴ければと思う。
完
【序章】
2019年2月の寒い時季であったが宮城県沿岸部の南三陸町へ向かう機会があり昼食時に町内の志津川地区で「そば処すがわら」に立ち寄った。
【南三陸町】
本吉郡南三陸町は宮城県北部の太平洋沿岸部に位置し町域の南部は石巻(いしのまき)市、西側は登米(とめ)市、北部は気仙沼(けせんぬま)市に隣接する位置にある。
平成の大合併によって2005年(平成17年)に南三陸町が誕生する以前の町域は志津川(しづがわ)湾に開けた志津川町と伊里前(いさとまえ)湾に面する歌津(うたつ)町の2町に分かれていた。
2011年(平成23年)3月11日に発生した東北大震災の地震と津波が太平洋沿岸地域の市町村に甚大な被害を与えたことはご存じの通りで町内の志津川や歌津でも10mを越えて繰り返し襲来する津波によって海沿いの街並みは壊滅してしまった。
志津川地区にあった鉄骨3層構造の町防災庁舎は屋上に達する津波に洗われて多くの職員が殉職した悲劇として広く報道されたのでご存じの方も多いかと思う。防災庁舎より海側にあった堅固な4階建ての高野会館では屋上十数センチ迄浸水したが非難した在館者の足を濡らすを濡らす程の被害で済んだのが何よりの幸いであった。
現在町役場は高台に移り住宅地も高台に整備が進んでいるがこの地域の基盤産業となっている漁業の復興は湾岸部から切り離すことができず魚市場や商業用地の整備に嵩上げ工事が行われている。
【そば処すがわらの位置】
志津川地区では仮設店舗で営業を開始した複合商業施設の「南三陸さんさん商店街」が震災後の土地整備を終えた新天地に移転し商店街の復興を象徴する存在となっている。
店舗外観
「そば処すがわら」はこの商店街から漁港側寄りの区画整理地に新しい造りの店を構えている。
周囲の造成地に民家らしいものは見当たらず建物の数も疎らで災害復興の途上にあると理解できる。
玄関
玄関に吊り下げられた白地の暖簾は平仮名ですがわらの店名を添えた中央に大きな梅鉢の家紋が配置されている。
【余談: 梅鉢の家紋】
店名の「すがわら」は経営者の名字に由来するものと容易に想像できる。
東北地方に広く分布する菅原姓の起源は大宰府に流され後に大宰府天満宮に祀られ学問の神様、天神様として後世に伝えられた菅原道真(すがわらのみちざね)にあるとされる。道真が詠んだ「東風(こち)吹かば匂いおこせよ梅の花 主(あるじ)なしとて春な忘れそ(春を忘るな)」の詩に因んで菅原姓の家系では梅の花を象った家紋が採用されているのだとか。
しかし一口に梅鉢の家紋と言ってもその形状姿形は多様に展開されている。基本は五つの花弁の中心部にめしべとおしべを配したものだが中心部の細かい図柄に多くの変形があり花弁の周囲を丸や四角で囲んだり白黒反転が施されたものもあって変化に富んでいる。梅鉢と家紋のキーで検索できるので興味があればお試し戴きたい。
【そば処すがわらの店内】
フロア席
暖簾を潜って入った店内は右側のフロアが3脚12席程のテーブル席となっており
南面の窓
南向きのガラス窓から外光が射し込む明るい空間。左手は奥に向かってフロアの延長となる長い通路が伸びている。
座敷
この通路を進むと左側は外壁の窓に面して座卓を置く広い座敷で個室風に仕切る襖の備えも見えている。通路の右側奥は厨房の空間となっておりその手前には数席のカウンターも用意されている。
割箸とお茶
案内されたテーブル席には予め割箸とお手拭きが配置されており間を置かずお茶が運ばれる。箸袋に暖簾と同じ平仮名の店名と梅鉢の家紋が紫地に白抜きされているのはこの店の商標であろうか。
卓上装備
卓上の小さなトレイには醤油差しと爪楊枝に珍しい縦長の竹製容器が収められている。この容器の上部に見える楔状の木蓋を抜いて内部を確認すると予想に違わず七味を詰めた薬味入れで使用時には下部の細い栓を抜いて振り出す方式となっている。
今まで100軒を下らないそば店を訪問してきたが記憶の範囲でこの様な薬味入れには初めて遭遇した。
【品書】
テーブル毎に配置される品書は複数頁のバインダーが基本で更に両面にお勧めの品を紹介するカードケースが添付されている。
お勧め品
カードケースに記された今月のおすすめの品揃えは天丼や海鮮丼とそば類が主体となる構成でそばの専門店と言うより丼系のご飯ものとそばを提供する和食店の位置付けが適当ではないだろうか。トップを独占するたら天丼\920(ミニそばとセットで\1200)はこの時期が旬の鱈を活用した品で南三陸カキ天丼や限定の添書きがある南三陸カキそばは各々\990。眼前の志津川湾で養殖されている牡蠣は正に地場の純正海産物である。
他に単品ミニ丼もあり天丼とかつ丼は\580、ミニ海鮮丼は\780と設定されている。
プリンやコーヒー(共に\250)は和食店の範疇を超えて家族客の来店を意識したファミレス志向の品揃えに見える。
お勧め裏面
同じカードケースを裏返すとおすすめの天ざる\1200と絶品!と記された鴨ざる\1800に一番人気とされるかつ丼ミニそばセット\1200の3品が
紹介されている。
冷そばと温そば
バインダー型の品書を開くいた始めは見開きで冷たいそばと温かいそばの品がそれぞれ写真と共に紹介されている。
冷そばの天ざると鴨つけざるはカードケースの紹介にもあったがざるそば\680と大盛り+\200が案内されている。写真にある通りこの店のざるそばは刻み海苔を載せない方式で笊盛り(正確には簀の子盛り)を意味する呼称となっている。
温そばは天婦羅そば\860、鴨なんばん\1800に写真が省略されたかけそば\680などで大盛り+\200は冷そばと変わらぬ設定。
丼ものなど
頁を捲るとご飯類と単品料理の紹介で天丼\920とかつ丼\980の2品主体で夫々にミニそばのセットとミニ丼にざるそばのセットが展開されてそばはかけそばへの変更も可とされている。
左頁の下段にはカードケースに記載があった単品ミニ丼の天丼、かつ丼、海鮮丼に加えてミニ穴子丼\580の計4品が並び丼ものの品揃えも充実している。
【そばの注文】
今回はカードケースのお勧めに従って天ざるを発注し同行者は無難にざるそばを選択した。
【天ざるの容器】
天ざる
程なく運ばれた天ざるはお膳風の角盆がそばや天ぷらの盛り付位置につゆと薬味を収める部分に分割され夫々が定位置に整然と配置されているが天ぷら用の塩皿の行き場がなく仕切り壁の上で宙に浮いた不自然な存在に違和感を感じる。更につゆ猪口は収納部に開口する穴に埋め込まれているので左手に猪口を持ってそばを啜り上げるには毎回穴から猪口を垂直に取り出す左腕の不自然な動作を強制されるのでそば食の自然な動きを阻害している。ざるそばと天ぷらを纏めて盛り付ける為に採用された方式であろうが食する側からすると天ぷら用の塩皿やつゆ猪口は人間工学的に極めて不自然な配置で食事中は常にひっくり返したりぶつけてこぼしたりしない様に細心の注意が要求されてストレスを高める以外の何ものでもない。
ざるそば
一方同行者発注のざるそばは簀の子敷きの皿盛りにつゆ猪口と薬味、漬物小皿が角盆に載せて供される。この形式は多くのそば店で普通に採用されている平面の配置で左手でつゆ猪口を斜め内側に持ち上げてしそばを漬ける動作に違和感はない。
天ざるでもそば皿と天ぷら皿を載せられる一回り大きな角盆に猪口や小皿を平面に並べればそば食の動作の支障を解消できるのと思う。今まで体験した大概のそば屋はこの形式で供されており今回の様な箸運びに違和感を覚えたことは無かった。天ざるをお勧めと謳う店ならば提供方式にも拘りを持って食する側への配慮を期待したい。
【天ぷら】
天ぷら
天ぷら種は海老、キスの海産物にピーマン、薩摩芋、シメジの5種。
天ぷら
食すると衣のさっくりした感触が程良い上質な仕上がりと感じる。
【そばとつゆ】
そばの色
簀の子盛りのそばは透明感に乏しい薄い褐色を呈する麺の表面に鏤められた多数の細かいホシが見える。会計時に確認したところ二八そばとのこと。
そば切り寸法
割箸で掬い上げたそばが標準的な3mm程で均一に切り揃えられているのは機械製麺に依るものであろうか。品書や店内掲示にも手打ちの文字を見掛けることはなかった。
そばそのものは取り立てた特徴を感じない仕上がりで専門店の水準にやや不足を感じるのが残念だが猪口で供されるつゆは出色ものである。節の香りが立ち辛みが優るつゆは江戸そば風の仕上げで特徴が薄いそばの趣きを引き立てる存在で好ましい。
山葵と
薬味の下し山葵を載せて食するそばにも相性が良くつゆの力強さが伝わってくる。海産物が豊富で多様な出汁の材料に恵まれる立地故のものかと思われる。
【そば湯】
そば湯桶
朱塗り円形の湯桶は多くのそば屋で普通に見掛けるものであるがそばの提供とほぼ同時に運ばれる方式に疑問を感じた。
保温性に乏しい湯桶のそば湯はそばを食する時間経過と伴に放熱が進み温い湯に変貌する宿命にあるので多くの専門店ではそば食を終える頃合にそば湯が給仕されるのが常態である。
この方式ではそばを出した時間的な履歴を掌握している厨房か客のそば食動向が見極められる接客担当のいずれかが管理して食する側の利便を計っている。
一方そばと同時にそば湯も出してしまえばその後の配慮を一切省略でき給仕の手抜きが可能な省エネサービスが実現できるがそばの専門店ならもう少し客側に寄り添う心配りが欲しいと思う。
そば湯
湯桶の蓋を取ると底が見通せる程の透明湯が収められている。
桶は内面の塗りに割れが認められ開口部回りの朱塗りにも下地が露出する剥離があることから使用歴を重ねたものらしい。店構えは新しいがそばの商いはより年季を積んでいる様に感じる。
そば湯スープ
いつもと変わらずつゆの残りをそば湯で割って刻み葱の風味を加えたスープに仕立てる恒例行事でそば食を締め括った。
【終章】
東日本大震災から8年近く経過した時点で未だに災害復興の途上にある南三陸町志津川沿岸部の嵩上げ造成地に新築の独立店舗を構える「そば処すがわら」は専らそばと丼物を提供するそば店である。
機械打ちと思われる二八そばの出来は平凡だが冷そばのつゆは優れており天ぷらの仕上げも上質で一度の経験をお勧めしたい。
志津川方面に出向く機会があれば沿岸部の震災復興の心を込めて「そば処すがわら」と近隣の「南三陸さんさん商店街」へ足を向けて戴ければと思う。
完
(00:00)
2019年04月05日
<図や写真をクリックすると拡大表示します>
【序章】
2019年1月下旬の遠刈田温泉街は真冬の装いであったが偶々情報を得た「匠庵(しょうあん)」が提供する十割手打ちそばに衝撃を受けてしまった。
今回は蔵王町遠刈田温泉「匠庵」の紹介である。
【遠刈田温泉と「匠庵」】
宮城県蔵王町の遠刈田温泉街は県境を越えて山形県上山市に繋がる蔵王エコーラインr12と白石市へ抜けるR457(更にその途中で分岐して七ヶ宿町方面へ向かう県道も延びる)の道筋に位置する故に以前からエコーラインの往来や七ヶ宿そば街道に通う毎に幾度となく通り抜けてきた。
また単なる通過地点ではなく冬季にはスキー旅でえぼしリゾートやすみかわスノーパークを訪れ周辺で温泉を備えるペンションの幾つかに宿泊経験があり湯宿飛鳥やペンションどんぐり、ペンションコットンくらぶは既に掲載済である。
これらに加えてそば専門店「翠嶺亭」の訪問記も紹介した他に数件の未訪店リストを保持しているが「匠庵」は今回初めて知る店であった。
蔵王町が配布しているグルメガイドのパンフレットを偶々入手したことが「匠庵」の存在を知る契機であった。
なおこのガイドにはそば屋に限らず町内の供食店舗が掲載されているが先に触れた「翠嶺亭」のは掲載されていなかった。老夫婦で営業する店であったので休業或いは閉店した可能性を否定できないが現状は未確認である。
【匠庵の位置と外観】
匠庵は遠刈田温泉街の真っ只中に店を構えていた。
温泉街中心部の目印となる神の湯の目と鼻の先で県道r12の信号を渡り徒歩1分以内の範囲にある。
匠庵の店舗
周囲には3層のビルが建ち並ぶ中で低層2階建てに数件の店が入居する長屋風構造の一画を占めている。
匠庵
長屋風とは言ったが店舗部分の外観は装いが新しく白タイル風の外壁に清潔感を感じる好ましい造りでアルミ格子の玄関引き戸上に十割そば匠庵の木製看板が掲げられその下には手打ちそばと大書きした白暖簾が懸かり如何にもそば屋の雰囲気を醸している。
玄関脇には十割手打ちそばと屋号の文字を染めた幟の手前に設置されている待合用の長椅子が行列ができる店の証明となっている。長椅子の座面を覆う長座布団は寒冷期の待合客への温かな心遣いを感じる。
【匠庵の店内】
幸いなことに店外待機がなく入店できた。
厨房とカウンター
店内は右手に厨房がありその手前に僅か2席の小さなカウンター席が設置されている。
フロア席
左側のフロア席には2脚のテーブルが配置されて4席と6席の計10席が用意されている。
テーブル奥の壁面に設置された扉とガラス窓から別室の存在を認めるが窓越しに垣間見える壁掛けの打ち棒が無言でそば打ち場と語っている。
先客の下膳作業で僅かな時間待たされた後にフロア奥側のテーブルに通された。
店内客席
上はこの席から玄関方向を見た店内の様子で背後には別室の打ち場が控えている。
座卓席入口
更にこの席からは厨房側に隣り合う位置に座卓席が設けられている。小上がり席と云いたいが厨房やカンター席とは壁で仕切られた個室風の設えとなっているが扉や障子等の間仕切りがない半解放の空間で座卓には最大8名程の着席が可能に見える。室内に先客の姿を認めたので内部の撮影は自粛して入口のみとした。この画角から厨房やカウンター席と個室入口の位置関係を理解戴けると思う。
【卓上の装備品】
卓上
テーブル上には七味の樽と抹茶塩に見えるガラス瓶の薬味容器に爪楊枝立てが小振りのトレーに載りその奥に品書が立てかけられている。
【品書】
カードケースに収まる品書を手に取るとその内容は冷そば4種に温そば3種と簡潔を極めた品揃えが好ましい。しかも子細に見ると冷そばのもりそば\800、天ぷら付もりそば\1200は通年の提供だがぶっかけそば\1000とえび天付ぶっかけそば\1100は夏季限定のマークが付され1月の訪問時には存在しない品となっている。
更に温そばを見るとかけそば\800、えび天そば\1000、なめこそば\900の3品いずれもが冬季限定の設定。従って訪問時の冬季は冷そば2種+温そば3種の計5品限定の品揃えで夏期には4品の冷そばのみが提供される単純明快な構成にこの店の潔さを感じる。
品書の末尾には大盛り+\300の記載があり各々の大盛りに一律加算される分かり易い料金体系となっている。
牡丹種の掲示
品書とは別に壁面には北海道産牡丹(ぼたん)そばは+\100と伝える掲示がある。
接客担当者の説明に依ると匠庵の基本的なそばは階上早生(はしかみわせ)種を使用しているそうだが別途牡丹種も用意する姿勢にこの店の強い拘りを感じる。牡丹そば10食限定だとか。
因みに牡丹は国内でダントツの蕎麦生産地となっている北海道で栽培され甘みが強い優良な品種として知られた存在である。一方の階上早生は青森県が主要な生産地の品種とされている。
口上
テーブル上には品書の他に店舗を紹介する口上書きが添えられて国内産玄蕎麦を自家製粉で十割そばに手打ちしていることとつゆは化学調味料を使わない自家製であることが説明されている。
【そばの注文】
そばの注文に関しては以前から繰り返し述べている様に初訪のそば店では蕎麦打ちの技量が分かり易い基本的なもりそばの発注を常としている。今回の匠庵でもこの原則通りもりそばを発注した。
もりそば
店内の様子を眺めているとやがて運ばれたもりそばは簀の子敷きの皿盛りで供されつゆ猪口と薬味小皿に豆腐と漬物の小鉢が添付される。薬味は標準的な刻み葱と下ろし山葵の2種。
十割そば
皿盛りのそばを一見しただけでその美しさに感動を覚えた。
手打ちそば
何より手打ちの十割そばには透明感があり玄蕎麦外皮に由来するホシが麺の表面に限らず内部に埋め込まれているもの迄透けて見えている。加えて見た通りの極細形容に値する細打ち麺。
細打ち麺
箸に掬い上げた麺は断面が2mmに満たない極細麺でありながらしなやかな腰を備えているので啜り上げて食する口当たりも心地良い。
初訪店の十割そばとしては久しぶりに出会った上質な手打ちそばと感じた。
山葵風味で
薬味なしでも食が進む旨いそばだが後半になって添付の山葵を試してみると上質な山葵特有の仄かな甘い風味が加わる好ましいものであった。
但し山葵の風味を加えなくても最後迄飽きずに食することができる程の優れたそばである。
そばつゆはそばを引き立てる脇役の存在だが上質なそばとの相性が良く過不足に言及する必要を感じないものであった。
【そば湯】
そば食中に角形湯桶でそば湯が供された。
そば湯
桶の蓋を外して中を覗くと濃厚な白色沈澱を伴う湯が収められていた。
そば湯割り
そば食後に猪口に残ったつゆをそば湯で割り薄め刻み葱の風味を加えたスープに仕立てるのは何時もと変わらぬ恒例行事で上質なそばを食した余韻に浸る幸せな一時を過ごすことができた。
【終章】
今回初めて存在を知ったは遠刈田温泉街の中心部に暖簾を下げる小さなそば店だが提供される十割手打ちそばは以前から優れたそばの代表として紹介してきた七ヶ宿町の「がんこ」や山形市内の「梅蕎麦」に肩を並べる上質なものであった。一度は「匠庵」のそばの体験を推奨する。
店の前で路上駐車する数組の訪問者を見掛けたが神の湯に隣接する1時間以内駐車無料の町営駐車場に車を入れて徒歩数分の僅かな距離にある店へ向かうことをお勧めしたい。
完
(00:00)
2019年03月29日
<図や写真をクリックすると拡大表示します>
【序章】
山形県尾花沢市には尾花沢そば街道を名乗る10軒のそば店が営業している。
今回はその内の「そばや匠(しょう)」を紹介する。
【尾花沢市の地理】
尾花沢市は東側の山間部の県境で宮城県加美郡加美町の旧小野田町地域と鍋越峠を介して接している。
県内は山刀伐峠をr28で連絡する北部の最上町から反時計回りに舟形町、大石田町、村山市に囲まれ南端は東根市と隣り合っている。
従って市域の北部と東部は奥羽山脈が屹立する山間地で南東部の山懐には大正ロマンの街並みとして知られる銀山温泉やスキー場を備える花笠高原が控えている。
この様な地形から市域の平坦部は市役所が置かれている西部とR347に沿う丹生川流域の耕作地に限られている。幹線交通網も山形県内から秋田県へ縦貫するR13とこれに並行して建設が進む北中央道や鉄路の山形新幹線(奥羽本線)は北西端の僅かな区間を掠める存在に過ぎない。
農産物は夏期に出荷される尾花沢西瓜が知られているが平坦地の水稲耕作や最上早稲種の蕎麦栽培も盛んに行われている。
【尾花沢市への道筋】
仙台市方向から尾花沢市へ向かうには
�@R48の国道で関山トンネルを越えて東根市から村山市方向へ北上する
�A宮城県内のR457を北上し加美町からR347を西進して鍋越トンネルを潜り市域の母袋地区に入る
のが主要な道筋となる。
嘗てR347は国道でありながら宮城県側にセンターラインも無い狭路難路部が多数あって恒常的に冬季閉鎖されていたが近年改良工事が完了したことで両ルート共基本的に冬季通行が確保されている。
【尾花沢そば街道】
本題である「そばや匠(しょう)」を紹介する前に先ず市内のそば店で構成される尾花沢そば街道の概要を見ておく。
尾花沢市商工観光課のパンフレットに依ると尾花沢そば街道は10軒の店舗で構成され各店に識別の番号が設定されているので以下に列挙する。
一番店 手打そば たか橋
二番店 そば処 明友庵
三番店 そばや匠
四番店 食事処 柏屋
五番店 名代そば処 福原屋
六番店 そば処 べにばな庵(花笠の湯)
七番店 そば処 鶴子
八番店 真手打そば銀山 だんごや
九番店 そば処酒所 伊豆の華
十番店 滝見館
一番店はR13尾花沢バイパスの南端付近に構える大型店で国道から見える唯一の存在。
二番から五番の4店舗は一番店からR13を北に僅か進んだ先で右手に分岐するし市域の中心部を縦断する旧街道(現在は県道r120となっているが尾花沢バイパスが開通する前はこの道がR13であったろうと思われる)に沿って南側から番号順に並んでいる。
六番店は市域南東部に広がる田園地帯に位置する徳良湖温泉花笠の湯に付随する供食施設(レストラン)である。
七番店は徳良湖より更に南東部にスキー場を備える山地の花笠高原に店を構えている。
八番店は徳良湖より東部に位置する銀山温泉へ向かう道筋にあり
九番と十番店は銀山温泉街の中でそばを供する店である。
【そばや匠の外観】
尾花沢そば街道の三番店とされる「そばや匠」は先に触れた通り県道r120の街道沿いに立地している。
店舗の外観
白壁を纏った総二階に切妻屋根を載せた建物の外観は今風の造りに見えるが
玄関部分
道路側に張り出した玄関部分は基礎土台や壁の色違いから明らかに後付の構造物に見える。
駐車場側の看板
店舗の南側には広い未舗装の駐車空間がありその道路側に立つ店名の看板や幟がそば屋の存在を誇示している。
看板と幟
この看板は市のパンフレットとは異なりそば街道三番所と表記されている。また黄色の幟には最上地方を代表する蕎麦品種の最上早生が強調されている。
【そばや匠の店内】
店内
小振りの白暖簾を潜って引き戸を開けた店内は正面奥に厨房が置かれて左側の奥に広がるフロアは手前に数席の小さなカウンターが設けられており道路に面する窓側には3脚のテーブル席が並んでいる。右手には座卓を設えた小上がり席も見えている。
打ち場
窓に面したテーブル席の背後はガラス窓で仕切られた麺打ち場の設えがそば屋らしい存在感を演出している。
小上がりには先客の姿が見えたので空席があったテーブル席に着いた。
机上の備品
テーブル上には品書に割り箸と爪楊枝を収めた箸箱の一般的な装備に加えて七味、塩、黒胡椒の容器が整えられている。
そば屋に胡椒の薬味は違和感を感じるかも知れないが次項で紹介する通りこの店ではラーメンの提供もある。
以前から何度か述べてきたが山形県はそばのに劣らぬ程にラーメンの食文化も根付いておりラーメンを供するそば屋は決して珍しいことではなく当たり前の存在となっている。
箸箱の手前に見る無線コール装置はファミレス等の大規模店では必須だが小規模なそば店にも普及し始めている様である。
【品書】
バインダー型の品書を開くと
冷そば
冷物はそばとうどん共通とされておりこの部分の並び順は高額品を優先している様に見える。トップは天ざる\1400で以降にキス天ざる\950、げそ天ざる\850に板そば(二人前)\1050、板そば(三人前)\1500が続いている。板そばはそばと明示されているが対応する板うどんがあるのかは不明。
冷そばの基本である大ざる\800、ざる\650、大もり\750、もり\600が並んでいるのは後半部分でここに至ってもりそばと刻み海苔を載せるざるそばの峻別があると初めて知ることになる。この様な並び順は初訪者に大変分かり辛い構成と言わざるを得ない。
末尾に配されたあいもり(そばと中華麺)\650はラーメンも商う店独特の品揃えである。あいもりはもりの扱いと思われるのでそばに海苔のトッピングは無いだろうが中華麺はそばつゆで食する趣向であろうか。
価格体系を見ると大盛りと普通もりの価格差はもり、ざる、げそ天ざるのいずれも\150を加算する統一された設定となっている。
天ぷらを添えるそばはざるに限定されており天もりの設定が無いのが残念である。個人的には上質なそば程海苔の強い香りが邪魔になるので天もりを所望したい場合には天ざるの海苔抜きを指定するか設定があれば単品の天ぷらをもりそばに追加することになり大概は割高な料金を払う羽目となる。ざるそばともりそばに明確な価格差を設けている店ならば価格体系に見合った天もりそばの設定を是非お願いしたい。
温そば
冷物と同頁の下段に温物の品揃えが記されておりちらもそばとうどん共通料理が天ぷら系の高額品から並ぶ構成となっている。
個人的に温そばは興味がないが末尾のかけそば(又はうどん)\600はもりそばと同額でこれに天かすを加えるたぬきそば(うどん)の\650はざるそばと同水準に設定されている。
中央部に記載されたかもせいろは温物扱いとなっているが温かい鴨汁に冷たいそばを浸けて食する冷温折衷の品で冷そばとする店と温そばに分類する店に分かれる微妙な存在となっている。
温物の品々には冷そばと異なり大盛りの設置が無く左端に大盛りは\200増しと記載されている。従って温そばの大盛りは冷そばの価格差\150よりも割高となっている。
ラーメン
先に触れた通り「そばや匠」では"山形県民が熱愛する"ラーメンも提供している。
品書のラーメンの部分にはトップのげそ天ラーメン\850にラーメン\600、チャーシューメン\800、みそラーメン\700が続く。次に手書きで訂正された中華ザル\600、中華大ザル\750は中華つけ麺ということだろうか。
更に夏季限定品として冷しラーメン\650、冷し中華\800、つけめん\800の3品の後に4種のラーメンもりそばセットでそばとラーメンの共生を訴えている様に見える。
単品とご飯物
ラーメンの下段は薬味と称する主に天ぷら主体の単品料理が並んでいる。
天ぷら\850、キス天ぷら\500、げそ天ぷら\400は先に見たざるそば\650にそれぞれ加算すると天ぷらが\1500(天ざるは\1400)、キス天は\1150(キス天ざる\950)、げそ天\1050(げそ天ざる\850)となりいずれも単品では\100~\200割高の設定となっている。
天ぷらの他に大根おろし\150、納豆\200もある。
更にご飯物も用意されてライス\200、半ライス\150にいずれも\350のミニ下足天丼とミニカレー丼が載っている。
飲料
他にビールや清酒のアルコール飲料類とソフトドリンクも用意されている。
ランチセット
品書のバインダーとは別に昼食時限定の品を紹介するカードケースを認めた。11:00~14:00の平日限定とされるランチセットメニューはミニ下足天丼かミニカレー丼のいずれかに半ラーメンか半もりそばを組み合わせる4種の選択肢に小鉢と漬物に飲料が付いて\850という手頃価格に魅力を感じる。
晩酌セット
更にフロア壁面の晩酌セットが掲示されていた。これは17:00~20:00の夜間限定で中生ビールか清酒2合にラーメンか盛りそばのセットが\980で提供されるものでいわゆるほろ酔いセットの位置付けと思われる。
ランチセットや晩酌セットは地元民に多彩なサービスを提供しようとする姿勢が感じられる。
【そばの注文】
初訪の店ではまず基本となる冷たいもりそば(或いはせいろそば)か天ぷら付のもり(天せいろ)の注文を常としている。
この時は腹具合から天ぷら付を求めたかったが先に品書で見た通り天もりそばの設定はなく店員に確認すると天ざるの海苔抜きでの対応となるとのことであった。不要な海苔の為に海苔付き料金を払って海苔抜きを指定する不合理に納得がいかぬ貧乏性故に天ぷらを諦めてもりそばを選択することになった。
【そばや匠のそば】
もりそば
暫くして運ばれたもりそばは簀の子を敷いた皿盛りで猪口入りのつゆの他に薬味と漬物の小皿が添えられている。
つゆと薬味類
薬味は刻み葱と山葵に加えて別皿の下ろし大根の3種。
漬物は都会風でシンプルに沢庵2片が小皿に鎮座しており漬物が豊富に振る舞われる田舎風情のそば店とは一線を画している。
そば
皿盛りのそばは薄い褐色の表面に疎らなホシを認める透明感が無い中太麺だが拡大すると内部にも微細なホシが埋め込まれている様に見える。この様な麺の特徴から最上早稲の丸抜き製粉を手打ちで二八そばに仕立てたものであろう。会計時に二八の配合と確認している。
麺の太さ
割り箸で掬い上げると麺の太さのばらつきがあり太いものは割り箸先端寸法の5mm程もある。これは手打ち行程の手切りに依るものと思われる。
麺の太さ
但し極端に太いものを除く大多数の麺は一般的な3mm程の中太(中細)で口当たりが良く食し易いそばである。
そばの相手のつゆに際立った特徴は無いが不足も感じない普通の仕上がりであった。
山葵で
そば食の後半になって薬味の山葵を添えると鼻に抜ける刺激と口腔に広がる仄かな甘みが追加され風味の変化を楽しむことができた。
【そば湯】
湯桶
そば食後半に朱塗りの円筒湯桶でそば湯が供された
そば湯
桶の蓋を取るとその中には底部に白色物が沈澱する半透明の湯が収まっていた。
そば湯を注ぐ
食後の猪口に残ったつゆにそば湯を注いでそばつゆのスープに仕立てるのはいつもと変わらぬ手順となる。
そば湯のスープ
そば湯の量を加減して飲物に適した濃度に調整した後薬味の刻み葱を投入して風味を加えるとそばつゆ味のスープが完成する。
いつもの通りこのそば湯のスープを飲み干してそば食を締め括った。
【終章】
「そばや匠」は尾花沢市中心部の街道沿いにあり地元の要望に応える品揃えで手打ちそばとラーメンを提供する山形県特有のそば店である。最上早生の手打ち二八そばは一度の賞味をお勧めする。
完
(00:00)
2019年03月22日
<図や写真をクリックすると拡大表示します>
【序章】
山形県の雄である最上川の下流部が横断する最上郡戸沢村には2018年秋の時点で5軒のそば店が確認されている。今回は10月上旬にその内の一軒「そば処芭蕉庵」に立ち寄った記録である。
毎年収穫の秋に開催される戸沢村旬の市新そばまつりは何度か訪問しその様子を紹介してきたが村内で営業する個別店舗の訪問は今回が初めての体験となった。
【戸沢村の位置】
山形県はその地勢や気象条件から大きく四つの地域に分けられている。県域の各地域を南側から列挙すると福島県に接する南端の米沢市を中心とする置賜地方の北側に県都山形市とその周辺市が集まり中部地域となる村山地方が控えている。北部の山間地は宮城県西部の大崎市に接して新庄市を中核とする最上地方で日本海に開けた酒田市や鶴岡市に内陸部の町が加わる地域が庄内地方とされている。
最上川の下流部が日本海へ向かって東から西へ横断する位置にある戸沢村は北部山間地の最上地方に属している。
【蕎麦の品種】
そばの栽培が盛んな山形県内にあって置賜や村山の南部地域は[でわかおり]の栽培が主流であるが北部の最上、庄内地方の品種は専ら「最上早生」となっており南部と北部の境界域に位置する北村山郡大石田町では独自品種の「来迎寺在来」を掲げてそばの町を主張している。
従って山形県内で栽培されるそばは「でわかおり」、「来迎寺在来」、「最上早生」の3品種が代表的な存在となっている。
【戸沢村のそば店】
序章で触れた様に戸沢村では5軒のそば店が営業し県北の立地から最上早生種のそばを提供している。
新庄から最上川に沿って下流の酒田市に西進する国道R47の沿道には今回紹介する「そば処 芭蕉庵」の先で村役場が置かれる古口(ふるくち)地区中心部に「佐藤 長三郎そば」が店を構えており更に西に進んだ高屋地区には「八郎兵衛茶屋」がある。
残りの2店は古口地区の西端で最上川に合する支流の角川(つのかわ)を南方向へ遡った角川地区に「三左衛門そば」と「農家そば屋 与惣右衛門」が県道r57沿いに店を構えている。
端的に括れば戸沢村のそば店5軒はR47沿いに3店、角川地区のr57沿いに2店が展開されている。
【芭蕉庵の所在地】
「そば処芭蕉庵」は戸沢村で最大の観光資源と思われる最上川船下り「最上峡芭蕉ライン」の乗船場となる戸沢船番所の敷地内に設置されているそば店で観光客にそば打ち体験を提供するそば道場が併設されている。
【最上峡芭蕉ライン】
山形県を代表する河川の最上川は源流を発する吾妻連峰から県内を北へ縦断して下った後に流路を西向きに変えて酒田市で日本海に注いでいる。日本海に注ぐ下流部は舟形町から新庄市の南西端を掠めて戸沢村を横断し庄内町から酒田市に向かうが戸沢村の流域には最上川船下り観光の最上峡芭蕉ラインが設定されている。
最上峡芭蕉ラインは上流側古口地区の国道R47沿いに構える古口船番所で乗船し村域の西部となる草薙温泉で下船する船下りの観光ルートが設定されている。草薙温泉からは乗船地の古口船番所へ戻る有料バスの運行があり周回路が構成されいて車で船番所を訪れる観光客の利便を図っている。
【芭蕉庵の外観】
芭蕉庵の大看板
国道R47から最上川の左岸に置かれている駐車場に乗り入れると広い敷地の右側の建物壁面に描かれた芭蕉庵の一際目を引く大看板に迎えられる。
芭蕉庵外観
国道側を意識したと思われる大看板を回り込んで車を停めて見る芭蕉庵の建物は鋼板屋根を載せる平屋で白壁に瓦葺きの庇を張り出して和風の佇まいを醸している。
屋号看板
建物の中央には店名を記した大きな木製の屋号看板が庇の上に鎮座して芭蕉庵の存在を誇示している。看板に大書きされた「手打生蕎麦 芭蕉庵」の下に「最上食文化伝承館」の文字が添えられている。これは後に紹介するが店舗に併設するそば打ち体験道場の存在を示すものである。
店舗入口
屋号看板の真下に風除室を備えた店舗の入口玄関がある。屋外には営業中の表示のみで風除室内の二重仕切り戸の手前に懸かる緑色の暖簾がそば店らしい佇まいに見える。
【芭蕉庵の店内】
暖簾を分けた仕切り戸の先は左側に広がる客席フロアで右手は隔壁に仕切られた厨房の領域となっている。
厨房側
この画面はフロア席の奥から厨房側を望んだ景色で正面の隔壁に提げられた丈長の暖簾は厨房側の目隠しとなっていて厨房内の様子を窺うことはできない。右端に写る玄関内のカウンター脇に並ぶ3脚の椅子は混雑時の待合用か或いはテーブル席の増席用であろうか。
小上がり
フロア席の左奥には板床の小上りに5脚の座卓席の設えもある。
座卓席
平日13:00頃の入店にも関わらず店内は多くの訪問者で盛況を呈していたが小上がりに空席を見つけた。
卓上装備
卓上の装備は品書きを収めたカードケースに箸箱、薬味の容器と必要最小限の構成である。
【品書】
品書
B4版のカードケースの両面を活用した品書は写真を載せたカラー印刷で本格手打ちそばと最上早生使用が唄われている。
かけそば\750ともりそば\800は温そばと冷そばで\50の価格差を設けているが温そばと冷そば両方に対応するかきあげそば\950、げそ天そば\1000、天ぷらそば\1200は価格差を排した設定となっている。
品書裏面と単品
カードケースの裏面を見ると限定メニューとされる鮎天そば\1100と田舎そば\900が紹介されている。鮎天そばは鮎を開きにした天ぷらを添えるそばで温そば冷そばから選択できるが田舎そばは大根のおろし汁が加わる冷そば限定の品とされている。
カードケースとは別に天ぷら単品の品書もありかき揚げ\300にげそ天と天ぷらは共に\400とされておりそばと天ぷらをセットにしたかきあげそばやげそ天そばより割高となっている。
又げそ天そばと天ぷらそばには\100の価格差があるが単品のげそ天と天ぷらは同額という複雑な設定である。
【手打ちそば】
個人的に初訪店では原則としているもりそばを発注した。
もりそば
暫くして運ばれたもりそばは簀の子敷きの丸皿に盛りつけられつゆ猪口と薬味小皿に小鉢料理が添えられている。更に丸形のそば湯桶が同時に配膳されるのは混雑する観光地で給仕の省力化を狙ったものであろう。
薬味
薬味は一般的な材料で白葱の刻みと下ろし山葵の2種。
小鉢
小鉢には野菜類の胡麻和えが収まる。
二八そば
地元戸沢産の最上早生種を二八配合で手打ちしたそばは透明感がある薄い褐色を呈した内部に大小多数のホシが鏤められている。
手打ちそば
割箸で掬い上げたそばの太さはばらつきがあり太いものは4mmを越える幅広麺も混じっていているのは手切りの故と思われる。
つゆ
予め猪口で供されるつゆは独自の主張を抑えた控えめの存在だがやや太めのそばに適度に絡む相性は良い。
山葵と
そばを食べ進めた後半になって薬味の山葵を載せると僅かな刺激の後に口腔に広がる上質な山葵特有の甘みを感じることができた。
【そば打ち職人は船頭】
先に紹介した通り芭蕉庵には併設されたそば打ち体験道場があり店舗客室の最奥に設けられた小上がり席の隔壁には目隠しが懸かるガラス窓が開口している。この奥が体験道場らしい。
体験道場
隙間が多い目隠しから覗いた奥の空間は広い室内にそば打ち台が設置されて作業に勤しむ男性の姿が見えた。
そば打ち
これは店外で偶々遭遇した休憩中の従業員に聞いた噺だが芭蕉庵のそばの打ち手は船下り観光船の船頭が兼任しているとか。
古口船番所から出港する船下り観光船には女性を含む十数名の船頭が紹介されているがその中の2名がそば打ちを担当しているそうである。
【そば湯】
そば湯
手打ちそばの食後はいつもの通りそば湯を嗜むことになる。湯桶の蓋を取り中を覗くと底部を覆い隠す程の白濁物が見えた。これは普通にそばを茹でる釜湯にしては切りそばとそばに纏わせた打ち粉の溶解成分が過剰と思われるが多量の打ち粉を纏った儘でそば麺を大量に茹でればこの程度の沈殿物が生じるのかも知れない。
猪口に残ったつゆにそば湯を注いでそばの残り香を堪能した。
【終章】
戸沢村の一大観光地となっている古口船番所に併設された芭蕉庵は一見すると観光客目当てで通り一遍のそば屋に見えるが本格的な手打ち二八そばが供されている。
国道R47を新庄市から日本海に面する酒田や鶴岡方面に向かう機会があれば一度の訪問をお勧めしたい。
完
(00:40)
2019年03月15日
<図や写真をクリックすると拡大表示します>
【序章】
今回は岩手県花巻市の街中で明治時代開業の歴史を誇る「嘉司屋(かじや)」の訪問記を紹介する。
【嘉司屋の概要】
創業が明治37年(1904年)の老舗は宮沢賢治の生家から徒歩3分の位置にあり花巻農業高校の教師時代に賢治が度々通った店として知られた存在である。
嘉司屋では一般的なそば店の料理に加えて花巻が発祥とも云われるわんこそばも提供している。
【余談: わんこそばの由来】
余談になるが、わんこそばは盛岡三大麺(盛岡冷麺、盛岡じゃじゃ麺、わんこそば)に挙げられており一般には盛岡名物との認識が強いが発祥に関しては花巻起源と盛岡起源の説が存在するらしい。
以下はwikipediaに掲載されている両説の要約である。
【花巻起源説】
400年程前の慶長時代に南部家27代目当主の南部利直が江戸に向かう際に花巻城に立ち寄り食事を所望した。殿様に庶民と同じ丼で差し上げる事を避けて山海の幸を添えて漆器のお椀に一口分のそばを差し出したところ利直は「うまい」と何度もお代わりを求めた。
その後明治時代になって花巻市の蕎麦屋「大畠家」が市民にもわんこそばを振る舞う様になり「お殿様の召上がったわんこそば」が市民の人気になり昭和初期には一般家庭でも「わんこそば」が楽しまれるようになった。戦後花巻市出身の斎藤市太郎氏が盛岡で始めた「斎藤そば屋」が名物料理を考案中、「大畠家」を訪れて器や給仕の方法や作り方などを教わり名物わんこそばとして商品化した。と云うのが花巻起源説である。
【盛岡起源説】
一方の盛岡起源説では祭事などの際に地主が大勢の村人や客人にそばを振舞うという風習があったが通常の作り方では釜が小さく100人を超える客に行き渡る前にそばがのびてしまう。このため通常の分量のそばを均等に小分けして全ての客に振舞うことが行われるようになった。とのことである。
【嘉司屋の位置】
閑話休題。
わんこそばも提供する嘉司屋は花巻市の東町に店舗を構えている。
【嘉司屋の外観】
店舗外観
道路に面して駐車場を備える総二階建ての店舗建物は白壁を纏う外壁の正面に瓦葺きの小屋根を掛けた玄関下に白い暖簾を懸けている。
玄関
駐車場から僅かな段差で仕切られた玄関の空間に配置されている木製縁台は入店待ちの便宜と思われる。繁盛店には必須の装備であろう。
営業時間
縁台の背後にはお手製に見える営業中の提げ札と営業時間の案内板がある。
営業時間は11:00~14:10と17:00~21:00の二部制で夕刻の時間帯も営業している。水曜日が定休との併記もある。
【嘉司屋の店内】
白色の暖簾を潜りアルミサッシの引き戸を開けて入店すると
カウンター席
フロアの左側はカウンター席が並び
椅子席と座敷
中央部は奥に向かってテーブル席が配置されておりその右側は畳敷きの座卓席となっている。
座敷の奥
座敷の奥には簾で仕切られた空間がありわんこそば専用の客席となっている。
入店時にわんこそばか普通のそばかを問われてそれぞれの専用席に案内される。
わんこそばに挑む積もりはさらさら無いので単品そばの希望を伝えると空席のあったテーブル席に通された。
上に掲載したカウンター席や座敷の様子はこのテーブル席から視認できた光景である。
卓上装備
テーブル上は箸立てと楊枝入れに品書き類が置かれるのみのシンプルな装備である。
【品書き】
品書きはクリアファイルを綴じたバインダー型式で各席に配置されている。
わんこそば
先頭の頁はわんこそばの案内で小学4年生以上の大人が\3500、4年生未満の小学生は\2800、小学生未満\1700と年齢別に3段階の料金が設定されている。鉄道やバス等公共交通機関の乗車料金は中学生から大人料金が適用される世間一般の常識に較べると結構厳しい料金区分に見える。低学年の小学生が\2800も支払ってわんこそばに挑む必然性は考え難い。
【嘉司屋のわんこそば】
料金表示の下段に案内されているがこの店ではマッチ棒でわんこそばの数を数える昔ながらの方式だとか。
盛岡のわんこそば店はテレビ等で度々紹介されている様に食した椀を重ねてその数見せる視覚効果を演出しているので花巻(嘉司屋)の方式は地味な存在に見えてしまう。
その代わりなのかそば食中に掛けるエプロンに食したわんこ数を記入して持ち帰ることができるそうである。
わんこそば席
テーブル席から簾越しに透けて見えるわんこそばの座敷には給仕する従業員の姿があり座敷の入口ではそばをお椀に盛りつける係の作業も見えている。
【品書き続き】
冷たいそば
わんこそばの頁を繰ると左頁はもりそば系の冷そばの品々で右隣は温そば系のかけそば等が並んでいる。
冷そばのトップスリーはもりそば\450に大もりそばとざるそばが共に\550とされているのでこの店ではもりとざるに明確な区別がありもりそばの大盛りと刻み海苔を載せるざるそばは+\100の設定となっている。しかし次の大ざるそば\680は普通盛りのざるそばと\130の価格差がある。更に下段に並ぶ天ざるとかもせいろの\1100と大盛り天ざると大盛りかもせいろ\1340の価格差は\240となる。普通盛りと大盛りの差額が累進的に増大する不思議な価格差は世間一般のそば店の常識から外れた設定である。大盛りになるとそばの量だけでなく付随する海苔や天ぷら、鴨肉なども比例して増量するのならば累進的な増額も納得できるがそばだけの増量であれば腑に落ちない価格差である。
温かいそば
冷たいそばの次は温かいそばの頁が続く。基本的に温そばには興味が薄いので読み飛ばすことが多いがここでも不審な点に目が留まった。トップのかけそば\450の次のかけうどん\550は更に続く玉子とじそば、月見そば、たぬきそばの3品と同額の設定でかけそばとは\100の価格差が設けられている。この店ではそばよりうどんが高額な設定なのかと一瞬思ったが冷そばの頁に戻ってみると先には触れなかったがざるうどん\550はざるそばと同額で一律にうどんが高額ということでもなさそうで疑問はますます増大してしまう。一般常識では計り知れない摩訶不思議な価格体系である。
ご飯もの
品書きは更にご飯ものと一品料理の頁が続いているが一品料理は省略。ご飯ものは4種の単品丼が基本でそば(もりorかけ)と組み合わせる4種の丼セットは一律\1080である。ここにも価格設定に疑問があるがこれ以上の詮索は止めておく。気になる方は画面上のたまご丼と親子丼や天丼の価格を確認して戴きたい。
【そばの発注】
嘉司屋はそばに限定しても多様な品を揃る店で価格設定も一般常識が通用しない部分があるので選択に迷ってしまった。初訪の店では基本的なもりそばの注文を原則としているのだがこの時は天ぷらも欲していたので品書きに無い天もりそばができないかと問うと天ざるはあるが天もりは無いの一言。なおもそばと天ぷらは欲しいが海苔は要らないと食い下がるともりそばと一品料理の天ぷら盛り合わせ(450+890=\1340)か天ざる(\1100)の海苔抜きの二者択一を迫られた。前者は大盛り天ざると同額となるので天ざる海苔抜きを注文することになった。無論海苔抜きでも価格は変わらない。
【天ざるそば海苔抜き】
比較的短い待ち時間でそばが供された。
天ざるそば
そばと天ぷらは中仕切りで区画された同じ塗り物箱に収められている。他はつゆ猪口と薬味の小皿が付属するのみで漬物や口取りの小鉢などの添えものを一切排除した構成は町中で商うそば屋の特徴と感じる。
薬味
薬味は一般的な山葵と刻み葱に加わるもみじ下ろしが嘉司屋の流儀らしい。
天ぷら
天ぷら種は海老とイカの海産物に茄子、ピーマン、南瓜と夏野菜3種の組合せであった。
もりそば
主役のそばは褐色で細かなホシを鏤めており丸抜き粉を用いた二八の製麺と思われる。
細麺
一見では太さが2mm程の細打ちの印象を受ける麺は
平打ち麺
箸で掬い上げると一定の割合で混在する倍幅の平打ち麺の存在が見える。仔細に観察すると細打ち麺と平打ち麺それぞれはほぼ一定の寸法に仕上げられている。
この店ではそばの製麺に手打ちとは一切謳っていない。加えて先に触れた通り多量のそばを要するわんこそばも提供していることから機械力に依存したそばの製麺が行われていると容易に想像できる。そば切り工程まで含む機械製麺ではそば生地の伸し厚も切断幅も一定寸法の麺に仕上がる筈で切り幅が異なる幅広麺が混在するのは意図的に異形の2種麺を混合して口触りに変化を持たせているのではないだろうか。太さ(即ち断面積)が異なる麺は茹で時間が同じであれば食感の固さが異なる筈だが実食でその様な違和感は感じなかった。細麺と幅広太麺で茹で時間を調整しているのかも知れない。
山葵風味で
山葵を載せたそばの下半部をつゆに浸して啜りあげると上質な山葵の甘味が口腔に広がり心地良い。
そば湯桶
そば食の後半に届けられたそば湯は丸形の湯桶で供され
そば湯
桶の中は白濁した湯が湯気を上げている。
そば湯のスープ
猪口に残ったつゆに薬味葱を加えてそば湯を注ぎそばつゆをスープに仕立てるのはいつもと変わらぬ決まり事でそばとつゆの後味を楽しんで締括りとした。
【終章】
嘉司屋は花巻市内で明治時代から営業を続ける老舗で宮沢賢治が通った店としても知られた存在である。
現在は花巻方式のわんこそばを提供する他に単品のそばやうどんに丼物などの多種多様な品を提供している。そばは機械製麺と思われるがその食味に不足は感じない。
花巻市内の繁盛店で一度はその雰囲気を経験する価値があると思う。
完
(00:00)
2019年03月08日
<図や写真をクリックすると拡大表示します>
【序章】
「そば処こぢんまり」は2018年の8月後半に岩手県南端の大都市である一関市に向かう機会に初めて訪問した。
一関市南部の入り組んだ住宅街に構える小さな店舗で趣味が高じて4年前に開店し夫婦で十割そばを手打する異色のそば店である。
【そば処こぢんまりへの道筋】
宮城県側から国道R4を北上して県境を越え一関の盆地へ下る途中で右手の脇道から市内南部の住宅街へ進む。
店への道筋は解り難いので地元以外の外来者はナビの誘導が必須だが愛車のカーナビソフトは旧版で手っ取り早い電話番号検索に登録されていなかった。
やむなく予め確認していた一関市末広の住所番地を目的地に設定するとR4の分岐点から住宅街の細い路地を経由して店の前まで無事に案内された。
【そば処こぢんまりの外観】
看板
狭い道路脇には一目で店名が読み取れる看板に案内が追加されて賑やかである。定休日水曜日の追加は良く見掛けるがもう一つの「ご来店前にお電話を下さい」は何やら意味ありげである。取り敢えず看板の前から電話を掛けて店の前に居ることを告げると直ちに年配の女性が現れ今からそばを打つので20~30分程時間が掛かるがそれでも良いかと問われた。急ぐ用事はなかったので了解すると店内に案内されたがふんだんにあった待ち時間を利用して店舗内外の様子をじっくり観察することができた。
写真では念のため電話番号の一部にマスキングを施したが一関市やこぢんまりのキーワードで容易に検索できるので興味がある方は調べていただきたい。
店舗外
店が建つ敷地の道路側は舗装を施した広い駐車場で奥側はガレージ風に金属屋根が掛けらた空間があり自家用と思われる車が収まっている。
画面の奥に見える2層の建物は店主夫妻の住居でその手前にガレージの屋根で半分隠されている屋根の別棟部分が「こぢんまり」の店舗である。
店舗への通路
店へ向かうにはガレージ屋根の左端奥に見える狭い通路を進むことになるが
店舗脇の門構え
通路手前から左奥に連なる外塀の先には屋根を被せた立派な門構えがあり住居部の正式な入口はこちらであろう。格子戸の奥には庭園も見えており立派なお屋敷の風情を醸している。
店舗の入口
狭い通路を奥に進むと石段手前にある三尺(90cm)幅のサッシ扉が店の入口となっている。扉の奥に見えるエアコンの室外機設置部分までが店の建物でその奥の住居建物とは独立した別棟構造である。
入口上部に張られた農業用と思われる黒色のネットは日除けの目的であろう。ネットの上は風雨を避けるアルミ支柱の屋根が設置されておりネットはこの支柱に結びつけられている。
【そば処こぢんまりの店内】
アルミ扉を開いて入ると店名の通りこぢんまりとした空間で客席は2台のテーブルに10席の椅子が配置されている。
店内客席
上の画面は客席の奥から入口方向を見た景色で右手の引き違い戸の奥は厨房に充てられている。入口扉の左隣に見えるエアコンが懸かる壁面の奥はトイレの空間で同じ壁面には手洗い用の水栓と小型の液晶テレビを載せる棚がコンパクトに配置されている。
客席の窓外
左側の外壁には二面の窓が開口して外光を取り込むと同時に
母屋の玄関
網戸越しに居住棟の母屋の景色もある。
厨房内
客席側から厨房内の全容を捉えることはできない構造となっているが垣間見えた一部が上の画面の景色である。
暖簾
厨房との境に下がっていた暖簾は本来店舗へ誘導する通路に懸けられるらしいが当日は出し忘れていたとのことでここは閉店時の収納位置らしい。
品書き
客席の壁に掲出される品揃えは盛り蕎麦一品の限定でシンプルを極めている。十割蕎麦\800と十割蕎麦大盛り\1000の設定に持ち帰り用の生そば\350が加わるのみ。
品書き下段の案内にこの店の営業方針を窺うことができる。来店前の事前に連絡があれば予めそば打ちをしておくが連絡がなければ来店後にそばを打ち始めるので20~30分の待ち時間が必要との事。即ちそばは作り置きをせず来客を確認してから必要量のそばを打ちたて提供するというオーダーメード方式である。
盛り蕎麦のみと謳いながら同じ掲示には卵焼き、酢ごぼう付きでその他にもおまけの品の添付を示唆しており未知の期待感が湧いてくる。
【そば処こぢんまりの盛り蕎麦】
予め伝えられていた20~30分の待ち時間に反し入店から15分程で十割の盛り蕎麦がテーブル上に運ばれた。
盛り蕎麦
十割そばは簀の子敷きの蒸籠盛りでつゆ猪口と薬味皿に加えて小鉢の料理が添付されている。
小鉢のおまけ
右側の小鉢はゴーヤ主体の炒め煮で左は卵焼きとしそ巻きが収められている。
薬味と太巻き
薬味皿は刻み葱に添付されたコンビニやスーパーで普及しているパック詰わさびがちょっと残念な存在だが一片の太巻きを載せた小皿が添付されている。
十割手打ちそば
そばは一見して如何にも手打ちと思われる仕上げで
手打そば
その切り幅に大きなばらつきがある。
そばの端切れ
蒸籠の片隅にそば生地の端切れを敢えて幅広で切り残しそば切りと共に盛り付ける方式は初めての体験であった。機械製麺では発生しない端切れ部分の添付はオーダーメイドで打ちたてそば生地を全て提供する演出も感じられた。画面右に見える薄いそば生地の2mmに満たない断面がそば打ちの伸し厚に相当する寸法である。
そばの切り幅
ばらつきがあるそばを箸で掬い上げると広幅なものは伸し厚の3倍程もありそうに見える。
細切り麺
しかしそば生地の伸し厚と同等の2mmに満たない細切り麺も混在しているので敢えて切り幅に変化を持たせた仕上げを意識しているのではないだろうか。
切り幅にばらつきはあるが強い繋ぎに捏ね上げられた麺は啜りあげる口当たりの食感に優れた良質なそばと感じるた。
つゆ
つゆは江戸そば系で辛みが強いが煮干しの柔らかい風味も感じる仕上がりが好ましい。
食後に店主から聞いた話しでは煮干しの他にも昆布や節類に帆立なども加えているのだとか。つゆの奥深い風味は造り込みの賜物と感じた。
【そば湯】
そば湯桶
そば食中に運ばれるそば湯は朱塗りの丸形湯桶で供される。
そば湯
蓋を取って中を覗くと底面に蕎麦粉成分の白い沈殿物が見えているが僅か二人前のそばを茹でた釜湯にここまでの成分溶出は考え難い。別に蕎麦粉の成分を添加した湯ではないだろうか。
そば湯スープ
そば食後のつゆをそば湯で割り薄めてスープ(飲み物)に仕立てるのはいつも通りの決まり事で薬味の刻み葱も加えたつゆの風味でそば食の余韻を味わう。
【そば処こぢんまり開店の経緯】
そばを味わい終える頃には手が空いた店主夫妻が厨房から現れて会話の機会に恵まれた。話好きの夫妻からは既に紹介したつゆ出汁の他にそば店開店の経緯を伺うこともできた。店主は以前会社勤めをしていがその頃から奥様が趣味でそば打ちを始めていたのだとか。やがて定年退職した店主もそば打ちの技を習得し十割そばの提供に拘って自宅敷地に店を造り開業したそうである。
狭い道で区画された入り組んだ住宅街に広い屋敷を構える敷地内でにわか造りにも見える「こぢんまり」はそば打ち趣味が高じて4年程前に営業を始めた十割そばに拘る専門店である。
初老の夫婦二人で営業する店は定休日の水曜日以外11:00~14:00の営業とされているが持ち帰り用のそばは営業時間に関係なく対応するとのことであった。従って一関市の通過時間が昼食時間帯を外れていても20~30分前に予め電話連絡を入れれば持ち帰りの十割手打ちそばが入手できる手段を新たに見出す事となった。
【終章】
話好きの夫婦が営む「そば処こぢんまり」は奥様のそば打ち趣味と主人の定年退職を契機として4年程前に開店し専ら手打ちの十割そばを提供する店である。
打ちたてそばの提供を信条としており営業中でも来客を確認してから必要量のそばを用意する。従って事前連絡のない訪問ではそば打ち作業で20~30分程待たされるが20分程前に電話予約を入れれば少ない待ち時間で打ちたてそばを味わうことができる。
手打の十割そばは上質で大概は二八そばを供する一関市内で知られたそば店を凌駕する小さな隠れ名店である。
完
(00:00)
2019年03月01日
Part.5
【チェックアウト迄】
朝食を終えた後もチェックアウト迄に時間の余裕があるので露天浴槽の温泉に浸かり名残を惜しんだ。
緑屋根の建物
露天浴槽の景色は前日と変わりがないが板塀の隙間にある緑色の屋根を被せた白壁の建物が目に留まった。
別棟
この緑屋根の建物は駐車空間の最奥に位置しており別角度となる客室2Fの廊下から全景を望める存在で駐車場に接する1F部分の全面はシャッターで仕切られた車庫か物置の構造に見える。右端の階段上の扉から上る2Fはアルミサッシの大型掃き出し窓が開口する部屋の設えがありそうだがガラス越しに見える内側の障子は破れ放題の惨状を呈している。
館内図2F
実は既にPart.2で紹介した館内図の左端にこの建物が別棟2Fとして描かれており多客時に活用される客室の臨時的な拡張部分と思われるが障子の破れ具合等から判断すると現役を引退した遊休施設に見える。
金生舘全景
別棟前の駐車場から望む金生舘の施設は先に紹介した通り傾斜地の基礎部分となる地下構造上に築かれた複数の2層木造建築の集合体で
浴室部の外観
別棟側の1F部分に配置された男湯の浴室と板塀を介した露天風呂の屋根掛けがありその下に露天の浴槽が設えられている。従って別館の駐車場側から直接浴場に上る手段の用意は無く未舗装の駐車場を徒歩で横断し玄関前の階段を上がり館内の廊下を折り返す長いアクセス路を辿らなければならない大きな難点を抱えていることが別館を引退に追い込んだ大きな要因と思われる。
【チェックアウト】
心地良い温泉で手足を伸ばしてのんびり浸り大方の宿泊客が発った後に旅装を整えてフロントに降りた。予め大手予約サイトで手続した一人旅二食付きの宿泊料金\8000に入湯税\150を加算した\8150を清算してチェックアウトを済ませた。
ループ橋と温泉街
昨日通った温泉街中心部の狭いr57の県道を逆に辿り肘折希望大橋のループ橋を上って新庄市へ向かう国道R458の途中から舟形町方向へ降りてR13経由で帰途に就いた。
そば畑
帰路の途中でR458が湯の台を通過する沿道には収穫直前のそば畑の景観があり
出羽山地
銅山川の谷筋を隔てた西方向には月山の高峰(1984m)を始めとする出羽三山の山並みを遠望する展望所が設置されている。
最上川と猿羽根大橋
舟形町からR13に降りて尾花沢市へ南下する市町境界の猿羽根トンネルを抜けた川原子地区に至ると大きく蛇行する最上川の流れに併走する短い区間があり川沿いに駐車場が設置されている。ここで車を駐めて見る上流方向には大河を跨ぐ猿羽根大橋の赤いトラス橋の景観が印象に残った。
完
【チェックアウト迄】
朝食を終えた後もチェックアウト迄に時間の余裕があるので露天浴槽の温泉に浸かり名残を惜しんだ。
緑屋根の建物
露天浴槽の景色は前日と変わりがないが板塀の隙間にある緑色の屋根を被せた白壁の建物が目に留まった。
別棟
この緑屋根の建物は駐車空間の最奥に位置しており別角度となる客室2Fの廊下から全景を望める存在で駐車場に接する1F部分の全面はシャッターで仕切られた車庫か物置の構造に見える。右端の階段上の扉から上る2Fはアルミサッシの大型掃き出し窓が開口する部屋の設えがありそうだがガラス越しに見える内側の障子は破れ放題の惨状を呈している。
館内図2F
実は既にPart.2で紹介した館内図の左端にこの建物が別棟2Fとして描かれており多客時に活用される客室の臨時的な拡張部分と思われるが障子の破れ具合等から判断すると現役を引退した遊休施設に見える。
金生舘全景
別棟前の駐車場から望む金生舘の施設は先に紹介した通り傾斜地の基礎部分となる地下構造上に築かれた複数の2層木造建築の集合体で
浴室部の外観
別棟側の1F部分に配置された男湯の浴室と板塀を介した露天風呂の屋根掛けがありその下に露天の浴槽が設えられている。従って別館の駐車場側から直接浴場に上る手段の用意は無く未舗装の駐車場を徒歩で横断し玄関前の階段を上がり館内の廊下を折り返す長いアクセス路を辿らなければならない大きな難点を抱えていることが別館を引退に追い込んだ大きな要因と思われる。
【チェックアウト】
心地良い温泉で手足を伸ばしてのんびり浸り大方の宿泊客が発った後に旅装を整えてフロントに降りた。予め大手予約サイトで手続した一人旅二食付きの宿泊料金\8000に入湯税\150を加算した\8150を清算してチェックアウトを済ませた。
ループ橋と温泉街
昨日通った温泉街中心部の狭いr57の県道を逆に辿り肘折希望大橋のループ橋を上って新庄市へ向かう国道R458の途中から舟形町方向へ降りてR13経由で帰途に就いた。
そば畑
帰路の途中でR458が湯の台を通過する沿道には収穫直前のそば畑の景観があり
出羽山地
銅山川の谷筋を隔てた西方向には月山の高峰(1984m)を始めとする出羽三山の山並みを遠望する展望所が設置されている。
最上川と猿羽根大橋
舟形町からR13に降りて尾花沢市へ南下する市町境界の猿羽根トンネルを抜けた川原子地区に至ると大きく蛇行する最上川の流れに併走する短い区間があり川沿いに駐車場が設置されている。ここで車を駐めて見る上流方向には大河を跨ぐ猿羽根大橋の赤いトラス橋の景観が印象に残った。
完
(00:00)
2019年02月22日
Part.4
【金生舘の食事】
金生舘の案内図を見ると温泉浴場に近接する位置にステージを備えた広間の配置を認めるが宿泊中の食事はこの広間の会場食ではなく各部屋にお膳が運び込まれる部屋食で供される。温泉街中心部に密集する旅館では貴重な有効空間に食事処を設ける余裕がないので部屋食が一般的な仕様となっているが広間を構えて食事処にも利用できる筈の金生舘も部屋食方式となっている。
【夕食】
18:30を過ぎると夕食が室内に配膳される。
主膳
二段重ねで運ばれた夕食膳を畳床に広げると料理主体の一段目の主膳に加えて
副膳
二段目の副膳には御飯やみそ汁にデザートの果物も載せる多彩なもの。
主菜類
主膳の左奥は鯖の焼き物で右隣は塩味サーモン。
手前には角鉢の筍煮の右に
鰊と昆布巻
鰊の煮物と昆布巻きと
青菜の小鉢
青菜のおひたしの小鉢が並ぶ。
添え物小鉢
筍煮の手前は子持ち昆布を収めた小鉢といぶりがっこ風味の漬物皿が配置されている。
副膳の料理
副膳にはデザートの葡萄に千切りキャベツとミニトマトを従えたフライドチキンの皿に加えて丼盛りのご飯のお伴にしそ巻きの小皿と豆腐のみそ汁椀が添えられている。
それぞれの料理は見た目以上に量が多く田舎風家庭料理の雰囲気を感じるが味付けが濃いものもあったので一部はお残しとなってしまった。
【朝食】
翌朝は8:00になると朝食のお膳が運ばれる。
朝食膳
朝食膳も二段重ねで配膳される。
主膳
種々の料理を載せた主膳に
副膳
ご飯丼とみそ汁椀を配した副膳で構成されている。
秋刀魚ときんぴら
主膳の左奥の主菜の位置は秋刀魚の煮物が占めており手前はきんぴらの鉢がある。
海苔とお浸し
秋刀魚皿の右隣は朝食定番の味付け海苔パックで手前には生卵と青菜のお浸しが並ぶ。このお浸しは辛みを感じるもので食材は芥子菜か葉山葵であろうか。
佃煮
主膳の一番手前は子持ち昆布と椎茸の佃煮の小鉢に茄子の漬物皿と梅干しの小皿が加わる。
Part.5は朝食後のチェックアウト
【金生舘の食事】
金生舘の案内図を見ると温泉浴場に近接する位置にステージを備えた広間の配置を認めるが宿泊中の食事はこの広間の会場食ではなく各部屋にお膳が運び込まれる部屋食で供される。温泉街中心部に密集する旅館では貴重な有効空間に食事処を設ける余裕がないので部屋食が一般的な仕様となっているが広間を構えて食事処にも利用できる筈の金生舘も部屋食方式となっている。
【夕食】
18:30を過ぎると夕食が室内に配膳される。
主膳
二段重ねで運ばれた夕食膳を畳床に広げると料理主体の一段目の主膳に加えて
副膳
二段目の副膳には御飯やみそ汁にデザートの果物も載せる多彩なもの。
主菜類
主膳の左奥は鯖の焼き物で右隣は塩味サーモン。
手前には角鉢の筍煮の右に
鰊と昆布巻
鰊の煮物と昆布巻きと
青菜の小鉢
青菜のおひたしの小鉢が並ぶ。
添え物小鉢
筍煮の手前は子持ち昆布を収めた小鉢といぶりがっこ風味の漬物皿が配置されている。
副膳の料理
副膳にはデザートの葡萄に千切りキャベツとミニトマトを従えたフライドチキンの皿に加えて丼盛りのご飯のお伴にしそ巻きの小皿と豆腐のみそ汁椀が添えられている。
それぞれの料理は見た目以上に量が多く田舎風家庭料理の雰囲気を感じるが味付けが濃いものもあったので一部はお残しとなってしまった。
【朝食】
翌朝は8:00になると朝食のお膳が運ばれる。
朝食膳
朝食膳も二段重ねで配膳される。
主膳
種々の料理を載せた主膳に
副膳
ご飯丼とみそ汁椀を配した副膳で構成されている。
秋刀魚ときんぴら
主膳の左奥の主菜の位置は秋刀魚の煮物が占めており手前はきんぴらの鉢がある。
海苔とお浸し
秋刀魚皿の右隣は朝食定番の味付け海苔パックで手前には生卵と青菜のお浸しが並ぶ。このお浸しは辛みを感じるもので食材は芥子菜か葉山葵であろうか。
佃煮
主膳の一番手前は子持ち昆布と椎茸の佃煮の小鉢に茄子の漬物皿と梅干しの小皿が加わる。
Part.5は朝食後のチェックアウト
(00:00)
2019年02月15日
Part.3
【金生舘の温泉】
金生舘の温泉は男女別に分かれた内湯浴場と肘折温泉では珍しい露天風呂が設えられていて全ての浴槽が源泉掛け流しとされており宿泊中は深夜から翌朝のチェックアウトまで随時利用可能となっている。
因みに温泉宿が密集する肘折中心部の温泉街では専有面積の都合故か露天風呂の設置は望めない。金生舘の露天風呂は温泉街から離れた立地の特典と思われる。
浴場へ向かう廊下
館内の項でも紹介したが玄関ホールフロントから左手に伸びる1F廊下を奥に進んだ突き当りで
女湯入口
2Fへ上がる階段下の右手前が女湯の入口となっており
男湯入口
階段下に潜り込む様な位置に男湯入口が置かれている。
階段下の設備
男湯入口手前の階段下には洗面用の流し台があり洗濯機、冷蔵庫も配置されている。これらの設備は浴場利用者の為の共用設備で冷蔵庫は2Fにもあるので1F客室向けであろうか。
脱衣室
洗濯機や流し台を横目に見て踏み込んだ脱衣室は畳4枚分程の小さな空間で正面の壁には開放式の脱衣棚が設置され右奥はガラスを嵌めた一間(180cm)幅のアルミサッシ戸が外景を取り込んでいる。
浴室入口
サッシ戸手前にある三尺(90cm)幅の引き戸が浴室の出入口となっている。
浴室内部
出入口から入った浴室は6畳程に見える広さの右側に置かれた浴槽には
湯口
奥の外壁側から突出している塩ビパイプの湯口から源泉が注がれている。
浴槽とシャワー栓
浴槽の満たされる湯は青緑がかっていて底面を見通すことができない程の濁り湯である。
浴槽外は広くない空間の脱衣室側と
洗い場
露天風呂に通じる外壁側各々に1基ずつ湯水混合シャワー栓を配した洗い場となっておりシャンプーやボディソープの用意もある。
但しこのシャワー栓の給湯量は極めて貧弱でカランを開栓しても始めは冷水が流れるのみでシャワーヘッドに至っては冷水さえも出てこない。浴槽に浸かりながら相当長い時間カランの水を流し放しにすると徐々に温水に変わりだしてシャワーに切り換えても湯が出始める。やっと出だした温水だがその湯量は極めて少量でシャンプーやボディソープを完全に洗い流すには能力が不足している。浴槽に掛け流されている源泉の湯量に較べて湯水栓の給湯量が少ないと判断されたのでやむを得ず浴槽の湯を桶に汲んでシャンプー類を流す羽目となった。
外壁側のシャワー栓は露天風呂に通じる大型のサッシ引き戸と隣り合わせている。
露天の小屋掛け
露天風呂は浴槽上部の小屋掛けで雨雪に対応しながら屋根は外光を取り込む透明波板貼りの明るい仕様となっている。
露天風呂全景
石組みで囲まれた露天浴槽は二槽に分割されており画面中央奥に見える小振りの扇型部分がに高温湯に設定されている。
露天風呂の湯口
扇形浴槽の要に近く内湯の外壁に接する位置に源泉貯留装置らしい枡が設置されてこれに直結している塩ビパイプから温泉が掛け流されている。パイプから注がれる湯は透明に見えるが浴槽の湯は内湯と同じ緑褐色で底部を見通すことはできない程の濁り湯となっている。
露天湯部分の源泉供給枡はその位置関係から外壁1枚を介した内湯浴槽の給湯源を兼ねていること明らかである。
越流部
源泉が注がれる扇型の浴槽と仕切られた広めの浴槽は仕切りの両端に設けられている切り欠きの越流部から湯が流れ込む構造で
下流浴槽
下流側の浴槽は低温の設定となっている。
排湯部
更に低温浴槽の末端部は排湯口からの越流で湯量を保持する仕掛けが施されている。
温泉成分表示
温泉成分等の表示は脱衣室手前の階段下に掲出されている。
含有成分
分析日が平成20年10月31日とされる掲示には
温泉地名: 黄金温泉
施設名: 金生舘
源泉名: 組合1号源泉
泉質 :ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
源泉温度: 49.3℃
供用場所温度: 43.0℃
水素イオン濃度(pH): 6.9
と記載されているが含有成分の手書き数値は最近では見掛けないもので通常は上部に記載される筈の源泉名が下端に配置されている書式も珍しい。
組合1号源泉はその名の通り肘折温泉組合が共同で管理する源泉であろう。金生舘は肘折温泉中心部の旅館街から離れた一軒宿の立地だが独自の源泉ではなく旅館街と共有している様である。
手書きの含有成分を眺めると温泉水1kg当たり700mgのナトリウムイオンとカルシウムイオン107mgに塩素イオン703mg、硫酸イオン106mg、炭酸水素イオン1282mgが主要な含有物となっている。
Part.4は金生舘の食事の紹介
【金生舘の温泉】
金生舘の温泉は男女別に分かれた内湯浴場と肘折温泉では珍しい露天風呂が設えられていて全ての浴槽が源泉掛け流しとされており宿泊中は深夜から翌朝のチェックアウトまで随時利用可能となっている。
因みに温泉宿が密集する肘折中心部の温泉街では専有面積の都合故か露天風呂の設置は望めない。金生舘の露天風呂は温泉街から離れた立地の特典と思われる。
浴場へ向かう廊下
館内の項でも紹介したが玄関ホールフロントから左手に伸びる1F廊下を奥に進んだ突き当りで
女湯入口
2Fへ上がる階段下の右手前が女湯の入口となっており
男湯入口
階段下に潜り込む様な位置に男湯入口が置かれている。
階段下の設備
男湯入口手前の階段下には洗面用の流し台があり洗濯機、冷蔵庫も配置されている。これらの設備は浴場利用者の為の共用設備で冷蔵庫は2Fにもあるので1F客室向けであろうか。
脱衣室
洗濯機や流し台を横目に見て踏み込んだ脱衣室は畳4枚分程の小さな空間で正面の壁には開放式の脱衣棚が設置され右奥はガラスを嵌めた一間(180cm)幅のアルミサッシ戸が外景を取り込んでいる。
浴室入口
サッシ戸手前にある三尺(90cm)幅の引き戸が浴室の出入口となっている。
浴室内部
出入口から入った浴室は6畳程に見える広さの右側に置かれた浴槽には
湯口
奥の外壁側から突出している塩ビパイプの湯口から源泉が注がれている。
浴槽とシャワー栓
浴槽の満たされる湯は青緑がかっていて底面を見通すことができない程の濁り湯である。
浴槽外は広くない空間の脱衣室側と
洗い場
露天風呂に通じる外壁側各々に1基ずつ湯水混合シャワー栓を配した洗い場となっておりシャンプーやボディソープの用意もある。
但しこのシャワー栓の給湯量は極めて貧弱でカランを開栓しても始めは冷水が流れるのみでシャワーヘッドに至っては冷水さえも出てこない。浴槽に浸かりながら相当長い時間カランの水を流し放しにすると徐々に温水に変わりだしてシャワーに切り換えても湯が出始める。やっと出だした温水だがその湯量は極めて少量でシャンプーやボディソープを完全に洗い流すには能力が不足している。浴槽に掛け流されている源泉の湯量に較べて湯水栓の給湯量が少ないと判断されたのでやむを得ず浴槽の湯を桶に汲んでシャンプー類を流す羽目となった。
外壁側のシャワー栓は露天風呂に通じる大型のサッシ引き戸と隣り合わせている。
露天の小屋掛け
露天風呂は浴槽上部の小屋掛けで雨雪に対応しながら屋根は外光を取り込む透明波板貼りの明るい仕様となっている。
露天風呂全景
石組みで囲まれた露天浴槽は二槽に分割されており画面中央奥に見える小振りの扇型部分がに高温湯に設定されている。
露天風呂の湯口
扇形浴槽の要に近く内湯の外壁に接する位置に源泉貯留装置らしい枡が設置されてこれに直結している塩ビパイプから温泉が掛け流されている。パイプから注がれる湯は透明に見えるが浴槽の湯は内湯と同じ緑褐色で底部を見通すことはできない程の濁り湯となっている。
露天湯部分の源泉供給枡はその位置関係から外壁1枚を介した内湯浴槽の給湯源を兼ねていること明らかである。
越流部
源泉が注がれる扇型の浴槽と仕切られた広めの浴槽は仕切りの両端に設けられている切り欠きの越流部から湯が流れ込む構造で
下流浴槽
下流側の浴槽は低温の設定となっている。
排湯部
更に低温浴槽の末端部は排湯口からの越流で湯量を保持する仕掛けが施されている。
温泉成分表示
温泉成分等の表示は脱衣室手前の階段下に掲出されている。
含有成分
分析日が平成20年10月31日とされる掲示には
温泉地名: 黄金温泉
施設名: 金生舘
源泉名: 組合1号源泉
泉質 :ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
源泉温度: 49.3℃
供用場所温度: 43.0℃
水素イオン濃度(pH): 6.9
と記載されているが含有成分の手書き数値は最近では見掛けないもので通常は上部に記載される筈の源泉名が下端に配置されている書式も珍しい。
組合1号源泉はその名の通り肘折温泉組合が共同で管理する源泉であろう。金生舘は肘折温泉中心部の旅館街から離れた一軒宿の立地だが独自の源泉ではなく旅館街と共有している様である。
手書きの含有成分を眺めると温泉水1kg当たり700mgのナトリウムイオンとカルシウムイオン107mgに塩素イオン703mg、硫酸イオン106mg、炭酸水素イオン1282mgが主要な含有物となっている。
Part.4は金生舘の食事の紹介
(12:00)
2019年02月08日
Part.2
【金生舘の館内】
外部から見えていた玄関は風除室を備える二重扉の構造となっている。
玄関内
内扉の内部が玄関ホールの空間で
フロント
左奥に置かれたフロントでチェックインの手続きを行うと2F の客室に通される。
館内図1F
室内に配置されている案内図から館内構造の概略が把握できる。案内図中で右下に描かれている玄関と玄関ホールにフロントは先に述べた通りの位置にありフロント奥は厨房が置かれて右手に茶の間と表示された部分は経営者の私的空間と思われる。
フロントから左側に伸びる廊下を進むと山側に位置する客室3室の先に露天浴槽を備える男女別の温泉浴室が設置されている。
浴室側階段
この館内図では省略されているが浴室手前には階段が設置されて2Fの客室に連絡している。
玄関側の階段
2Fに上がる階段はもう一つ玄関ホール内にもあり
館内図2F
こちらは館内図にも表示されている。
2Fの部分は16室の客室が全床を埋める様に配置されているが一部の部屋は物置に転用されている様子が伺える。
館内にはWI-Fi接続環境も整っているがSSIDや接続keyを案内する表示は無いのでフロントに照会する必要がある。接続設定が完了すれば肘折の山中でもweb環境の利用が可能となる。以前からの経験でも肘折温泉の宿には洩れなくWI-Fi環境が用意されている。
【客室】
ききょうの部屋
金生舘の客室はそれぞれの客室に花木の愛称を付しており案内された2Fの客室はききょうの間であった。
2F客室
浴室側の階段を上がった2Fには同じ造りの格子戸を備える客室りんどう、ききょう、あじさいの3室が配置されておりその奥で右に折れる廊下に沿って入口がドア仕様の部屋が並んでいる。
入口ドア仕様の客室
この部分は構造的にも別棟の造りに見える。
踏込
格子戸の奥のききょうの間は板床の踏込と襖で仕切られた6畳の和室空間である。奥行き60cm程の踏込にはタオル掛けと屑入れが配置されていてここで館内履きのスリッパを脱いで畳にあがる。
外壁窓障子
6畳間の奥となる外壁側は一間半幅の畳床面から天井高迄の全面に幅広の障子が嵌め込まれて外光を採り入れる珍しい構造で
外壁窓
障子を開けるとガラス戸と網戸のアルミサッシが設置されているが引き戸の上部は固定窓となっている。床面から天井高迄の高さを埋める障子は調達できたがアルミサッシの引き戸は寸法的な制約で妥協を余儀なくされた結果と見てとれる。
更に逆光の画面で分かり難いが障子面に遮光カーテン類が無い代わりに天井面から引き下ろすブラインドも温泉宿の客室には珍しい装備である。
室内
室内の障子窓側には予めシーツをセットした寝具が折りたたんだ状態で置かれているので後はセルフで敷き延べれば就寝準備が整う。
室内装備
入口側は液晶テレビの配置の他に季節外れの感がある扇風機を見て空調設備は無いと容易に判断できた。
卓上配置
座卓上には茶櫃と保温ポットの給茶セットに茶請け菓子が用意され館内図やテレビのリモコンもあるがクラフト紙の粘着テープは室内に侵入を企てるカメムシの捕獲手段だそう。室内に限らず館内の要所にも粘着テープが配置されているのがこの宿の大きな特徴となっている。実際に障子を開けるとガラス窓と網戸の外には何匹ものカメムシが張り付きその一部は網戸の内側にまで侵入している状態が見えたので窓の開放は控えることになった。季節柄空調がない室内でも外気の必要は感じなかったが夏期であれば山間部の肘折でも閉めきった室内の高温は避けられず外気採り入れとカメムシ侵入の矛盾に悩むのではないだろうか。
ハンガー
窓側一間幅の壁面には通路や階段の手摺に使われるアルミ製の棒が設置されて衣類ハンガーを掛ける定位置となっており丹前も掛け下げられている。柱で区画された入口側の壁は鏡台代わりの鏡が固定されている。
浴衣
ハンガー定位置下部に置かれた寝具セット上に用意された浴衣とタオル歯ブラシセットが室内装備の全てである。
室内にはバスタオルが見当たらなかったので問い合わせると通常の温泉宿に用意されている営業向け仕様とは異なる大型で厚地の上質なタオルが提供された。
共用設備
洗面台やトイレは室外の共用設備となっている。
廊下の冷蔵庫
廊下に置かれた冷蔵庫も共用で飲料の保冷等に使用できる。
Part.3は金生舘の掛け流し温泉
【金生舘の館内】
外部から見えていた玄関は風除室を備える二重扉の構造となっている。
玄関内
内扉の内部が玄関ホールの空間で
フロント
左奥に置かれたフロントでチェックインの手続きを行うと2F の客室に通される。
館内図1F
室内に配置されている案内図から館内構造の概略が把握できる。案内図中で右下に描かれている玄関と玄関ホールにフロントは先に述べた通りの位置にありフロント奥は厨房が置かれて右手に茶の間と表示された部分は経営者の私的空間と思われる。
フロントから左側に伸びる廊下を進むと山側に位置する客室3室の先に露天浴槽を備える男女別の温泉浴室が設置されている。
浴室側階段
この館内図では省略されているが浴室手前には階段が設置されて2Fの客室に連絡している。
玄関側の階段
2Fに上がる階段はもう一つ玄関ホール内にもあり
館内図2F
こちらは館内図にも表示されている。
2Fの部分は16室の客室が全床を埋める様に配置されているが一部の部屋は物置に転用されている様子が伺える。
館内にはWI-Fi接続環境も整っているがSSIDや接続keyを案内する表示は無いのでフロントに照会する必要がある。接続設定が完了すれば肘折の山中でもweb環境の利用が可能となる。以前からの経験でも肘折温泉の宿には洩れなくWI-Fi環境が用意されている。
【客室】
ききょうの部屋
金生舘の客室はそれぞれの客室に花木の愛称を付しており案内された2Fの客室はききょうの間であった。
2F客室
浴室側の階段を上がった2Fには同じ造りの格子戸を備える客室りんどう、ききょう、あじさいの3室が配置されておりその奥で右に折れる廊下に沿って入口がドア仕様の部屋が並んでいる。
入口ドア仕様の客室
この部分は構造的にも別棟の造りに見える。
踏込
格子戸の奥のききょうの間は板床の踏込と襖で仕切られた6畳の和室空間である。奥行き60cm程の踏込にはタオル掛けと屑入れが配置されていてここで館内履きのスリッパを脱いで畳にあがる。
外壁窓障子
6畳間の奥となる外壁側は一間半幅の畳床面から天井高迄の全面に幅広の障子が嵌め込まれて外光を採り入れる珍しい構造で
外壁窓
障子を開けるとガラス戸と網戸のアルミサッシが設置されているが引き戸の上部は固定窓となっている。床面から天井高迄の高さを埋める障子は調達できたがアルミサッシの引き戸は寸法的な制約で妥協を余儀なくされた結果と見てとれる。
更に逆光の画面で分かり難いが障子面に遮光カーテン類が無い代わりに天井面から引き下ろすブラインドも温泉宿の客室には珍しい装備である。
室内
室内の障子窓側には予めシーツをセットした寝具が折りたたんだ状態で置かれているので後はセルフで敷き延べれば就寝準備が整う。
室内装備
入口側は液晶テレビの配置の他に季節外れの感がある扇風機を見て空調設備は無いと容易に判断できた。
卓上配置
座卓上には茶櫃と保温ポットの給茶セットに茶請け菓子が用意され館内図やテレビのリモコンもあるがクラフト紙の粘着テープは室内に侵入を企てるカメムシの捕獲手段だそう。室内に限らず館内の要所にも粘着テープが配置されているのがこの宿の大きな特徴となっている。実際に障子を開けるとガラス窓と網戸の外には何匹ものカメムシが張り付きその一部は網戸の内側にまで侵入している状態が見えたので窓の開放は控えることになった。季節柄空調がない室内でも外気の必要は感じなかったが夏期であれば山間部の肘折でも閉めきった室内の高温は避けられず外気採り入れとカメムシ侵入の矛盾に悩むのではないだろうか。
ハンガー
窓側一間幅の壁面には通路や階段の手摺に使われるアルミ製の棒が設置されて衣類ハンガーを掛ける定位置となっており丹前も掛け下げられている。柱で区画された入口側の壁は鏡台代わりの鏡が固定されている。
浴衣
ハンガー定位置下部に置かれた寝具セット上に用意された浴衣とタオル歯ブラシセットが室内装備の全てである。
室内にはバスタオルが見当たらなかったので問い合わせると通常の温泉宿に用意されている営業向け仕様とは異なる大型で厚地の上質なタオルが提供された。
共用設備
洗面台やトイレは室外の共用設備となっている。
廊下の冷蔵庫
廊下に置かれた冷蔵庫も共用で飲料の保冷等に使用できる。
Part.3は金生舘の掛け流し温泉
(00:00)
2019年02月01日
Part.1<図や写真をクリックすると拡大表示します>
【序章】
例年ならば10月下旬から11月初旬に訪問する山形県大蔵村の山奥にある肘折温泉だが平成年号の最後となる筈の2018年秋は諸般の都合から紅葉前の10月初旬に訪問することとなった。
今回の宿は銅山川(どうざんがわ)に沿って密集する肘折温泉街の中心部から1km以上西に外れた支流谷の苦水川(にがみずがわ)右岸に年季の入った建物を構える金生舘(きんせいかん)である。
因みに豪雪地帯の肘折温泉では2018年に4mを超える記録的な積雪が報道されて話題となっていた。個人的な記憶ではあるが4m超の降積雪は青森県の豪雪地として知られる八甲田山の酸ヶ湯温泉の記録にも並ぶものと認識している。
【肘折温泉への道筋】
肘折温泉は最上郡大蔵村の南部で寒河江市に接する位置にあるが村内の地形は北部の最上川沿いが平坦地で南部は大字南山の地名で括られる険峻な山岳地形で銅山川が北に流れ下って最上川に合している。
肘折温泉の位置
肘折温泉へ向かう基本的な道筋は大蔵村の村域を南北方向に縦断する国道R458に集約される。R458 は山形県内で起点となる新庄市R13五日町交差点から南下して寒河江市経由で上山市のR13上山バイパス交点が終点となる110km程(総延長112.3km、実延長109.7km)の道程となっているが起点に近い北部の大部分は大蔵村の村域を縦断して南隣の寒河江市に繋がっている。従って仙台市側から見ると南部の寒河江市から北上するR458が有力な候補となるがこの道筋は未舗装区間が存在する峡路の酷道として世に知られる存在で恒常的に冬季閉鎖となる利用し難い道である。
この様な道路事情から山形県内を南北に縦断する幹線路のR13を北上して舟形町やその先の新庄市からR458に合して大蔵村南山に上った高台から下り基調に変わった肘折トンネルの先で県道r57に右折して温泉街に下るのが利用し易い無難なルートとなる。
肘折希望大橋
県道から温泉街に下る道程は急峻な斜面地形を克服して一気に下る必要から空中にループ状の構築物を張り出して架橋する珍しいループ橋「肘折希望大橋」がこの地の名所となっている。鮮やかな赤色に塗られた高欄は豪雪地の白い景色の中での識別を意識した配色とか。
その他にr57を逆方向となる西隣の戸沢村角川地区から南に進むアプローチも可能であるがこの道筋は戸沢村と大蔵村の境界付近にある車両のすれ違いが困難な峡路走行の覚悟が必要となる。
【金生舘の位置】
金生舘は温泉宿が密集し朝市が開催される肘折温泉街の中心部から1km以上離れている。
金生舘の位置
肘折温泉街はR458から分岐するr57で珍しいループ橋構造の肘折希望大橋から銅山川の右岸に下って達するが金生舘へ向かうには温泉街の峡路をすり抜けて銅山川に掛かる橋を渡り支流の苦水川谷筋の左岸道を西方向に遡ると対岸に金生舘の看板を掲げた建物が見える。
【金生舘の外観】
苦水川に掛かる小さな橋を渡ると
金生舘の建物
対岸から見えていた金生舘は山肌の傾斜地に張り付く様に建っている。
金生舘の外観
幾つかの木造二層建築が複雑に繋ぎ合わされた外観から温泉宿特有の経年を感じるが何よりも傾斜地故に石垣や地下構造物の上面に確保した平面を有効活用する構造に大きな特徴がある。
駐車場
建物の一段下は左手奥に未舗装の平面が拡がり駐車場の空間となっている。
玄関アプローチ
この様な立地から駐車場から向かう金生舘の玄関は1階分の高さを登る石段の上部にある。
玄関
玄関扉を開けて案内を請うが大きな荷物を抱えて石段を上がる負担は少なくはない。
Part.2は金生舘館内の様子
【序章】
例年ならば10月下旬から11月初旬に訪問する山形県大蔵村の山奥にある肘折温泉だが平成年号の最後となる筈の2018年秋は諸般の都合から紅葉前の10月初旬に訪問することとなった。
今回の宿は銅山川(どうざんがわ)に沿って密集する肘折温泉街の中心部から1km以上西に外れた支流谷の苦水川(にがみずがわ)右岸に年季の入った建物を構える金生舘(きんせいかん)である。
因みに豪雪地帯の肘折温泉では2018年に4mを超える記録的な積雪が報道されて話題となっていた。個人的な記憶ではあるが4m超の降積雪は青森県の豪雪地として知られる八甲田山の酸ヶ湯温泉の記録にも並ぶものと認識している。
【肘折温泉への道筋】
肘折温泉は最上郡大蔵村の南部で寒河江市に接する位置にあるが村内の地形は北部の最上川沿いが平坦地で南部は大字南山の地名で括られる険峻な山岳地形で銅山川が北に流れ下って最上川に合している。
肘折温泉の位置
肘折温泉へ向かう基本的な道筋は大蔵村の村域を南北方向に縦断する国道R458に集約される。R458 は山形県内で起点となる新庄市R13五日町交差点から南下して寒河江市経由で上山市のR13上山バイパス交点が終点となる110km程(総延長112.3km、実延長109.7km)の道程となっているが起点に近い北部の大部分は大蔵村の村域を縦断して南隣の寒河江市に繋がっている。従って仙台市側から見ると南部の寒河江市から北上するR458が有力な候補となるがこの道筋は未舗装区間が存在する峡路の酷道として世に知られる存在で恒常的に冬季閉鎖となる利用し難い道である。
この様な道路事情から山形県内を南北に縦断する幹線路のR13を北上して舟形町やその先の新庄市からR458に合して大蔵村南山に上った高台から下り基調に変わった肘折トンネルの先で県道r57に右折して温泉街に下るのが利用し易い無難なルートとなる。
肘折希望大橋
県道から温泉街に下る道程は急峻な斜面地形を克服して一気に下る必要から空中にループ状の構築物を張り出して架橋する珍しいループ橋「肘折希望大橋」がこの地の名所となっている。鮮やかな赤色に塗られた高欄は豪雪地の白い景色の中での識別を意識した配色とか。
その他にr57を逆方向となる西隣の戸沢村角川地区から南に進むアプローチも可能であるがこの道筋は戸沢村と大蔵村の境界付近にある車両のすれ違いが困難な峡路走行の覚悟が必要となる。
【金生舘の位置】
金生舘は温泉宿が密集し朝市が開催される肘折温泉街の中心部から1km以上離れている。
金生舘の位置
肘折温泉街はR458から分岐するr57で珍しいループ橋構造の肘折希望大橋から銅山川の右岸に下って達するが金生舘へ向かうには温泉街の峡路をすり抜けて銅山川に掛かる橋を渡り支流の苦水川谷筋の左岸道を西方向に遡ると対岸に金生舘の看板を掲げた建物が見える。
【金生舘の外観】
苦水川に掛かる小さな橋を渡ると
金生舘の建物
対岸から見えていた金生舘は山肌の傾斜地に張り付く様に建っている。
金生舘の外観
幾つかの木造二層建築が複雑に繋ぎ合わされた外観から温泉宿特有の経年を感じるが何よりも傾斜地故に石垣や地下構造物の上面に確保した平面を有効活用する構造に大きな特徴がある。
駐車場
建物の一段下は左手奥に未舗装の平面が拡がり駐車場の空間となっている。
玄関アプローチ
この様な立地から駐車場から向かう金生舘の玄関は1階分の高さを登る石段の上部にある。
玄関
玄関扉を開けて案内を請うが大きな荷物を抱えて石段を上がる負担は少なくはない。
Part.2は金生舘館内の様子
(00:00)
2019年01月25日
Part.9
【朝食後】
朝食後は10:00のチェックアウト迄「桂の湯」や「白糸の湯」に入浴して名残を惜しんだ。
特に前夜は貸切や女性用に設定されていた「白糸の湯」が朝から男性用に切り換えられていたので広い浴室を貸切状態で堪能することができた。
白糸の湯の浴室
先にも紹介した「白糸の湯」の浴室内の全景や
白糸の湯の天井
浴槽から見上げた天井換気の構造は貸切状態でこそ撮影が許された構図である。
【チェックアウト】
チェックアウト時間の10分程前に荷物を纏めて玄関ホールに降りると既に数組の客が行列を成していた。
前にも紹介した様に旅館部の玄関内に管理用の事務室はあるがフロント窓口の設えが無いのでチェックアウト客が集中する時間帯には事務室前で従業員に客室の鍵を返却する行列ができることになる。鍵を渡すと従業員は一旦管理室に戻った後に手書きの精算書が開示される。料金を預けると再度室内に持ち込まれた後に領収書と必要なおつりが手交される方式で従業員の無駄な動線が多く効率が悪い。
宿泊料は予約時から明示されていた夏期繁忙期の料金が適用された2名税込\21774に夕食時の冷酒\1250と入湯税2名\300が加算され合計金額\23324を清算した。繁忙期ににしてはリーズナブルに思えるが一週前の盆休期間週末は更に高額な料金が設定されていた。しかし繁忙期を避けた平日には単価が一万円未満のプランもある。
【優待券の特典】
料金の清算を終えると領収書と共に2枚の優待券が手渡された。
宿泊割引券
一つは藤三旅館の宿泊優待券で旅館部と湯治部の宿泊料金の10%割引くというもので有効期間の設定がなく永久利用(宿が存続する限り)が可能である。
マルカンビル優待券
もう1枚は花巻市内で一時閉店した後に復活を果たしたマルカンビルの優待券でビル内の施設で\500以上の買い物をすると6F大食堂で名物十段巻きのソフトクリームがサービスされるというもの。こちらはの優待券は10/2迄の期限付となっていた。
【花巻市のマルカンビル】
マルカンビルの詳細には言及しないが嘗ては花巻市街の中心地で賑わった地元の老舗マルカンデパート(百貨店)であったとか。上層の6Fは当時のデパートビルの定番であったレストラン(大食堂)が永らく地元の人々に親しまれていた。2016年には老朽化したビルの改修費の捻出が困難で閉店が決断されたが現在は運営を引き継いだ地元の団体に依って6F大食堂と1F売場が営業を再開しているそうである。
マルカンビル大食堂のソフトクリーム
前項で紹介した優待券の10段巻きソフトクリームは高さが25cmもある大食堂の名物メニューでその巨大さと共に\180の価格(税込)設定にも驚かされる。
大食堂が復活する経緯は書籍に著されているそうなので興味があれば次の書籍を参照されたい。
《参考書籍》 北山公路著「マルカン大食堂の奇跡 岩手・花巻発!昭和なデパート大食堂復活までの市民とファンの1年間」(双葉社、2017年5月)
【終章】
藤三旅館は近年全室に露天風呂を備える別邸「十三月」を開業して高級志向の宿の感を拭えなかったが古い造りの旅館施設も室内には冷暖房やWi-Fi接続のnet環境に大型TV、冷蔵庫が装備され共用のトイレはシャワー便座を備え垂直移動のエレベーターも設置されるなど今時に必要な改修が施されて快適に過ごすことができた。
但し湯治部の客室には冷暖房設備が無く扇風機やストーブをオプション料金で利用する湯治宿では一般的な方式を執っており館内の垂直移動は階段に限られている。
由緒ある自噴泉の「白猿の湯」や今時の充実した設備と露天浴槽を備える「桂の湯」に白糸の滝を眺望する「白糸の湯」は一度の体験をお奨めしたい温泉である。
完
【朝食後】
朝食後は10:00のチェックアウト迄「桂の湯」や「白糸の湯」に入浴して名残を惜しんだ。
特に前夜は貸切や女性用に設定されていた「白糸の湯」が朝から男性用に切り換えられていたので広い浴室を貸切状態で堪能することができた。
白糸の湯の浴室
先にも紹介した「白糸の湯」の浴室内の全景や
白糸の湯の天井
浴槽から見上げた天井換気の構造は貸切状態でこそ撮影が許された構図である。
【チェックアウト】
チェックアウト時間の10分程前に荷物を纏めて玄関ホールに降りると既に数組の客が行列を成していた。
前にも紹介した様に旅館部の玄関内に管理用の事務室はあるがフロント窓口の設えが無いのでチェックアウト客が集中する時間帯には事務室前で従業員に客室の鍵を返却する行列ができることになる。鍵を渡すと従業員は一旦管理室に戻った後に手書きの精算書が開示される。料金を預けると再度室内に持ち込まれた後に領収書と必要なおつりが手交される方式で従業員の無駄な動線が多く効率が悪い。
宿泊料は予約時から明示されていた夏期繁忙期の料金が適用された2名税込\21774に夕食時の冷酒\1250と入湯税2名\300が加算され合計金額\23324を清算した。繁忙期ににしてはリーズナブルに思えるが一週前の盆休期間週末は更に高額な料金が設定されていた。しかし繁忙期を避けた平日には単価が一万円未満のプランもある。
【優待券の特典】
料金の清算を終えると領収書と共に2枚の優待券が手渡された。
宿泊割引券
一つは藤三旅館の宿泊優待券で旅館部と湯治部の宿泊料金の10%割引くというもので有効期間の設定がなく永久利用(宿が存続する限り)が可能である。
マルカンビル優待券
もう1枚は花巻市内で一時閉店した後に復活を果たしたマルカンビルの優待券でビル内の施設で\500以上の買い物をすると6F大食堂で名物十段巻きのソフトクリームがサービスされるというもの。こちらはの優待券は10/2迄の期限付となっていた。
【花巻市のマルカンビル】
マルカンビルの詳細には言及しないが嘗ては花巻市街の中心地で賑わった地元の老舗マルカンデパート(百貨店)であったとか。上層の6Fは当時のデパートビルの定番であったレストラン(大食堂)が永らく地元の人々に親しまれていた。2016年には老朽化したビルの改修費の捻出が困難で閉店が決断されたが現在は運営を引き継いだ地元の団体に依って6F大食堂と1F売場が営業を再開しているそうである。
マルカンビル大食堂のソフトクリーム
前項で紹介した優待券の10段巻きソフトクリームは高さが25cmもある大食堂の名物メニューでその巨大さと共に\180の価格(税込)設定にも驚かされる。
大食堂が復活する経緯は書籍に著されているそうなので興味があれば次の書籍を参照されたい。
《参考書籍》 北山公路著「マルカン大食堂の奇跡 岩手・花巻発!昭和なデパート大食堂復活までの市民とファンの1年間」(双葉社、2017年5月)
【終章】
藤三旅館は近年全室に露天風呂を備える別邸「十三月」を開業して高級志向の宿の感を拭えなかったが古い造りの旅館施設も室内には冷暖房やWi-Fi接続のnet環境に大型TV、冷蔵庫が装備され共用のトイレはシャワー便座を備え垂直移動のエレベーターも設置されるなど今時に必要な改修が施されて快適に過ごすことができた。
但し湯治部の客室には冷暖房設備が無く扇風機やストーブをオプション料金で利用する湯治宿では一般的な方式を執っており館内の垂直移動は階段に限られている。
由緒ある自噴泉の「白猿の湯」や今時の充実した設備と露天浴槽を備える「桂の湯」に白糸の滝を眺望する「白糸の湯」は一度の体験をお奨めしたい温泉である。
完
(00:00)
2019年01月18日
Part.8
【旅館部の朝食】
朝食は食事処「灯」の昨夜と同じ席に案内された。
朝食
テーブル上には白色を纏い細長い斬新な形状が一際目を引く2段重が朝食膳の中央を占めている。お膳の左奥は固形燃料コンロの定位置で蓋付の浅い鉄鍋が載っている。手前の左右には朝食定番の焼海苔と納豆に温泉卵の小鉢が配置されている。
2段重の中
2段重の蓋を取って平面に並べると松花堂弁当風の仕切りそれぞれに和朝食の料理が収められている 角皿や小鉢の容器を並べた様にも見える仕切りは重箱の寸法に合わせて整形したプラスチック製の装飾トレーを嵌め込んだものでコンビニ弁当等で多用される使い捨であろう仕様が気になる。
サラダ
上段箱の左の区画はミニトマトを添えたポテトサラダと和風ドレッシングを掛けた生野菜で
焼魚
右は焼鮭に奈良漬けの添え物がある。
小鉢
3分割された下段の重箱の左の区画は昆布巻き、梅干し、山葵漬の組合せで
小鉢
中央は山菜の蕨に人参と蒟蒻や薩摩揚げの炊き合わせで右端の区画は薄切り蓮根になめこや切り昆布などを加えた梅風味の酢の物仕立てが収められている。
ご飯と納豆
お膳の手前の空き地にご飯と
みそ汁と温泉卵
みそ汁を加えると
朝食膳
朝食膳の配置が完成する。
鉄鍋の中味
朝のご飯をいただく準備が整ったところで鉄鍋の蓋を開けてみると焦げ付きを防ぐクッキングシート上にベーコンや溶けるチーズとトマトソースを纏った乱切りの茄子が載っている。2段重や納豆、温泉卵等の朝食料理だけでなく昨夜の夕食料理も全て和食で統一されている中でこの鍋だけはイタリア風の別世界を演出する冒険心を感じる。しかしこの造りでは薄物のベーコンに較べて厚手の乱切り茄子の火通りが悪く柔らかくジューシーな状態まで辿り着かないのが大きな難点である。和食料理の中でチーズとトマトソース味の受け入れに抵抗は感じなかったが生焼けの茄子には閉口して大きな茄子塊はお残しとなってしまった。
因みにフードコーディネーターの資格を持つ同行者からは茄子塊を薄切りに変えてベーコンとミルフィーユ風に鉄板上に重ねればアルコール燃料の簡易な熱源でも火通りが良く蒸し焼き状態となるので食感が改善される筈との意見があった。
Part.9は朝食後からチェックアウト迄
【旅館部の朝食】
朝食は食事処「灯」の昨夜と同じ席に案内された。
朝食
テーブル上には白色を纏い細長い斬新な形状が一際目を引く2段重が朝食膳の中央を占めている。お膳の左奥は固形燃料コンロの定位置で蓋付の浅い鉄鍋が載っている。手前の左右には朝食定番の焼海苔と納豆に温泉卵の小鉢が配置されている。
2段重の中
2段重の蓋を取って平面に並べると松花堂弁当風の仕切りそれぞれに和朝食の料理が収められている 角皿や小鉢の容器を並べた様にも見える仕切りは重箱の寸法に合わせて整形したプラスチック製の装飾トレーを嵌め込んだものでコンビニ弁当等で多用される使い捨であろう仕様が気になる。
サラダ
上段箱の左の区画はミニトマトを添えたポテトサラダと和風ドレッシングを掛けた生野菜で
焼魚
右は焼鮭に奈良漬けの添え物がある。
小鉢
3分割された下段の重箱の左の区画は昆布巻き、梅干し、山葵漬の組合せで
小鉢
中央は山菜の蕨に人参と蒟蒻や薩摩揚げの炊き合わせで右端の区画は薄切り蓮根になめこや切り昆布などを加えた梅風味の酢の物仕立てが収められている。
ご飯と納豆
お膳の手前の空き地にご飯と
みそ汁と温泉卵
みそ汁を加えると
朝食膳
朝食膳の配置が完成する。
鉄鍋の中味
朝のご飯をいただく準備が整ったところで鉄鍋の蓋を開けてみると焦げ付きを防ぐクッキングシート上にベーコンや溶けるチーズとトマトソースを纏った乱切りの茄子が載っている。2段重や納豆、温泉卵等の朝食料理だけでなく昨夜の夕食料理も全て和食で統一されている中でこの鍋だけはイタリア風の別世界を演出する冒険心を感じる。しかしこの造りでは薄物のベーコンに較べて厚手の乱切り茄子の火通りが悪く柔らかくジューシーな状態まで辿り着かないのが大きな難点である。和食料理の中でチーズとトマトソース味の受け入れに抵抗は感じなかったが生焼けの茄子には閉口して大きな茄子塊はお残しとなってしまった。
因みにフードコーディネーターの資格を持つ同行者からは茄子塊を薄切りに変えてベーコンとミルフィーユ風に鉄板上に重ねればアルコール燃料の簡易な熱源でも火通りが良く蒸し焼き状態となるので食感が改善される筈との意見があった。
Part.9は朝食後からチェックアウト迄
(00:00)
2019年01月11日
Part.7
【旅館部の食事処】
鉛温泉旅館部の食事は夕、朝食共食事処で供される。
食事処の入口
「灯(あかり)」と名付けられた食事処の入口は別館上流端山側のエレベーターと隣り合位置にあり下流側に客席空間が置かれている。
食事処の外観
この位置関係を山側の駐車場から見ると手前の白壁平屋が食事処でその奥の赤壁3層が鉄筋造りの別館建物である。屋根の端だけが写っている左端は本館の増築部分で厨房に充てられていると思われる。右奥の特徴的な換気屋根を備えた建物は既に詳しく紹介した「白猿の湯」である。
食事処の屋根
更に別館2F山側の廊下から食事処の建物に載る灰色屋根を見下ろすことができる。
この様な状況と次に紹介する内部の設えから食事処は比較的新しく別館の山側に別棟として増築されたものと思われる。
食事処内部
入口から入場すると左奥の下流側に食事会場が伸びておりそれぞれのテーブルは外部の視線を遮断する吊り提げ格子で仕切られた個室風に設えられている。各テーブルを照明するペンダントライトは照度を抑えた赤紫系の光源で現代的な雰囲気を演出している。
しかしこの照明光の影響で画面ではカラーバランスが崩れ赤味が勝る仕上がりとなっている。
時間をかけてカメラのホワイトバランスを調整するか手っ取り早くストロボを焚いて白色光の直接照明で撮影する回避策はあるが食事中にカメラ操作に煩わされる調整作業は雰囲気的に好まないし他の客に迷惑をかけるストロボ発光は最も慎むべき迷惑行為と考えているのでいずれも採用は不可である。
【旅館部の夕食】
夕食膳
テーブル上に用意された夕食の膳は和食主体の料理が配置されている。
左手奥は鍋が置かれる定番の位置で右手前の扇皿にしゃぶしゃぶ鍋の材料が載っている。
しゃぶしゃぶ食材
大きめのスライス肉が目を引くがこれは岩手牛の2枚重ねでその下にプラチナ豚(白金豚)2枚と野菜類が隠れている。
刺身皿
右奥の刺身皿は鮪とカンパチの盛り合わせ。近年の物流システムのお陰で山中の温泉宿でも普通に海の魚を賞味できるのは今や常識である。
茶碗蒸し
鍋の手前でお膳中段の左端に見える蓋物は一目で分かる茶碗蒸しで蓋を開けると鰻が鎮座する豪華な仕様。
先付小鉢
右隣の先付小鉢は海老や蛸の海産物に寒天寄せを合わせたもので
小鉢料理
その右には枝豆を練り込んだ緑色の翡翠豆腐に蟹足を配ったハート型の小鉢とみずのお浸しが並ぶ。
奉書包み
小鉢の手前は奉書包みを載せた白い角皿が置かれている。
奉書焼き
包みを開くと筍と舞茸を添えた鯛の焼き物が現れる。海のものと山のものを組合せた工夫を感じる品である。
漬物
漬物皿の白い固まりは初めて食した長芋の食感が残る珍しい漬物である。
冷酒
先ずは冷酒を求めて料理に手を伸ばす。
300mlの冷酒は\1000を上回る高めの設定と感じた。因みに個人的な基準だが\900~1000程度が平均的な価格でそれ以下は安いと判断している。
鍋
コンロに点火した鍋を覗くと出汁用の昆布が浮いている。
牛しゃぶ
沸騰の頃合いを見て真っ先に岩手牛をしゃぶしゃぶして味噌だれでいただく。
豚しゃぶ
2枚の牛肉を食した後は野菜を加熱した後に白金豚を加え牛肉よりも長めに加熱した。
冷酒のお伴に多彩な料理を食し終える頃には満腹でご飯をいただく余地がなくみそ汁とデザートで夕食を締め括った。
デザート
デザートはキウイフルーツとパイナップルのフルーツ2片に甘味の水饅頭の盛り合わせで喉通りが良く満腹の筈の腹が抵抗することなくすんなりと収まってしまった。
Part.8は旅館部の朝食
【旅館部の食事処】
鉛温泉旅館部の食事は夕、朝食共食事処で供される。
食事処の入口
「灯(あかり)」と名付けられた食事処の入口は別館上流端山側のエレベーターと隣り合位置にあり下流側に客席空間が置かれている。
食事処の外観
この位置関係を山側の駐車場から見ると手前の白壁平屋が食事処でその奥の赤壁3層が鉄筋造りの別館建物である。屋根の端だけが写っている左端は本館の増築部分で厨房に充てられていると思われる。右奥の特徴的な換気屋根を備えた建物は既に詳しく紹介した「白猿の湯」である。
食事処の屋根
更に別館2F山側の廊下から食事処の建物に載る灰色屋根を見下ろすことができる。
この様な状況と次に紹介する内部の設えから食事処は比較的新しく別館の山側に別棟として増築されたものと思われる。
食事処内部
入口から入場すると左奥の下流側に食事会場が伸びておりそれぞれのテーブルは外部の視線を遮断する吊り提げ格子で仕切られた個室風に設えられている。各テーブルを照明するペンダントライトは照度を抑えた赤紫系の光源で現代的な雰囲気を演出している。
しかしこの照明光の影響で画面ではカラーバランスが崩れ赤味が勝る仕上がりとなっている。
時間をかけてカメラのホワイトバランスを調整するか手っ取り早くストロボを焚いて白色光の直接照明で撮影する回避策はあるが食事中にカメラ操作に煩わされる調整作業は雰囲気的に好まないし他の客に迷惑をかけるストロボ発光は最も慎むべき迷惑行為と考えているのでいずれも採用は不可である。
【旅館部の夕食】
夕食膳
テーブル上に用意された夕食の膳は和食主体の料理が配置されている。
左手奥は鍋が置かれる定番の位置で右手前の扇皿にしゃぶしゃぶ鍋の材料が載っている。
しゃぶしゃぶ食材
大きめのスライス肉が目を引くがこれは岩手牛の2枚重ねでその下にプラチナ豚(白金豚)2枚と野菜類が隠れている。
刺身皿
右奥の刺身皿は鮪とカンパチの盛り合わせ。近年の物流システムのお陰で山中の温泉宿でも普通に海の魚を賞味できるのは今や常識である。
茶碗蒸し
鍋の手前でお膳中段の左端に見える蓋物は一目で分かる茶碗蒸しで蓋を開けると鰻が鎮座する豪華な仕様。
先付小鉢
右隣の先付小鉢は海老や蛸の海産物に寒天寄せを合わせたもので
小鉢料理
その右には枝豆を練り込んだ緑色の翡翠豆腐に蟹足を配ったハート型の小鉢とみずのお浸しが並ぶ。
奉書包み
小鉢の手前は奉書包みを載せた白い角皿が置かれている。
奉書焼き
包みを開くと筍と舞茸を添えた鯛の焼き物が現れる。海のものと山のものを組合せた工夫を感じる品である。
漬物
漬物皿の白い固まりは初めて食した長芋の食感が残る珍しい漬物である。
冷酒
先ずは冷酒を求めて料理に手を伸ばす。
300mlの冷酒は\1000を上回る高めの設定と感じた。因みに個人的な基準だが\900~1000程度が平均的な価格でそれ以下は安いと判断している。
鍋
コンロに点火した鍋を覗くと出汁用の昆布が浮いている。
牛しゃぶ
沸騰の頃合いを見て真っ先に岩手牛をしゃぶしゃぶして味噌だれでいただく。
豚しゃぶ
2枚の牛肉を食した後は野菜を加熱した後に白金豚を加え牛肉よりも長めに加熱した。
冷酒のお伴に多彩な料理を食し終える頃には満腹でご飯をいただく余地がなくみそ汁とデザートで夕食を締め括った。
デザート
デザートはキウイフルーツとパイナップルのフルーツ2片に甘味の水饅頭の盛り合わせで喉通りが良く満腹の筈の腹が抵抗することなくすんなりと収まってしまった。
Part.8は旅館部の朝食
(00:00)
2019年01月04日
Part.6
【藤三旅館の源泉】
既にPart.4の湯治部とPart.5の旅館部で紹介した体験から確認できた鉛温泉藤三旅館の源泉は以下の様になっている。
�@は湯治部「白猿の湯」の浴槽底部から自噴する独自源泉
�Aは同じ湯治部にある「桂の湯」の浴場に表示されている「桂の湯+下の湯」の源泉2種
�Bは旅館部側「白糸の湯」と「銀の湯」の浴場に共通する源泉「桂の湯」
従って源泉そのものは「白猿の湯自噴泉」、「桂の湯」、「下の湯」の3種で更に「下の湯」の源泉はPart.4で紹介した通り「桂の湯」の源泉の湯温調整に少量が添加される脇役の存在である。
【5本の源泉】
しかし現在も大手予約サイトのweb上に掲載されている情報には藤三旅館が5本の源泉を所有していると公表されている。情報の更新日は2010年(平成22年)6月と明記されているので更新漏れとなった古いものかとは思うがその主要部分を抜粋して以下に紹介する。
===== 大手予約サイト掲載情報から引用 =====
2010/06/11 19:02更新
当館は現在5本の源泉を所有しております。
この源泉のうち「河鹿の湯」という源泉がぬるめで、その他の4本は熱い源泉です。これらを程よくブレンドし温度調整を行っておりますので、浴場ごとに微妙に泉質・効能が変わります。
以下に、どの浴場にどの源泉を使用しているかを記述いたします。
■浴場毎の使用源泉■
「白猿の湯」 源泉「白猿の湯」+源泉「河鹿の湯」+源泉「下の湯」
「桂の湯」 源泉「下の湯」+源泉「河鹿の湯」+新源泉「桂の湯」
「河鹿の湯」 源泉「下の湯」+源泉「河鹿の湯」
「白糸の湯」 新源泉「桂の湯」+源泉「河鹿の湯」
「銀の湯」 新源泉「桂の湯」+源泉「河鹿の湯」
■源泉毎の泉質■
源泉「上の湯」 単純温泉・アルカリ性単純高温泉(湧出量50L/分・pH8.5・ラドン含有量0.04マッヘ)
源泉「下の湯」 単純温泉・弱アルカリ性単純高温泉(湧出量250L/分・pH8.4・ラドン含有量0.06マッヘ)
新源泉「桂の湯」 アルカリ性単純温泉・低張性アルカリ性高温泉(湧出量869L/分・pH8.5・ラドン含有量0.64マッヘ)
源泉「白猿の湯」(浴場「白猿の湯」の湯底から自噴) 単純温泉・低張性弱アルカリ性温泉(湧出量測定不能・pH7.8・ラドン含有量0.297マッヘ)
源泉「河鹿の湯」(ぬるめの源泉です) 単純温泉・低張性アルカリ性高温泉(湧出量261L/分・pH8.5・ラドン含有量0.098マッヘ)
====================
【宿泊時の浴場と源泉】
繰り返しになるが、宿泊時点(2018年8月)の浴場施設は湯治部の「桂の湯」と「白猿の湯」、旅館部の「白糸の湯」と「銀の湯」の4箇所のみが案内されている。
桂の湯
「桂の湯」の源泉は「桂の湯」+「下の湯」と平成24年2月の成分分析表に明記されている。
露天浴槽(再掲)
露天浴槽にも同じ湯が掛けられているのであろう。
白猿の湯(再掲)
「白猿の湯」は鉛温泉開湯の由来にもある由緒正しい温泉で浴槽底部から湧く白猿の湯自噴源泉が明確である。隣り合う「桂の湯」との関連から「下の湯」を加えている可能性も考え得るが分析表が現場で確認できなかったので断言はできない。但し浴場内には浴槽とは別に小さな湯槽の設えがある。写真撮影不可の混浴施設で実際の入浴時には女性客の姿も見えたので浴槽の詳しい造りを探る不穏にも見えそうな探索行為は慎まざるを得なかった。従って白猿の湯の浴槽の給排湯の全貌は把握できなかったがこの小さな湯溜まりから「下の湯」が供給されている可能性は否定できない。
白糸の湯(再掲)
旅館部側の2湯「白糸の湯」と
銀の湯(再掲)
「銀の湯」の浴槽は両者共に「桂の湯」の単独源泉と平成19年11月の分析表に明示されている。
従って旅館部と湯治部にある4箇所の浴場が利用する源泉は「白猿の湯自噴泉」、「桂の湯」、「下の湯」の3種に絞られて2010年(平成22年)の情報には在った筈の「河鹿の湯」の浴場と源泉の「上の湯」、「河鹿の湯」が完全に消滅している。しかしweb上には湯治部の「河鹿の湯」を日帰り入浴したという過去の訪問記が公開されているので嘗ては間違いなく存在していたが現在は閉止或いは廃止されてしまったと考えるのが妥当であろう。
【河鹿の湯の謎】
浴場「河鹿の湯」が消滅した理由は容易に思いつく。それは今まで何度か触れてきた高級な宿泊施設を指向して開業した別邸「十三月(じゅうさんがつ)」の存在である。
以下は個人的な想像の域に留まるが現在別邸「十三月」が建つ豊沢川に沿う旅館部下流側の川辺は絶景の位置であり嘗ては湯治部の建物が在った筈である。何故なら温泉宿では温泉の泉質と並んで浴場や部屋から望む景観が最大の魅力となるからである。更に旅館の建物は川縁の決して広くない平坦地を活用しているので絶景位置の川辺を遊休地として放置する事は極めて考え難く何らかの施設(昔からの湯治宿であろう)が建てられていた筈である。しかし高級志向の温泉宿が構想された時点でこの絶景の場所は別邸に譲ることになり川沿いにあった建物は取り壊されて湯治部の規模は縮小されたと思われる。恐らく「河鹿の湯」の浴場はこの川側の建物にあり廃止されたのであろう。
豊沢川の景観に恵まれた別邸は全室の川側に浴槽を備えているので旅館部と湯治部の浴場から消えた「上の湯」、「河鹿の湯」の源泉に加えて「下の湯」の一部もこちらに振り向けているのではないだろうか。
【主役の源泉桂の湯】
源泉の「桂の湯」は他の4種の源泉とは異なりわざわざ新源泉と表記しているので比較的新しく掘削したものであろう。他の源泉と比較すると869リットル/分の湧出量は断トツで第2位の「河鹿の湯」の源泉261リットル/分を遥かに凌いでおり近年の1000m超の掘削技術で地中の深い位置から豊富な湯を汲み上げていると想像できる。800リットル/分を越える湯量は一般家庭で標準的な200リットル前後の浴槽ならば僅か15秒で湯を満たす或いは1分で4つの浴槽を満たす莫大な給湯能力である。
少なくとも「桂の湯」に加えて「白糸の湯」と「銀の湯」の浴槽では主役の源泉であり豊富な湯量から別邸側への給湯もありそうに思える。
Part.7は旅館部の食事
【藤三旅館の源泉】
既にPart.4の湯治部とPart.5の旅館部で紹介した体験から確認できた鉛温泉藤三旅館の源泉は以下の様になっている。
�@は湯治部「白猿の湯」の浴槽底部から自噴する独自源泉
�Aは同じ湯治部にある「桂の湯」の浴場に表示されている「桂の湯+下の湯」の源泉2種
�Bは旅館部側「白糸の湯」と「銀の湯」の浴場に共通する源泉「桂の湯」
従って源泉そのものは「白猿の湯自噴泉」、「桂の湯」、「下の湯」の3種で更に「下の湯」の源泉はPart.4で紹介した通り「桂の湯」の源泉の湯温調整に少量が添加される脇役の存在である。
【5本の源泉】
しかし現在も大手予約サイトのweb上に掲載されている情報には藤三旅館が5本の源泉を所有していると公表されている。情報の更新日は2010年(平成22年)6月と明記されているので更新漏れとなった古いものかとは思うがその主要部分を抜粋して以下に紹介する。
===== 大手予約サイト掲載情報から引用 =====
2010/06/11 19:02更新
当館は現在5本の源泉を所有しております。
この源泉のうち「河鹿の湯」という源泉がぬるめで、その他の4本は熱い源泉です。これらを程よくブレンドし温度調整を行っておりますので、浴場ごとに微妙に泉質・効能が変わります。
以下に、どの浴場にどの源泉を使用しているかを記述いたします。
■浴場毎の使用源泉■
「白猿の湯」 源泉「白猿の湯」+源泉「河鹿の湯」+源泉「下の湯」
「桂の湯」 源泉「下の湯」+源泉「河鹿の湯」+新源泉「桂の湯」
「河鹿の湯」 源泉「下の湯」+源泉「河鹿の湯」
「白糸の湯」 新源泉「桂の湯」+源泉「河鹿の湯」
「銀の湯」 新源泉「桂の湯」+源泉「河鹿の湯」
■源泉毎の泉質■
源泉「上の湯」 単純温泉・アルカリ性単純高温泉(湧出量50L/分・pH8.5・ラドン含有量0.04マッヘ)
源泉「下の湯」 単純温泉・弱アルカリ性単純高温泉(湧出量250L/分・pH8.4・ラドン含有量0.06マッヘ)
新源泉「桂の湯」 アルカリ性単純温泉・低張性アルカリ性高温泉(湧出量869L/分・pH8.5・ラドン含有量0.64マッヘ)
源泉「白猿の湯」(浴場「白猿の湯」の湯底から自噴) 単純温泉・低張性弱アルカリ性温泉(湧出量測定不能・pH7.8・ラドン含有量0.297マッヘ)
源泉「河鹿の湯」(ぬるめの源泉です) 単純温泉・低張性アルカリ性高温泉(湧出量261L/分・pH8.5・ラドン含有量0.098マッヘ)
====================
【宿泊時の浴場と源泉】
繰り返しになるが、宿泊時点(2018年8月)の浴場施設は湯治部の「桂の湯」と「白猿の湯」、旅館部の「白糸の湯」と「銀の湯」の4箇所のみが案内されている。
桂の湯
「桂の湯」の源泉は「桂の湯」+「下の湯」と平成24年2月の成分分析表に明記されている。
露天浴槽(再掲)
露天浴槽にも同じ湯が掛けられているのであろう。
白猿の湯(再掲)
「白猿の湯」は鉛温泉開湯の由来にもある由緒正しい温泉で浴槽底部から湧く白猿の湯自噴源泉が明確である。隣り合う「桂の湯」との関連から「下の湯」を加えている可能性も考え得るが分析表が現場で確認できなかったので断言はできない。但し浴場内には浴槽とは別に小さな湯槽の設えがある。写真撮影不可の混浴施設で実際の入浴時には女性客の姿も見えたので浴槽の詳しい造りを探る不穏にも見えそうな探索行為は慎まざるを得なかった。従って白猿の湯の浴槽の給排湯の全貌は把握できなかったがこの小さな湯溜まりから「下の湯」が供給されている可能性は否定できない。
白糸の湯(再掲)
旅館部側の2湯「白糸の湯」と
銀の湯(再掲)
「銀の湯」の浴槽は両者共に「桂の湯」の単独源泉と平成19年11月の分析表に明示されている。
従って旅館部と湯治部にある4箇所の浴場が利用する源泉は「白猿の湯自噴泉」、「桂の湯」、「下の湯」の3種に絞られて2010年(平成22年)の情報には在った筈の「河鹿の湯」の浴場と源泉の「上の湯」、「河鹿の湯」が完全に消滅している。しかしweb上には湯治部の「河鹿の湯」を日帰り入浴したという過去の訪問記が公開されているので嘗ては間違いなく存在していたが現在は閉止或いは廃止されてしまったと考えるのが妥当であろう。
【河鹿の湯の謎】
浴場「河鹿の湯」が消滅した理由は容易に思いつく。それは今まで何度か触れてきた高級な宿泊施設を指向して開業した別邸「十三月(じゅうさんがつ)」の存在である。
以下は個人的な想像の域に留まるが現在別邸「十三月」が建つ豊沢川に沿う旅館部下流側の川辺は絶景の位置であり嘗ては湯治部の建物が在った筈である。何故なら温泉宿では温泉の泉質と並んで浴場や部屋から望む景観が最大の魅力となるからである。更に旅館の建物は川縁の決して広くない平坦地を活用しているので絶景位置の川辺を遊休地として放置する事は極めて考え難く何らかの施設(昔からの湯治宿であろう)が建てられていた筈である。しかし高級志向の温泉宿が構想された時点でこの絶景の場所は別邸に譲ることになり川沿いにあった建物は取り壊されて湯治部の規模は縮小されたと思われる。恐らく「河鹿の湯」の浴場はこの川側の建物にあり廃止されたのであろう。
豊沢川の景観に恵まれた別邸は全室の川側に浴槽を備えているので旅館部と湯治部の浴場から消えた「上の湯」、「河鹿の湯」の源泉に加えて「下の湯」の一部もこちらに振り向けているのではないだろうか。
【主役の源泉桂の湯】
源泉の「桂の湯」は他の4種の源泉とは異なりわざわざ新源泉と表記しているので比較的新しく掘削したものであろう。他の源泉と比較すると869リットル/分の湧出量は断トツで第2位の「河鹿の湯」の源泉261リットル/分を遥かに凌いでおり近年の1000m超の掘削技術で地中の深い位置から豊富な湯を汲み上げていると想像できる。800リットル/分を越える湯量は一般家庭で標準的な200リットル前後の浴槽ならば僅か15秒で湯を満たす或いは1分で4つの浴槽を満たす莫大な給湯能力である。
少なくとも「桂の湯」に加えて「白糸の湯」と「銀の湯」の浴槽では主役の源泉であり豊富な湯量から別邸側への給湯もありそうに思える。
Part.7は旅館部の食事
(00:00)
2019年01月01日
昨年は大相撲の暴力行為に加えてアメフト、レスリング、ボクシング、体操等種々のスポーツ団体のハラスメント問題が立て続けに報道されて指導者のあり方が問われました。
更に重要な国レベルの指導者に至ってはアメリカ大統領ドナルドトランプに限らず他の国々や国内の政治場面に於いても協調性を無視する独善的な態度が大手を振って罷り通る風潮に危機感を覚えます。
目先の利得や自己弁護の為にあること無いことを大袈裟に吹聴し不都合な現実から目を逸らせて民心の不安を煽り立てる言動は人類の間に争いを増幅する極めて危険な行為であると近代の世界史が物語っています。
【掲載写真について】
�@薄衣の滝
今春の賀状に掲載した上段トップの写真は岩手県花巻市の南花巻温泉郷に程近い位置にある薄衣の滝です。温泉郷を縦貫する主要地方道r12にある案内看板に従って分岐すると道幅が狭まった市道から更に未舗装道路に誘導された先に数台の車が駐車できる空き地に達します。
徒歩道入口
車の進入はここ迄でその先は川の流れに沿う200mと案内されている徒歩道を遡ることになります。
簡易な橋
途中には簀の子の様な簡易橋で沢を渡ったり倒木を潜り抜ける場面にも遭遇した末に滝壺に達します。
下の滝と上の滝
徒歩道を上り詰めた沢筋から落水する滝は上下二段に分かれており下の滝が「薄衣の滝」、上段に位置する上の滝は「天狗の滝」であると滝を見通す斜面に設置されている石碑が主張しています。
二段の滝
県道から分岐を促す案内のみならず車道末端の駐車空間も「薄衣の滝」のみの案内でしたが実際は小規模ではありながら二段に分かれた滝それぞれに「薄衣」と「天狗」の個別名が与えられていることを知りました。
南花巻温泉郷に程近い位置にありながら観光地の手垢に汚れぬ自然の景観に感動しトップの掲載としました。
�A亀滝
2番目に掲げた亀滝は岩手県雫石町の岩手山西麓高原の網張温泉が湧く湯ノ沢を下る滝で落差は10m程に見えますが唯一の展望地点は網張温泉の宿泊施設から7分程の山道を辿った秘湯「仙女の湯」の混浴露天風呂で画面手前には岩組みの浴槽が写っています。
亀滝近景
ズームアップで望むと滝頭から二筋に分かれて落水する右側は更に岩壁に沿って横幅を増し二段、三段の小滝を形成しています。小規模ながら露天浴槽の背景を成す美しい瀑布です。「仙女の湯」は後の�Jにも採り挙げています。
�B白糸の滝
山形県戸沢村の最上川船下りの観光ルートに在って山肌の高い位置から一筋の糸を垂らした様に川岸に落水する姿に与えられた「白糸の滝」はその名に異論を唱える余地は無いと感じます。戸沢村のこの区間は最上川の下流部に沿って国道R47とJR陸羽西線の鉄路が日本海側に開けた港町の酒田市に向かう途中の道筋となっています。
最上川とR47
近くにある陸羽西線高屋駅前の高台から最上川の新庄市側となる上流方向と並行する国道を俯瞰することができます。
高屋駅のホーム
因みに高屋駅は一日に上り(新庄方面)と下り(酒田方面)にそれぞれ9便のディーゼルカーが発着する小さな無人駅です。
無人の駅舎
無人駅ながら広いガラス窓開口を有する駅舎は3m四方程の小さな建物ですが腰高のコンクリート基礎に乗る板張り外壁の様子等から最近になって整備された施設と思われます。切妻屋根の軒先が深い構造は雪国故の設えでしょうか。
駅名の由来
駅舎の中にはJR東日本が設置した「高屋駅の駅名由来」の解説が掲出されていました。
これを要約すると......
この付近の最上川は急流の瀬で舟運困難な地に加えて戦仕立ての軍船は喫水が深く竹竿で漕ぐことができず苦し紛れに槍を川底に突き立てながら漕ぎ上った。故にこの地を「高槍」と呼びやがて「高屋」に転訛したといわれる地名の由来から1952年に開業した駅名が「高屋駅」とされた。
......ということだそうです。
中段の�C~�Eは東北の春、夏、秋三景です。
�C七ッ森の春
宮城県大和町にある七ッ森は何度か採り挙げていますが奥羽山脈の東に張り出す支脈が太平洋岸の平地に収束する地は800mから300mの低山地群でその東側の平坦地は稲作地帯となっています。
5月の連休明けに訪れた大和町は七ッ森の山並みを背景に田植えを終えた春の水田の景色が印象に残りました。
�D岩手山麓網張高原の夏
標高2038mを誇る岩手山は県都盛岡市の北西方向に聳える名峰ですがその山稜南東側は滝沢市で南西側の雫石町と北側は八幡平市に属する2市1町の境界域にあります。
岩手山西麓となる雫石町の標高770m程の高原は網張温泉の宿泊施設にスキー場が併設される大規模リゾート地となっています。
�E関山街道の秋
関山街道は仙台市西部の作並温泉から山形県境をトンネルで抜けて東根市や尾花沢市、山形市等へ向かう国道R48となっています。冬季閉鎖がなく通年走行可能な幹線道路ですが作並を過ぎて峠に向かう山中は秋になると例年見事な紅葉が迎えてくれますが撮影時季は少し早めでした。
下段の5枚�F~�Jは温泉の浴槽風景で纏めてみました。
�F鉛温泉藤三旅館白猿の湯
岩手県花巻市の南花巻温泉郷は豊沢川の流れに沿って点在する七ッの温泉それぞれに一軒宿が営業しています。それらの中でも鉛温泉の藤三(ふじさん)旅館は500年前に開湯したと伝えられる歴史ある温泉宿で白猿(しろざる)の湯が高名な存在です。地下に設えられた浴場は立って入浴する深い浴槽の底部から温泉が湧出する自噴泉の珍しい造りと基本的に男女混浴が大きな特徴です。(但し今時の措置として女性専用時間の設定もあります。)
混浴の故か浴室内の撮影は禁止されていましたが深夜に入浴客が居ないことを確認した上で地上の入口から見える範囲の浴室景色を収めました。古い造りの浴室内にシャワー栓等の設備はありません。
�G鉛温泉藤三旅館桂の湯露天浴槽
白猿の湯に隣接する「桂の湯」は対照的に最新の設備が整った浴場で豊沢川の景観が開けた露天風呂の設えもあります。
�H肘折温泉金生舘露天風呂
山形県大蔵村の山中にある肘折温泉は4mの積雪を記録した豪雪地帯として有名になりました。温泉街の中心部は銅山(どうざん)川に沿う僅かな平坦地の狭い道路を挟んで多数の温泉宿が密集し訪問客の駐車場の空間にも事欠く状態で露天風呂を設営する程の余裕はありません。
しかしこの密集地から銅山川支流の苦水(にがみず)川の谷筋を数分遡る離れた位置の一軒宿で黄金温泉と称する金生舘は男女別の内湯浴場各々に露天風呂の設えがあります。男湯の露天は二つに仕切られた扇形の浴槽の上段に源泉が注ぐ熱めの湯で越流が流れ込む下段は外気の冷却効果で温めに設定され黄金色の濁り湯が満たされています。
�I東鳴子温泉旅館大沼露天風呂
宮城県北部に位置する大崎の中心部は旧古川市であった古川地区ですが平成の大合併に依って山形県に接する旧鳴子町も大崎市の西部を占め鳴子温泉町を称する地域となりました。鳴子といえば多種の源泉に恵まれて古くから知られる県内最大の温泉地ですが古川側から大きく川渡(かわたび)温泉、東鳴子温泉、鳴子温泉の地区に分かれています。これに加えて少し距離がある中山平(なかやまだいら)温泉と鬼首(おにこうべ)温泉も鳴子温泉町に所属しています。
掲載した写真は東鳴子温泉にある旅館大沼の貸切露天風呂「母里(もり)の湯」です。
旅館大沼外観
この露天風呂は旅館本体の建物敷地から少し離れた位置にあるので事前に予約して宿の車で送迎を受けて30分間利用できる方式となっています。
母里の湯の敷地
板塀で仕切られた露天風呂の敷地に入ると庭園の奥に延びる緩やかな下り基調の歩道脇に湯上がりの休み処に充てられている庵が見えます。
母里の湯外観
更に歩道を下ると板張りの湯小屋と板塀に囲まれた露天の浴槽に達します。
母里の湯
外観からは板張りに見えた湯小屋の浴槽側は仕切りを廃した開放構造となっています。浴槽にはナトリウム、炭酸水素、メタケイ酸主体で弱アルカリ性の透明湯が掛け流されています。
�J4283 網張温泉秘湯「仙女の湯」
昨夏に訪れた休暇村岩手網張温泉は岩手山南西麓となる岩手県雫石町の高原にあり温泉に加えて冬季にはスキー場も開設する大規模リゾート施設です。
因みに昨年末に雫石町で私営水道供給停止かと報道された騒動は網張温泉施設の下流側の山中に位置するペンション村で生じたものです。
網張温泉には網張五湯を称する多彩な温泉浴場が用意されていますがそれらの中でも秘湯「仙女の湯」を称する浴場は施設本体から上り下りの起伏がある山道を歩行する離れた位置の沢筋にあることや男女混浴の露天岩組浴槽が秘境感を?き立てる出色の浴場施設です。
山道
仙女の湯へ向かう取り付きは上り傾斜で未舗装の山道が続きます。
下り道
暫く進むと傾斜が緩んだ後に一気に谷筋に下る階段路となり工事足場に使う鋼パイプを組んだ手摺が設置されています。
湯小屋
階段路が行き着く先には倒木も見える湯ノ沢の脇に佇む湯小屋が現れます。脱衣場に充てられた湯小屋の奥は混浴の岩組露天風呂の世界です。既に�Aで紹介している亀滝はこの秘湯の谷筋となる湯ノ沢に掛かる滝で仙女の湯の景観を演出する貴重な存在となっています。
亀滝直下の湯ノ沢
写真の画角次第で亀滝が直接浴槽に流れ込んでいる様にも見えますが湯ノ沢の沢筋は右に逸れて流れ下っていて浴槽には配管で引き込まれた源泉が左端に見える湯口から掛け流されています。
「仙女の湯」は亀滝の景観を独占する野趣に溢れた露天風呂です。
(12:00)
2018年12月28日
Part.5
【旅館部の浴場】
湯治部の浴場とは一転して旅館部の浴場は本館より豊沢川上流の別棟に「白糸の湯」と「銀(しろがね)の湯」が設置されている。
二つの浴場は旅館部に限らず湯治部や別邸側からも利用できるが男女の時間入替や貸切時間帯が複雑に設定されている。
旅館部内では三箇所の階段やエレベーターで1Fに降りて上流側の本館端部ある連絡通路に進めば良い。
湯治部や別邸側から向かうなら「白猿の湯」から旅館部に続く通路で旅館部に入り本館1Fの廊下を上流方向へ進むことになる。
連絡通路
旅館部本館の上流側末端まで進むとカーペット敷きの幅広廊下から一間幅に狭まった板張り床の通路が斜め奥に延びており別棟へ向かう連絡通路の雰囲気に満ちている。
通路の奥
この通路を奥に進むと電照看板の先に湯上がりの休み処となる小振りなロビーが見える。
浴場入口
ロビー空間に入った右手が「銀の湯」、突き当たりは「白糸の湯」の入口となっている。この写真の撮影時は「銀の湯」が有料の貸切風呂の時間帯で黄色の暖簾が下がり「白糸の湯」は女性専用の時間帯で赤紫系の小豆色暖簾が掛けられていた。
貸切時間終了後
貸切時間帯が過ぎると「銀の湯」は男性用となって茄子紺色の暖簾が懸けられる
茄子紺色暖簾
翌朝になると「白糸の湯」は男性用に変わり
小豆色暖簾
連動して隣り合う「銀の湯」が女性専用となる。
【白糸の湯】
暖簾を分け引き戸を開けてスリッパを脱いだ先の脱衣場は
脱衣棚
左壁面の窓部分に畳表層の長椅子が置かれた奥に施錠機能を備えたキーロッカーと開放型の脱衣棚が設置されている。
脱衣室内
右側は手前にある浴室の出入口の奥が洗面空間で
洗面台
湯水栓を備えた4基の洗面台各々にドライヤーが配置されている。
脱衣室内
この画面は脱衣室の奥から入口方向の視線で見える景色である。
浴室
脱衣室と隔てるガラス戸を引いて浴室に入ると正面奥の外壁全面に透明ガラスの引き戸が設置されて豊沢川の外景を取り込んでおり
半露天浴槽
ガラス戸を引き開けると直接外気に接することができる半露天の構造となっている。
浴室左手
ガラス窓に接する浴槽は外壁に沿って左手の浴室奥まで続き平石貼りの仕上げは「桂の湯」と同じ意匠を採用している。
湯口
浴槽の外壁側右隅に配された湯口から透明な湯が注がれており洗い場側の縁から越流する掛け流し方式に見える。
洗い場
脱衣室側の壁面は4基のシャワー栓を備える洗い場に充てられているがこの床面が茶褐色に変色しているのは恒常的に浴槽から越流する温泉成分に晒されている故であろう。
洗い場の仕切り
洗い場は各々が隔壁で仕切られた最新の造りでシャンプーやコンディショナー、ボディソープ、石鹸の配置も怠りない。
窓外風景
浴槽に浸かり窓越しに見る風景は視点が低すぎて豊沢川の流れは川岸に雑草に隠されてしまうが対岸から落水する滝が視認できる。
白糸の滝
窓を開けて望遠で見る滝は岩肌に幾条もの水流が描かれており小規模ながら白糸の滝の名に恥じない姿と感じる。
旅館部本館
滝の撮影ついでに窓外下流方向に目を向けると旅館部の3層木造本館の上流端部が垣間見える。
天井の換気
浴室の天井を見上げると木造梁組み上部の高い位置に換気窓と換気扇を備えて室内の湯気と湿気を排出している。
浴室内の鮮明な光景を収められたのはこの換気構造のお陰である。
【銀の湯】
「白糸の湯」と同じ棟で隣り合う位置に置かれた「銀の湯」は小規模な浴場である。
脱衣場
暖簾を分けて入ると正面にあるトイレの左手奥が脱衣室で洗面台にキーロッカーと脱衣棚が設置されている。
脱衣室とガラス戸で仕切られた川側が浴室の空間となっている。
シャワー栓
浴室内は薄赤系の鴇(とき)色に見えるタイル貼りで2基のシャワー栓を備えた洗い場の右手に
浴槽
小振りの浴槽が置かれ川側の窓外から白糸の滝の景観を望める位置にある。換気不足の浴室内は湯気が充満してピンボケの様に見えるが奥の湯口は「白糸の湯」と同様の意匠が採用されている。
【旅館部側温泉の泉質】
「白糸の湯」と「銀の湯」には同一内容の泉質分析表が掲出されているが表題部分はそれぞれの浴室に対応して白糸の湯と銀の湯の文字が加えられている。
白糸の湯の分析表
岩手県薬剤師会が発行し分析日付が平成19年11月1日とされる分析表の表示には源泉名が桂の湯、アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)の泉質でpH8.5、源泉温度59.1℃、使用位置は43℃とされている。
銀の湯の分析表
以前から疑問を感じているが複数の浴槽に同一内容の分析表を適用している場合の使用位置はどの様に規定されているのであろうか。恐らく全体を代表的する一地点を抽出した計測と思うが浴室の換気具合に依存する室温や浴槽の大きさ等の個別事情で浴槽毎に湯温のばらつきがある筈。温泉浴槽では一般的に源泉の注入量を制御して湯温を調整する方式が採用されている事から個別の施設で実現可能な管理目標温度ではなかろうかと思ったりもするが分析表の数値は本来計測、分析結果の筈なので流石に目標値では無いのだろう。
成分組成の分析値を見ると陽イオンはナトリウムイオン(Na+)の173.8mg/kgとカリウムイオン(K+)11.0mg/kgが多く陰イオンでは硫酸イオン(H2SO42-)215mg/kgと炭酸水素イオン(HCO3-)の80mg/kgが主要な成分から単純温泉と定義されているらしい。
実際に入浴するとさらっとした肌触りの透明湯で硫黄系の臭気やアルカリ系のぬるつき、酸性の肌刺激などの特異的な個性を感じない親しみ易い温泉である。
Part.6は鉛温泉の源泉を究明
【旅館部の浴場】
湯治部の浴場とは一転して旅館部の浴場は本館より豊沢川上流の別棟に「白糸の湯」と「銀(しろがね)の湯」が設置されている。
二つの浴場は旅館部に限らず湯治部や別邸側からも利用できるが男女の時間入替や貸切時間帯が複雑に設定されている。
旅館部内では三箇所の階段やエレベーターで1Fに降りて上流側の本館端部ある連絡通路に進めば良い。
湯治部や別邸側から向かうなら「白猿の湯」から旅館部に続く通路で旅館部に入り本館1Fの廊下を上流方向へ進むことになる。
連絡通路
旅館部本館の上流側末端まで進むとカーペット敷きの幅広廊下から一間幅に狭まった板張り床の通路が斜め奥に延びており別棟へ向かう連絡通路の雰囲気に満ちている。
通路の奥
この通路を奥に進むと電照看板の先に湯上がりの休み処となる小振りなロビーが見える。
浴場入口
ロビー空間に入った右手が「銀の湯」、突き当たりは「白糸の湯」の入口となっている。この写真の撮影時は「銀の湯」が有料の貸切風呂の時間帯で黄色の暖簾が下がり「白糸の湯」は女性専用の時間帯で赤紫系の小豆色暖簾が掛けられていた。
貸切時間終了後
貸切時間帯が過ぎると「銀の湯」は男性用となって茄子紺色の暖簾が懸けられる
茄子紺色暖簾
翌朝になると「白糸の湯」は男性用に変わり
小豆色暖簾
連動して隣り合う「銀の湯」が女性専用となる。
【白糸の湯】
暖簾を分け引き戸を開けてスリッパを脱いだ先の脱衣場は
脱衣棚
左壁面の窓部分に畳表層の長椅子が置かれた奥に施錠機能を備えたキーロッカーと開放型の脱衣棚が設置されている。
脱衣室内
右側は手前にある浴室の出入口の奥が洗面空間で
洗面台
湯水栓を備えた4基の洗面台各々にドライヤーが配置されている。
脱衣室内
この画面は脱衣室の奥から入口方向の視線で見える景色である。
浴室
脱衣室と隔てるガラス戸を引いて浴室に入ると正面奥の外壁全面に透明ガラスの引き戸が設置されて豊沢川の外景を取り込んでおり
半露天浴槽
ガラス戸を引き開けると直接外気に接することができる半露天の構造となっている。
浴室左手
ガラス窓に接する浴槽は外壁に沿って左手の浴室奥まで続き平石貼りの仕上げは「桂の湯」と同じ意匠を採用している。
湯口
浴槽の外壁側右隅に配された湯口から透明な湯が注がれており洗い場側の縁から越流する掛け流し方式に見える。
洗い場
脱衣室側の壁面は4基のシャワー栓を備える洗い場に充てられているがこの床面が茶褐色に変色しているのは恒常的に浴槽から越流する温泉成分に晒されている故であろう。
洗い場の仕切り
洗い場は各々が隔壁で仕切られた最新の造りでシャンプーやコンディショナー、ボディソープ、石鹸の配置も怠りない。
窓外風景
浴槽に浸かり窓越しに見る風景は視点が低すぎて豊沢川の流れは川岸に雑草に隠されてしまうが対岸から落水する滝が視認できる。
白糸の滝
窓を開けて望遠で見る滝は岩肌に幾条もの水流が描かれており小規模ながら白糸の滝の名に恥じない姿と感じる。
旅館部本館
滝の撮影ついでに窓外下流方向に目を向けると旅館部の3層木造本館の上流端部が垣間見える。
天井の換気
浴室の天井を見上げると木造梁組み上部の高い位置に換気窓と換気扇を備えて室内の湯気と湿気を排出している。
浴室内の鮮明な光景を収められたのはこの換気構造のお陰である。
【銀の湯】
「白糸の湯」と同じ棟で隣り合う位置に置かれた「銀の湯」は小規模な浴場である。
脱衣場
暖簾を分けて入ると正面にあるトイレの左手奥が脱衣室で洗面台にキーロッカーと脱衣棚が設置されている。
脱衣室とガラス戸で仕切られた川側が浴室の空間となっている。
シャワー栓
浴室内は薄赤系の鴇(とき)色に見えるタイル貼りで2基のシャワー栓を備えた洗い場の右手に
浴槽
小振りの浴槽が置かれ川側の窓外から白糸の滝の景観を望める位置にある。換気不足の浴室内は湯気が充満してピンボケの様に見えるが奥の湯口は「白糸の湯」と同様の意匠が採用されている。
【旅館部側温泉の泉質】
「白糸の湯」と「銀の湯」には同一内容の泉質分析表が掲出されているが表題部分はそれぞれの浴室に対応して白糸の湯と銀の湯の文字が加えられている。
白糸の湯の分析表
岩手県薬剤師会が発行し分析日付が平成19年11月1日とされる分析表の表示には源泉名が桂の湯、アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)の泉質でpH8.5、源泉温度59.1℃、使用位置は43℃とされている。
銀の湯の分析表
以前から疑問を感じているが複数の浴槽に同一内容の分析表を適用している場合の使用位置はどの様に規定されているのであろうか。恐らく全体を代表的する一地点を抽出した計測と思うが浴室の換気具合に依存する室温や浴槽の大きさ等の個別事情で浴槽毎に湯温のばらつきがある筈。温泉浴槽では一般的に源泉の注入量を制御して湯温を調整する方式が採用されている事から個別の施設で実現可能な管理目標温度ではなかろうかと思ったりもするが分析表の数値は本来計測、分析結果の筈なので流石に目標値では無いのだろう。
成分組成の分析値を見ると陽イオンはナトリウムイオン(Na+)の173.8mg/kgとカリウムイオン(K+)11.0mg/kgが多く陰イオンでは硫酸イオン(H2SO42-)215mg/kgと炭酸水素イオン(HCO3-)の80mg/kgが主要な成分から単純温泉と定義されているらしい。
実際に入浴するとさらっとした肌触りの透明湯で硫黄系の臭気やアルカリ系のぬるつき、酸性の肌刺激などの特異的な個性を感じない親しみ易い温泉である。
Part.6は鉛温泉の源泉を究明
(00:00)
2018年12月21日
Part.4
【藤三旅館の温泉】
藤三旅館の温泉は湯治部の上流側で旅館部との中間に位置して歴史を重ねた「白猿(しろざる)の湯」とこれに隣接して最新設備を整える「桂の湯」の他に旅館部の上流端に「白糸の湯」と「銀(しろがね)の湯」の全四湯を擁し全てが源泉掛け流しの浴槽とされている。
また全ての浴室は基本的に24時間利用できるが浴室毎に男女別、混浴、有料貸切の時間帯が設定されている。
入浴時間割表
客室には浴室毎に設定された時間毎の割当表が配置されているのでこれを確認して入浴可能な浴室に向かうことになる。
【湯治部の浴場】
「白猿の湯」と「桂の湯」は湯治部の浴場と案内されているが湯治部の木造3層客室棟とは別棟の施設である。
湯治部の建物
旅館部別館の廊下から山側下流方向の窓外を見ると方形の赤屋根の頂部に一段高い換気屋根を載せた白壁の平屋が「白猿の湯」の建物でその奥の3層建築に湯治部の玄関と客室が配置されている。
白猿の湯外観
「桂の湯」は「白猿の湯」と通路を隔てた川側にあるのでこの画角では左端の旅館部別館の壁に阻まれて見通すことはできない。
因みに左端の手前から「白猿の湯」の建物に繋がる赤屋根は旅館部からの連絡通路でその延長に「白猿の湯」の赤屋根に密接している灰色の屋根は廊下で隔てられた「桂の湯」の部分である。
【湯治部への連絡路】
旅館部から湯治部の浴場へ向かうには館内唯一のエレベータか三箇所に設置された階段のいずれかを経由して一旦1Fに降りる。
湯治部への誘導
エレベーター経由で降りるならその先は狭めの別館内廊下を下流側に進むと現れる右矢印の誘導に従って右に折れる連絡通路を下流側に進む。
桂の湯入口
通路の先は左手に男女に分かれた「桂の湯」の暖簾が懸かり手前が女性用、奥が男性用となっている。
白猿の湯入口
通路の反対側の右手は磨りガラスを嵌める古い造りの引き戸が並んだ先に「白猿の湯」の入口が現れるがこの部分の造りはガラス窓より遥かに新しい構造で改修の手が加わっている様にである。
なお遠目では通路の突き当たりの白壁で行き止まりに見えるが実際は左に折れる通路が続いて別邸十三月へ連絡している。しかし画面に見える通り旅館部側からの視野位置にはポスターも交えた多数の「白猿の湯」の文字が執拗に掲出されており通路上にもご丁寧な矢印付の誘導看板が通せんぼする様に配置されているのは暗にこの先に立ち入って欲しくないという施設側の意識が感じられる。
別邸方向の案内
連絡通路にある別邸方向の案内表示は僅か一箇所のみと控えめである。この様な状況から別邸側からは由緒正しい「白猿の湯」への利便を図りながら旅館部や湯治部の利用客には別邸の存在を秘匿したい意図が透けて見える。
【桂の湯】
男女別の浴室に洗い場と露天風呂も備えて時間制限が無く深夜にも入浴できる「桂の湯」は館内で最も使い勝手に優れた入浴施設である。
脱衣室
男湯入口に懸かる茄子紺色の暖簾を分けて引き戸を開けた正面に館内スリッパの収納棚があり右手の洗面台にドライヤーや整髪料が用意されている。
脱衣棚
洗面台の奥はトイレが置かれてその脇を左に折れたL 字構造の先にルームキー保管ロッカーと開架式の脱衣棚が並んでいる。
浴室隔壁
脱衣棚とは逆側の左手はガラス戸で仕切られた内湯の浴室となっているが脱衣室の奥に設置されているガラス扉は併設する露天風呂へ直接出入りできる構造となっている。
洗い場
浴室内にはシャワー栓4基を備える洗い場があり
内湯浴槽
豊沢川に面した外壁ガラス窓側に平石張りの浴槽が設置されている。窓側の奥にある湯口から注ぐ湯は透明で浴槽の縁を越流する掛け流し方式となっている。
露天風呂
ガラス窓の外は川の流れが目に入る空間に露天浴槽が設えらている。奥に見える板壁は女性浴場との隔壁であろう。この浴槽の湯口は内湯の浴槽と背中合わせとなる壁際の隅にあり手前の縁から越流する湯は
下段の浴槽
川側の石組み階段を下った低い位置に設けられたもう一つの小振りな浴槽に流れる構造となっている。こちらの浴槽は上段の浴槽に認められる黄褐色の堆積物がなく豊沢川に張り出す様な石組み構造から比較的新しく設置されたものではないだろうか。浴槽の湯は川側の石組を部分的に敢えて低くした越流口から排出される構造となっている。浴槽は大人が手足を伸ばせば2名で満杯となる程度の大きさで構造上湯も温めだが川の瀬音に囲まれた一時の入浴は山河の営みを感じる貴重な体験である。
先にも述べたが露天風呂は内湯浴室から出入する扉の他に直接脱衣室に繋がる扉もあり露天側から見ると二つの出入口が並ぶ珍しい造りとなっている。
【白猿の湯】
豊沢川に面する「桂の湯」と通路を挟んだ山側には藤三旅館の歴史を背負い鉛温泉の象徴的な浴場となっている「白猿の湯」が控えている。疵を癒す白猿の姿から温泉湧出を見出した由来に因む命名は既に触れた通りである。
「白猿の湯」も24時間利用可能で混浴が基本の浴場だが女性専用の時間帯が14:00~15:00、19:30~21:00、6:00~7:00の3回設定されており女性客へ一定の配慮も成されている。
【浴場入口】
「白猿の湯」浴室の入口は方形浴室の対角を成す二箇所に設けられている。
その一は既に写真で紹介した旅館部や別邸十三月からの連絡通路側で「桂の湯」に向かい合う位置にある。
二つめの入口は旅館部通路を「桂の湯」の手前迄進む直前の右手に設けられた休み処の空間の奥で湯治部に繋がる廊下にある。
神棚
日帰り客の利便を図ったものであろう休み処は通路右側の窓側に置かれ左の壁面には飲料自販機の先に神棚が祀られている。この壁面は浴室と背中合わせとなっている。神棚の詳しい観察はしなかったが上部には鉛温泉の由来を記す大型額の掲出も見られた。
神棚の先は通路が僅かに下り傾斜となりその先を左に折れると湯治部へ連絡している。
湯治部側入口
下り傾斜は旅館部側と湯治部建物との床面高さを調整する措置で傾斜の先の突き当たりを左に曲がると湯治部に直進する板張りの廊下に変貌する。90°進路を変えた直後に第二の入口が現れる。こちらは旅館部通路側の木製引き戸に較べるとアルミサッシの引き戸に置き換えられた簡素な造りとなっている。奥に続く浴室部分の壁面は古い造りに見える木枠のガラス窓で下段は目隠しの磨りガラスを嵌めているが上部は採光を考慮してか透明ガラスとなっている。
【浴場内部】
撮影禁止
混浴故であろうかこの浴場に限って二箇所それぞれの入口に場内撮影禁止の掲示がある。
浴室(旅館部側)
従って浴場内の光景を様子を写真で紹介することは困難となったが他にも壁面ガラス窓に覗き見禁止、警察へ通報する等の注意書きもあるので盗撮禁止が主要な目的と解釈した上で深夜の時間帯に入浴客が皆無であることを確認した上で浴場内へカメラの持ち込みも自粛し入口から見える範囲に限定して撮影を試みたがこれ以上の撮影は控えることとした。旅館の公式HP●リンク●には浴室内で撮影した異なる角度の画像も掲載されているので参照されたい。
浴室(湯治部側)
「白猿の湯」の浴場は二箇所ある入口それぞれから直線的な下り階段を降りる地下室となっている。各々の階段は中間に踊り場を挟む20段程でこの段数から地下の浴室面は地上から1.5層分程の低い位置にあると思われる。地下部分の4壁面は階段側面部を含めて平石貼りに仕上げられている。
入口から各々の階段を下るとスリッパの収納棚と脱衣籠を備えた簀の子敷きの脱衣所が戸板1枚程の簡易な衝立で浴槽側から目隠しされている。
脱衣所の簀の子床面から一段下ると平石を敷いた床面の中央に長円形の浴槽が設えられている。この浴槽は深さが1.2m程もある立ち湯で底部から源泉が湧く構造は鉛温泉の歴史を支えた代表的な施設と言える。但し浴槽底面には高低があり深さのばらつきを感じる。底面の凹凸を探りながら浴槽内を移動すると中心部で石を置いた様な一段高い処を発見した。一人が立てるだけの小さな高みの直下から温泉が湧出しているらしい。
天井を見上げると高い天井の上に見える換気窓が独特の景色となっているが浴室内の撮影が叶わず残念である。
白猿の湯建物
内部の光景を紹介できないので代替措置で外部から見える建物の外観を再掲する。手前に見える窓が開口する外壁の内側が休み処で左手前から繋がる細い赤屋根が旅館部との連絡通路となっていることは既に紹介した通り。これらの施設と手前に見えている駐車場が地上1Fの高さでこの地上面から1.5層分に相当する20段の階段を下った地下の浴槽から地上2F の高さにある換気屋根は相対的に3.5F相当の吹抜構造である。この比高から浴室内の天井を見上げる壮観さを想像願えれば幸いである。
【泉質表示】
「白猿の湯」は先に紹介した通り浴槽底部からの自噴泉で独自の源泉の筈だが温泉の泉質分析の表示は見当たらなかった。
「桂の湯」では脱衣場入口に成分分析表が掲出されていた。
桂の湯温泉分析表
この分析表は分析日付が平成24年2月13日となっており源泉は「桂の湯+下の湯」と表示されpH8.0の泉質は単純温泉(低張性弱アルカリ性温泉)で源泉温度は41.7℃と記されているが使用位置の温度は空欄で記載がない。分析表の右側上部にある成分に影響を与える項目には浴槽温度を適温にする為に源泉「桂の湯」に源泉「下の湯」を20~30%加えており混合比率は季節、天候、時間帯で調整していると注釈がある。従って2種の源泉を混合した後の泉温を源泉温度としている様子で使用位置も同様と見なして空欄となっているのであろう。
成分の分析で目を引く項目はナトリウムイオン(Na+)104.8mg/kgと硫酸イオン(H2SO4--)110.3mg/kg、炭酸水素イオン(HCO3- )85.4mg/kgで主成分の硫酸ナトリウムが解離溶解した単純泉と評価されているがこれも源泉を混合した結果であろう。
次項で紹介する旅館部の温泉浴槽は「桂の湯」の源泉1種に絞られており泉質分析の評価も異なっている。
旅館部の温泉浴場はPart.5で
【藤三旅館の温泉】
藤三旅館の温泉は湯治部の上流側で旅館部との中間に位置して歴史を重ねた「白猿(しろざる)の湯」とこれに隣接して最新設備を整える「桂の湯」の他に旅館部の上流端に「白糸の湯」と「銀(しろがね)の湯」の全四湯を擁し全てが源泉掛け流しの浴槽とされている。
また全ての浴室は基本的に24時間利用できるが浴室毎に男女別、混浴、有料貸切の時間帯が設定されている。
入浴時間割表
客室には浴室毎に設定された時間毎の割当表が配置されているのでこれを確認して入浴可能な浴室に向かうことになる。
【湯治部の浴場】
「白猿の湯」と「桂の湯」は湯治部の浴場と案内されているが湯治部の木造3層客室棟とは別棟の施設である。
湯治部の建物
旅館部別館の廊下から山側下流方向の窓外を見ると方形の赤屋根の頂部に一段高い換気屋根を載せた白壁の平屋が「白猿の湯」の建物でその奥の3層建築に湯治部の玄関と客室が配置されている。
白猿の湯外観
「桂の湯」は「白猿の湯」と通路を隔てた川側にあるのでこの画角では左端の旅館部別館の壁に阻まれて見通すことはできない。
因みに左端の手前から「白猿の湯」の建物に繋がる赤屋根は旅館部からの連絡通路でその延長に「白猿の湯」の赤屋根に密接している灰色の屋根は廊下で隔てられた「桂の湯」の部分である。
【湯治部への連絡路】
旅館部から湯治部の浴場へ向かうには館内唯一のエレベータか三箇所に設置された階段のいずれかを経由して一旦1Fに降りる。
湯治部への誘導
エレベーター経由で降りるならその先は狭めの別館内廊下を下流側に進むと現れる右矢印の誘導に従って右に折れる連絡通路を下流側に進む。
桂の湯入口
通路の先は左手に男女に分かれた「桂の湯」の暖簾が懸かり手前が女性用、奥が男性用となっている。
白猿の湯入口
通路の反対側の右手は磨りガラスを嵌める古い造りの引き戸が並んだ先に「白猿の湯」の入口が現れるがこの部分の造りはガラス窓より遥かに新しい構造で改修の手が加わっている様にである。
なお遠目では通路の突き当たりの白壁で行き止まりに見えるが実際は左に折れる通路が続いて別邸十三月へ連絡している。しかし画面に見える通り旅館部側からの視野位置にはポスターも交えた多数の「白猿の湯」の文字が執拗に掲出されており通路上にもご丁寧な矢印付の誘導看板が通せんぼする様に配置されているのは暗にこの先に立ち入って欲しくないという施設側の意識が感じられる。
別邸方向の案内
連絡通路にある別邸方向の案内表示は僅か一箇所のみと控えめである。この様な状況から別邸側からは由緒正しい「白猿の湯」への利便を図りながら旅館部や湯治部の利用客には別邸の存在を秘匿したい意図が透けて見える。
【桂の湯】
男女別の浴室に洗い場と露天風呂も備えて時間制限が無く深夜にも入浴できる「桂の湯」は館内で最も使い勝手に優れた入浴施設である。
脱衣室
男湯入口に懸かる茄子紺色の暖簾を分けて引き戸を開けた正面に館内スリッパの収納棚があり右手の洗面台にドライヤーや整髪料が用意されている。
脱衣棚
洗面台の奥はトイレが置かれてその脇を左に折れたL 字構造の先にルームキー保管ロッカーと開架式の脱衣棚が並んでいる。
浴室隔壁
脱衣棚とは逆側の左手はガラス戸で仕切られた内湯の浴室となっているが脱衣室の奥に設置されているガラス扉は併設する露天風呂へ直接出入りできる構造となっている。
洗い場
浴室内にはシャワー栓4基を備える洗い場があり
内湯浴槽
豊沢川に面した外壁ガラス窓側に平石張りの浴槽が設置されている。窓側の奥にある湯口から注ぐ湯は透明で浴槽の縁を越流する掛け流し方式となっている。
露天風呂
ガラス窓の外は川の流れが目に入る空間に露天浴槽が設えらている。奥に見える板壁は女性浴場との隔壁であろう。この浴槽の湯口は内湯の浴槽と背中合わせとなる壁際の隅にあり手前の縁から越流する湯は
下段の浴槽
川側の石組み階段を下った低い位置に設けられたもう一つの小振りな浴槽に流れる構造となっている。こちらの浴槽は上段の浴槽に認められる黄褐色の堆積物がなく豊沢川に張り出す様な石組み構造から比較的新しく設置されたものではないだろうか。浴槽の湯は川側の石組を部分的に敢えて低くした越流口から排出される構造となっている。浴槽は大人が手足を伸ばせば2名で満杯となる程度の大きさで構造上湯も温めだが川の瀬音に囲まれた一時の入浴は山河の営みを感じる貴重な体験である。
先にも述べたが露天風呂は内湯浴室から出入する扉の他に直接脱衣室に繋がる扉もあり露天側から見ると二つの出入口が並ぶ珍しい造りとなっている。
【白猿の湯】
豊沢川に面する「桂の湯」と通路を挟んだ山側には藤三旅館の歴史を背負い鉛温泉の象徴的な浴場となっている「白猿の湯」が控えている。疵を癒す白猿の姿から温泉湧出を見出した由来に因む命名は既に触れた通りである。
「白猿の湯」も24時間利用可能で混浴が基本の浴場だが女性専用の時間帯が14:00~15:00、19:30~21:00、6:00~7:00の3回設定されており女性客へ一定の配慮も成されている。
【浴場入口】
「白猿の湯」浴室の入口は方形浴室の対角を成す二箇所に設けられている。
その一は既に写真で紹介した旅館部や別邸十三月からの連絡通路側で「桂の湯」に向かい合う位置にある。
二つめの入口は旅館部通路を「桂の湯」の手前迄進む直前の右手に設けられた休み処の空間の奥で湯治部に繋がる廊下にある。
神棚
日帰り客の利便を図ったものであろう休み処は通路右側の窓側に置かれ左の壁面には飲料自販機の先に神棚が祀られている。この壁面は浴室と背中合わせとなっている。神棚の詳しい観察はしなかったが上部には鉛温泉の由来を記す大型額の掲出も見られた。
神棚の先は通路が僅かに下り傾斜となりその先を左に折れると湯治部へ連絡している。
湯治部側入口
下り傾斜は旅館部側と湯治部建物との床面高さを調整する措置で傾斜の先の突き当たりを左に曲がると湯治部に直進する板張りの廊下に変貌する。90°進路を変えた直後に第二の入口が現れる。こちらは旅館部通路側の木製引き戸に較べるとアルミサッシの引き戸に置き換えられた簡素な造りとなっている。奥に続く浴室部分の壁面は古い造りに見える木枠のガラス窓で下段は目隠しの磨りガラスを嵌めているが上部は採光を考慮してか透明ガラスとなっている。
【浴場内部】
撮影禁止
混浴故であろうかこの浴場に限って二箇所それぞれの入口に場内撮影禁止の掲示がある。
浴室(旅館部側)
従って浴場内の光景を様子を写真で紹介することは困難となったが他にも壁面ガラス窓に覗き見禁止、警察へ通報する等の注意書きもあるので盗撮禁止が主要な目的と解釈した上で深夜の時間帯に入浴客が皆無であることを確認した上で浴場内へカメラの持ち込みも自粛し入口から見える範囲に限定して撮影を試みたがこれ以上の撮影は控えることとした。旅館の公式HP●リンク●には浴室内で撮影した異なる角度の画像も掲載されているので参照されたい。
浴室(湯治部側)
「白猿の湯」の浴場は二箇所ある入口それぞれから直線的な下り階段を降りる地下室となっている。各々の階段は中間に踊り場を挟む20段程でこの段数から地下の浴室面は地上から1.5層分程の低い位置にあると思われる。地下部分の4壁面は階段側面部を含めて平石貼りに仕上げられている。
入口から各々の階段を下るとスリッパの収納棚と脱衣籠を備えた簀の子敷きの脱衣所が戸板1枚程の簡易な衝立で浴槽側から目隠しされている。
脱衣所の簀の子床面から一段下ると平石を敷いた床面の中央に長円形の浴槽が設えられている。この浴槽は深さが1.2m程もある立ち湯で底部から源泉が湧く構造は鉛温泉の歴史を支えた代表的な施設と言える。但し浴槽底面には高低があり深さのばらつきを感じる。底面の凹凸を探りながら浴槽内を移動すると中心部で石を置いた様な一段高い処を発見した。一人が立てるだけの小さな高みの直下から温泉が湧出しているらしい。
天井を見上げると高い天井の上に見える換気窓が独特の景色となっているが浴室内の撮影が叶わず残念である。
白猿の湯建物
内部の光景を紹介できないので代替措置で外部から見える建物の外観を再掲する。手前に見える窓が開口する外壁の内側が休み処で左手前から繋がる細い赤屋根が旅館部との連絡通路となっていることは既に紹介した通り。これらの施設と手前に見えている駐車場が地上1Fの高さでこの地上面から1.5層分に相当する20段の階段を下った地下の浴槽から地上2F の高さにある換気屋根は相対的に3.5F相当の吹抜構造である。この比高から浴室内の天井を見上げる壮観さを想像願えれば幸いである。
【泉質表示】
「白猿の湯」は先に紹介した通り浴槽底部からの自噴泉で独自の源泉の筈だが温泉の泉質分析の表示は見当たらなかった。
「桂の湯」では脱衣場入口に成分分析表が掲出されていた。
桂の湯温泉分析表
この分析表は分析日付が平成24年2月13日となっており源泉は「桂の湯+下の湯」と表示されpH8.0の泉質は単純温泉(低張性弱アルカリ性温泉)で源泉温度は41.7℃と記されているが使用位置の温度は空欄で記載がない。分析表の右側上部にある成分に影響を与える項目には浴槽温度を適温にする為に源泉「桂の湯」に源泉「下の湯」を20~30%加えており混合比率は季節、天候、時間帯で調整していると注釈がある。従って2種の源泉を混合した後の泉温を源泉温度としている様子で使用位置も同様と見なして空欄となっているのであろう。
成分の分析で目を引く項目はナトリウムイオン(Na+)104.8mg/kgと硫酸イオン(H2SO4--)110.3mg/kg、炭酸水素イオン(HCO3- )85.4mg/kgで主成分の硫酸ナトリウムが解離溶解した単純泉と評価されているがこれも源泉を混合した結果であろう。
次項で紹介する旅館部の温泉浴槽は「桂の湯」の源泉1種に絞られており泉質分析の評価も異なっている。
旅館部の温泉浴場はPart.5で
(00:00)
2018年12月14日
Part.3
【本館3F の客室】
大規模で多様な側面を備えた温泉宿故その概要説明に長文を費やしたがこの項では旅館部で通された客室を紹介する。
踏込
木造本館3Fの豊沢川に面した客室は赤いカーペットを敷いた廊下に並ぶドアの内側に畳1畳分の踏込を備え
客室内
その奥の室内は6畳の和室に加えて窓側の広縁部分まで隙間なく畳が敷き込まれて7.5畳程の空間となっている。
欄間
床面の畳は窓下まで連続しているが天井を見上げると窓側には欄間障子を備えた下がり壁に鴨居を備える構造は嘗て障子の仕切りを備えた広縁の設えであったと容易に想像できる。
0 天井高
更に鴨居や長押上部から天井迄の壁の高さは近年の建築物には見られない古い造りの名残を感じる。
エアコン
高い天井の上部にはエアコン室内機の装備もあり快適な環境が整備されているが普段に見慣れない右隣の箱はドレン水をポンプアップする排水装置であろうか。
リモコン類
因みにこのエアコンのリモコンにはYANMARのロゴを認めた。ヤンマーと言えば「農家の機械はみなヤンマー」、「漁船のエンジンみなヤンマー」、「建設工事もみなヤンマー」のコマーシャルソングで広く知られた存在でディーゼルエンジンを搭載する機械類の製造会社と理解していたが空調機分野に進出していることは初めて知った。
広縁
畳敷きに改装されたらしい窓際の広縁部にはテーブルセットが用意され壁際に設置されたFF方式の暖房機に小型の冷蔵庫が並んでいる。
冷蔵庫
冷蔵庫は中が空で自由に使用できる設定で上部には茶櫃が載り右隣には枕元用の電気スタンドが用意されている。
茶箪笥と鏡台
更に隣には小さな茶箪笥と鏡台が控えている。茶箪笥にはグラス類が収められ天面には一輪挿しの装飾もある。橙色に見えるLED懐中電灯はランタン機能も兼ねる非常時の備えである。
【余談: 栓抜き考】
茶箪笥の中には栓抜きも見えているが近年の飲料はプルトップのアルミ缶や紙製ブリックパック、PETボトルが圧倒的多数で嘗ては主流であったガラス瓶を王冠で密封した容器は見掛けなくなって久しい。王冠付のガラス瓶が流通していた時代にはJR(当時は国鉄)の中長距離列車のボックスシート窓側の小テーブル下にも栓抜きが装備されていたが最近の車両は流通する飲料容器の変化に伴って廃止されている。
然るに多くの温泉旅館では今も尚栓抜きの用意を怠らないのは何故であろうか。旅館には瓶ビールや炭酸水等瓶入り飲料の用意が欠かせないのでこれに対応する措置かとも思うがこれらの需要は食事会場や宴会場が主体となるので客室の栓抜きはこれらの飲料のルームサービスに備えるものかと思う。しかし最近主流となっている空で自由使用の冷蔵庫は外部からの飲料持込が前提となるので栓抜きが活用される機会は極めて希ではないだろうか。
【本館3F の客室続き】
テレビ台
茶箪笥や鏡台が並ぶ右側壁面に対して左側は液晶テレビとクローゼットが並びその奥の広縁部分の襖は寝具を収める押入となっている。
金庫とポット類
前の写真で明瞭だがテレビ台とクローゼットの一間幅部分のみが畳床面から一段高く設えられて奥行きが浅い板床張となっている。
この構造から嘗ては床の間の設えに新たな木棚を取り付けてテレビの収納空間と寸法的には狭めのクローゼットに改装した様子が見てとれる。
年季が浅く周囲の木材とは明らかに色彩が異なるテレビ台の下に設けられた空間には施錠番号が設定できる貴重品金庫の他に温水、冷水のポットサービスがあり館内電話も設置されている。
窓
豊沢川の流れに面する壁面の窓は内側にサッシ建具を増設した二重窓に改装されているが外壁側は装飾を懲らした古い造りの木枠ガラス戸である。引き戸上部の採光窓枠の装飾や
窓の意匠
ガラス引き戸の中段に帯状の磨りガラスを嵌め込む意匠には合理性優先の現代建築では忘れられた職人の技巧を感じる。
窓の外側
但し外側から見る木製窓枠は長年晒された風雪に依る劣化が認められる。この外窓も更に劣化が進めばやがてサッシ戸に更新されるのであろう。
窓外の手摺
既に窓外に設置された手摺は銀色のアルミ製品に交換済である。
Part.4は藤三旅館の温泉施設
【本館3F の客室】
大規模で多様な側面を備えた温泉宿故その概要説明に長文を費やしたがこの項では旅館部で通された客室を紹介する。
踏込
木造本館3Fの豊沢川に面した客室は赤いカーペットを敷いた廊下に並ぶドアの内側に畳1畳分の踏込を備え
客室内
その奥の室内は6畳の和室に加えて窓側の広縁部分まで隙間なく畳が敷き込まれて7.5畳程の空間となっている。
欄間
床面の畳は窓下まで連続しているが天井を見上げると窓側には欄間障子を備えた下がり壁に鴨居を備える構造は嘗て障子の仕切りを備えた広縁の設えであったと容易に想像できる。
0 天井高
更に鴨居や長押上部から天井迄の壁の高さは近年の建築物には見られない古い造りの名残を感じる。
エアコン
高い天井の上部にはエアコン室内機の装備もあり快適な環境が整備されているが普段に見慣れない右隣の箱はドレン水をポンプアップする排水装置であろうか。
リモコン類
因みにこのエアコンのリモコンにはYANMARのロゴを認めた。ヤンマーと言えば「農家の機械はみなヤンマー」、「漁船のエンジンみなヤンマー」、「建設工事もみなヤンマー」のコマーシャルソングで広く知られた存在でディーゼルエンジンを搭載する機械類の製造会社と理解していたが空調機分野に進出していることは初めて知った。
広縁
畳敷きに改装されたらしい窓際の広縁部にはテーブルセットが用意され壁際に設置されたFF方式の暖房機に小型の冷蔵庫が並んでいる。
冷蔵庫
冷蔵庫は中が空で自由に使用できる設定で上部には茶櫃が載り右隣には枕元用の電気スタンドが用意されている。
茶箪笥と鏡台
更に隣には小さな茶箪笥と鏡台が控えている。茶箪笥にはグラス類が収められ天面には一輪挿しの装飾もある。橙色に見えるLED懐中電灯はランタン機能も兼ねる非常時の備えである。
【余談: 栓抜き考】
茶箪笥の中には栓抜きも見えているが近年の飲料はプルトップのアルミ缶や紙製ブリックパック、PETボトルが圧倒的多数で嘗ては主流であったガラス瓶を王冠で密封した容器は見掛けなくなって久しい。王冠付のガラス瓶が流通していた時代にはJR(当時は国鉄)の中長距離列車のボックスシート窓側の小テーブル下にも栓抜きが装備されていたが最近の車両は流通する飲料容器の変化に伴って廃止されている。
然るに多くの温泉旅館では今も尚栓抜きの用意を怠らないのは何故であろうか。旅館には瓶ビールや炭酸水等瓶入り飲料の用意が欠かせないのでこれに対応する措置かとも思うがこれらの需要は食事会場や宴会場が主体となるので客室の栓抜きはこれらの飲料のルームサービスに備えるものかと思う。しかし最近主流となっている空で自由使用の冷蔵庫は外部からの飲料持込が前提となるので栓抜きが活用される機会は極めて希ではないだろうか。
【本館3F の客室続き】
テレビ台
茶箪笥や鏡台が並ぶ右側壁面に対して左側は液晶テレビとクローゼットが並びその奥の広縁部分の襖は寝具を収める押入となっている。
金庫とポット類
前の写真で明瞭だがテレビ台とクローゼットの一間幅部分のみが畳床面から一段高く設えられて奥行きが浅い板床張となっている。
この構造から嘗ては床の間の設えに新たな木棚を取り付けてテレビの収納空間と寸法的には狭めのクローゼットに改装した様子が見てとれる。
年季が浅く周囲の木材とは明らかに色彩が異なるテレビ台の下に設けられた空間には施錠番号が設定できる貴重品金庫の他に温水、冷水のポットサービスがあり館内電話も設置されている。
窓
豊沢川の流れに面する壁面の窓は内側にサッシ建具を増設した二重窓に改装されているが外壁側は装飾を懲らした古い造りの木枠ガラス戸である。引き戸上部の採光窓枠の装飾や
窓の意匠
ガラス引き戸の中段に帯状の磨りガラスを嵌め込む意匠には合理性優先の現代建築では忘れられた職人の技巧を感じる。
窓の外側
但し外側から見る木製窓枠は長年晒された風雪に依る劣化が認められる。この外窓も更に劣化が進めばやがてサッシ戸に更新されるのであろう。
窓外の手摺
既に窓外に設置された手摺は銀色のアルミ製品に交換済である。
Part.4は藤三旅館の温泉施設
(00:00)
2018年12月07日
Part.2
【藤三旅館旅館部の館内】
自動ドアを通って入った玄関は簀の子敷きの三和土で履き物を脱ぐと直ちに左手にある下足室に収容されて一段高い位置に並ぶスリッパに履き替えて入館する。
玄関内部
右手には帳場と呼ぶのが相応しい事務所が配置されているがフロントカウンターの機能は備えておらず出迎えられた男性スタッフに浴場配置と食事会場の簡単な説明を受けて割当られた部屋に案内される。
上の写真は玄関の内部を館内側から写しているので帳場は玄関ドアの左に見える位置関係となっている。
川側のロビー
旅館部の館内は玄関ホールからその奥に位置して豊沢川の景観があるロビーから階段や各階の廊下に至る迄ほぼ全ての床面に赤色のカーペットが敷き詰められている。
藤三旅館の旅館部は既に紹介した木造の3階建ての本館と鉄筋3層構造の別館の二つの客室棟で構成されている。
館内図
客室に配置された館内図は玄関や帳場(図にはフロントと表記されているがその佇まいは帳場の表現が相応しいと感じる)を含む左半分が木造の本館部分で豊沢川(図の上方)側のみに客室が並ぶ右半分の別館と連絡通路で繋がっている。
連絡通路
この連絡通路は軒高が高い本館側から見ると別館へ向かう下り傾斜で更に
本館側廊下
空間に余裕を持たせた本館側の幅広廊下と
別館側廊下
ビジネスホテル仕様に狭まる別館廊下の転換点にもなっている。
工事足場
傾斜のある連絡通路の山側の窓から望む外景は本館側の屋根に登る工事用の足場が組まれて
屋根上の足場
瓦屋根の上に向かっていた。
川側の足場
豊沢川に面する窓からも本館側の屋根に届く足場が見えた。これは本館瓦屋根の補修工事であろうか。
エレベーター
連絡通路に接する別館端部の山側には旅館部に唯一のエレベーターが設置されて1F~3F 迄の垂直移動を支えているが客室に配置されている館内図には一切案内がなく不親切である。加えて後に紹介する夕朝食の食事処の存在も記されておらず現状を反映していない古い情報が残念である。
【旅館部のエレベーター】
旅館部唯一のエレベーターは近年の改装に見えるが籠の内部と各階のドアそれぞれ異なるデザインが施されている。
籠の内部
1F~3Fを上下する籠の内部壁面には雪を頂く岩手山麓の風景が張り巡らされている。
各階のドアには花巻出身の著名人である宮沢賢治の著作をモチーフにした童話の世界が描かれている。
宮沢賢治の代表作とされる「雨ニモマケズ」の詩は嘗て義務教育課程で暗唱できる程に身についている。その他の作品に関しては知識は少なく判断に迷うが
1Fドア
1Fドアの描画は「鹿踊りのはじまり」の一場面で
2Fドア
2Fは「銀河鉄道の夜」の世界を描いてい様に見える。
3Fドア
3Fは「なめとこ山の熊」の物語りであろうか。
いずれにしても地元花巻市で活躍した宮沢賢治の作品風景を取り込んだエレベーターの装飾意匠は斬新である。
【旅館部の階段】
旅館部の垂直移動はエレベーターの他に1F ~3Fを連絡する三箇所の階段が設置されている。木造の本館内の階段は上流端の山側と玄関奥正面の川側の二箇所に設置され鉄筋造の別館内にも下流寄りの川側に一箇所設けられている。
正面階段
玄関奥の階段はロビーに隣接していることから館内ではメイン施設の正面階段の位置付けであろう。上の写真は消灯後の玄関ロビーのショットだが左手前に正面階段の上り口が部分的に写り込んでいる。
正面階段3F
この画面は正面階段最上部の本館3Fの景色で右端部に手摺が見えている。これらは階段を意識した撮影ではないので片鱗が窺える程度の中途半端な紹介となってしまうが
上流側階段
上流側の階段は階段の途中と
上流側階段3F
3Fへ上り詰める最上部の景色を撮影していた。
これらの階段に共通する特徴は旅館部館内各階の床面と一体となる様に赤いカーペットが敷き詰められていることともう一つ各階と中間の踊り場に設置されている手摺を支える柱は洩れなく擬宝珠を冠する意匠に統一されている点にある。正面階段と上流側階段では手摺りの木組み形状に相違があるが黒漆塗り風の光沢塗装は統一感のある共通仕様となっている。
別館内階段の写真は撮影していないが本館の階段と同様の雰囲気に纏められている。
【藤三旅館の全貌】
現状を反映した館内全体の配置図はないものかとアンテナを張っていたお陰で館内のとある片隅に僅か1枚の図面を発見した。
館内図
A4版1枚紙に描かれた旅館部、湯治部、別邸十三月の1F~3F全ての平面配置図から藤三旅館各施設の全貌を把握することができた。撮影条件に恵まれない環境下で焦点合わせの甘さが悔やまれるが以下に注釈を加えて紹介する。
館内図1F部分
先ず各館の相対的な位置関係が分かり易い1Fの部分を見ると画面左側の豊沢川上流方から下流方向に旅館部の木造本館と鉄筋別館が並び別館から分かれる通路の下流側に置かれた白猿の湯と桂の湯の浴場を介して山側には湯治部、川側には新設された別邸十三月の建物が並行して延びている。
旅館部の浴場とされている白糸の湯と銀の湯は左端の上流側に別棟の浴場として描かれている。
【湯治部】
湯治部玄関
旅館部と湯治部、別邸はそれぞれ専用の玄関が設けられて各々が独立した施設となっているが白猿の湯を始めとする各浴場へ往来する為に3館は連絡路で繋がっている。
湯治部への通路
旅館部から湯治部へは白猿の湯の浴場の山側から下流に延びる通路で自由に往来でき
湯治部炊事場
先に紹介した玄関や炊事場などを目にすることができる。
【別邸十三月の連絡通路】
別邸の連絡口
一方白猿の湯の下流川側で唐突に現れる白色の開口部は十三月の小さなプレートで別邸への連絡口を示している。
別邸への連絡路
因みに白い引き戸の先には白壁の通路が続いているが
別邸入場の関門
その奥はカードキー方式で部外者の立入が制限された別世界となっている。別邸十三月の客室カードキーを通行手形とする入場制限の措置で庶民には縁遠い高級旅館の側から歴史を重ねた庶民的な浴場施設へ向かう一方的な連絡通路である。
館内図2,3F部分
館内全体図で2,3Fの部分を見ると旅館部と湯治部には3F 構造があるが別邸の2F には7室の客室のみで3Fは存在しない2層構造である。
本館客室の様子はPart.3で
【藤三旅館旅館部の館内】
自動ドアを通って入った玄関は簀の子敷きの三和土で履き物を脱ぐと直ちに左手にある下足室に収容されて一段高い位置に並ぶスリッパに履き替えて入館する。
玄関内部
右手には帳場と呼ぶのが相応しい事務所が配置されているがフロントカウンターの機能は備えておらず出迎えられた男性スタッフに浴場配置と食事会場の簡単な説明を受けて割当られた部屋に案内される。
上の写真は玄関の内部を館内側から写しているので帳場は玄関ドアの左に見える位置関係となっている。
川側のロビー
旅館部の館内は玄関ホールからその奥に位置して豊沢川の景観があるロビーから階段や各階の廊下に至る迄ほぼ全ての床面に赤色のカーペットが敷き詰められている。
藤三旅館の旅館部は既に紹介した木造の3階建ての本館と鉄筋3層構造の別館の二つの客室棟で構成されている。
館内図
客室に配置された館内図は玄関や帳場(図にはフロントと表記されているがその佇まいは帳場の表現が相応しいと感じる)を含む左半分が木造の本館部分で豊沢川(図の上方)側のみに客室が並ぶ右半分の別館と連絡通路で繋がっている。
連絡通路
この連絡通路は軒高が高い本館側から見ると別館へ向かう下り傾斜で更に
本館側廊下
空間に余裕を持たせた本館側の幅広廊下と
別館側廊下
ビジネスホテル仕様に狭まる別館廊下の転換点にもなっている。
工事足場
傾斜のある連絡通路の山側の窓から望む外景は本館側の屋根に登る工事用の足場が組まれて
屋根上の足場
瓦屋根の上に向かっていた。
川側の足場
豊沢川に面する窓からも本館側の屋根に届く足場が見えた。これは本館瓦屋根の補修工事であろうか。
エレベーター
連絡通路に接する別館端部の山側には旅館部に唯一のエレベーターが設置されて1F~3F 迄の垂直移動を支えているが客室に配置されている館内図には一切案内がなく不親切である。加えて後に紹介する夕朝食の食事処の存在も記されておらず現状を反映していない古い情報が残念である。
【旅館部のエレベーター】
旅館部唯一のエレベーターは近年の改装に見えるが籠の内部と各階のドアそれぞれ異なるデザインが施されている。
籠の内部
1F~3Fを上下する籠の内部壁面には雪を頂く岩手山麓の風景が張り巡らされている。
各階のドアには花巻出身の著名人である宮沢賢治の著作をモチーフにした童話の世界が描かれている。
宮沢賢治の代表作とされる「雨ニモマケズ」の詩は嘗て義務教育課程で暗唱できる程に身についている。その他の作品に関しては知識は少なく判断に迷うが
1Fドア
1Fドアの描画は「鹿踊りのはじまり」の一場面で
2Fドア
2Fは「銀河鉄道の夜」の世界を描いてい様に見える。
3Fドア
3Fは「なめとこ山の熊」の物語りであろうか。
いずれにしても地元花巻市で活躍した宮沢賢治の作品風景を取り込んだエレベーターの装飾意匠は斬新である。
【旅館部の階段】
旅館部の垂直移動はエレベーターの他に1F ~3Fを連絡する三箇所の階段が設置されている。木造の本館内の階段は上流端の山側と玄関奥正面の川側の二箇所に設置され鉄筋造の別館内にも下流寄りの川側に一箇所設けられている。
正面階段
玄関奥の階段はロビーに隣接していることから館内ではメイン施設の正面階段の位置付けであろう。上の写真は消灯後の玄関ロビーのショットだが左手前に正面階段の上り口が部分的に写り込んでいる。
正面階段3F
この画面は正面階段最上部の本館3Fの景色で右端部に手摺が見えている。これらは階段を意識した撮影ではないので片鱗が窺える程度の中途半端な紹介となってしまうが
上流側階段
上流側の階段は階段の途中と
上流側階段3F
3Fへ上り詰める最上部の景色を撮影していた。
これらの階段に共通する特徴は旅館部館内各階の床面と一体となる様に赤いカーペットが敷き詰められていることともう一つ各階と中間の踊り場に設置されている手摺を支える柱は洩れなく擬宝珠を冠する意匠に統一されている点にある。正面階段と上流側階段では手摺りの木組み形状に相違があるが黒漆塗り風の光沢塗装は統一感のある共通仕様となっている。
別館内階段の写真は撮影していないが本館の階段と同様の雰囲気に纏められている。
【藤三旅館の全貌】
現状を反映した館内全体の配置図はないものかとアンテナを張っていたお陰で館内のとある片隅に僅か1枚の図面を発見した。
館内図
A4版1枚紙に描かれた旅館部、湯治部、別邸十三月の1F~3F全ての平面配置図から藤三旅館各施設の全貌を把握することができた。撮影条件に恵まれない環境下で焦点合わせの甘さが悔やまれるが以下に注釈を加えて紹介する。
館内図1F部分
先ず各館の相対的な位置関係が分かり易い1Fの部分を見ると画面左側の豊沢川上流方から下流方向に旅館部の木造本館と鉄筋別館が並び別館から分かれる通路の下流側に置かれた白猿の湯と桂の湯の浴場を介して山側には湯治部、川側には新設された別邸十三月の建物が並行して延びている。
旅館部の浴場とされている白糸の湯と銀の湯は左端の上流側に別棟の浴場として描かれている。
【湯治部】
湯治部玄関
旅館部と湯治部、別邸はそれぞれ専用の玄関が設けられて各々が独立した施設となっているが白猿の湯を始めとする各浴場へ往来する為に3館は連絡路で繋がっている。
湯治部への通路
旅館部から湯治部へは白猿の湯の浴場の山側から下流に延びる通路で自由に往来でき
湯治部炊事場
先に紹介した玄関や炊事場などを目にすることができる。
【別邸十三月の連絡通路】
別邸の連絡口
一方白猿の湯の下流川側で唐突に現れる白色の開口部は十三月の小さなプレートで別邸への連絡口を示している。
別邸への連絡路
因みに白い引き戸の先には白壁の通路が続いているが
別邸入場の関門
その奥はカードキー方式で部外者の立入が制限された別世界となっている。別邸十三月の客室カードキーを通行手形とする入場制限の措置で庶民には縁遠い高級旅館の側から歴史を重ねた庶民的な浴場施設へ向かう一方的な連絡通路である。
館内図2,3F部分
館内全体図で2,3Fの部分を見ると旅館部と湯治部には3F 構造があるが別邸の2F には7室の客室のみで3Fは存在しない2層構造である。
本館客室の様子はPart.3で
(00:00)
2018年11月30日
Part.1<図や写真をクリックすると拡大表示します>
【序章】
2018年の夏は7月早々から全国各地で猛暑日を記録し40℃を越える観測地も出現する酷暑となった一方で日本近海で発生した多数の台風や台風崩で発達した前線がもたらした豪雨で多くの被害を生じる異常事態が8月下旬迄継続した。
8月半ば15日の前後は旧盆の期間でこの時季は毎年恒例となっている多数の帰省客と国内外を目指す観光客が行き交い道路、鉄道、航空機などあらゆる交通網が大混雑期を迎えるのはご存じの通りである。従って格安料金の温泉宿泊には不向きな時期ではあったが同行者との都合を調整した結果旧盆明けの日程で温泉宿を探すことになった。通常より高額な料金が設定されるハイシーズンではあったが納得できる範囲で選んだ宿は花巻南温泉郷の老舗旅館の鉛温泉藤三(ふじさん)旅館となった。
【花巻市の温泉地】
花巻南温泉郷は岩手県花巻市南部地域を流れる豊沢川に沿う県道r12に松倉温泉、志度平温泉、渡り温泉、大沢温泉、山の神温泉、(高倉山温泉)、鉛温泉、新鉛温泉の七湯が展開し県内有数の温泉郷となっている。なお嘗ては山の神温泉と鉛温泉の中間に高倉山温泉の宿泊施設もあったが現在は廃業したと聞く。
このサイトでは既に大沢温泉菊水館と新鉛温泉愛隣館の訪問記を掲載しているので参照願いたい。
花巻南温泉郷より北部には既報の花巻温泉とその奥の山懐に抱かれた台温泉郷も花巻市内の温泉地として知られた存在である。
【花巻南温泉郷への道筋】
仙台市方面から花巻南温泉郷へ向かう道程は既に大沢温泉や新鉛温泉の稿で紹介しているので詳細は控えるが大まかに言えば以下のいずれかのルートで県道r12に達して豊沢川の谷筋を遡る道を辿ることになる。
最も手っ取り早いのは東北道の花巻南ICを降りて取付道路を南下し交差するr12に右折すれば良い。
一般道の国道R4 を北上する場合は手前の北上市で左手の西方向に分岐するr245で田園地帯を走り途中で交差するr13に右折北上して湯ノ口地区で交差するr12に左折する。
R4 を北上市より更に北に進んで花巻市内に入ると道なりで市街地を迂回する花巻東バイパスを走行することになるが花巻市街を案内する分岐点で左に分かれる旧道を暫く進むとr12に交差するのでこれを左折する。
R4を道なりでバイパスに進んでしまうと冗長な道筋となってしまうがやがて右折はR283国道、左折は県道r12と案内する青看の交差点に達するのでここを左折し西進することも可能となっている。
【鉛温泉藤三旅館へ】
豊沢川沿いに遡るr12を進むと先ず左手に松倉温泉「悠の湯風の季(はるかのゆかぜのとき)」があり志度平温泉の高層施設を過ぎた先に渡り温泉「ホテルさつき」の左折看板が現れる。暫く進むと沿道右側に郵便局がある集落に辿り着く。ここは大規模な露天風呂に湯治宿の「自炊部」、茅葺き屋根の古い客室がある「菊水館」に近代的な設備の「山水閣」と趣の異なる3館を擁する大沢温泉である。更に進むと沿道右奥の山の神温泉「優香苑」へ下る分岐点を過ぎ鉛温泉スキー場の大きな案内看板を見た少し先の右手にスキー場の第2駐車場があり「藤三旅館」近道の看板が矢印で誘導する右の分岐道へ入る。
ここで分岐せずもう少し県道を進んだ上流側にも再度分岐道と大きな看板の案内がありこちらからも進入できる構造となっている。但し県道から豊沢川に沿う谷底に位置する藤三旅館へ下る連絡道は急傾斜の峡路で後者の上流側分岐から入ると途中に鋭角に左折するヘアピン状の折返しがありハンドルの切り返しを余儀なくされる可能性が高い。従って近道と表示されている手前の誘導看板に従って前者の県道分岐点から進むのが賢明である。
因みに後に触れるが別邸の「十三月」や「湯治部」へ向かう場合は旅館部と逆方向の経路を下ることになるので県道からの進入路も上流側の後者の分岐がお奨めとなる。
【藤三旅館の概要】
豊沢川の谷筋に連なる花巻南温泉郷の中でも鉛温泉藤三旅館の歴史は古く500年以上も前に一匹の白猿が桂の木の根元から湧く泉で手足の傷を癒す様子から温泉を発見し1443年頃に今に至る藤井家のの先祖が仮小屋を建てたのが始まりとか。鉛温泉と名付けた由来は定かではないがお湯が鉛色だったとか近くで金を見つけた者が鉛だと言ったからという説があるのだとか。
後に紹介するが館内の浴場に「白猿の湯」や「桂の湯」と名付けられているのはこの温泉発見の経緯に因んだものであろう。
藤三旅館は旅館部と長期滞在で自炊が前提となる湯治部の二形態で営業を続けていたが最近になって別邸の新施設を開業した。これは「心の刻十三月(こころのときじゅうさんげつ)」と今風の洒落た呼称が与えられており全客室の豊沢川の流れに面して掛け流しの露天風呂を備える高級仕様の宿泊施設である。
湯治部、旅館部、十三月それぞれの施設を庶民目線で基本的な宿泊単価から(宿泊時季や部屋の違いや料理内容次第で価格に開きがあるのはご存じの通りだが敢えて)区分するなら湯治部は定食程度の2食付きで\7000前後、旅館部は基本的な料理朝夕2食で\10000前後だが十三月は\20000を下らない設定となっている。我々庶民には縁遠い超高級旅館である。
【藤三旅館の外観】
外観
県道から峡路を下って辿り着いた旅館部の建物は木造3層構造で優雅な曲線屋根に覆われた大きな造りの玄関は昔ながらの温泉宿の雰囲気を纏って来客を迎えている。
上の写真は峡路の坂道を下りきる手前の高い位置から緑の間に見える姿である。この部分は現在の建築基準には適合しない古い造りで公式HPには欅造りの木造建築と紹介されている。
旅館部の木造建築
玄関前まで下った平坦地の左右にある駐車空間に車を駐め荷物を抱えて玄関に向かう。
旅館部玄関
宮造り職人の技と感じる曲線屋根下には新日本百名湯の提灯が掲げられのその先に藤三旅館の金文字を配したガラス自動ドアは近年の改装に見える。玄関屋根の軒下に吊り提げられている紫外線集蛾灯は山奥の宿では必須の装備装備に見える。
藤三旅館の詳細はPart.2で
【序章】
2018年の夏は7月早々から全国各地で猛暑日を記録し40℃を越える観測地も出現する酷暑となった一方で日本近海で発生した多数の台風や台風崩で発達した前線がもたらした豪雨で多くの被害を生じる異常事態が8月下旬迄継続した。
8月半ば15日の前後は旧盆の期間でこの時季は毎年恒例となっている多数の帰省客と国内外を目指す観光客が行き交い道路、鉄道、航空機などあらゆる交通網が大混雑期を迎えるのはご存じの通りである。従って格安料金の温泉宿泊には不向きな時期ではあったが同行者との都合を調整した結果旧盆明けの日程で温泉宿を探すことになった。通常より高額な料金が設定されるハイシーズンではあったが納得できる範囲で選んだ宿は花巻南温泉郷の老舗旅館の鉛温泉藤三(ふじさん)旅館となった。
【花巻市の温泉地】
花巻南温泉郷は岩手県花巻市南部地域を流れる豊沢川に沿う県道r12に松倉温泉、志度平温泉、渡り温泉、大沢温泉、山の神温泉、(高倉山温泉)、鉛温泉、新鉛温泉の七湯が展開し県内有数の温泉郷となっている。なお嘗ては山の神温泉と鉛温泉の中間に高倉山温泉の宿泊施設もあったが現在は廃業したと聞く。
このサイトでは既に大沢温泉菊水館と新鉛温泉愛隣館の訪問記を掲載しているので参照願いたい。
花巻南温泉郷より北部には既報の花巻温泉とその奥の山懐に抱かれた台温泉郷も花巻市内の温泉地として知られた存在である。
【花巻南温泉郷への道筋】
仙台市方面から花巻南温泉郷へ向かう道程は既に大沢温泉や新鉛温泉の稿で紹介しているので詳細は控えるが大まかに言えば以下のいずれかのルートで県道r12に達して豊沢川の谷筋を遡る道を辿ることになる。
最も手っ取り早いのは東北道の花巻南ICを降りて取付道路を南下し交差するr12に右折すれば良い。
一般道の国道R4 を北上する場合は手前の北上市で左手の西方向に分岐するr245で田園地帯を走り途中で交差するr13に右折北上して湯ノ口地区で交差するr12に左折する。
R4 を北上市より更に北に進んで花巻市内に入ると道なりで市街地を迂回する花巻東バイパスを走行することになるが花巻市街を案内する分岐点で左に分かれる旧道を暫く進むとr12に交差するのでこれを左折する。
R4を道なりでバイパスに進んでしまうと冗長な道筋となってしまうがやがて右折はR283国道、左折は県道r12と案内する青看の交差点に達するのでここを左折し西進することも可能となっている。
【鉛温泉藤三旅館へ】
豊沢川沿いに遡るr12を進むと先ず左手に松倉温泉「悠の湯風の季(はるかのゆかぜのとき)」があり志度平温泉の高層施設を過ぎた先に渡り温泉「ホテルさつき」の左折看板が現れる。暫く進むと沿道右側に郵便局がある集落に辿り着く。ここは大規模な露天風呂に湯治宿の「自炊部」、茅葺き屋根の古い客室がある「菊水館」に近代的な設備の「山水閣」と趣の異なる3館を擁する大沢温泉である。更に進むと沿道右奥の山の神温泉「優香苑」へ下る分岐点を過ぎ鉛温泉スキー場の大きな案内看板を見た少し先の右手にスキー場の第2駐車場があり「藤三旅館」近道の看板が矢印で誘導する右の分岐道へ入る。
ここで分岐せずもう少し県道を進んだ上流側にも再度分岐道と大きな看板の案内がありこちらからも進入できる構造となっている。但し県道から豊沢川に沿う谷底に位置する藤三旅館へ下る連絡道は急傾斜の峡路で後者の上流側分岐から入ると途中に鋭角に左折するヘアピン状の折返しがありハンドルの切り返しを余儀なくされる可能性が高い。従って近道と表示されている手前の誘導看板に従って前者の県道分岐点から進むのが賢明である。
因みに後に触れるが別邸の「十三月」や「湯治部」へ向かう場合は旅館部と逆方向の経路を下ることになるので県道からの進入路も上流側の後者の分岐がお奨めとなる。
【藤三旅館の概要】
豊沢川の谷筋に連なる花巻南温泉郷の中でも鉛温泉藤三旅館の歴史は古く500年以上も前に一匹の白猿が桂の木の根元から湧く泉で手足の傷を癒す様子から温泉を発見し1443年頃に今に至る藤井家のの先祖が仮小屋を建てたのが始まりとか。鉛温泉と名付けた由来は定かではないがお湯が鉛色だったとか近くで金を見つけた者が鉛だと言ったからという説があるのだとか。
後に紹介するが館内の浴場に「白猿の湯」や「桂の湯」と名付けられているのはこの温泉発見の経緯に因んだものであろう。
藤三旅館は旅館部と長期滞在で自炊が前提となる湯治部の二形態で営業を続けていたが最近になって別邸の新施設を開業した。これは「心の刻十三月(こころのときじゅうさんげつ)」と今風の洒落た呼称が与えられており全客室の豊沢川の流れに面して掛け流しの露天風呂を備える高級仕様の宿泊施設である。
湯治部、旅館部、十三月それぞれの施設を庶民目線で基本的な宿泊単価から(宿泊時季や部屋の違いや料理内容次第で価格に開きがあるのはご存じの通りだが敢えて)区分するなら湯治部は定食程度の2食付きで\7000前後、旅館部は基本的な料理朝夕2食で\10000前後だが十三月は\20000を下らない設定となっている。我々庶民には縁遠い超高級旅館である。
【藤三旅館の外観】
外観
県道から峡路を下って辿り着いた旅館部の建物は木造3層構造で優雅な曲線屋根に覆われた大きな造りの玄関は昔ながらの温泉宿の雰囲気を纏って来客を迎えている。
上の写真は峡路の坂道を下りきる手前の高い位置から緑の間に見える姿である。この部分は現在の建築基準には適合しない古い造りで公式HPには欅造りの木造建築と紹介されている。
旅館部の木造建築
玄関前まで下った平坦地の左右にある駐車空間に車を駐め荷物を抱えて玄関に向かう。
旅館部玄関
宮造り職人の技と感じる曲線屋根下には新日本百名湯の提灯が掲げられのその先に藤三旅館の金文字を配したガラス自動ドアは近年の改装に見える。玄関屋根の軒下に吊り提げられている紫外線集蛾灯は山奥の宿では必須の装備装備に見える。
藤三旅館の詳細はPart.2で
(00:00)
2018年11月23日
Part.10
【上丸牛舎の施設見学】
展示資料館
まきば園の乗降場から10分程走行した上丸牛舎ライナーは牛舎敷地に置かれた展示資料館前の乗降場に到着する。バッテリーカーを降りた後は上丸牛舎敷の地内を徒歩で見学することになるが降車時に消毒(滅菌)液を含んだマットで靴底を拭う様に指示されるのは多数の乳牛を抱えている牛舎の衛生管理に必要な措置であろう。
酪農に関する展示がある展示資料館内も見学したがこちらは小岩井農場の歴史を含む多彩過ぎる内容なので今回は省略するが例えば小岩井農場が「小岩井」と命名された由来はご存じだろうか?答えはネット検索で。
一号牛舎外観
上丸牛舎では一号牛舎と三号牛舎の内部が見学できる。
一号牛舎
一号牛舎には優秀な乳牛が集められたいるそうで
優秀な乳牛達
見学所に入ると縦長の牛舎の奥まで並ぶ牝牛が立ったり寝転んだりしている様子を間近に見る事ができる。
二号牛舎
二号牛舎は子牛を生む乳牛の分娩牛舎と説明があり内部見学は叶わない。
二号牛舎外観
出産を控えた母牛に無用な刺激を与えない納得できる措置である。
放牧
一号と二号牛舎の間にある屋外には放牧中の牛も見えていた。
三号牛舎外観
一号、二号に較べて一際奥行きが大きそうに見える三号牛舎は
三号牛舎
子牛と種牡牛を収容する施設と説明されており
見学窓
外壁に開放するガラス窓越しに
子牛
子牛の姿を覗くことができる。
牛舎の構造
いずれも国指定の重要文化財に指定されている一号から三号牛舎は2層構造の大きな木造建築物で1階は牛の居住空間に充てられ天井高がある2階部分は乾し草の貯蔵庫となっている。
【まきば園のジンギスカン】
上丸牛舎からバッテリーカーでまきば園に戻る頃には12:30を過ぎた昼食時間帯となったのでジンギスカン食堂の牧場館に赴いた。
ジンギスカン食堂メニュー
この食堂は食券自販機による前払い方式となっている。
標準的なラムジンギスカンにご飯とみそ汁のセットを選んで食券をカウンターに持参すると少し待たされて食材が提供される。
ジンギスカン鍋
空席を適当に選んで着席すると卓上のガスコンロにジンギスカン鍋が据え付けられる。この鍋はジンギスカンの本場である北海道で見掛けるものと意匠が異なり中央部に小岩井農場の文字を鋳込んだ特注品である。
ラムジンギスカン
長円形の皿盛りで提供される食材は一皿が一人前でラム肉の他に4種の野菜(キャベツ、玉葱、ピーマン、人参)の組合せである。
焼肉のたれ
味付けのたれは甘口とにんにく風味の2種が用意される他に岩塩もあり塩味の選択も可能となっている。
ご飯とみそ汁セット
ご飯とみそ汁のセットは普通の品質だがドライブ中で飲酒を控えた焼肉には欠かせないエネルギー源である。。手前に配置した焼肉の取り皿は二分割されており2種のたれと塩の使い分けに対応している。
焼き始め
ジンギスカンでは野菜類の上にラム肉を被せれば野菜を蒸し焼きにしながら同時に肉の旨みが染み込むと指導を受けて以降焼き始めはこの様な恰好になる。
完成
暫くすると蒸し焼き野菜から湯気が上がりラム肉にも火が通り始めタイミングで野菜と肉を上下にひっくり返して鉄板の熱を直接肉に伝えて柔らかく癖のないラム肉と蒸し野菜を味わうことができる。
小岩井農場のジンギスカン鍋で腹を満たし雫石の旅を満喫して東北道を南下する帰途に就いた。
【終章】
岩手山南西の犬蔵山直下に湧く網張温泉は古い歴史を有している様だが現在は「休暇村岩手網張温泉」となり鉄筋造りの大規模な建物の周辺にスキー場も構える大規模リゾート風の温泉宿泊施設となっている。
温泉浴室は別棟の日帰り温泉棟や屋外足湯も備える多彩さを誇るがいずれも同一源泉で泉質に違いはない。
僅かな時間を費やして山道を辿る湯ノ沢筋の混浴「仙女の湯」には有無を言わせない圧倒的な自然景観が記憶に刻まれる露天風呂である。
山道の歩行が苦手な方は館内浴場の代表的な存在となっている「大釈の湯」の内湯と露天風呂で網張温泉の体験をお奨めする。
完
【上丸牛舎の施設見学】
展示資料館
まきば園の乗降場から10分程走行した上丸牛舎ライナーは牛舎敷地に置かれた展示資料館前の乗降場に到着する。バッテリーカーを降りた後は上丸牛舎敷の地内を徒歩で見学することになるが降車時に消毒(滅菌)液を含んだマットで靴底を拭う様に指示されるのは多数の乳牛を抱えている牛舎の衛生管理に必要な措置であろう。
酪農に関する展示がある展示資料館内も見学したがこちらは小岩井農場の歴史を含む多彩過ぎる内容なので今回は省略するが例えば小岩井農場が「小岩井」と命名された由来はご存じだろうか?答えはネット検索で。
一号牛舎外観
上丸牛舎では一号牛舎と三号牛舎の内部が見学できる。
一号牛舎
一号牛舎には優秀な乳牛が集められたいるそうで
優秀な乳牛達
見学所に入ると縦長の牛舎の奥まで並ぶ牝牛が立ったり寝転んだりしている様子を間近に見る事ができる。
二号牛舎
二号牛舎は子牛を生む乳牛の分娩牛舎と説明があり内部見学は叶わない。
二号牛舎外観
出産を控えた母牛に無用な刺激を与えない納得できる措置である。
放牧
一号と二号牛舎の間にある屋外には放牧中の牛も見えていた。
三号牛舎外観
一号、二号に較べて一際奥行きが大きそうに見える三号牛舎は
三号牛舎
子牛と種牡牛を収容する施設と説明されており
見学窓
外壁に開放するガラス窓越しに
子牛
子牛の姿を覗くことができる。
牛舎の構造
いずれも国指定の重要文化財に指定されている一号から三号牛舎は2層構造の大きな木造建築物で1階は牛の居住空間に充てられ天井高がある2階部分は乾し草の貯蔵庫となっている。
【まきば園のジンギスカン】
上丸牛舎からバッテリーカーでまきば園に戻る頃には12:30を過ぎた昼食時間帯となったのでジンギスカン食堂の牧場館に赴いた。
ジンギスカン食堂メニュー
この食堂は食券自販機による前払い方式となっている。
標準的なラムジンギスカンにご飯とみそ汁のセットを選んで食券をカウンターに持参すると少し待たされて食材が提供される。
ジンギスカン鍋
空席を適当に選んで着席すると卓上のガスコンロにジンギスカン鍋が据え付けられる。この鍋はジンギスカンの本場である北海道で見掛けるものと意匠が異なり中央部に小岩井農場の文字を鋳込んだ特注品である。
ラムジンギスカン
長円形の皿盛りで提供される食材は一皿が一人前でラム肉の他に4種の野菜(キャベツ、玉葱、ピーマン、人参)の組合せである。
焼肉のたれ
味付けのたれは甘口とにんにく風味の2種が用意される他に岩塩もあり塩味の選択も可能となっている。
ご飯とみそ汁セット
ご飯とみそ汁のセットは普通の品質だがドライブ中で飲酒を控えた焼肉には欠かせないエネルギー源である。。手前に配置した焼肉の取り皿は二分割されており2種のたれと塩の使い分けに対応している。
焼き始め
ジンギスカンでは野菜類の上にラム肉を被せれば野菜を蒸し焼きにしながら同時に肉の旨みが染み込むと指導を受けて以降焼き始めはこの様な恰好になる。
完成
暫くすると蒸し焼き野菜から湯気が上がりラム肉にも火が通り始めタイミングで野菜と肉を上下にひっくり返して鉄板の熱を直接肉に伝えて柔らかく癖のないラム肉と蒸し野菜を味わうことができる。
小岩井農場のジンギスカン鍋で腹を満たし雫石の旅を満喫して東北道を南下する帰途に就いた。
【終章】
岩手山南西の犬蔵山直下に湧く網張温泉は古い歴史を有している様だが現在は「休暇村岩手網張温泉」となり鉄筋造りの大規模な建物の周辺にスキー場も構える大規模リゾート風の温泉宿泊施設となっている。
温泉浴室は別棟の日帰り温泉棟や屋外足湯も備える多彩さを誇るがいずれも同一源泉で泉質に違いはない。
僅かな時間を費やして山道を辿る湯ノ沢筋の混浴「仙女の湯」には有無を言わせない圧倒的な自然景観が記憶に刻まれる露天風呂である。
山道の歩行が苦手な方は館内浴場の代表的な存在となっている「大釈の湯」の内湯と露天風呂で網張温泉の体験をお奨めする。
完
(00:00)
2018年11月16日
Part.9
【朝食後の入浴】
朝食後も10:00のチェックアウト迄時間に余裕があったのでもう一度仙女の湯を訪れたかったがPart.4で述べた通り午前の時間帯は入浴不可となっていたので断念せざるを得なかった。
通行禁止
朝食時にレストランの窓越しに見える仙女の湯へ向かう入口には木製の柵が設置されて通行禁止となっていた。
因みに下段の高架通路は日帰り温泉館に連絡する工事中の遊歩道で左端に湯ノ沢を跨ぐ吊橋も見えれいる。画面中央で緑が開けた処は県道から温泉館へ分かれる分岐点である。
従って仙女の湯の再訪は叶わず人気の途絶えた館内で大釈の湯の内湯と露天風呂に浸かり網張温泉に名残を惜しんだ。
路線バス
西館の部屋の窓から見下ろす県道沿いのスキー場管理棟前にはバス停があり岩手県営の路線バスが盛岡駅に連絡しており9:30過ぎに朝の一便が出発していった。
【チェックアウト】
予め予約した「いわて山麓パノラマバイキングプラン」には部屋の眺望による料金差があり6月閑散期は眺望側の宿泊単価が@10200とされていた。眺望のない山側の部屋は\1000程度安く設定されているので純粋に温泉と料理を楽しむのならこちらの選択がお奨めである。@150の入湯税2名分に冷酒南部美人\700を加算した税込\21400を清算してチェックアウトを済ませた。
【県道r212の先】
Part.1 で紹介したr212の道筋は網張温泉へ導く唯一の経路であるがここが終点ではなく更に山奥に分け入る道が続いている。聞くところに依るとこの県道は岩手山から犬倉山、大松倉山の稜線が県境の奥羽山脈に連なる山並みを越えて北隣の八幡平市松川温泉へ繋げる構想で整備される途上で莫大な費用の面や環境保全の観点等から建設計画は撤回されたそうである。従って網張温泉の先に続く県道は大松倉山付近の稜線を突破すべく果敢に山奥に分け入っているのだが峠を迎える前に道は尽きて松川温泉側から拓かれた同じ路線のr212との間に不通区間が生じる状況になっている。この不通区間の先端部を見たい衝動に駆られて県道の奥へ車を進めてみた。なおこの県道は行き止まりの袋小路に違いないのだが早朝から少なからぬ車がスキー場より奥へ上がっていく様子が西館客室の窓越しに見えていた。
舗装が続く上り道を進むと路肩の要所要所に人影が見えない車が多数駐車している。山奥の道端でよく見掛けるこの光景は山菜採りを目的とする入山と思われる。後に山菜採りの経験者に聞いたところこの時季は根曲竹の採取が主な目的らしい。
通行止
網張温泉から奥に県道を10分程も進むと唐突に通行止のゲートが現れる。
ゲート前の路肩は途中で見たよりも遥かに多くの車やバイクの駐車場と化しており来た道に引き返す方向転換に何度も切り返しを迫られる程であった。
多数の看板
鉄柵ゲート付近には数多くの看板が設置されゲート手前で道の左右に臨時に配置された様子のガードレールにはチェーンが二重に張り巡らされてバイクの進入も禁止する厳重な措置が執られている。
通行止の期間
沢山の看板に目を奪われてしまうがこの地点は冬期間6月15日迄の閉鎖とされていた。従ってこのゲートは冬季限定の閉鎖地で県道は更に8.4km先まで続いているがその端部であろう雫石町長山東葛根田国有林の地籍表示から同じ岩手県内の八幡平市には繋がっていないと推察できるがそこ迄進むことはできなかった。
登山道入口
更にゲート右手には登山道入口の矢印付の誘導看板が見える。その隣にはバイク進入禁止の警告と歩行者のみ通行可の文字を薄い×印で消した様な看板の意図を計りかねて混乱を招くが歩行者の通行は可能らしい。
登山カード箱
ゲート左手の仮設ハウスの前には登山者カード受付箱の備えが入山者を認める証拠である。
しかしこれ以上の前進は阻まれているので県道の端部を見ることなく車を反転し下山した。
網張の施設
下山途中の県道から望む網張温泉の景色は岩手山の南西麓の広い空の下に宿泊施設の建物群や一段低い位置にあるスキー場管理棟が展開している。
網張の遠望
更に扇状地の緩斜面迄下って農道に踏み込むとそば畑の奥に連なる山肌の南面右手に岩手高原スノーパークと左奥に網張温泉スキー場のゲレンデが遠望できる。
網張温泉施設遠望
網張ゲレンデの下には宿泊施設の建物群の白い反射光も見えている。
【小岩井農場】
農道を東に進んで小岩井農場の牛乳工場前から県道r219沿いの小岩井農場まきば園に立ち寄ってみた。
ミルク館
ヨーグルトやソフトクリームの加工場と売店を構えるミルク館は六角形の特徴的な建物で
園内風景
ガラス窓が広く開口する2階の展望室からは園内を見渡すことができる。
【小岩井農場上丸牛舎へ】
上丸牛舎ライナー
まきば園には何度か入園しているが今回初めて県道r219を挟んだ向側の敷地にある上丸(かみまる)牛舎の見学に向かった。以前から牛舎の存在は知っていたが県道に遮られた牛舎の敷地への道筋が解らぬ儘であった。牛舎への交通手段は以前の訪問では見掛けなかった無料で利用できる「上丸牛舎ライナー」でオープン型のバッテリー駆動車2台が30分程の間隔で交互に運行されている。
県道を潜る連絡路
歩行速度と大差なくゆっくり走行するバッテリーカーに身を任せていると県道を潜るアンダーパスが上丸牛舎の敷地へ連絡していた。
遊歩道通行禁止
このアンダーパスを通過した先の牛舎側は徒歩専用の遊歩道も整備されているが当日は熊の目撃で通行禁止となっていおり上丸牛舎ライナーが唯一の訪問手段であった。
牛舎の風景
上丸牛舎の敷地に入ると複数のサイロを従えて切妻の高屋根に換気装置を載せた幾棟もの木造牛舎が現れる。
Part.10は上丸牛舎の見学
【朝食後の入浴】
朝食後も10:00のチェックアウト迄時間に余裕があったのでもう一度仙女の湯を訪れたかったがPart.4で述べた通り午前の時間帯は入浴不可となっていたので断念せざるを得なかった。
通行禁止
朝食時にレストランの窓越しに見える仙女の湯へ向かう入口には木製の柵が設置されて通行禁止となっていた。
因みに下段の高架通路は日帰り温泉館に連絡する工事中の遊歩道で左端に湯ノ沢を跨ぐ吊橋も見えれいる。画面中央で緑が開けた処は県道から温泉館へ分かれる分岐点である。
従って仙女の湯の再訪は叶わず人気の途絶えた館内で大釈の湯の内湯と露天風呂に浸かり網張温泉に名残を惜しんだ。
路線バス
西館の部屋の窓から見下ろす県道沿いのスキー場管理棟前にはバス停があり岩手県営の路線バスが盛岡駅に連絡しており9:30過ぎに朝の一便が出発していった。
【チェックアウト】
予め予約した「いわて山麓パノラマバイキングプラン」には部屋の眺望による料金差があり6月閑散期は眺望側の宿泊単価が@10200とされていた。眺望のない山側の部屋は\1000程度安く設定されているので純粋に温泉と料理を楽しむのならこちらの選択がお奨めである。@150の入湯税2名分に冷酒南部美人\700を加算した税込\21400を清算してチェックアウトを済ませた。
【県道r212の先】
Part.1 で紹介したr212の道筋は網張温泉へ導く唯一の経路であるがここが終点ではなく更に山奥に分け入る道が続いている。聞くところに依るとこの県道は岩手山から犬倉山、大松倉山の稜線が県境の奥羽山脈に連なる山並みを越えて北隣の八幡平市松川温泉へ繋げる構想で整備される途上で莫大な費用の面や環境保全の観点等から建設計画は撤回されたそうである。従って網張温泉の先に続く県道は大松倉山付近の稜線を突破すべく果敢に山奥に分け入っているのだが峠を迎える前に道は尽きて松川温泉側から拓かれた同じ路線のr212との間に不通区間が生じる状況になっている。この不通区間の先端部を見たい衝動に駆られて県道の奥へ車を進めてみた。なおこの県道は行き止まりの袋小路に違いないのだが早朝から少なからぬ車がスキー場より奥へ上がっていく様子が西館客室の窓越しに見えていた。
舗装が続く上り道を進むと路肩の要所要所に人影が見えない車が多数駐車している。山奥の道端でよく見掛けるこの光景は山菜採りを目的とする入山と思われる。後に山菜採りの経験者に聞いたところこの時季は根曲竹の採取が主な目的らしい。
通行止
網張温泉から奥に県道を10分程も進むと唐突に通行止のゲートが現れる。
ゲート前の路肩は途中で見たよりも遥かに多くの車やバイクの駐車場と化しており来た道に引き返す方向転換に何度も切り返しを迫られる程であった。
多数の看板
鉄柵ゲート付近には数多くの看板が設置されゲート手前で道の左右に臨時に配置された様子のガードレールにはチェーンが二重に張り巡らされてバイクの進入も禁止する厳重な措置が執られている。
通行止の期間
沢山の看板に目を奪われてしまうがこの地点は冬期間6月15日迄の閉鎖とされていた。従ってこのゲートは冬季限定の閉鎖地で県道は更に8.4km先まで続いているがその端部であろう雫石町長山東葛根田国有林の地籍表示から同じ岩手県内の八幡平市には繋がっていないと推察できるがそこ迄進むことはできなかった。
登山道入口
更にゲート右手には登山道入口の矢印付の誘導看板が見える。その隣にはバイク進入禁止の警告と歩行者のみ通行可の文字を薄い×印で消した様な看板の意図を計りかねて混乱を招くが歩行者の通行は可能らしい。
登山カード箱
ゲート左手の仮設ハウスの前には登山者カード受付箱の備えが入山者を認める証拠である。
しかしこれ以上の前進は阻まれているので県道の端部を見ることなく車を反転し下山した。
網張の施設
下山途中の県道から望む網張温泉の景色は岩手山の南西麓の広い空の下に宿泊施設の建物群や一段低い位置にあるスキー場管理棟が展開している。
網張の遠望
更に扇状地の緩斜面迄下って農道に踏み込むとそば畑の奥に連なる山肌の南面右手に岩手高原スノーパークと左奥に網張温泉スキー場のゲレンデが遠望できる。
網張温泉施設遠望
網張ゲレンデの下には宿泊施設の建物群の白い反射光も見えている。
【小岩井農場】
農道を東に進んで小岩井農場の牛乳工場前から県道r219沿いの小岩井農場まきば園に立ち寄ってみた。
ミルク館
ヨーグルトやソフトクリームの加工場と売店を構えるミルク館は六角形の特徴的な建物で
園内風景
ガラス窓が広く開口する2階の展望室からは園内を見渡すことができる。
【小岩井農場上丸牛舎へ】
上丸牛舎ライナー
まきば園には何度か入園しているが今回初めて県道r219を挟んだ向側の敷地にある上丸(かみまる)牛舎の見学に向かった。以前から牛舎の存在は知っていたが県道に遮られた牛舎の敷地への道筋が解らぬ儘であった。牛舎への交通手段は以前の訪問では見掛けなかった無料で利用できる「上丸牛舎ライナー」でオープン型のバッテリー駆動車2台が30分程の間隔で交互に運行されている。
県道を潜る連絡路
歩行速度と大差なくゆっくり走行するバッテリーカーに身を任せていると県道を潜るアンダーパスが上丸牛舎の敷地へ連絡していた。
遊歩道通行禁止
このアンダーパスを通過した先の牛舎側は徒歩専用の遊歩道も整備されているが当日は熊の目撃で通行禁止となっていおり上丸牛舎ライナーが唯一の訪問手段であった。
牛舎の風景
上丸牛舎の敷地に入ると複数のサイロを従えて切妻の高屋根に換気装置を載せた幾棟もの木造牛舎が現れる。
Part.10は上丸牛舎の見学
(00:00)
2018年11月09日
Part.8
【朝食】
一夜を過ごした翌日の朝食は7:00~9:00の時間帯に前夜の夕食会場と同じ本館1Fレストランのバイキングで供される。
デザート
料理を並べる陳列台は前夜と変わらぬ配置で入口付近はデザート類の領域となっている。ここにはわらび餅と岩泉ヨーグルトの鉢に
フルーツ
フルーツポンチ、コーンフレークが並び上段にはオレンジとパイナップルのフルーツが配されている。
パン各種
その先はパンのコーナーでチョコロール、チョコクロワッサン、たまごパン、クロワッサンにイタリアンデニッシュなど6種が供されている。この品揃えから館内厨房で焼き上げていると思われる。
取り皿
パンコーナーの直後に積み兼ねられた多数の取り皿に遭遇するのは前夜と変わらぬ光景である。
サラダ類
山積みの取り皿の先は生野菜が主体のサラダコーナーで画面の奥は千切りキャベツ、水菜、細切りのパプリカ、マカロニサラダが並び手前の皿には千切りの人参、海藻サラダ、サニーレタスとミニトマトが盛り付けられている。
和の料理
大皿のスライスハムはサラダの延長の位置付けだろうか。
その先は味付けえのき、下ろし大根、小松菜のおひたしの和食材が並んだ奥に当館おすすめの表示を従えたウニ椎茸が控えている。。
和料理の続き
更に進むと金時の煮豆、だし巻き卵、塩昆布、きんぴらごぼう、蕗の田舎煮が続く。
保温料理
次は保温皿が並ぶコーナーで野菜の炊き合わせ、ウインナーに
保温料理
かぼちゃのそぼろあんかけの3品。ウインナーにはケチャップと粒マスタードの用意もある。
焼魚など
先に進むと少し奥まった位置にさばのみりん干しとししゃもの焼魚にソースボトルを添えたカニクリームコロッケが並ぶ。写真で見ると他の料理コーナーと色調の違いが明らかだがこれは料理皿の上部に配置されている大きめの白熱電灯照明の効果である。昨夜の夕食時もここは電灯照明の下に焼魚や焼団子、浅利のバター炒め、ピザが並べられていた。昨夜は気がつかなかったがこの白熱灯は一見視覚的な演出にも見えるが実際は穏やかな保温効果か或いはより消極的に放置冷却の防止を狙った高度な手法であろうと思い至った。
豆腐
コロッケと同じ台上の隣は網張温泉名物を称するできたて豆腐が木桶風の容器で供されている。右側に見える小鉢に小振りのおたまで豆腐を掬い取る方式で豆腐には定番のおろし生姜と刻み葱の薬味にポン酢の用意もある。
温泉卵
既に前の画面にも写っていたが豆腐の隣は温泉卵が配置されている。左下の小鉢容器に割り入れてたれをかける方式で白い鉢は不要となった卵殻を受ける容器である。
飲料コーナー
温泉卵の隣は飲料コーナーでほうじ茶とあま茶のポットに加えてアップルとオレンジのジュース2種に小岩井牛乳が供されている。昨夜はこの位置にジュースではなく網張の天然水が配置されていた。
コーヒーサーバー
コーヒーサーバーは昨夜と変わらぬ定位置に据わり
海苔と納豆
その先には朝食に必須の味付け海苔とカップ入りの納豆が待っている。海苔と納豆が並ぶ飯台で昨夜はちらし寿司が供されていた記憶がある。
ご飯
この先にはご飯コーナーが続く。先ずは岩手県産ひとめぼれのご飯の大型ジャーが置かれている。
おかゆ
その先は保温寸胴に入ったおかゆとクルトンが用意されたコーンスープに
みそ汁
みそ汁が並ぶ。
漬物
昨夜は揚げたての天ぷらが供されたライブキッチンの調理台は覆いで隠されているがその脇は昨夜と変わらぬ漬物のコーナーでかぶ漬け、キャベツ漬け、梅干し、わさび昆布和えの4品が用意されている。
目玉焼き
料理を供するテーブルの最奥には目玉焼きが並ぶ。この目玉焼きは1枚前の漬物コーナーの画面上部に見える鉄板焼きのライブキッチンの調理で提供されている。
朝食
色々な料理から取り分けた朝食がこれ。
生野菜とミニトマトは欠かせないもので千切りのキャベツと人参に少量のマカロニサラダとハムとだし巻き卵の一皿にきんぴらと野菜の炊き合わせを加えた。好物の温泉卵も確保して焼さばの一切れにコロッケを添えてみた。
朝の脇役
更にメインのトレーに収まりきらない目玉焼きや味付け海苔、納豆、漬物がはみ出してしまったがこちらもご飯のお伴に欠かせない存在である。
これらの料理を見渡すと卵料理を3種も選んでいる嗜好が我ながら気に掛かるが少なからぬ野菜類を摂っているので良しとしたい。これらをお伴にして2杯飯を平らげた。
デザート
食後のデザートに果物とヨーグルトも味わって朝食を終えた。
Part.9はチェックアウトの後
【朝食】
一夜を過ごした翌日の朝食は7:00~9:00の時間帯に前夜の夕食会場と同じ本館1Fレストランのバイキングで供される。
デザート
料理を並べる陳列台は前夜と変わらぬ配置で入口付近はデザート類の領域となっている。ここにはわらび餅と岩泉ヨーグルトの鉢に
フルーツ
フルーツポンチ、コーンフレークが並び上段にはオレンジとパイナップルのフルーツが配されている。
パン各種
その先はパンのコーナーでチョコロール、チョコクロワッサン、たまごパン、クロワッサンにイタリアンデニッシュなど6種が供されている。この品揃えから館内厨房で焼き上げていると思われる。
取り皿
パンコーナーの直後に積み兼ねられた多数の取り皿に遭遇するのは前夜と変わらぬ光景である。
サラダ類
山積みの取り皿の先は生野菜が主体のサラダコーナーで画面の奥は千切りキャベツ、水菜、細切りのパプリカ、マカロニサラダが並び手前の皿には千切りの人参、海藻サラダ、サニーレタスとミニトマトが盛り付けられている。
和の料理
大皿のスライスハムはサラダの延長の位置付けだろうか。
その先は味付けえのき、下ろし大根、小松菜のおひたしの和食材が並んだ奥に当館おすすめの表示を従えたウニ椎茸が控えている。。
和料理の続き
更に進むと金時の煮豆、だし巻き卵、塩昆布、きんぴらごぼう、蕗の田舎煮が続く。
保温料理
次は保温皿が並ぶコーナーで野菜の炊き合わせ、ウインナーに
保温料理
かぼちゃのそぼろあんかけの3品。ウインナーにはケチャップと粒マスタードの用意もある。
焼魚など
先に進むと少し奥まった位置にさばのみりん干しとししゃもの焼魚にソースボトルを添えたカニクリームコロッケが並ぶ。写真で見ると他の料理コーナーと色調の違いが明らかだがこれは料理皿の上部に配置されている大きめの白熱電灯照明の効果である。昨夜の夕食時もここは電灯照明の下に焼魚や焼団子、浅利のバター炒め、ピザが並べられていた。昨夜は気がつかなかったがこの白熱灯は一見視覚的な演出にも見えるが実際は穏やかな保温効果か或いはより消極的に放置冷却の防止を狙った高度な手法であろうと思い至った。
豆腐
コロッケと同じ台上の隣は網張温泉名物を称するできたて豆腐が木桶風の容器で供されている。右側に見える小鉢に小振りのおたまで豆腐を掬い取る方式で豆腐には定番のおろし生姜と刻み葱の薬味にポン酢の用意もある。
温泉卵
既に前の画面にも写っていたが豆腐の隣は温泉卵が配置されている。左下の小鉢容器に割り入れてたれをかける方式で白い鉢は不要となった卵殻を受ける容器である。
飲料コーナー
温泉卵の隣は飲料コーナーでほうじ茶とあま茶のポットに加えてアップルとオレンジのジュース2種に小岩井牛乳が供されている。昨夜はこの位置にジュースではなく網張の天然水が配置されていた。
コーヒーサーバー
コーヒーサーバーは昨夜と変わらぬ定位置に据わり
海苔と納豆
その先には朝食に必須の味付け海苔とカップ入りの納豆が待っている。海苔と納豆が並ぶ飯台で昨夜はちらし寿司が供されていた記憶がある。
ご飯
この先にはご飯コーナーが続く。先ずは岩手県産ひとめぼれのご飯の大型ジャーが置かれている。
おかゆ
その先は保温寸胴に入ったおかゆとクルトンが用意されたコーンスープに
みそ汁
みそ汁が並ぶ。
漬物
昨夜は揚げたての天ぷらが供されたライブキッチンの調理台は覆いで隠されているがその脇は昨夜と変わらぬ漬物のコーナーでかぶ漬け、キャベツ漬け、梅干し、わさび昆布和えの4品が用意されている。
目玉焼き
料理を供するテーブルの最奥には目玉焼きが並ぶ。この目玉焼きは1枚前の漬物コーナーの画面上部に見える鉄板焼きのライブキッチンの調理で提供されている。
朝食
色々な料理から取り分けた朝食がこれ。
生野菜とミニトマトは欠かせないもので千切りのキャベツと人参に少量のマカロニサラダとハムとだし巻き卵の一皿にきんぴらと野菜の炊き合わせを加えた。好物の温泉卵も確保して焼さばの一切れにコロッケを添えてみた。
朝の脇役
更にメインのトレーに収まりきらない目玉焼きや味付け海苔、納豆、漬物がはみ出してしまったがこちらもご飯のお伴に欠かせない存在である。
これらの料理を見渡すと卵料理を3種も選んでいる嗜好が我ながら気に掛かるが少なからぬ野菜類を摂っているので良しとしたい。これらをお伴にして2杯飯を平らげた。
デザート
食後のデザートに果物とヨーグルトも味わって朝食を終えた。
Part.9はチェックアウトの後
(00:00)
2018年11月02日
Part.7
【休暇村網張温泉の食事】
宿泊客の食事は基本的に夕食朝食共本館1Fレストランのバイキングで供される。先に館内の構造で見た通り本館2Fには宴会場の広間も用意されているので団体客や特別な予約があればこちらで供食されるのであろう。
【夕食】
夕食バイキングは17:30~20:30の3時間設定で19:30迄に入場する様に案内されている。
レストラン
フロントホールの奥にあるラウンジからレストランに入ると左側の壁面に沿って手前から奥方向に料理が並べられている。右手の外壁に大きく開口するガラス窓越しに外景が展望できる空間に配置されたテーブルに空席を見つけて着席する自由席でバイキングでは一般的な方式。
以下に壁際に並ぶ多彩な料理を紹介するがその並び順の系統性にはやや疑問を感じる。
アイスクリーム
その典型は入口の直後に置かれたアイスクリーム。冷凍ケースの中にはほうじ茶、バニラ、チョコチップの3種が並び取り分け容器の用意もある。
デザート類
その先にも食後のデザート類が並ぶコーナーで地元の小岩井農場飲むヨーグルトにずんだもち、グレープフルーツゼリーや
フルーツ
苺、オレンジ、ブルーベリーの果物にパウンドケーキ、リンゴのシロップ煮などが供されている。
バイキング会場の入口付近にあるデザート類の配置は珍しい。多くの会場ではサラダ類から前菜料理へ順次食事の流れに沿って並ぶ料理の配列が一般的である。
重っこ料理
デザートコーナーの先は雫石伝統の重っこ(じっこ)料理の表示に大型の重箱に盛った5種の料理が並んでいる。じっことは重箱の方言とのことで固有の料理名ではなく重箱に盛り込む郷土料理の総称と説明されている。
添付されている料理名に依ると左手前の重箱は車麩とひじき胡麻ソース、その奥はわらびきくらげ生姜炒め、中央の二子芋コロッケは不聞にして知識がないが恐らく二子芋と呼ばれる芋を基材に整形したコロッケであろう。
右側手前にある重箱は山菜の麹南蛮風味と表示されていて刻んだ山菜が見えている。その奥は根曲竹の味噌煮で若竹を味わう趣向が窺える。
取り皿とサラダ
重っこ料理の先に進んで初めて大小2種の取り皿が配置されている。ここは基本的にサラダ系統のコーナーで手前の大皿には中華クラゲ柚子風味の表示がある。
サラダ
サラダは多種の取り揃えでポテト、海藻、トマト、人参、枝豆、水菜、キャベツ等が並んだ奥にドレッシングの配置もある。
刺身とごま豆腐
サラダの先は刺身3種(鰹、蛸、青柳(バカガイ))盛りに黄色の小鉢はにし貝めかぶの酢の物と海のものが控えているがその隣は一転してごま豆腐が白い飾り皿で供される。
中華料理
更に進むと大皿に盛り付けた料理の一画で手前は珍しいリンゴの春巻で海老団子のピリ辛あんかけ、酢豚と保温された中華料理が並ぶ。
煮物
次の保温皿は油麩と野菜の鶏そぼろ煮、ポトフと煮物が続く。
画面の右奥に山積みとなった各種の取り皿とトレーが見える。
トレー取り皿類
重っこ料理とサラダコーナーの間に取り皿の配置はあったがここ迄進んで初めて複数の取り皿を載せて移動できるトレーを手にすることができる。
更に取り皿とトレーに限らずリユースの箸や使い捨てお手拭きに加えて子供用の食器類も用意されているが料理を取り分ける利用者の目線からは何とも不便な並び順となっているのが残念である。
バイキングの会場では入口付近に置かれたトレーに取り皿を載せてサラダや前菜類から主菜の料理を順次取り分けた後半に麺類やご飯類に汁物を盛り付け最後に果物や甘味のデザート類を選ぶのが自然な流れである。大概のバイキング会場ではこの様な流れに沿って料理が配置されているものだがここのレストランは料理や食器の並びが不自然で取り皿を載せたトレーを抱えて右往左往しながら料理を物色する羽目に陥ってしまう。
和洋の料理
さて、食器コーナーの先に進んだ角に並ぶ料理は鱒の西京焼き、じゃが芋と鮭の焼団子、浅利のバター炒め、ピザと和洋の4種。
芋の子鍋
ピザの隣は郷土料理の芋の子鍋がカセットコンロで保温する大鍋で供されている。この芋の子鍋は多くの料理が並ぶ中で稀少な野菜鍋の汁物なので取り分けてみた。実食の感想は後に述べる。
給茶
芋の子鍋の先にはほうじ茶とあま茶の2種を供するポットに湯飲み茶碗を配した給茶コーナーに
天然水
網張の天然水と表示された給水機にグラスとアイスペールの氷が添えられている。特に説明書きはなかったが氷も天然水から製氷されているのであろう。
コーヒーサーバー
給水機の先にはコーヒーザーバーが控えている。
個人的には何十年も前からコーヒーの嗜好は失せてご無沙汰しているので近年の事情には疎いがサーバーの選択肢にはカフェオレやカフェラテにカプチーノ、エスプレッソなども見えており1台で多彩な需要に対応している機能が伺える。近頃はコンビニにもこの種のコーヒーマシンの設置を目撃している。
コーヒーサーバーの右脇には紅茶のティーバッグも供されているが目立たない位置に押し込まれた感じが拭えない。
このコーナーには言うまでもなくカップとスプーンの用意もある。
ちらし寿司
お茶やコーヒー等の飲料が並んだ先はご飯類コーナーである。
先ずは飯台のちらし寿司に迎えられる。奥に見えるご飯茶碗はちらし寿司と
岩手県産ひとめぼれ
その先にある白ご飯の食器を兼ねている。大型の保温ジャーに収容されたご飯は岩手県産ひとめぼれと説明されている。
そば
ご飯の次は小振りの椀に盛られたそばになめこと刻み葱の添え物がありつゆは寸胴型の保温容器で準備されている。画面の右手前に見える蓋付き小鉢の中は確認しなかったが薬味の七味辛子であろうか。
更に画面右奥に見切れた位置のお椀と保温寸胴は味噌汁の用意である。
天ぷら
その次は天ぷらのライブキッチンの設定で海老、いかつみれ、雫石産のたもぎ茸と同じく雫石産スナップエンドウの4品が揚げたてで提供される。
漬物
天ぷらブースの奥はキャベツと白菜の漬物2品が用意されている。一般的にバイキング会場ではサラダや生野菜類の延長に漬物が並んでいることが多いがここではサラダ類とは大きく離れて配置されている。
ローストビーフ
漬物コーナーの先は料理配置の最も奥の位置となる。ここにはつけ合わせの野菜類と共に保温皿に盛られたローストビーフが控えている。
【取り分けた料理】
多種多彩な料理を少しずつ味わうことにして
小分け皿
9分割された四角の取り皿にコロッケ、リンゴの春巻きに中華と煮物類を選びキャベツと白菜の漬物2種も取り分けた。
左奥の区画に載せた重っこ料理の二子芋コロッケは団子サイズに整形された小さなもので普通のコロッケとの相違点を感じる前に食べきってしまった。もう少し大きければ食感や風味を吟味できたかも知れない。右隣のリンゴの春巻は初体験だったが正にリンゴそのものを春巻の皮に包み油で揚げて小振りの春巻きに仕立てたものでリンゴの甘酸っぱさとしゃきしゃきした感触がぱりぱりの揚げ皮と違和感なく纏まっていて好ましかった。
右側の列は奥の区画から手前に海老団子のピリ辛あんかけ、油麩と野菜の鶏そぼろ煮、酢豚を載せている。中央列は奥が先に触れたリンゴの春巻で手前はポトフと中華クラゲの柚子風味。これらの中華料理や煮物類は普通に期待される無難な味付けに仕上げられている。
左列手前の2区画はパプリカと胡瓜が加わるキャベツの漬物と切り昆布を添えた白菜の漬け物である。
他の料理
その他の料理も個別の容器や取り皿に載せて予め確保していたテーブルに運び夕食の席に着いた。
冷酒
料理のお伴には地元酒蔵の南部美人の冷酒を選んだ。
サラダ
個別の取り皿では生野菜とサラダ類のコーナーからは千切りキャベツとポテトサラダを選びミニトマトを添えてみた。
根曲竹
大きめの皿には根曲竹に鱒の西京焼き、じゃが芋と鮭の焼団子、浅利のバター炒めと和風に組合せた。画面の右上に見えるのはごま豆腐の皿。
根曲竹は味噌煮と表示されていたが緑色の表皮を剥がして柔らかい芯の部分を食するので味噌の味付けよりも若竹の風味を強く感じた。他の3品は想像通り万人向けの無難な味付けである。
刺身
刺身の容器は鰹、青柳、蛸の3種盛に大根と大葉の配い(あしらい)がある。近年は物流網の発展に依ってどんな山奥でも生鮮海産物が供給されていると繰り返し述べてきたが岩手山麓の網張温泉も例に洩れていない。これは道路網と物流を担う運送網の整備の賜物であり一度(ひとたび)風水害が生じて交通網が寸断されると物流が経たれて孤立集落となる事象は枚挙に遑がない。
芋の子鍋
多彩な料理の中で稀少な野菜鍋の汁物故反射的に取り分けた。里芋やつみれの具材が見える野菜汁は好ましかったが実食すると醤油ベースの汁は強い塩味があり完食を断念してしまった。
以前に盛岡近辺でひっつみ鍋と称するすいとん風の野菜鍋を味わった経験があるがこの時も強い塩辛さを感じた記憶が残っている。この辺りでは濃い味付けの汁物を嗜好するのであろうか。
天ぷら
天ぷらのライブキッチンからはいかつみれと海老の天ぷらを選んでみた。
ローストビーフ
料理テーブルの最奥にあったもローストビーフもしっかり取り分けて付け合わせの野菜と共に賞味した。
ご飯と味噌汁
この日は普段とは異なり少量ながらご飯を味噌汁と刺身をお伴に締め括ったが刺身の種はいつの間にか蛸に変わって甘エビが登場していた。
【料理の品揃え】
夕食バイキングは既に述べた通り農産品に山や海の食材が加わる和洋中の多彩さで飲料を除いた料理の総数(デザートは含む)は40を越えている。ローストビーフ以外に高価な食材を使った目玉料理は見当たらないが多様な嗜好への対応が感じられ少しずつ数多くのの料理を味わってみたい衝動に駆られる品揃えが特徴である。
翌日の朝食はPart.8で
【休暇村網張温泉の食事】
宿泊客の食事は基本的に夕食朝食共本館1Fレストランのバイキングで供される。先に館内の構造で見た通り本館2Fには宴会場の広間も用意されているので団体客や特別な予約があればこちらで供食されるのであろう。
【夕食】
夕食バイキングは17:30~20:30の3時間設定で19:30迄に入場する様に案内されている。
レストラン
フロントホールの奥にあるラウンジからレストランに入ると左側の壁面に沿って手前から奥方向に料理が並べられている。右手の外壁に大きく開口するガラス窓越しに外景が展望できる空間に配置されたテーブルに空席を見つけて着席する自由席でバイキングでは一般的な方式。
以下に壁際に並ぶ多彩な料理を紹介するがその並び順の系統性にはやや疑問を感じる。
アイスクリーム
その典型は入口の直後に置かれたアイスクリーム。冷凍ケースの中にはほうじ茶、バニラ、チョコチップの3種が並び取り分け容器の用意もある。
デザート類
その先にも食後のデザート類が並ぶコーナーで地元の小岩井農場飲むヨーグルトにずんだもち、グレープフルーツゼリーや
フルーツ
苺、オレンジ、ブルーベリーの果物にパウンドケーキ、リンゴのシロップ煮などが供されている。
バイキング会場の入口付近にあるデザート類の配置は珍しい。多くの会場ではサラダ類から前菜料理へ順次食事の流れに沿って並ぶ料理の配列が一般的である。
重っこ料理
デザートコーナーの先は雫石伝統の重っこ(じっこ)料理の表示に大型の重箱に盛った5種の料理が並んでいる。じっことは重箱の方言とのことで固有の料理名ではなく重箱に盛り込む郷土料理の総称と説明されている。
添付されている料理名に依ると左手前の重箱は車麩とひじき胡麻ソース、その奥はわらびきくらげ生姜炒め、中央の二子芋コロッケは不聞にして知識がないが恐らく二子芋と呼ばれる芋を基材に整形したコロッケであろう。
右側手前にある重箱は山菜の麹南蛮風味と表示されていて刻んだ山菜が見えている。その奥は根曲竹の味噌煮で若竹を味わう趣向が窺える。
取り皿とサラダ
重っこ料理の先に進んで初めて大小2種の取り皿が配置されている。ここは基本的にサラダ系統のコーナーで手前の大皿には中華クラゲ柚子風味の表示がある。
サラダ
サラダは多種の取り揃えでポテト、海藻、トマト、人参、枝豆、水菜、キャベツ等が並んだ奥にドレッシングの配置もある。
刺身とごま豆腐
サラダの先は刺身3種(鰹、蛸、青柳(バカガイ))盛りに黄色の小鉢はにし貝めかぶの酢の物と海のものが控えているがその隣は一転してごま豆腐が白い飾り皿で供される。
中華料理
更に進むと大皿に盛り付けた料理の一画で手前は珍しいリンゴの春巻で海老団子のピリ辛あんかけ、酢豚と保温された中華料理が並ぶ。
煮物
次の保温皿は油麩と野菜の鶏そぼろ煮、ポトフと煮物が続く。
画面の右奥に山積みとなった各種の取り皿とトレーが見える。
トレー取り皿類
重っこ料理とサラダコーナーの間に取り皿の配置はあったがここ迄進んで初めて複数の取り皿を載せて移動できるトレーを手にすることができる。
更に取り皿とトレーに限らずリユースの箸や使い捨てお手拭きに加えて子供用の食器類も用意されているが料理を取り分ける利用者の目線からは何とも不便な並び順となっているのが残念である。
バイキングの会場では入口付近に置かれたトレーに取り皿を載せてサラダや前菜類から主菜の料理を順次取り分けた後半に麺類やご飯類に汁物を盛り付け最後に果物や甘味のデザート類を選ぶのが自然な流れである。大概のバイキング会場ではこの様な流れに沿って料理が配置されているものだがここのレストランは料理や食器の並びが不自然で取り皿を載せたトレーを抱えて右往左往しながら料理を物色する羽目に陥ってしまう。
和洋の料理
さて、食器コーナーの先に進んだ角に並ぶ料理は鱒の西京焼き、じゃが芋と鮭の焼団子、浅利のバター炒め、ピザと和洋の4種。
芋の子鍋
ピザの隣は郷土料理の芋の子鍋がカセットコンロで保温する大鍋で供されている。この芋の子鍋は多くの料理が並ぶ中で稀少な野菜鍋の汁物なので取り分けてみた。実食の感想は後に述べる。
給茶
芋の子鍋の先にはほうじ茶とあま茶の2種を供するポットに湯飲み茶碗を配した給茶コーナーに
天然水
網張の天然水と表示された給水機にグラスとアイスペールの氷が添えられている。特に説明書きはなかったが氷も天然水から製氷されているのであろう。
コーヒーサーバー
給水機の先にはコーヒーザーバーが控えている。
個人的には何十年も前からコーヒーの嗜好は失せてご無沙汰しているので近年の事情には疎いがサーバーの選択肢にはカフェオレやカフェラテにカプチーノ、エスプレッソなども見えており1台で多彩な需要に対応している機能が伺える。近頃はコンビニにもこの種のコーヒーマシンの設置を目撃している。
コーヒーサーバーの右脇には紅茶のティーバッグも供されているが目立たない位置に押し込まれた感じが拭えない。
このコーナーには言うまでもなくカップとスプーンの用意もある。
ちらし寿司
お茶やコーヒー等の飲料が並んだ先はご飯類コーナーである。
先ずは飯台のちらし寿司に迎えられる。奥に見えるご飯茶碗はちらし寿司と
岩手県産ひとめぼれ
その先にある白ご飯の食器を兼ねている。大型の保温ジャーに収容されたご飯は岩手県産ひとめぼれと説明されている。
そば
ご飯の次は小振りの椀に盛られたそばになめこと刻み葱の添え物がありつゆは寸胴型の保温容器で準備されている。画面の右手前に見える蓋付き小鉢の中は確認しなかったが薬味の七味辛子であろうか。
更に画面右奥に見切れた位置のお椀と保温寸胴は味噌汁の用意である。
天ぷら
その次は天ぷらのライブキッチンの設定で海老、いかつみれ、雫石産のたもぎ茸と同じく雫石産スナップエンドウの4品が揚げたてで提供される。
漬物
天ぷらブースの奥はキャベツと白菜の漬物2品が用意されている。一般的にバイキング会場ではサラダや生野菜類の延長に漬物が並んでいることが多いがここではサラダ類とは大きく離れて配置されている。
ローストビーフ
漬物コーナーの先は料理配置の最も奥の位置となる。ここにはつけ合わせの野菜類と共に保温皿に盛られたローストビーフが控えている。
【取り分けた料理】
多種多彩な料理を少しずつ味わうことにして
小分け皿
9分割された四角の取り皿にコロッケ、リンゴの春巻きに中華と煮物類を選びキャベツと白菜の漬物2種も取り分けた。
左奥の区画に載せた重っこ料理の二子芋コロッケは団子サイズに整形された小さなもので普通のコロッケとの相違点を感じる前に食べきってしまった。もう少し大きければ食感や風味を吟味できたかも知れない。右隣のリンゴの春巻は初体験だったが正にリンゴそのものを春巻の皮に包み油で揚げて小振りの春巻きに仕立てたものでリンゴの甘酸っぱさとしゃきしゃきした感触がぱりぱりの揚げ皮と違和感なく纏まっていて好ましかった。
右側の列は奥の区画から手前に海老団子のピリ辛あんかけ、油麩と野菜の鶏そぼろ煮、酢豚を載せている。中央列は奥が先に触れたリンゴの春巻で手前はポトフと中華クラゲの柚子風味。これらの中華料理や煮物類は普通に期待される無難な味付けに仕上げられている。
左列手前の2区画はパプリカと胡瓜が加わるキャベツの漬物と切り昆布を添えた白菜の漬け物である。
他の料理
その他の料理も個別の容器や取り皿に載せて予め確保していたテーブルに運び夕食の席に着いた。
冷酒
料理のお伴には地元酒蔵の南部美人の冷酒を選んだ。
サラダ
個別の取り皿では生野菜とサラダ類のコーナーからは千切りキャベツとポテトサラダを選びミニトマトを添えてみた。
根曲竹
大きめの皿には根曲竹に鱒の西京焼き、じゃが芋と鮭の焼団子、浅利のバター炒めと和風に組合せた。画面の右上に見えるのはごま豆腐の皿。
根曲竹は味噌煮と表示されていたが緑色の表皮を剥がして柔らかい芯の部分を食するので味噌の味付けよりも若竹の風味を強く感じた。他の3品は想像通り万人向けの無難な味付けである。
刺身
刺身の容器は鰹、青柳、蛸の3種盛に大根と大葉の配い(あしらい)がある。近年は物流網の発展に依ってどんな山奥でも生鮮海産物が供給されていると繰り返し述べてきたが岩手山麓の網張温泉も例に洩れていない。これは道路網と物流を担う運送網の整備の賜物であり一度(ひとたび)風水害が生じて交通網が寸断されると物流が経たれて孤立集落となる事象は枚挙に遑がない。
芋の子鍋
多彩な料理の中で稀少な野菜鍋の汁物故反射的に取り分けた。里芋やつみれの具材が見える野菜汁は好ましかったが実食すると醤油ベースの汁は強い塩味があり完食を断念してしまった。
以前に盛岡近辺でひっつみ鍋と称するすいとん風の野菜鍋を味わった経験があるがこの時も強い塩辛さを感じた記憶が残っている。この辺りでは濃い味付けの汁物を嗜好するのであろうか。
天ぷら
天ぷらのライブキッチンからはいかつみれと海老の天ぷらを選んでみた。
ローストビーフ
料理テーブルの最奥にあったもローストビーフもしっかり取り分けて付け合わせの野菜と共に賞味した。
ご飯と味噌汁
この日は普段とは異なり少量ながらご飯を味噌汁と刺身をお伴に締め括ったが刺身の種はいつの間にか蛸に変わって甘エビが登場していた。
【料理の品揃え】
夕食バイキングは既に述べた通り農産品に山や海の食材が加わる和洋中の多彩さで飲料を除いた料理の総数(デザートは含む)は40を越えている。ローストビーフ以外に高価な食材を使った目玉料理は見当たらないが多様な嗜好への対応が感じられ少しずつ数多くのの料理を味わってみたい衝動に駆られる品揃えが特徴である。
翌日の朝食はPart.8で
(00:00)
2018年10月26日
Part.6
【網張温泉元湯(源泉)の所在】
ここで網張温泉の源泉に言及しておく。
宿泊施設の「休暇村岩手網張温泉」や日帰り温泉施設の「温泉館」は雫石川の流域から扇状地を登ってきた県道r121が県境の奥羽山脈から東に張り出した岩手山(標高2038m)に繋がる山並みに聳える犬倉山(標高1408m)の南陵を下る湯ノ沢と交わる高地にある。又混浴露天温泉「仙女の湯」は宿泊施設から徒歩で湯ノ沢を10分程度遡った上流に置かれている。
元湯の説明
「大釈の湯」の脱衣室の掲示説明に依ると網張温泉元湯の源泉は「仙女の湯」より更に上流となる湯ノ沢の支流付近にあり2kmに渡る引湯管で各温泉施設に給湯されているとのこと。源泉が湧く元湯周辺は硫化水素ガス(H2S)が発生する危険地帯の為立入禁止との注意書きもある。
【硫化水素ガスの毒性】
硫化水素の発生を伴う源泉は良質な温泉を湧出するとは良く聞く話しだが源泉付近に窪地があると空気より重い硫化水素の有毒ガスが滞留して訪問客の死亡事故が生じた例もあるので少なからぬ注意が必要である。この類では秋田県泥湯温泉の事故例が今も私の記憶に残っている。
硫化水素は常温常圧の環境下では無色の気体であるが腐った卵の独特な臭いがある。この臭気は世間一般に硫黄の臭いとされているが硫黄(S2)そのものは無臭物質であり感じる臭気は硫化水素のものである。比重1.19は空気より重く水にも良く溶けるので温泉水中にも溶存する。
皮膚粘膜への刺激性があり高濃度のガスを吸引すると肺の酸素分圧が急激に低下して呼吸麻痺を生じ死に至る。0.1%程度の濃度になるとほぼ即死するとされている。
【網張温泉の泉質】
成分表
「大釈の湯」の脱衣室に掲出された温泉の成分表には
源泉名: 網張新湯
泉質: 単純硫黄温泉(硫化水素型) [低張性-弱酸性-高温泉]
源泉温: 72.9℃
pH値: 4.1
と記載されており弱酸性で高温の特徴が窺える。
写真では省略しているが右側に「源泉温度が高いので沢水で加水しています」との記載があるので沢水を加水した源泉と理解すれば良いのだろうか。
温泉成分の分析値を見ると陽イオンではカルシウムイオンの15mg/kg(温泉水1kgに含まれる成分量を表す単位)が最も多くナトリウムイオン(4.6mg/kg)の3倍となっている。先に紹介した様に温泉湯口の流路壁の白変はこのカルシウム成分が固化堆積した産物と思われる。
陰イオンは硫酸イオン75mg/kg、炭酸イオン29mg/kgが目立つ存在で溶存ガス成分では29mg/kgの遊離二酸化炭素は問題ないがこれより少量(4mg/kg)の遊離硫化水素は先にも述べているが人命に関わる有毒ガスである。
泉質の説明
この硫化水素遊離成分の対策であろう説明も掲示されている。
「網張温泉は硫黄がたいへん強い温泉のため、「公共の浴用に供する温泉利用施設の設備構造等に関する基準」に適用するよう浴場内は常に換気を行っております。…以下略…」と。
因みに文中に引用されている「温泉利用施設の設備構造等に関する基準」の詳細は確認していないが浴場の環境維持の為に定めた厚生労働省令であろう。
内湯の換気装置
この基準に沿ったと思われる換気装置が「大釈の湯」の屋外の一画に設置されている。ガラス窓の内側には内湯の浴槽が接しており浴槽湯面付近の空気を幅広く吸引して外部の低い位置に排出する仕掛けに見える。硫化水素は前項で触れた通り空気よりも重いガスなので低い位置から吸ってより低い位置に吐き出す方式は理に叶ったものである。
換気装置の浴槽側
同じ装置を室内から見ると浴槽の越流側に接する外壁ガラス窓の下に並ぶガラリが排気口となっている。
湯口側の換気口
同じ浴槽で湯口がある逆側にも間口は狭いが同様の装置と思われる排気口が確認できる。
一般的に換気が不十分な浴室内は比較的高温な湯気が充満する高温多湿の状態となっておりこの様な空間にカメラを持ち込むとレンズ表面に結露が生じて鮮明な写真の撮影は不可能となる。以前から温泉浴室内ではこの現象を克服できず不鮮明な写真を少なからず紹介している。これは持ち込む機材と室内の温度と湿度の差に起因するもので冬の冷たい外気に晒された後に暖房が効いた室内に入ると瞬時にメガネが曇って視界が閉ざされるのと同じ現象である。
天井換気
しかし「大釈の湯」の内湯室内ではレンズの曇りが皆無で極めて鮮明な写真が撮影できている。これは浴槽上面の低い位置の換気装置のみならず浴室天井の大きな開口部で稼働する換気装置も加えた強力な換気機能の賜物と思われる。
【白泉の湯】
本館から向かう東館の直前に配置された「白泉の湯」は内湯のみの男女別浴室である。
白泉の湯入口
手前に赤い暖簾を提げる女湯と紺暖簾の男湯の入口が並んでおり両者の隔壁には浴槽の湯温を示すデジタル温度計がそれぞれ42℃程を表示している。
脱衣室
暖簾を潜った右手にある脱衣室は「大釈の湯」に較べると小規模だが縦長の室内右手に設置された脱衣棚は「大釈の湯」と変わらぬロッカー方式である。
洗面台
部屋の奥は2機の洗面台と冷水機の空間で右端には収納式のベビーベッドも設置されている。
左側壁面
左側の壁面に源泉の紹介や温泉成分の分析表等が掲示されており休憩用の木製ベンチに扇風機、足つぼマッサージ、体重計が配置されている。
浴室入口
体重計の手前の引き戸が浴室入口である。
上の写真は脱衣室の奥から入口方向を写しているのでこれまでの説明と左右が逆転した景色となっている。
浴室
大型のアルミ戸を引き開けた浴室は左側手前に扇型の浴槽があり右奥は洗い場の空間で壁面に沿って9基のシャワー栓がコの字型に並んでいる。
洗い場
「白泉の湯」では洗い場の腰掛けが木製で湯桶は木製とプラスティック製品が相半ばしており「大釈の湯」とは異なった雰囲気を醸している。
浴槽
扇型に設えられた浴槽の要の位置にある湯口から注がれる湯は主に円弧の両端から越流する方式に見えるが石張りの床面に堆積した茶色の変色部を見ると円弧の縁から満遍なく溢れている様である。
換気口
浴槽の外壁に接する窓の下部には換気ガラリがありこの浴室も強力な換気装置の装備が窺われる。
湯口
木樋構造の湯口には高温注意の表示があり湯が落ちる位置には仕切り板が設置されている。この構造の観察は怠ってしまったが高温湯が直接表面拡散して生じる浴槽内の温度差を防止する方法に見える。即ち仕切り板は浴槽表面付近の浅い部分に限られていれば湯口から注がれた湯は一旦仕切りの内部で底部に下降し仕切りの下部から浴槽全体に向かって熱めの湯が押し出され湯温の均等効果が期待できる巧みな手法である。
「白泉の湯」は内湯のみの小振りな浴室だが大浴場に比較すると落ち着いた佇まいで心地良い温泉浴を楽しむことができる。
成分表
既に述べている通り網張温泉は湯ノ沢上流の単一源泉からの引き湯なので脱衣室に掲げられている温泉の分析表は「大釈の湯」と同じ発行日付(平成26年12月12日)で分析値なども一字一句違わぬ同一の内容であった。
【白泉の湯前のロビー】
「白泉の湯」の入口前はロビー空間が設けられている。
ロビー
この空間には椅子やマッサージ器に飲料自販機が配置されて湯上がりの休憩所の風情である。画面左手の窓外は雫石扇状地の景色を見下ろす展望ロビーの機能も備えている。
神棚
ロビーの東館側に置かれた神棚に詳しい説明は無かったが源泉の恵みを崇める温泉神社と思われる。
先に館内構造の紹介でも触れた通り「白泉の湯」とこのロビー空間は本館から東館に連絡する通路の途中にあり東館の内部設備にも見えるが建物の構造や展望ロビーの様子から東館とは独立した「白泉の湯」専用の温泉棟である。
Part.7では食事を紹介
【網張温泉元湯(源泉)の所在】
ここで網張温泉の源泉に言及しておく。
宿泊施設の「休暇村岩手網張温泉」や日帰り温泉施設の「温泉館」は雫石川の流域から扇状地を登ってきた県道r121が県境の奥羽山脈から東に張り出した岩手山(標高2038m)に繋がる山並みに聳える犬倉山(標高1408m)の南陵を下る湯ノ沢と交わる高地にある。又混浴露天温泉「仙女の湯」は宿泊施設から徒歩で湯ノ沢を10分程度遡った上流に置かれている。
元湯の説明
「大釈の湯」の脱衣室の掲示説明に依ると網張温泉元湯の源泉は「仙女の湯」より更に上流となる湯ノ沢の支流付近にあり2kmに渡る引湯管で各温泉施設に給湯されているとのこと。源泉が湧く元湯周辺は硫化水素ガス(H2S)が発生する危険地帯の為立入禁止との注意書きもある。
【硫化水素ガスの毒性】
硫化水素の発生を伴う源泉は良質な温泉を湧出するとは良く聞く話しだが源泉付近に窪地があると空気より重い硫化水素の有毒ガスが滞留して訪問客の死亡事故が生じた例もあるので少なからぬ注意が必要である。この類では秋田県泥湯温泉の事故例が今も私の記憶に残っている。
硫化水素は常温常圧の環境下では無色の気体であるが腐った卵の独特な臭いがある。この臭気は世間一般に硫黄の臭いとされているが硫黄(S2)そのものは無臭物質であり感じる臭気は硫化水素のものである。比重1.19は空気より重く水にも良く溶けるので温泉水中にも溶存する。
皮膚粘膜への刺激性があり高濃度のガスを吸引すると肺の酸素分圧が急激に低下して呼吸麻痺を生じ死に至る。0.1%程度の濃度になるとほぼ即死するとされている。
【網張温泉の泉質】
成分表
「大釈の湯」の脱衣室に掲出された温泉の成分表には
源泉名: 網張新湯
泉質: 単純硫黄温泉(硫化水素型) [低張性-弱酸性-高温泉]
源泉温: 72.9℃
pH値: 4.1
と記載されており弱酸性で高温の特徴が窺える。
写真では省略しているが右側に「源泉温度が高いので沢水で加水しています」との記載があるので沢水を加水した源泉と理解すれば良いのだろうか。
温泉成分の分析値を見ると陽イオンではカルシウムイオンの15mg/kg(温泉水1kgに含まれる成分量を表す単位)が最も多くナトリウムイオン(4.6mg/kg)の3倍となっている。先に紹介した様に温泉湯口の流路壁の白変はこのカルシウム成分が固化堆積した産物と思われる。
陰イオンは硫酸イオン75mg/kg、炭酸イオン29mg/kgが目立つ存在で溶存ガス成分では29mg/kgの遊離二酸化炭素は問題ないがこれより少量(4mg/kg)の遊離硫化水素は先にも述べているが人命に関わる有毒ガスである。
泉質の説明
この硫化水素遊離成分の対策であろう説明も掲示されている。
「網張温泉は硫黄がたいへん強い温泉のため、「公共の浴用に供する温泉利用施設の設備構造等に関する基準」に適用するよう浴場内は常に換気を行っております。…以下略…」と。
因みに文中に引用されている「温泉利用施設の設備構造等に関する基準」の詳細は確認していないが浴場の環境維持の為に定めた厚生労働省令であろう。
内湯の換気装置
この基準に沿ったと思われる換気装置が「大釈の湯」の屋外の一画に設置されている。ガラス窓の内側には内湯の浴槽が接しており浴槽湯面付近の空気を幅広く吸引して外部の低い位置に排出する仕掛けに見える。硫化水素は前項で触れた通り空気よりも重いガスなので低い位置から吸ってより低い位置に吐き出す方式は理に叶ったものである。
換気装置の浴槽側
同じ装置を室内から見ると浴槽の越流側に接する外壁ガラス窓の下に並ぶガラリが排気口となっている。
湯口側の換気口
同じ浴槽で湯口がある逆側にも間口は狭いが同様の装置と思われる排気口が確認できる。
一般的に換気が不十分な浴室内は比較的高温な湯気が充満する高温多湿の状態となっておりこの様な空間にカメラを持ち込むとレンズ表面に結露が生じて鮮明な写真の撮影は不可能となる。以前から温泉浴室内ではこの現象を克服できず不鮮明な写真を少なからず紹介している。これは持ち込む機材と室内の温度と湿度の差に起因するもので冬の冷たい外気に晒された後に暖房が効いた室内に入ると瞬時にメガネが曇って視界が閉ざされるのと同じ現象である。
天井換気
しかし「大釈の湯」の内湯室内ではレンズの曇りが皆無で極めて鮮明な写真が撮影できている。これは浴槽上面の低い位置の換気装置のみならず浴室天井の大きな開口部で稼働する換気装置も加えた強力な換気機能の賜物と思われる。
【白泉の湯】
本館から向かう東館の直前に配置された「白泉の湯」は内湯のみの男女別浴室である。
白泉の湯入口
手前に赤い暖簾を提げる女湯と紺暖簾の男湯の入口が並んでおり両者の隔壁には浴槽の湯温を示すデジタル温度計がそれぞれ42℃程を表示している。
脱衣室
暖簾を潜った右手にある脱衣室は「大釈の湯」に較べると小規模だが縦長の室内右手に設置された脱衣棚は「大釈の湯」と変わらぬロッカー方式である。
洗面台
部屋の奥は2機の洗面台と冷水機の空間で右端には収納式のベビーベッドも設置されている。
左側壁面
左側の壁面に源泉の紹介や温泉成分の分析表等が掲示されており休憩用の木製ベンチに扇風機、足つぼマッサージ、体重計が配置されている。
浴室入口
体重計の手前の引き戸が浴室入口である。
上の写真は脱衣室の奥から入口方向を写しているのでこれまでの説明と左右が逆転した景色となっている。
浴室
大型のアルミ戸を引き開けた浴室は左側手前に扇型の浴槽があり右奥は洗い場の空間で壁面に沿って9基のシャワー栓がコの字型に並んでいる。
洗い場
「白泉の湯」では洗い場の腰掛けが木製で湯桶は木製とプラスティック製品が相半ばしており「大釈の湯」とは異なった雰囲気を醸している。
浴槽
扇型に設えられた浴槽の要の位置にある湯口から注がれる湯は主に円弧の両端から越流する方式に見えるが石張りの床面に堆積した茶色の変色部を見ると円弧の縁から満遍なく溢れている様である。
換気口
浴槽の外壁に接する窓の下部には換気ガラリがありこの浴室も強力な換気装置の装備が窺われる。
湯口
木樋構造の湯口には高温注意の表示があり湯が落ちる位置には仕切り板が設置されている。この構造の観察は怠ってしまったが高温湯が直接表面拡散して生じる浴槽内の温度差を防止する方法に見える。即ち仕切り板は浴槽表面付近の浅い部分に限られていれば湯口から注がれた湯は一旦仕切りの内部で底部に下降し仕切りの下部から浴槽全体に向かって熱めの湯が押し出され湯温の均等効果が期待できる巧みな手法である。
「白泉の湯」は内湯のみの小振りな浴室だが大浴場に比較すると落ち着いた佇まいで心地良い温泉浴を楽しむことができる。
成分表
既に述べている通り網張温泉は湯ノ沢上流の単一源泉からの引き湯なので脱衣室に掲げられている温泉の分析表は「大釈の湯」と同じ発行日付(平成26年12月12日)で分析値なども一字一句違わぬ同一の内容であった。
【白泉の湯前のロビー】
「白泉の湯」の入口前はロビー空間が設けられている。
ロビー
この空間には椅子やマッサージ器に飲料自販機が配置されて湯上がりの休憩所の風情である。画面左手の窓外は雫石扇状地の景色を見下ろす展望ロビーの機能も備えている。
神棚
ロビーの東館側に置かれた神棚に詳しい説明は無かったが源泉の恵みを崇める温泉神社と思われる。
先に館内構造の紹介でも触れた通り「白泉の湯」とこのロビー空間は本館から東館に連絡する通路の途中にあり東館の内部設備にも見えるが建物の構造や展望ロビーの様子から東館とは独立した「白泉の湯」専用の温泉棟である。
Part.7では食事を紹介
(00:00)
2018年10月19日
Part.5
【本館内の温泉施設】
前回も触れたが網張五湯のうち二湯は宿泊施設内部にあり「大釈の湯」は西館末端の1Fに、「白泉の湯」は本館から東館へ向かう2F通路の途中に配置されている。
【大釈の湯】
再掲 西館末端のエレベーター
本館1Fのフロントロビーから西館に上がるエレベーターの扉は黄色の塗色であったが本館からは奥となる西館末端で「大釈の湯」に繋がるエレベーターは各階の扉が深紅に塗られ西館4Fから1Fの各階を連絡している。
大釈の湯へ
このエレベーターか近接する階段で1Fに降りると網張温泉の暖簾の先に浴場へ繋がる通路が延びている。
曲がり角
通路を進むと飲料自販機の前で左に誘導される。
左折の先
左に折れた先を更に進むと
温度表示
大釈の湯の木製看板に突き当たり女性と男性の浴場入口が左右に振り分けられるが木製看板の下には男女別それぞれの内風呂と露天風呂の温度表示器が設置されて各浴槽の湯温がリアルタイムで表示されている。この表示に依ると内風呂は概ね42℃で露天風呂は少し低めで40℃程らしい。
女湯の暖簾
女性湯入口に懸かる朱色の暖簾を左に見て
男湯の暖簾
右手の紺色の暖簾の先に進むと
脱衣室入口
ガラスを嵌めた木製引き戸の奥が脱衣室となっている。
【脱衣室内】
脱衣室
脱衣室内部の広い空間には右手の壁際と室内中央に三段構造の脱衣棚が設置されている。脱衣棚は全て施錠ができる木製扉を備えるロッカータイプである。ロッカーの鍵はゴム製の収納カバーとリストバンドを備えるので手首に巻いて浴室に持ち込むことができる。
洗面台
中央のロッカーに仕切られた脱衣空間の反対側となる外壁側には6面の鏡が配置されている。
洗面台
浴室に近い3面には湯水栓を備えた洗面台が設置されているが
ドライヤー台
残りの3面はドライヤーのみを備える化粧台風の設えとなっている。水回りを備える洗面機能と化粧機能(男湯では主に整髪用途か)が完全に分離されているのは男湯では珍しい設定である。
室内装備
脱衣空間奥の浴室側には温泉成分表や源泉紹介の掲出があり壁掛け扇風機や体重計、足つぼ刺激マットの必須備品に加えて折り畳み式のベビーベッドが装備されている。
冷水機
この位置から洗面台側を見ると飲用冷水機が配置されている。湯上がりの水分補給に有難い装備である。
浴室入口
温泉成分表掲示の脇に設けられた幅広の引き戸が浴室入口である。この位置に掲出されている成分表掲示は嫌でも目に留まる絶好の配置となっている。
【内湯の浴場】
浴場室内
大釈の湯の男性浴場は入口から奥に伸びる縦長の構造となっている。上の写真は室内の最奥から入口方向を望む画角の撮影で奥に見えるサッシ戸が浴室の入口である。
洗い場
脱衣室から引き戸を開けて入った右側壁面には10基のシャワー栓が並ぶ洗い場で
上がり湯の湯槽
左側の隅には手桶を備えた上がり湯の湯槽が配置されている。
【上がり湯の機能】
上がり湯本来の機能は温泉に浸かった後の体の付着物を洗い流す為に用意された湯槽だが浴場の衛生管理が行き届いた現在では肌に纏った温泉成分を流し去ると温泉効果が減じると認識されているので泉質が肌に合わないと感じる場合に限定して利用するものであろう。従って個人的には上がり湯としてよりも浴槽に浸かる前に体の汚れを落とす掛け湯にすることが多い。
温泉宿に着いて初めて入浴する場合には浴槽に向かう前に洗い場で体を洗うことを常としており2回目以降は掛け湯のみで湯槽に浸かるがこの時に上がり湯があればこの湯を掛け湯として利用している。
【内湯の浴場 続き】
内湯浴槽
縦長な浴室の最も奥に置かれた浴槽は洗い場側とS字の曲線で仕切られた変形の扇形で
湯口
右奥隅の湯口から温泉が注がれており
越流側の浴槽
外壁に面する左側に一段低く造られた縁から越流する構造で壁面にはガラス窓が開口している。
入浴風景
貸切状態となった入浴時に撮影した浴槽に浸かりながら眺める浴室風景も紹介しておく。
【露天風呂】
露天風呂の出入口
大釈の湯には露天風呂が併設されおり内湯浴槽手前の外壁面に設置されている二重扉の出入口から連絡している。
露天風呂
木塀で囲われた庭に置かれた露天風呂の浴槽は石組みの設えで
屋根掛け部分
その半分程は太い柱で支えられた屋根に覆われている。
露天の湯口
屋根掛け部の右奥隅に石を高く組み上げた湯口から青みがかった褐色の湯が注がれている。
湯口の堆積物
湯口の石組みを仔細に見ると常時湯に接している流路部分は白色の変色物がありその周囲で湯と空気の両者に晒される部分には赤褐色物質が堆積している。
この二種の変色物質は先に紹介した混浴露天「仙女の湯」でも見られた現象で両者の泉質の類似性を物語っている。
越流口
湯口から注がれる温泉は浴槽左奥の縁に設けられた越流口から溢れて排湯される構造となっている。
網張温泉の泉質や白泉の湯はPart.6で
【本館内の温泉施設】
前回も触れたが網張五湯のうち二湯は宿泊施設内部にあり「大釈の湯」は西館末端の1Fに、「白泉の湯」は本館から東館へ向かう2F通路の途中に配置されている。
【大釈の湯】
再掲 西館末端のエレベーター
本館1Fのフロントロビーから西館に上がるエレベーターの扉は黄色の塗色であったが本館からは奥となる西館末端で「大釈の湯」に繋がるエレベーターは各階の扉が深紅に塗られ西館4Fから1Fの各階を連絡している。
大釈の湯へ
このエレベーターか近接する階段で1Fに降りると網張温泉の暖簾の先に浴場へ繋がる通路が延びている。
曲がり角
通路を進むと飲料自販機の前で左に誘導される。
左折の先
左に折れた先を更に進むと
温度表示
大釈の湯の木製看板に突き当たり女性と男性の浴場入口が左右に振り分けられるが木製看板の下には男女別それぞれの内風呂と露天風呂の温度表示器が設置されて各浴槽の湯温がリアルタイムで表示されている。この表示に依ると内風呂は概ね42℃で露天風呂は少し低めで40℃程らしい。
女湯の暖簾
女性湯入口に懸かる朱色の暖簾を左に見て
男湯の暖簾
右手の紺色の暖簾の先に進むと
脱衣室入口
ガラスを嵌めた木製引き戸の奥が脱衣室となっている。
【脱衣室内】
脱衣室
脱衣室内部の広い空間には右手の壁際と室内中央に三段構造の脱衣棚が設置されている。脱衣棚は全て施錠ができる木製扉を備えるロッカータイプである。ロッカーの鍵はゴム製の収納カバーとリストバンドを備えるので手首に巻いて浴室に持ち込むことができる。
洗面台
中央のロッカーに仕切られた脱衣空間の反対側となる外壁側には6面の鏡が配置されている。
洗面台
浴室に近い3面には湯水栓を備えた洗面台が設置されているが
ドライヤー台
残りの3面はドライヤーのみを備える化粧台風の設えとなっている。水回りを備える洗面機能と化粧機能(男湯では主に整髪用途か)が完全に分離されているのは男湯では珍しい設定である。
室内装備
脱衣空間奥の浴室側には温泉成分表や源泉紹介の掲出があり壁掛け扇風機や体重計、足つぼ刺激マットの必須備品に加えて折り畳み式のベビーベッドが装備されている。
冷水機
この位置から洗面台側を見ると飲用冷水機が配置されている。湯上がりの水分補給に有難い装備である。
浴室入口
温泉成分表掲示の脇に設けられた幅広の引き戸が浴室入口である。この位置に掲出されている成分表掲示は嫌でも目に留まる絶好の配置となっている。
【内湯の浴場】
浴場室内
大釈の湯の男性浴場は入口から奥に伸びる縦長の構造となっている。上の写真は室内の最奥から入口方向を望む画角の撮影で奥に見えるサッシ戸が浴室の入口である。
洗い場
脱衣室から引き戸を開けて入った右側壁面には10基のシャワー栓が並ぶ洗い場で
上がり湯の湯槽
左側の隅には手桶を備えた上がり湯の湯槽が配置されている。
【上がり湯の機能】
上がり湯本来の機能は温泉に浸かった後の体の付着物を洗い流す為に用意された湯槽だが浴場の衛生管理が行き届いた現在では肌に纏った温泉成分を流し去ると温泉効果が減じると認識されているので泉質が肌に合わないと感じる場合に限定して利用するものであろう。従って個人的には上がり湯としてよりも浴槽に浸かる前に体の汚れを落とす掛け湯にすることが多い。
温泉宿に着いて初めて入浴する場合には浴槽に向かう前に洗い場で体を洗うことを常としており2回目以降は掛け湯のみで湯槽に浸かるがこの時に上がり湯があればこの湯を掛け湯として利用している。
【内湯の浴場 続き】
内湯浴槽
縦長な浴室の最も奥に置かれた浴槽は洗い場側とS字の曲線で仕切られた変形の扇形で
湯口
右奥隅の湯口から温泉が注がれており
越流側の浴槽
外壁に面する左側に一段低く造られた縁から越流する構造で壁面にはガラス窓が開口している。
入浴風景
貸切状態となった入浴時に撮影した浴槽に浸かりながら眺める浴室風景も紹介しておく。
【露天風呂】
露天風呂の出入口
大釈の湯には露天風呂が併設されおり内湯浴槽手前の外壁面に設置されている二重扉の出入口から連絡している。
露天風呂
木塀で囲われた庭に置かれた露天風呂の浴槽は石組みの設えで
屋根掛け部分
その半分程は太い柱で支えられた屋根に覆われている。
露天の湯口
屋根掛け部の右奥隅に石を高く組み上げた湯口から青みがかった褐色の湯が注がれている。
湯口の堆積物
湯口の石組みを仔細に見ると常時湯に接している流路部分は白色の変色物がありその周囲で湯と空気の両者に晒される部分には赤褐色物質が堆積している。
この二種の変色物質は先に紹介した混浴露天「仙女の湯」でも見られた現象で両者の泉質の類似性を物語っている。
越流口
湯口から注がれる温泉は浴槽左奥の縁に設けられた越流口から溢れて排湯される構造となっている。
網張温泉の泉質や白泉の湯はPart.6で
(00:00)
2018年10月12日
Part.4
【網張五湯の温泉】
休暇村岩手網張温泉の宿泊施設の館内には既に紹介した通り西館末端に位置する「大釈の湯」と東館に向かう手前に「白泉の湯」の二つの浴場が設えられているがその他に混浴露天の秘湯「仙女の湯」と宿泊施設とは距離を置く日帰り温泉施設の網張温泉館「薬師の湯」に加えて宿泊施設から温泉館に向かう遊歩道の途中に設けられた「鹿追足湯」が網張五湯と称されている。
【工事中の遊歩道】
温泉館への遊歩道
宿泊施設と日帰り施設の温泉館の間は水平距離のみならず山肌の傾斜面に従う高低差もあって
遊歩道の吊橋
両者の往来の便に吊橋を含め強固な手摺を装備する大規模な遊歩道が通じているが訪問当日は夏休みの繁忙期に備えるのであろう改修工事の真っ最中で通行不能となっていた。
【温泉館薬師の湯と鹿追足湯】
従って宿泊施設の本館からこの遊歩道を使って徒歩で温泉館へ向かうことは出来ず遊歩道の途中にあるとされる足湯は閉鎖されていた。代替措置として温泉館へ送迎するシャトルバスが運行されていたが午前の3便(本館発9:20,10:10,12:00)は連泊以外の宿泊客に利用価値はなく午後の2便(同じく15:05,16:05)も慌ただしいチェックイン時間帯の設定で見過ごされがちである。温泉館の閉館時間は平日19:00(土日祝日は20:00)とされているので17:00や18:00台の送迎の方が利用価値が高いと思うのだがこの時間帯になると夕食や布団敷きのサービスが佳境となるので送迎に人手を割く余裕がないのかも知れない。
いずれにせよこの様な事情から「鹿追足湯」と温泉館の「薬師の湯」の利用は断念した。後に紹介するが網張五湯の温泉は全て同一源泉からの引き湯とされているので泉質に大きな相違はないだろうと屁理屈的な言い訳も用意した上での断念である。
従って実際に入浴したのは宿泊施設や温泉館から離れた位置にある混浴露天の「仙女の湯」と宿泊施設内の「大釈の湯」と「白泉の湯」の三湯であった。
【混浴露天の仙女の湯】
秘湯と前置詞が付く「仙女の湯」は宿泊施設や温泉館から源泉が湧く葛根田川の支流となる湯ノ沢を遡った沢筋にあり宿泊施設から山道を徒歩7分と案内されている。
汎用のパンフレットには宿泊者の利用時間が8:30~17:00と記載されていたがチェックイン時に受け取った案内書では15:00~18:00となっており翌朝は入浴できないことに気がついたので急遽17:00過ぎに混浴露天の秘湯に向かうことにした。
慌ててタオル類やカメラ等を手提げ籠に放り込んで1Fフロントに降りたが館内スリッパを履いた儘だったので玄関で外履きサンダルに替えて山道を歩く羽目となってしまった。
仙女の湯への山道
宿泊施設東館の端部から唐突に始まる山道は幾つもの案内矢印が完備されているので注意深く進めば道に迷うことはないが舗装や石段は皆無で土中から木の根が露出し枯れ葉が堆積する道である。
上り道
取り付きは上りが連続し山肌を高巻きして乗り越える道程が待ち構えている。
下り道
一頻り登ると傾斜が治まり緩やかな上り下りの先に擬木で組んだ下り階段が現れる。
湯ノ沢へ下る
この先は仙女の湯が位置する湯ノ沢の谷まで一挙に下っている。
谷筋の湯小屋
下りきった先には谷筋に佇む湯小屋が見えている。
谷底の湯小屋
上の写真に写っているが湯小屋に至る迄下り傾斜の谷側には工事現場で見掛ける仮設パイプの手摺が設置されていて最後の部分は桟橋風の板床で入口に誘導される。
谷に下る道筋
後半の道程を振り返ると山肌の斜面から湯ノ沢の谷へ下る急傾斜の道形が明瞭である。
湯小屋入口
湯小屋の正面には仙女の湯の木製看板が掲げられて左に男、右は女と表示された男女別の脱衣室の入口となっている。
湯小屋の内部
17:15を僅かに過ぎた時刻に辿り着いた湯ノ沢の谷底は既に日没前の自然光から遮断されており電気設備がない脱衣室の内部は真っ暗の手探り状態となっていたが持参したカメラはISO感度を自動調整して明瞭な画像を残してくれた。脱衣棚奥の右手に見える板戸の外が露天温泉である。
湯小屋の先
板戸を開けて外に出ると女性用の動線と合流した混浴の空間で沢筋に堆積する凹凸の岩場に滑り止めのマットを敷いた簡易木橋が奥に見える浴槽迄裸足の歩行の助けとなっている。
混浴側から見る湯小屋
この木橋の上で振り返った湯小屋の佇まいである。山側は安定した岩盤上にあるが女性用の谷側に土台はなく床面が宙に浮いている様に見える。但し小屋の角はコンクリート柱に支えられ床下には木組みの束もあるので沢の増水等非常事態が生じない限り利用に不安はない。
露天仙女の湯
視線を浴場側に戻すと仙女の湯の全てが凝縮された光景に迎えられる。
亀滝
真っ先に目を引かれるのは背景の景色には最高の演出となる滝の存在。亀滝と呼ばれるこの滝は落差10m程に見え本館と温泉館の間に切れ込んだ谷へ下る湯ノ沢の水流である。
落水は上部から左右に分かれ左の流れは二段の滝となり右は更に分流してそれぞれが三段と二段の滝を形成して滝壺に注いでいる。
湯ノ沢の流れ
滝壺に落ちた沢水は画面では左の下流側に設置された石組みの露天浴槽の右側に回り込む沢筋を流れ下っている。
浴場全景
混浴露天の浴場は大小の岩片を円形に積み上げて固定した浴槽と亀滝の背景が施設の全てで洗い場の類は皆無である。入浴前の掛け湯用に用意された一つだけの白い洗面器が自然風景に異彩を放つ小さな人工物に見える。
露天浴槽の湯口
浴槽は亀滝に近い上流側の高い位置の湯口から温泉が注がれている。温泉が流れる湯道は白色の堆積物が固着しており温泉の飛沫と空気の両者に晒される湯道の周辺部は赤褐色を呈している。
湯口と給水口
この湯口とは離れた下流側にも2系統の配管があり開閉バルブを配した太めの管からは少量の湯が注入されていた。網張温泉は単一源泉の筈なので湯口と向かい合う様に設置された給湯管は理解に苦しむ謎の存在である。
もう一つの細い配管は末端に蛇口を装着しており沢水を引き込んで湯温の調整や浴槽洗浄に利用する給水の仕掛けであろう。
越流口
浴槽上流側の湯口に相対する下流は低い岩組みの隙間に赤褐色に変色した越流口があり湯小屋へ繋がる板橋を潜る排湯路を通じて湯ノ沢へ流入する仕組みとなっている。
浴槽から望む湯小屋
滝と岩と緑の自然環境に囲まれた入浴を堪能して湯小屋の脱衣室に戻り浴衣にサンダル履きの身支度を整えて本館へ戻る道筋は日暮れの山道であったが往路で事情が解っているので慌てず焦らず歩行し8分程で本館に帰還できた。
雫石扇状地
辿り着いた本館の東端の前から望む夕暮れ迫る雫石の扇状地は濃色を纏った山側の傾斜地と残光に照らされて明るさが残る雫石川流域の平地部分の対比が印象的であった。
Part.5は本館内の温泉紹介
【網張五湯の温泉】
休暇村岩手網張温泉の宿泊施設の館内には既に紹介した通り西館末端に位置する「大釈の湯」と東館に向かう手前に「白泉の湯」の二つの浴場が設えられているがその他に混浴露天の秘湯「仙女の湯」と宿泊施設とは距離を置く日帰り温泉施設の網張温泉館「薬師の湯」に加えて宿泊施設から温泉館に向かう遊歩道の途中に設けられた「鹿追足湯」が網張五湯と称されている。
【工事中の遊歩道】
温泉館への遊歩道
宿泊施設と日帰り施設の温泉館の間は水平距離のみならず山肌の傾斜面に従う高低差もあって
遊歩道の吊橋
両者の往来の便に吊橋を含め強固な手摺を装備する大規模な遊歩道が通じているが訪問当日は夏休みの繁忙期に備えるのであろう改修工事の真っ最中で通行不能となっていた。
【温泉館薬師の湯と鹿追足湯】
従って宿泊施設の本館からこの遊歩道を使って徒歩で温泉館へ向かうことは出来ず遊歩道の途中にあるとされる足湯は閉鎖されていた。代替措置として温泉館へ送迎するシャトルバスが運行されていたが午前の3便(本館発9:20,10:10,12:00)は連泊以外の宿泊客に利用価値はなく午後の2便(同じく15:05,16:05)も慌ただしいチェックイン時間帯の設定で見過ごされがちである。温泉館の閉館時間は平日19:00(土日祝日は20:00)とされているので17:00や18:00台の送迎の方が利用価値が高いと思うのだがこの時間帯になると夕食や布団敷きのサービスが佳境となるので送迎に人手を割く余裕がないのかも知れない。
いずれにせよこの様な事情から「鹿追足湯」と温泉館の「薬師の湯」の利用は断念した。後に紹介するが網張五湯の温泉は全て同一源泉からの引き湯とされているので泉質に大きな相違はないだろうと屁理屈的な言い訳も用意した上での断念である。
従って実際に入浴したのは宿泊施設や温泉館から離れた位置にある混浴露天の「仙女の湯」と宿泊施設内の「大釈の湯」と「白泉の湯」の三湯であった。
【混浴露天の仙女の湯】
秘湯と前置詞が付く「仙女の湯」は宿泊施設や温泉館から源泉が湧く葛根田川の支流となる湯ノ沢を遡った沢筋にあり宿泊施設から山道を徒歩7分と案内されている。
汎用のパンフレットには宿泊者の利用時間が8:30~17:00と記載されていたがチェックイン時に受け取った案内書では15:00~18:00となっており翌朝は入浴できないことに気がついたので急遽17:00過ぎに混浴露天の秘湯に向かうことにした。
慌ててタオル類やカメラ等を手提げ籠に放り込んで1Fフロントに降りたが館内スリッパを履いた儘だったので玄関で外履きサンダルに替えて山道を歩く羽目となってしまった。
仙女の湯への山道
宿泊施設東館の端部から唐突に始まる山道は幾つもの案内矢印が完備されているので注意深く進めば道に迷うことはないが舗装や石段は皆無で土中から木の根が露出し枯れ葉が堆積する道である。
上り道
取り付きは上りが連続し山肌を高巻きして乗り越える道程が待ち構えている。
下り道
一頻り登ると傾斜が治まり緩やかな上り下りの先に擬木で組んだ下り階段が現れる。
湯ノ沢へ下る
この先は仙女の湯が位置する湯ノ沢の谷まで一挙に下っている。
谷筋の湯小屋
下りきった先には谷筋に佇む湯小屋が見えている。
谷底の湯小屋
上の写真に写っているが湯小屋に至る迄下り傾斜の谷側には工事現場で見掛ける仮設パイプの手摺が設置されていて最後の部分は桟橋風の板床で入口に誘導される。
谷に下る道筋
後半の道程を振り返ると山肌の斜面から湯ノ沢の谷へ下る急傾斜の道形が明瞭である。
湯小屋入口
湯小屋の正面には仙女の湯の木製看板が掲げられて左に男、右は女と表示された男女別の脱衣室の入口となっている。
湯小屋の内部
17:15を僅かに過ぎた時刻に辿り着いた湯ノ沢の谷底は既に日没前の自然光から遮断されており電気設備がない脱衣室の内部は真っ暗の手探り状態となっていたが持参したカメラはISO感度を自動調整して明瞭な画像を残してくれた。脱衣棚奥の右手に見える板戸の外が露天温泉である。
湯小屋の先
板戸を開けて外に出ると女性用の動線と合流した混浴の空間で沢筋に堆積する凹凸の岩場に滑り止めのマットを敷いた簡易木橋が奥に見える浴槽迄裸足の歩行の助けとなっている。
混浴側から見る湯小屋
この木橋の上で振り返った湯小屋の佇まいである。山側は安定した岩盤上にあるが女性用の谷側に土台はなく床面が宙に浮いている様に見える。但し小屋の角はコンクリート柱に支えられ床下には木組みの束もあるので沢の増水等非常事態が生じない限り利用に不安はない。
露天仙女の湯
視線を浴場側に戻すと仙女の湯の全てが凝縮された光景に迎えられる。
亀滝
真っ先に目を引かれるのは背景の景色には最高の演出となる滝の存在。亀滝と呼ばれるこの滝は落差10m程に見え本館と温泉館の間に切れ込んだ谷へ下る湯ノ沢の水流である。
落水は上部から左右に分かれ左の流れは二段の滝となり右は更に分流してそれぞれが三段と二段の滝を形成して滝壺に注いでいる。
湯ノ沢の流れ
滝壺に落ちた沢水は画面では左の下流側に設置された石組みの露天浴槽の右側に回り込む沢筋を流れ下っている。
浴場全景
混浴露天の浴場は大小の岩片を円形に積み上げて固定した浴槽と亀滝の背景が施設の全てで洗い場の類は皆無である。入浴前の掛け湯用に用意された一つだけの白い洗面器が自然風景に異彩を放つ小さな人工物に見える。
露天浴槽の湯口
浴槽は亀滝に近い上流側の高い位置の湯口から温泉が注がれている。温泉が流れる湯道は白色の堆積物が固着しており温泉の飛沫と空気の両者に晒される湯道の周辺部は赤褐色を呈している。
湯口と給水口
この湯口とは離れた下流側にも2系統の配管があり開閉バルブを配した太めの管からは少量の湯が注入されていた。網張温泉は単一源泉の筈なので湯口と向かい合う様に設置された給湯管は理解に苦しむ謎の存在である。
もう一つの細い配管は末端に蛇口を装着しており沢水を引き込んで湯温の調整や浴槽洗浄に利用する給水の仕掛けであろう。
越流口
浴槽上流側の湯口に相対する下流は低い岩組みの隙間に赤褐色に変色した越流口があり湯小屋へ繋がる板橋を潜る排湯路を通じて湯ノ沢へ流入する仕組みとなっている。
浴槽から望む湯小屋
滝と岩と緑の自然環境に囲まれた入浴を堪能して湯小屋の脱衣室に戻り浴衣にサンダル履きの身支度を整えて本館へ戻る道筋は日暮れの山道であったが往路で事情が解っているので慌てず焦らず歩行し8分程で本館に帰還できた。
雫石扇状地
辿り着いた本館の東端の前から望む夕暮れ迫る雫石の扇状地は濃色を纏った山側の傾斜地と残光に照らされて明るさが残る雫石川流域の平地部分の対比が印象的であった。
Part.5は本館内の温泉紹介
(12:00)
2018年10月05日
Part.3
【西館の客室】
今回は予め展望側の部屋を予約しており案内された部屋は西館3Fであった。
窓外の展望
窓外には周囲が山に囲まれた葛根田川の扇状地から雫石川流域を見下ろす壮大な景色が展開していた。
西館の室内
室内は窓側に広縁を備えた8畳間で
踏込左側
踏込手前の左には下足箱があり
洗面台
板床部には洗面台が配置されている。
トイレ
右手は洗浄機能を装備した個室トイレとなっている。
【室内装備】
左側壁面
板床の踏込から室内に入った左側2間幅の壁面は手前に2段の抽斗の上にクローゼットが配置されその奥は床の間風の空間に棚を置く設えで上段はテレビの他に茶櫃や湯沸かしポットが用意され下段には金庫と夜間照明の行燈スタンドが控えている。
棚上の配置
棚上を仔細に見るとクローゼット側には湯沸かしポットの隣に館内電話が装備され
棚上の用具
テレビの脇にはティッシュ箱の奥に首筋マッサージ具や孫の手などの用意があり居心地を重視した細かい配慮を感じる。
テーブルタップ
更に棚上にはサイコロ型のテーブルタップがある。これは見た通り一辺が10cm程の立方体の特徴的な形状でAC100Vに加えてDC5Vを給電するUSB標準仕様端子を二口備えておりACアダプタなしでスマホやタブレットなど今時主流の情報機器に充電できる優れものである。100Vコンセントに接続するACケーブルの途中が大きな板に固定されているのは盗難防止の措置であろうか。板付のケーブルならば間違っても鞄に入れて持ち帰ることはないだろうから。
このテーブルタップの御利益で普段に旅行鞄に入れて持ち歩いているUSB端子を備えたタップやAC延長ケーブルは無用となった。
クローゼット
クローゼットの内部はハンガーと丹前が用意され下段の抽斗には大中小各サイズの浴衣を取り揃える配慮が有難い。
因みにフロントロビーの脇に女性客限定で色浴衣と帯を提供するサービスも用意されており同行者はこのサービスを利用した。
タオル籠
クローゼット内には手提げ籠が用意されており浴場の往来にタオル類を収めて持ち運べる配慮が嬉しい。
広縁
テーブルセットが置かれた広縁の右側で畳の間との隔壁の奥には
広縁の冷蔵庫
造り付けの小さな棚の下に空の冷蔵庫が嵌め込まれており棚上には冷水ポットとグラスが配置され網張の天然水との説明が添えられている。
Part.4は網張五湯と秘湯仙女の湯
【西館の客室】
今回は予め展望側の部屋を予約しており案内された部屋は西館3Fであった。
窓外の展望
窓外には周囲が山に囲まれた葛根田川の扇状地から雫石川流域を見下ろす壮大な景色が展開していた。
西館の室内
室内は窓側に広縁を備えた8畳間で
踏込左側
踏込手前の左には下足箱があり
洗面台
板床部には洗面台が配置されている。
トイレ
右手は洗浄機能を装備した個室トイレとなっている。
【室内装備】
左側壁面
板床の踏込から室内に入った左側2間幅の壁面は手前に2段の抽斗の上にクローゼットが配置されその奥は床の間風の空間に棚を置く設えで上段はテレビの他に茶櫃や湯沸かしポットが用意され下段には金庫と夜間照明の行燈スタンドが控えている。
棚上の配置
棚上を仔細に見るとクローゼット側には湯沸かしポットの隣に館内電話が装備され
棚上の用具
テレビの脇にはティッシュ箱の奥に首筋マッサージ具や孫の手などの用意があり居心地を重視した細かい配慮を感じる。
テーブルタップ
更に棚上にはサイコロ型のテーブルタップがある。これは見た通り一辺が10cm程の立方体の特徴的な形状でAC100Vに加えてDC5Vを給電するUSB標準仕様端子を二口備えておりACアダプタなしでスマホやタブレットなど今時主流の情報機器に充電できる優れものである。100Vコンセントに接続するACケーブルの途中が大きな板に固定されているのは盗難防止の措置であろうか。板付のケーブルならば間違っても鞄に入れて持ち帰ることはないだろうから。
このテーブルタップの御利益で普段に旅行鞄に入れて持ち歩いているUSB端子を備えたタップやAC延長ケーブルは無用となった。
クローゼット
クローゼットの内部はハンガーと丹前が用意され下段の抽斗には大中小各サイズの浴衣を取り揃える配慮が有難い。
因みにフロントロビーの脇に女性客限定で色浴衣と帯を提供するサービスも用意されており同行者はこのサービスを利用した。
タオル籠
クローゼット内には手提げ籠が用意されており浴場の往来にタオル類を収めて持ち運べる配慮が嬉しい。
広縁
テーブルセットが置かれた広縁の右側で畳の間との隔壁の奥には
広縁の冷蔵庫
造り付けの小さな棚の下に空の冷蔵庫が嵌め込まれており棚上には冷水ポットとグラスが配置され網張の天然水との説明が添えられている。
Part.4は網張五湯と秘湯仙女の湯
(00:00)